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糖尿病高リスク者のプライマリ・ケア・ベースの検診、死亡率低下せず:ADDITION-Cambridge試験/Lancet

 2型糖尿病の高リスク者を対象とした検診でみつかった患者に対し治療を行っても、約10年間の全死因死亡、心血管死、糖尿病関連死のリスクは検診を受けなかった者と変わらないことが、英国ケンブリッジ大学のRebecca K Simmons氏らが行ったADDITION-Cambridge試験で示された。2型糖尿病の有病率の増加は保健医療上の重要課題とされる。2型糖尿病の疾病負担の増大は、地域住民を対象とした検診や早期治療によって抑制される可能性があるが、検診のベネフィットは不明なままだという。Lancet誌2012年11月17日号(オンライン版2012年10月4日号)掲載の報告。2型糖尿病検診と死亡の関連をクラスター無作為化試験で評価 ADDITION-Cambridge試験は、2型糖尿病の段階的な検診プログラムと死亡の関連の評価を目的とする実地臨床に即したクラスター無作為化試験。 イングランド東部地域の33のプライマリ・ケア施設が参加した。これらの施設が、検診で2型糖尿病と診断された患者に対し多元的な強化療法を行う群(15施設)、英国の糖尿病診療ガイドラインに準拠したルーチン治療を行う群(13施設)、検診を行わない対照群(5施設)に無作為に割り付けられた。 対象は、事前の評価で2型糖尿病の発症リスクが高いと判定された40~69歳の2万184人(平均年齢58歳)。検診として、血糖値検査で患者候補を選出し、標準的な経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)で確定した。 全例が、イングランド-ウェールズの国家統計局による死亡調査の対象として登録された。主要評価項目は全死因死亡率とした。最多の死因はがん 2001~2006年の間に、1万6,047人の2型糖尿病高リスク者のうち1万5,089人(94%)が検診を勧められ、受診した1万1,737人(73%)のうち466人(3%)が糖尿病と診断された。対照群は4,137人だった。 フォローアップ期間中央値9.6年(18万4,057人・年)の時点で、検診群の1,532人、対照群の377人が死亡した。全死因死亡率のハザード比(HR)は1.06〔95%信頼区間(CI):0.90~1.25、p=0.46〕であり、検診による有意な死亡率の低下は認めなかった。 心血管死のHRは1.02(95%CI:0.75~1.38)、がん死のHRは1.08(同:0.90~1.30)、糖尿病関連死のHRは1.26(同:0.75~2.10)であり、いずれも有意差はみられなかった。最も多い死因はがんだった。 著者は、「英国人の2型糖尿病高リスク者を対象とした検診は、約10年間の全死因死亡、心血管死、糖尿病関連死を低下させなかった」と結論し、「検診のベネフィットは予想よりも小さかった。検診を行う場合は、同時に糖尿病や心血管疾患のリスク因子の評価や管理を行い、これらの疾患の根本的な決定因子をターゲットとした地域住民レベルの予防戦略を実施する必要がある」と指摘する。

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腎結石にかかった人は要注意!CHD発症リスク因子の蓄積―日本人男性を対象とした研究

 腎結石に罹患したことがある人は、現在検査で異常が認められなくても、冠動脈心疾患(CHD)発症リスク因子を有している可能性が高いことが名古屋市立大学大学院 安藤亮介氏らの研究で明らかになった。The Journal of Urology誌オンライン版2012年11月14日付の報告。 日本人男性における腎結石とCHD発症リスクとの関連について調べるため、横断研究を行った。対象は1995年4月から2001年3月までに自発的に健康診断を受けた日本人男性1万3,418人(30~69歳)。超音波検査の結果と腎結石の既往歴に基づき、コントロール群、過去罹患群、現在罹患群に分けられた。標準的なCHD発症リスク因子(太りすぎ/肥満、高血圧、糖尿病、痛風/高尿酸血症、脂質異常症、慢性腎臓病)について評価し、腎結石形成との関連を調べた。 主な結果は以下のとおり。 ・超音波検査により、腎結石を認めた人は、404人(全体の3.0%)であった(現在罹患群)。・腎結石の既往があるが、検査で腎結石を認めなかった人は、1,231人(全体の9.2%)であった(過去罹患群)。・BMI、収縮期/拡張期血圧、血清尿酸値は、現在罹患群・過去罹患群の両群とも、コントロール群に比べて有意に高値であった。・ロジスティック回帰分析の結果、太りすぎ/肥満、高血圧、痛風/高尿酸血症、慢性腎臓病発症の多変量調整後のオッズ比(95%CI)は、コントロール群、過去罹患群、現在罹患群の順に有意に増加した。

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片頭痛と脳病変進行、女性の深部白質病変を除き有意な関連みられず/JAMA

 片頭痛を有する男女のMRI所見を9年前のものと比べて比較した結果、女性では深部白質病変の発生が高率にみられたが、その他のMRIで確認されていた脳病変の進行は有意にはみられなかったことが、また男性ではあらゆるMRI既往脳病変の進行との関連がみられなかったことが報告された。オランダ・ライデン大学医療センターのInge H. Palm-Meinders氏らが、先行研究で片頭痛とMRI脳虚血病変との関連が示されていたことを踏まえて行った検討で、結果について著者は、「脳血管の構造的変化に果たす片頭痛の役割について疑問を呈する所見となった」と述べている。JAMA誌2012年11月14日号掲載報告より。片頭痛のある平均年齢57歳男女を対象にMRI所見を9年前のものと比較 研究グループは、片頭痛を有する(前兆ありなし含む)男女のMRI所見を9年前のものと比べて、新規病変発生が高率にみられるか、病変部位の進行はみられるか、また認知低下との関連を調べた。対象は、オランダで行われている住民ベースの前向き観察研究CAMERA(Cerebral Abnormalities in Migraine, an Epidemiological Risk Analysis)-1スタディの参加者で、片頭痛群[ベースライン平均年齢57歳(範囲:44~71歳)、女性69%]と、対照群(片頭痛・年齢・性で適合)について追跡した。両群被験者は全員、2000年にMRI検査を受け、2009年にも全員に脳病変の進行を確認するためのMRI検査の紹介が行われた。 2回の検査を完了したのは、片頭痛群203/295例、対照群83/140例であり、年齢、性、高血圧、糖尿病、教育レベルで補正後に両群の比較が行われた。 主要評価項目は、MRIで認められた深部脳白質病変、テント下腫瘍病変、後側循環系梗塞様病変であった。認知機能の変化も評価した。テント下腫瘍病変や後側循環系梗塞様病変の進行、認知機能の変化との関連は認められず 片頭痛群の女性145例のうち122例(77%)が、対照群は55例のうち33例(60%)が、深部脳白質病変の進行がみられた[補正後オッズ比(OR):2.1、95%信頼区間(CI):1.0~4.1、p=0.04]。 片頭痛とテント下腫瘍病変進行との有意な関連はみられなかった。片頭痛群では21例(15%)、対照群では57例中1例(2%)で進行がみられた(同:7.7、1.0~59.5、p=0.05)。 新たな後側循環系梗塞様病変の発生は、片頭痛群203例中10例(5%)、対照群は83例中0例(0%)だった(p=0.07)。 片頭痛の回数や頻度と病変進行との関連も認められなかった。 深部脳白質病変がある群での認知機能スコアの変化についても有意な差はみられなかった(片頭痛群-3.7vs. 対照群1.4、95%CI:-4.4~0.2、補正後p=0.07)。

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エキスパートに聞く!「糖尿病」Q&A

CareNet.comでは11月の糖尿病特集を配信するにあたって、事前に会員の先生より糖尿病診療に関する質問を募集しました。その中から、とくに多く寄せられた質問に対し、糖尿病の専門医である3人の先生にご回答いただきました。本宮哲也(もとみや・てつや)氏(もとみや内科クリニック 院長)http://www.motomiya-clinic.jp/専門医が行っている、DPP-4阻害薬と他剤との併用例を教えてください。また、DPP-4阻害薬間での効果の差異や使い分けの基準などがあれば同じくお願いします。1)シタグリプチンは、SU薬、BG薬、α-グルコシダーゼ阻害薬、チアゾリジン薬、インスリン注射、2)アログリプチンとアナグリプチンは SU薬、BG薬、α-グルコシダーゼ阻害薬、チアゾリジン薬、3)ビルダグリプチンおよびリナグリプチンはSU薬、4)テネリグリプチンはSU薬とチアゾリジン薬との併用が可能で症例に応じて薬剤を選択します(2012年11月時点での適応に基づく)。また、Aroda氏ら1)が行った効果の差異検討では、DDP-4阻害薬の最大維持用量の投与によるHbA1c改善率は、ビルダグリプチン -1.06%、アログリプチン -0.69%、シタグリプチン -0.67% という結果でしたが、分析内容が不十分とされ、再検討待ちです。使い分けについては、シタグリプチンは現時点では腎不全には使用できず、アログリプチンは腎不全の程度に応じて用量の調節が必要です。アナグリプチン、ビルダグリプチン、リナグリプチン、テネリグリプチンは腎不全には慎重投与ですが、用量の制限はありません。1)Aroda.VR et al:Clin Ther.2012;34:1247-1258膵臓疾患のある方へのDPP-4阻害薬の投与時の注意点について、教えてください。膵疾患のある方へのDDP-4阻害薬の投与は、急性膵炎と慢性膵炎を区別して考える必要があります。FDA(アメリカ食品医薬品局)は、2006年10月16日から2009年2月9日におけるDDP-4阻害薬の市販後調査で88例(出血性や壊死性の膵炎2例を含む)に急性膵炎が発症した報告を受け、急性膵炎への投与は禁忌とし、使用中に膵炎の発現が疑われた場合は使用を中止するよう推奨しています。しかし、膵炎の既往がある患者さんへのDDP-4阻害薬の使用については、検討や研究はされていないとしています(国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部発行 医薬品安全性情報Vol.7 No.23)。また、飲酒家で慢性膵炎で血糖が上昇してきた患者さんへDDP-4阻害薬を使用した場合に、慢性膵炎が悪化したデータや報告は、今のところないようですが、このような患者さんへの投与は慎重に行い、どうしても投与しなければならない時には、膵炎に関する適切なモニタリングが必要と考えます。経口薬治療はどこまで続けるべきなのでしょうか?また、最大何剤まで増やして治療された経験がありますか?第1に、2型糖尿病では腎症の程度により禁忌となる経口糖尿病薬があり、基本的に透析患者、ならびにCcr30mL/分 以下では一部のDDP-4 阻害薬やα-グルコシダーゼ阻害薬を除き、経口糖尿病薬は原則禁忌となります。第2に、複数の経口糖尿病薬を併用しても血糖コントロールが改善せず、内因性インスリン分泌の低下が著明になった場合には、インスリン注射療法へ変更することになります。2012年の ADA/EASD が発表した推奨される2型糖尿病の血糖降下療法によればメトホルミンで治療を開始し、血糖コントロールの改善度、副作用、体重などを3ヵ月毎に慎重に観察しながら、2剤、3剤と経口糖尿病薬を併用し、目標が達成できない場合にインスリン注射療法の導入を勧めています。私は、DDP-4阻害薬をベースに少量のSU薬やメトホルミン、α-グルコシダーゼ阻害薬の追加で3剤まで増やしても良好な血糖コントロールにならない場合、インスリン自己注射が可能で、承諾の得られた患者さんにはインスリン療法を導入しております。梅澤慎一(うめざわ・しんいち)氏(医療法人 うめざわクリニック 院長)http://www5d.biglobe.ne.jp/~umecli/index.htmHbA1c7%前後の軽症例への第1選択薬は、どのような選択肢が考えられるでしょうか?HbA1c7%(NGSP値)前後の軽症例の第1選択薬とは、HbA1c値を0.5%程度(良の中央値)下げられる、できるだけ安価で副作用の少ない薬剤を意味するものと解釈します。したがって注射製剤は今回除くこととします。インタビューフォームに記載されていたほとんどの経口血糖降下薬のHbA1c低下効果は、その治験対象の治療前HbA1c値が高いため(8.0% 前後)、軽症例に投与しても添付文書のようには低下しません。万人に単剤でしっかり0.5%下げられる能力が期待できると私が考える薬は、速効型インスリン分泌促進薬のレパグリニド〔商品名:シュアポスト〕(1.5mg/日)、DPP-4阻害薬のビルダグリプチン〔商品名:エクア〕(100mg/日)、テネリグリプチン〔商品名:テネリア〕(20mg/日)、シタグリプチン〔商品名:グラクティブ〕(100mg/日)、〔商品名:ジャヌビア〕(100mg/日)、 アログリプチン〔商品名:ネシーナ〕(25mg/日)、リナグリプチン〔商品名:トラゼンタ〕(5mg/日)、SU薬のグリメピリド〔商品名:アマリール〕(0.5~1.0mg/日)などが該当します。いずれも初回の規定投与量を遵守し、忍容性を見極めての増量が基本です。臓器合併症がない人に限っては、ピオグリタゾンとメトホルミンなどのBG薬が期待できますが、どちらも効果は個人差が強いといえます。病識のない患者さんへの教育・指導のコツやポイントを教えてください。最も重症な病識欠如は通院中断者であることは間違いないでしょう。定期的に中断者リストを作成して、再診を促すハガキを出すことができれば理想的です。診療所など地域に根差した施設では、家族の受診の付き添いで来院する際や風邪などで再初診する機会にさりげなく「最近、糖尿病の方はどうかな?」と声掛けをすることで通院再開に成功するケースもあると思います。内服・注射アドヒアランスの低下などは処方薬の選択、投与法の工夫など医師の役割部分が大きく、認知症などによる飲み忘れ対策では家族の教育(看護師)、一包化調剤の利用(薬剤師)などの多職種との連携が必要になるでしょう。食事運動療法、節酒・禁煙ができないなどの病識の欠如は、個人的な事情もあるので、万人に有効な処方箋はありません。私は“その人が今できることを探して、具体的な方法を提示し、できたら少しでも賛美し、結果にむすびついたら一緒に喜ぶ”、“合併症がでたら大変という脅しはしない”の2項目を念頭に、辛抱強く向かい合うようにしております。BOT導入に際し、スタッフへの教育をどう進めるべきか教えてください。まずはBOTの概念をスタッフに理解してもらうことが大事です。BOTで使用するインスリングラルギン(商品名:ランタス)やインスリンデテミル(商品名:レベミル)などの持効型インスリンの本来の使用目的は、インスリン強化療法の基礎分泌(basal)部分を担うことにありました。そのため持効型インスリンは、速効または超速効型インスリン食前3回投与と組み合わせた使用が一般的です。その後、経口血糖降下剤で効果不十分な2型糖尿病に少量の持効型インスリンを追加する(basal + oral therapy)ことにより、内因性インスリン分泌が回復し、血糖コントロールが改善する事例報告が多く認められ、新たな治療法の概念となっていったものです。 BOTはすでに今行われている治療法を変更しないで、1日1回のインスリン注射を加えることで実行できるため、患者も医療者側も治療法の変更という大きな心理的不安を緩和することができるのです。注射時刻は各薬剤の添付文書に基づきますが、毎日一定の時間に投与すればよく、SU薬を併用しているケースでは1回抜けたくらいで急性代謝失調に陥ることはないという安心感が維持できます。田中啓司(たなか・けいじ)氏(田中内科クリニック)http://www.tanakanaika-clinic.com/BG薬はどのような患者に使うべきでしょうか?また、副作用のマネジメント(乳酸アシドーシスへの対応等)についても教えてください。BG薬は、肝臓で乳酸からの糖新生の抑制、脂肪や筋肉への糖の吸収促進、腸管での糖の吸収抑制、食欲低下作用などが報告されています。適応患者としては、肥満の2型糖尿病で、ある程度コントロールのよい例をよりよくする目的のほか、SU薬やインスリンを多量に使ってもコントロール不良例での改善、さらにそれら薬剤を減量させる目的などで投与することが多いです。乳酸アシドーシスの重大な副作用症状は、「意識障害、嘔吐、倦怠感、過呼吸、腹痛など」です。日本糖尿病学会の「ビグアナイド薬の適正使用に関する委員会」は、乳酸アシドーシスに至った例は、各剤の添付文書において禁忌や慎重投与となっている事項に違反した例がほとんどであると報告しています。「腎機能障害患者(透析患者を含む)、過度のアルコール摂取、シックデイ、脱水などの例、心血管・肺機能障害、手術前後、肝機能障害などの患者、高齢者」とのことです。乳酸アシドーシスへの対応というよりは、投与してよい例か否かを慎重に検討して、乳酸アシドーシスを起こさないことが重要と考えられます。75歳以上の高齢者のHbA1c管理目標値は、他の年代の方と同様でよいでしょうか?また、食事指導は実施すべきでしょうか?日本糖尿病学会では、高齢者の血糖管理目標値を空腹時血糖140mg/dL、HbA1c 7.4%以下(NGSP値)としています。しかし一方で、患者の状態を詳細に把握して個別的な対応を行うことも重要と呼びかけています。高齢者糖尿病は多様性があることを理解して、高齢者でも、非常に元気な例もあれば、予後の限られた例もある。もちろん肥満例では足腰に負担がかかり、ADL低下に至る可能性もあるので食事療法は必要です。しかし、食が細くなっている高齢者もいますので、本人や家族からの聴き取り調査が必要です。また、高齢者糖尿病例は代謝の低下に伴い、突然低血糖になる例もあります。一方で、風邪をひいて急に高血糖になる例もあります。大血管障害は別として、血糖にこだわり細小血管障害を心配するよりも、低血糖や高血糖性昏睡などの直接命に関わる急性合併症を回避することが大切で、全身を診る医療が最も重要と考えます。最近、話題の「糖質制限食」(メリット/デメリットなど)について教えてください。〔メリット〕減量効果:3度の食事の糖質(主食:ごはん、パンなど)を減らすことにより、摂取カロリーが減ります。例えばごはん、大盛り300g → 並200gに変更することにより100g(160Kcal) × 3回 × 30日 = 14,400Kcalとなり、1ヵ月で約2kgの減量につながります。食後血糖改善効果:糖質は、タンパク質や脂肪に比べて吸収が速く、食後の血糖値が高くなります。ひいては血糖コントロール改善効果があります。〔デメリット〕間食が多くなる:ごはん、パンなどは腹もちがよく、極端に減らすことにより次の食事までの間に空腹感が出て、その結果、間食をしてしまう患者さんが多く、肥満や血糖コントロールの乱れにつながります。心血管・内臓負担:当然のことながら、肉や魚の量が増えてしまいます。そのため、タンパク質や脂肪の摂取過剰になります。タンパク質を多く摂ると腎臓に負担がかかり(腎不全では禁忌)、脂肪を多く摂るとコレステロールが高くなり動脈硬化性疾患である心臓病や脳卒中になりやすい可能性があります。

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(37)〕 心血管疾患罹患リスクは年齢を問わず男性が高いことを確認

米国の代表的な追跡研究であるフラミンガム研究などの疫学データをもとに、年当たり90万人という膨大な米国住民のプール解析を実施し、心血管疾患発症に対する生涯リスクについて検討した貴重な成績である。 平均的な45歳のアメリカ人で、生涯にわたって心血管疾患を発症するリスクは男性で60.3%、女性では55.6%という。すべての世代において女性での心血管死発症率は男性より約5%低く、これは閉経までのエストロゲンによる動脈硬化予防効果が生涯にわたって影響するということだろうか。 55歳時に血圧が120/80mmHg未満で、喫煙歴と糖尿病の既往がなくとも、85歳までに心血管イベントを発症するリスクは男性40%、女性30%であるというのは意外な感がするが、肥満や遺伝歴などリスクとしてカウントされていない要素があるためかもしれない。またLDL-コレステロール値が考慮されていないこともあろうし、ストレスそのものが心血管疾患のリスクになっている可能性も否定できない。リスク因子が多くなるほど、生存期間が短くなるという結果は、従来フラミンガム研究が示してきたことと同じである。 実際には、生命予後は心血管疾患以外にも悪性腫瘍や感染症などによって大きく左右されるが、本報告は米国人での心血管イベント発症、生命予後とリスク因子の関連を検討した成績として意義がある。 しかし、本試験の結果をみると、生きていくかぎり血管は痛み、いずれは破綻するということを実感させられる。問題はいかに血管の破綻を先延ばしするかということである。

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糖尿病よりCKDが死亡・末期腎不全に関連性大/Lancet

 糖尿病患者は死亡および末期腎不全のリスクが高いが、推定糸球体濾過量(eGFR)およびアルブミン/クレアチニン比(ACR)といった腎疾患尺度でみた場合、その相対リスクは非糖尿病患者と変わらないことが明らかにされた。米国・NHLBIフラミンガム研究グループのCaroline S Fox氏らがメタ解析の結果、報告した。慢性腎臓病は、低eGFR値、高アルブミン値によって特色づけられ、それらの値と重大転帰とが関連している。そのリスクが糖尿病の有無によって影響があるのかはこれまで明らかとなっていなかった。Lancet誌2012年11月10日号(オンライン版2012年9月24日号)掲載報告より。糖尿病有無別で死亡および末期腎不全と腎疾患尺度との関連を検討 研究グループは2011年3月~2012年6月の間に、Chronic Kidney Disease Prognosis Consortiumの基準に適合する試験を選択しメタ解析を行った。 Cox比例ハザードモデルを用いて、糖尿病有無別に死亡および末期腎不全と、eGFRおよびアルブミン尿との関連についてハザード比(HR)を算出した。 解析は、30の一般集団および心血管ハイリスクの試験コホートと、13のCKD試験コホートからの、102万4,977例(うち糖尿病あり12万8,505例)のデータを組み込んで行われた。eGFRとACRでみた死亡・末期腎不全のリスクは糖尿病と非糖尿病群でほぼ同程度 追跡期間中央値8.5年(SD 5.0)の間に、全試験コホートでの全死因死亡発生は、7万5,306例であった。また、心血管死亡のデータが得られた23試験コホートでは、追跡期間中央値9.2年(SD 4.9)の間に、心血管疾患死の発生は2万1,237例であった。 一般集団および心血管ハイリスクコホートにおける解析で、糖尿病がある人の死亡リスクは糖尿病がない人よりも、いずれのeGFRとACRの範囲値でも高かった(1.2~1.9倍)。 その一方で、死亡転帰のハザード比は、eGFRが参照値と比べて低値の場合も、またACRが参照値と比べてより高値の場合も、糖尿病患者群と非糖尿病患者群でいずれも同程度であった。たとえば全死因死亡について、eGFR 45mL/分/1.73m2 vs.参照値95mL/分/1.73m2のハザード比は、糖尿病患者群1.35(95%信頼区間:1.18~1.55)、非糖尿病患者群1.33(同:1.19~1.48)であった。同じくACR 30mg/g vs.同参照値5mg/gのハザード比は、1.50(同:1.35~1.65)、1.52(同:1.38~1.67)であった。全体の相互作用は有意ではなかった。 また、CKDコホートにおける末期腎不全リスクについても同様の知見が認められた。 上記を踏まえて著者は、「糖尿病患者では死亡および末期腎不全のリスクが高い一方で、eGFRとACRでみた相対リスクは、糖尿病患者と非糖尿病患者でほぼ同等であり、臨床転帰の予測因子として腎疾患の重要性が強調される」と結論した。

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ハイリスク群へのPCV13接種の費用対効果は?/BMJ

 多くの国で侵襲性肺炎球菌感染症のハイリスク患者には23価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV23)の予防的投与が推奨されているが、欧州委員会は最近、13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)の適応を50歳以上の成人まで拡大した。オランダ・フローニンゲン大学のMark H Rozenbaum氏らは、ハイリスク患者に対するPCV13接種の費用対効果について検証した。BMJ誌2012年11月10日号(オンライン版2012年10月26日号)掲載より。2歳以上のイギリス人ハイリスク患者を対象にコスト、QALYを評価 経済解析は保険者視点によるコホートモデルを用いて行われ、対象は、2歳以上のイギリス人で、慢性腎臓病、脾臓の機能不全、HIV感染症、免疫系の易感染、慢性の心臓・肝臓・呼吸器系の疾患、糖尿病などで侵襲性肺炎球菌感染症のリスクが高い者であった。 主要評価項目はコスト、質調整生存年(QALY)、増分費用効果比(ICER)とした。非肺炎球菌菌血症に対するPCV13の有効性が実証されれば費用対効果が高い可能性 PCV13を用いた新生児ワクチン接種プログラムによる間接効果の増大は、一方でハイリスク群の予防可能な疾患負荷を減らすことが可能であることを意味する。 ベース症例の条件(ハイリスク群の非肺炎球菌菌血症に全体的な効果が認められず、ハイリスクワクチン接種プログラムは新生児接種プログラム後の2~3歳で開始する)下では、増分費用効果比は最大ハイリスク群でQALY当たり3万ポンド(3万7,216ユーロ、4万8,210ドル)以上になると推定された。 しかし、もしワクチンが非肺炎球菌菌血症の予防に効果がない、あるいはワクチンを新生児PCV13プログラム開始と同時とした場合は、ハイリスク患者への接種は(より)費用対効果に優れている可能性があるとしている。 感度解析では、費用対効果はとくに集団ベネフィットと有効性の推定において感度が高かった。 これらの結果からRozenbaum氏らは、ベース症例前提条件下では、高い費用対効果が可能と考えられるリスク群への肺炎球菌ワクチン接種プログラムは考えにくいとしたうえで、この不確定さは、非肺炎球菌菌血症に対するPCV13の有効性を実証することによって、かなり減少される可能性はあると報告した。

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精製された炭水化物の大量摂取により前立腺がんリスクが増加

 食事における炭水化物の摂取は前立腺がんに関係している。今回、信頼性の高いデータを用いたスウェーデンの大規模研究から、精製された炭水化物の大量摂取が前立腺がんのリスク増加と関連することが示唆された。一方、高リスク前立腺がんとの有意な関連は認められず、精製された炭水化物を多く含む食品がすべて、前立腺がんと関連しているわけではなかった。Isabel Drake氏らがThe American journal of clinical nutrition誌オンライン版2012年11月7日号に報告。 著者らは、Malmo Diet and Cancer cohortにおいて、食事における炭水化物と食物繊維、およびそれらを含む食品の摂取量と前立腺のリスクとの関連について、全体および重症度別に検討した。 解析対象は、がん・心血管疾患・糖尿病の既往がなく、カロリー報告者として適切な45~73歳の男性8,128人。フォローアップ期間(中央値:15年間)の後、817人が前立腺がんと診断された。Cox比例ハザード回帰を用いて、カロリー調整された栄養素や食品の摂取量と前立腺がんの発症リスクとの関係を検討した。 主な結果は以下のとおり。・年齢、その他の既知のリスクまたは可能性のあるリスク因子の調整後、総炭水化物や食物繊維と前立腺がんとの間に関連性は認められなかった。・繊維の少ないシリアルの摂取量と前立腺がん全体および低リスクの前立腺がんとの間に、正の相関が認められた。また、ケーキ・ビスケット・米・パスタの摂取量と低リスクの前立腺がんとの間にも、正の相関が認められた(すべて傾向性のp

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睡眠時間が短いと脂質異常症のリスクも高まる―日本の男性労働者を対象とした研究―

 日本の都市部で働く男性の短い睡眠時間がコレステロール値の上昇と関連することが、京都大学 外山善朗氏らによる地域ベースの研究で明らかになった。著者は睡眠時無呼吸、睡眠時間、脂質プロファイルの関連性について検討し、呼吸障害指数(RDI)がトリグリセリド値(TG)と正の相関があることを示したうえで、「睡眠時無呼吸や睡眠時間を改善することが、脂質プロファイルや心血管系への影響を改善する可能性がある」と結論づけた。Chest誌オンライン版2012年10月15日号掲載の報告。 脂質異常症はしばしば閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)を併発するが、その関連性についての集団研究はほとんどない。また、短い睡眠は高血圧症や糖尿病の発症と関連があるが、脂質異常症との関連性はよく知られていない。 対象者は日本企業に勤める男性275例。RDIと睡眠時間は3タイプのポータブルデバイスとアクチグラフを用いて測定し、空腹時血液パラメータは定期検査のデータから得た。 主な結果は以下のとおり。・脂質異常症を143 例で認めた(本邦のガイドラインに基づき診断)。・脂質異常症を認めた群は、認めない群と比べて、睡眠中の血中酸素飽和度(SpO2)90%未満の例が多く、重度な睡眠時無呼吸の有病率が高かった。また、睡眠時間が短く、睡眠中の平均SpO2の値が低かった。・単変量解析の結果から、RDIはTGと正の相関が認められた(ρ=0.20、p<0.01)。睡眠時間は血清総コレステロール値(γ=-0.13、p=0.03)および血清LDLコレステロール値(γ=-0.12、p=0.04)と負の相関が認められた。・ステップワイズ重回帰分析の結果から、TGはRDI(β=0.14、p=0.02)、BMI(β= 0.20、p<0.01)、アルコール摂取量(β=0.20、p<0.01)と正の相関が認められた。また、TCは睡眠時間(β=-0.13、p=0.03)と負の相関、年齢(β=0.15、p=0.02)およびウエスト/ヒップ比(β=0.15、p= 0.02)と正の相関を認めた。

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整形外科領域にみる慢性疼痛

整形外科疼痛の特徴腰痛・関節痛といった整形外科領域の疼痛は慢性疼痛の3割以上を占め最も多い1)。なかでも腰痛が多く、肩および手足の関節痛がこれに続く2)。整形外科での痛みの発生頻度は年齢および性別により偏りがあるが、多くは変性疾患が原因となっていることから、50歳代頃から増加し60歳代、70歳代ではおよそ3割近くが痛みを訴える。高齢者においては、もはやコモンディジーズといっても過言ではないであろう。整形外科領域の痛みは慢性の経過をたどるものが多い。患者さんの訴えは「突然痛みが起こりました」と急性を疑わせるものが多いが、単純X線所見ではかなり時間経過した骨の変形が確認されることもしばしばであり、長期間にわたって徐々に進行し最終的に痛みが発症するケースが多いと考えられる。変性疾患の多くは荷重関節に生じ、加齢に伴い関節に痛みが起こる。日本人はO脚が多いため痛みは負荷がかかる膝関節に多くみられるのが特徴である。近年、食生活や生活習慣の変化に伴って肥満が多くなり、その傾向に拍車がかかっていることから、膝人工関節手術は年約10%の割合で増加している。また、肥満や運動不足との関係もあり、生活習慣病などの内科疾患との関連も深くなっている。一方、股関節の痛みは減少傾向である。出生時から足を真っすぐにしてオムツをしていた時代、日本人には臼蓋形成不全が多かったが、現在は紙おむつで足を開いている。その結果、臼蓋形成不全も先天性股関節脱臼も減少している。国民性の変化は整形外科治療に大きな影響をもたらしているといえるだろう。一昔前であれば、膝が曲がっていてもあきらめて治療を受けなかったが、今では膝が曲がっていると見た目も悪いし、痛いから手術したいという人が多くなっている。また、痛みがあれば家で寝ている人が多かったが、痛みを改善して運動や旅行をしたいなど積極的に治療を受ける患者さんが、多くなっている。慢性疼痛の病態慢性疼痛には、侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、非器質性疼痛の三つの病態があるが、整形外科の患者さんでは約8割に侵害受容性疼痛の要素がみられる。疼痛の原因として多い変性疾患は軟骨の摩耗が原因であり、滑膜の炎症が併発して痛みを引き起こす。神経障害性疼痛も侵害受容性疼痛ほどではないが、整形外科領域でみられる痛みである。これは神経の損傷により起こる痛みであるが、以前はその詳細について十分に解明されておらず、また有効な治療薬がなかったため疼痛非専門医には治療が困難であった。しかし現在ではMRIなどの検査で診断可能であり、プレガバリンが末梢性神経障害性疼痛に効能・効果を取得したことにより、広く認知されてきた。侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛といった器質的疼痛のほかに機能性疼痛症候群がある。機能性疼痛症候群は諸検査で器質的所見や病理所見が明らかにできず、持続的な身体愁訴を特徴とする症候群である。その中には中枢機能障害性疼痛があり、線維筋痛症はその代表と考えられる。全身の筋肉、関節周囲などにわたる多様な痛みを主訴とし、種々の随伴症状を伴うが、その病態は明らかになっていない。治療アプローチ痛みの治療にあたっては、症状だけをみてに安易にNSAIDsで治療するのではなく、痛みの原因を明らかにすることが重要である。痛みの原因となるものには前述の変性疾患以外にも炎症性疾患や感染性疾患があるが、いずれによるものかを明らかにして、適切な評価と適切な原疾患の治療を行う。変性疾患の進行は緩徐であるため、極端にいえば治療を急がなくてもとくに大きな問題はない。炎症性疾患では、痛風やリウマチなど内科疾患の診断を行い、それぞれの適切な治療を速やかに行うことになる。感染性疾患は治療に緊急性を要し、中には緊急手術が必要となる場合もある。痛みの原因を調べる際には、危険信号を見逃さないようにする。関節疾患の多くは、触診、採血、単純X線検査などで診断がつき、内臓疾患との関連は少ないが、脊椎疾患では重大な疾患が潜在するケースがある。とくに、がんの脊椎転移は頻度が高く注意を要する。よって、高齢者で背中が痛いという訴えに遭遇した場合は、結核性脊椎炎などに加え、がんも念頭にておく必要がある。さらに、高齢者で特定の場所に痛みがあり、なおかつ継続している場合もがんである事が少なくない。また、感染性脊髄炎では、早期に診断し適切な治療を行わないと敗血症により死にいたることもある。このような背景から、1994年英国のガイドラインでred flags signというリスク因子の概念が提唱された。腰痛の場合、この危険信号をチェックしながら診療にあたることが肝要である3)。red flags sign発症年齢<20歳または>55歳時間や活動性に関係のない腰痛胸部痛癌、ステロイド治療、HIV感染の既往栄養不良体重減少広範囲に及ぶ神経症状構築性脊柱変形発熱腰痛診療ガイドライン2012より治療期間、治療目標、治療効果を意識すべし疼痛の治療期間は痛みの原因となる疾患によって異なる。たとえば変形性腰椎症など不可逆的な疾患では治療期間は一生といってもよく、急性の疾患であれば治療期間も週単位と短くなる。初診時にどのような治療がどれくらいの期間必要で、薬はどのくらい続けるかなどについて患者さんに説明し同意を得ておく必要がある。疼痛の診療にあたり、治療目標を設定することは非常に重要である。急性の場合は痛みゼロが治療目標だが、慢性の場合は痛みをゼロにするのは困難である。そのため、痛みの軽減、関節機能の維持、ADLの改善が治療目標となる。具体的には、自力で歩行できる、以前楽しんでいた趣味などが再開できる、買い物などの外出ができる、睡眠がよくとれる、仕事に復帰できる、などのようなものである。痛みは主観的なものであり、本人の感覚で弱く評価したり、疼痛(顕示)行動で強く訴えたりする。そのため、効果判定はADLの改善を指標として行う。患者さんへの聞き方として、少し歩けるようになったか、家事ができるようになったか、以前よりもどういう不自由さがなくなったかなどが具体的である。患者さんの痛みの訴えだけを聞いて治療しているとオーバードーズになりがちであるが、ADLの改善をチェックしていると薬剤用量と効果、副作用などのかね合いが判定できる。たとえば、痛みが少し残っていてもADLの改善が目標に達していれば、オーバートリートメントによる薬剤の副作用を防止できるわけである。痛みと寝たきりの関係寝たきり高齢者の医療費や介護費は一人年間300~400万といわれる。日本では寝たきりの高齢者が非常に多い。この高齢者の寝たきりの原因の第2位は痛みであることをご存じだろうか。痛みによりADLが落ち、寝たきり傾向になる。すると筋肉や関節機能が低下して痛みがより悪化し、重度の寝たきりになっていくという悪循環に陥る。寝たきりから自立するためには、痛みを減らして動いてもらうことが重要なのである。動くことで筋力がつき姿勢が矯正され痛みが改善する。バランスも良くなるので寝たきりの原因となる転倒も減るという好循環を生み出す。痛みの診療における運動の重要性は近年非常に注目されている。参考文献1)平成19年度国内基盤技術調査報告書2007;1-222)平成22年9月 厚生労働省「慢性の痛みに関する検討会」今後の慢性の痛み対策について(提言)3)矢吹省司:ガイドライン外来診療2012:P.243

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全心血管疾患生涯リスクは、あらゆる人で>30%と高い/JAMA

 全心血管疾患生涯リスクは、あらゆる人で高い(>30%)ことが、米国・ノースウエスタン大学ファインバーグ医学校のJohn T. Wilkins氏らによるプール生存解析の結果、明らかにされた。これまで、そうした疾患負担の可能性は示唆されていたが、解析報告はなかった。今回示された生涯リスクには、中高年のリスク因子を有する人も含まれるのだが、著者らによる解析で、それらリスクを有する人々でもメンテナンスでリスクを至適に維持すれば、かなり長期にわたって非疾患生存を達成していたことも明らかにされた。JAMA誌2012年11月7日号掲載より。45、55、65、75歳時点でのすべての心血管疾患の生涯リスクを推定 心血管疾患の生涯リスク推定は、医師と患者間のリスクをめぐるコミュニケーションを助ける役割を担う可能性がある。研究グループは、全心血管疾患の生涯リスクを年齢指標(45、55、65、75歳)、リスク因子ごとに算出し、また全リスク因子にわたる非心血管疾患生存の推定を行った。 1964~2008年の間にNHLBIが資金提供して行われた5つの住民ベース試験コホート(Framingham Heart Study、Framingham Offspring Study、Atherosclerosis Risk in Communities Study、Chicago Heart Association Detection Project in Industry Study、Cardiovascular Health Study)の計90万5,115人・年のデータをプール生存解析し検討した。被験者は全員ベースラインでは非心血管疾患であったがリスク因子に関するデータ[血圧(BP)値、総コレステロール(TC)値、2型糖尿病、喫煙状況]と総心血管疾患アウトカムのデータは有していた。 主要評価項目は、あらゆるすべての心血管疾患イベント(致死的・非致死的冠動脈疾患、全発症型の脳卒中、うっ血性心不全、その他心血管疾患死)だった。リスク因子至適でも55歳時の心血管疾患生涯リスクは男性40%、女性30% 年齢指標45歳時における、すべての総心血管疾患生涯リスクは、男性60.3%(95%信頼区間:59.3~61.2)、女性55.6%(同:54.5~56.7)であった。 男性は女性よりも、すべての年齢指標において生涯リスクが高値であった。 55歳時、65歳時では、男女とも95歳までの生涯リスクについて、「1つ以上リスク因子上昇がある(BP:140~149/90~99mmHg、TC:200~239mg/dL、糖尿病と喫煙はなし)」「1つの重大リスク因子(BP:≧160/100mmHgまたは治療中、TC:≧240mg/dLまたは治療中、糖尿病、喫煙)がある」「2つ以上の重大リスク因子がある」がいずれも50%を超えていた。 リスク因子が至適値であっても(BP:<120/80mg、TC:<180mg/dL、非喫煙、非糖尿病)、55歳時の生涯リスク(85歳までの)は、男性40%、女性30%であった。 2つ以上の重大リスク因子を有する人との比較で、リスク因子が至適値であった人は、14年長く無心血管疾患で生存すると推定された。

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医療のメイドインジャパンへの展望を探る/GEヘルスケア・ジャパン

10月23日(火)GEヘルスケア・ジャパン株式会社が主催する同社の創立30周年記念シンポジウム「医療のメイドインジャパンへの展望を探る」が、東京国際フォーラム(東京・千代田区)において開催された。はじめに創立30周年に寄せて同社アメリカ本社のプレジデント/CEOであるJohn Dineen氏が「日本は高齢化(シルバー)社会をゴールドな社会に変えるよい機会であり、弊社はこれからも日本の高齢者の健康維持や介護、在宅での医療などに幅広く貢献していきたい。日本の市場は、約1.5兆円の経営規模でチームワークや協調性ではどこよりも飛びぬけてよく、グループ内で範となっている。これから高齢化を迎える国々への模範としての役割に期待する」と開会の挨拶を行った。基調講演(1) 青森から世界へ基調講演(1)として三村申吾氏(青森県知事)が、「青森から世界へ~次世代のヘルスケア地域モデルをめざして~」と題し、青森県が抱える少子高齢化の中での慢性的な医師不足や地域による医療格差の現状を伝えるとともに、これからの医療・福祉政策の実現のために掲げられている「青森ライフイノベーション戦略」について詳細を説明した。この戦略は、青森県の強みである産業を活かしつつ、医療と福祉にその効果を及ぼそうというもの。すでに多くの企業との産業連携を行い、県独自の健康製品開発なども行っている。今後は、県内の地域特性に合わせた振興を行い、成果を世界に向けて発信していきたいと抱負を述べた。基調講演(2) 医療イノベーションをどう進めるべきか基調講演(2)として加藤益弘氏(アストラゼネカ株式会社 代表取締役会長)が、「医療イノベーションをどう進めるべきか:医学の進歩を医療の現場へ」をテーマに、創薬の現状やわが国における産学協同開発の取り組みなどを述べた。最初に医薬品の社会貢献の具体例としてアメリカでの事例を紹介し、「健康投資とその効果」として糖尿病薬1ドルの投資で約3.77ドルの健康効果が得られたことなどを説明、続いてまだ実現できていない医薬品ニーズとしてNTDs(顧みられない熱帯病)、NCDs(非感染性疾患)、Rare disease(希少疾患)の3つがあり、今後これら疾病に対する創薬・供給を行っていくことは、企業責任としても大切なことであると展望を語った。次に、現代は創薬スピードが進化している一方で、新薬の承認では苦戦していること、研究開発費が高騰していることなど、旧来のビジネスモデルの限界が語られた。そのうえで新しい創薬研究の方法論の見直しが図られているとし、研究・開発では、産学協同モデルを視野に日本型のモデルの作成、モデルのツールや施策の開発、開発の司令塔の確立と国家予算の再配分が重要な要素となると、これからの期待を述べた。パネルディスカッション 医療が患者さんに近づく「医療が患者さんに近づく~プライマリ・ケアへの期待と展望~」をテーマに5名のパネリストを迎え、パネルディスカッションを行った。■参加パネリスト(50音順・敬称略)草場鉄周氏(北海道家庭医療学センター理事長/日本プライマリ・ケア連合学会副理事長)阪本雄一郎氏(佐賀大学付属病院 救急医学講座 教授・救命救急センター長)徳田安春氏(筑波大学附属病院 水戸地域医療教育センター教授)林 恭弘氏(祐ホームクリニック院長) 平方 眞氏(愛和病院副院長)■ファシリテーター川上 潤氏(GEヘルスケア・ジャパン株式会社 代表取締役社長兼CEO)はじめにファシリテーターの川上氏より次の質問が投げかけられ、パネルディスカッションは始まった。―― プライマリ・ケアの重要性を含め、今後医療の現場はどう変わっていくでしょう? 草場氏 15年プライマリ・ケア医をしてきたが、医療側が昔と大きく変わった。プライマリ・ケアという領域への認識ができてきたと思う。また、病院の医療から家庭の医療へとプライマリ・ケアに光が当たりつつある。よりプライマリ・ケアが発展するために3つの課題があり、(1) プライマリ・ケアの診療能力の幅と質の維持の問題、(2) 個別ケアへの対応、(3) 地域を基盤にしたプライマリ・ケアに対応する必要 があると感じている。阪本氏 千葉から佐賀に帰り感じたことは、地方の医療は熱意のある医師だけで支えられているということ。人材の新陳代謝が、地方では起きないのが問題であり、今後地方毎でどういう医療をしていくか考えなくてはならない。同時に研修医への教育も大切で、研修医には「きちんと診断ができる医師になってくれ」と指導している。徳田氏 医学教育も卒前と卒後の両方で、イノベーションが必要だと思う。これからの医師は、打ってよし、守ってよしの守備範囲の広いイチロー型選手のようなプライマリ・ケア医を養成する必要がある。こうした医師がこれからの超高齢社会の医療を支える担い手となる。具体的には卒前教育ならば、「座学からベッドサイドへ、系統講義から臨床実習中心へ」と移る必要がある。私が所属している病院では、医学生にも研修参加型実習を行っていて、救急応答から参加をさせている。――この超高齢社会の中で、将来在宅での看取りが増えると予想されています。在宅や終末期医療の実際についてご紹介ください。林氏 過去300名の在宅患者を診療(9割が高齢者)してきた。現在年間で125万人が死亡しているが、2020年には250万人に上ると言われている。(寿命が延びているため)患者が増えているのに、医師の数が追いつかない。しかも寝たきりの患者も多く、今後高齢者の胃ろうや終末期の診療などの議論が必要となる。また、在宅診療をされている医師の多くは50歳以上で、今後中心となる医師の年齢や以前のように個人連携ではまわらない状況をいかに改善するのかが問題となる。ICT(情報通信技術)を活用して在宅医療を充実させる取り組みや20年後在宅医療ができる医師の養成が不可欠。――緩和ケアの視点からではどうでしょうか?平方氏 私は20年間で2,000人の方の看取りをしてきた。病院のベッド数が増えない環境で、どこで看取るか、その看取りに必要な医師の養成はどうするかは課題となる。まず、一般生活の中に「死」のコンセプトを取り戻すことが大事。医療は万全ではないことを認知してもらう必要がある。そして、老衰で寝たきりの患者への対応の仕組みづくりとスポットでも頼める緩和ケアチームの創設や、このチームと地域とのネットワーク構築などが急務だと思う。――プライマリ・ケア医や現在の診療科に進まれたきっかけや動機はなんですか?草場氏 「診療の広さ」に惹かれてプライマリ・ケア医になった。目指しても研修する科がなくて困った。全国を回ったが、その時に家庭医療を知り、患者を全人的に診る医療ということで選択し、北海道家庭医療学センターで研修を受けた。阪本氏 私は外科医がスタートで、千葉の病院で外傷の研修に行った。研修をしているうちに他の科との連携で診療が面白かった。幅広く関われるということで救急に興味をもって選択した。――プライマリ・ケア医に必要な技術とはなんですか?徳田氏 沖縄には離島勤務があるので自然とプライマリ・ケア医にならざるを得ないし、プライマリ・ケア医が尊敬されるカルチャーがある。プライマリ・ケア医は、救急でも役割を発揮するので、医学教育でレールを作る必要がある。将来は、プライマリ・ケア医の認定まで発展させたい。――ハードウェアからみた在宅診療を教えてください。林氏 300人分の患者カルテが、電子カルテとタブレット型コンピュータ等のICTを活用して見ることができるのが魅力。緊急対応もICTでできるのが、紙ではできないメリットだと思う。これは在宅診療では、求められるハードウェア。――在宅での看取りに関連して日本モデルの死生観を教えてください平方氏 日本人は、はっきりした宗教観がないわりに、自分の死生観を持っている人が多い。その理由は不明だが、看取りをしていて思うことは「上手に生き切る」、「何かを次の世代に残す」ことを成している人が多いように思う。こうした事柄を私はすべて記録として残しているので、これを看取りの医療関係者と共有し、日本に「看取りの文化」ができないかと考えている。続いて、会場との質疑応答が行われ、医学生や医師からの質問に対し、各パネリストが回答した。その後、川上氏よりパネリストへの謝辞があり、約1時間にわたるパネルディスカッションが終了した。■GEヘルスケア・ジャパン株式会社(http://japan.gehealthcare.com/)

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(33)〕 末梢動脈疾患(PAD)も、喫煙とリスク因子の重複が大きく関与

米国男性では、冠動脈疾患と同様に末梢動脈疾患(PAD)の発現率が喫煙、高血圧、脂質異常症、2型糖尿病といった4大リスク因子の重複(clustering)によって増加することを約4万5千人での25年間の前向き追跡調査での結果で示した報告である。 中でも喫煙は、喫煙本数と喫煙歴が多くなるほど指数関数的にPADのリスクが上昇することを示している。 ただし、本研究は、フラミンガム研究などのように血圧値や血糖値を実際に測定しているわけではなく、担当医の診断や自己申告に基づいた追跡調査であり、またエンドポイントであるPADも症状が発現した、顕性の症例のみに限られている。したがって、どのレベルの血圧値あるいは血糖値がリスクなのかは明らかにされていない。 また、今日のようにスタチン薬や抗血小板薬が広く処方されており、かつ血圧コントロールも良好になっている状況でも同様な結果は出るかどうかは不明である。とはいえ、本研究は本来のPADのリスク因子を知るうえで貴重なデータといえる。

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喫煙、高血圧、脂質異常症、2型糖尿病、いずれも男性PAD発症の高リスク因子

 末梢動脈疾患(PAD)の発症リスクについて、男性で一般的によくみられる4つの因子(喫煙、高血圧、脂質異常症、2型糖尿病)について検討した結果、各因子が独立した高リスク因子であり、また因子が併存するほど発症リスクが増大すること(因子が1つ増えるごとに発症リスクは2.06倍)が明らかになった。米国・ハーバードメディカルスクールのMichel M. Joosten氏らが米国男性約4万5千人を25年間追跡した前向き研究の結果、報告した。先行研究においてリスク因子個々とPAD発症との関連は明らかにされていたが、因子が併存している場合の発症との関連は検討されていなかった。JAMA誌2012年10月24・30日号掲載より。10万人・年当たりでみた発症率、因子0では9例、1つでは23例、4つある場合は186例 研究グループは、1986年時点で心血管疾患の既往がない米国男性4万4,985例(Health Professionals Follow-up Studyの参加者)を、2011年まで25年間前向きに追跡した。 追跡期間中2年ごとに、リスク因子の発現について更新し、臨床的に有意なPAD発症(肢切断、血管再生、血管造影で50%以上の狭窄、ABI指標0.90未満、または医師がPADと診断)を主要評価項目とした。 追跡期間中央値24.2年(範囲:20.8~24.7)で、PAD発症は537例であった。 各因子についてその他3つの因子や交絡因子で補正後、独立したPAD発症のリスク因子であることが確認された。 リスク因子の併存数別にみた年齢補正後PAD発症率(10万人・年当たり)は、0の場合は9例(95%信頼区間:6~14)、1つの場合は23例(同:18~28)、2つの場合は47例(同:39~56)、3つの場合は92例(同:76~111)、4つの場合は186例(同:141~246)であった。4つのリスク因子を有する男性の絶対発症率は3.5/1,000人・年 リスク因子が1つ加わることに関する多変量補正後ハザード比は、2.06(95%信頼区間:1.88~2.26、線形傾向p<0.001)であった。 また、4つのリスク因子をいずれも有していない男性のPAD発症に関するハザード比は、4つすべてを有している男性との比較で、0.23(同:0.14~0.36)であった。 96%(95%信頼区間:94~98)のPAD症例で、診断時に4つのリスク因子のうち少なくとも1つの因子を有していた。これら4つのリスク因子の集団寄与危険度は75%(同:64~87)であり、4つのリスク因子すべてを有する男性のPAD絶対発症率は、3.5/1,000人・年であった。

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糖​尿病の第一選択薬に関するアンケート

対象ケアネット会員の内科医師 998名方法インターネット調査実施期間2012年9月25日~10月2日Q1.2型糖尿病治療において、食事・運動療法を実施しても血糖コントロールが不十分であった場合に、先生が最も処方することの多い薬剤(第一選択薬)は何ですか?Q2.BG薬を処方する場合、先生が処方することの多い1日処方量はどれくらいですか?Q3.日常の「糖尿病診療」に関して、専門のドクターに聞いてみたい事項についてお聞きしました(自由記入、一部抜粋)75歳を超える高齢者の患者さんにも、他の年代と同様のHbA1cの目標でいいのでしょうか?平均寿命以上の年齢の方には食事の療養指導をしていませんが、食事制限させるべきでしょうか?(開業医・30歳代)HbA1cが7.5以上の状態が3ヵ月継続した場合、インスリンを導入するべきか、いなか?(開業医・40歳代)BG薬で消化器系の副作用が出た場合、次の選択肢としてどの経口血糖降下薬を使用するべきか?(開業医・40歳代)DPP-4阻害薬を長期間使用した場合、その効果が衰えるのはどの薬剤でしょうか?(勤務医・50歳代)HbA1cの数値が(JDS)から(NGSP)に単位が変わりました。HbA1cの目標値が7.4%未満(NGSP)と7.0%未満(JDS)の2つが混在しているように思いますが、現状どちらで患者さんに説明したらいいでしょうか?(開業医・50歳代)インスリン療法から経口血糖降下薬に変更する時の目標HbA1c値とその処方薬剤の選択について。(勤務医・60歳代)BG薬についてメトホルミン(商品名:グリコラン)しか採用していません。同じメトホルミンでもメトグルコ®の方が良いでしょうか?こちらは投与量も多いですが、その注意点について知りたいと思います。また、薬剤の採用時に薬価についてプレッシャーを強く受けています。そのメリット等も知っておきたいです。(開業医・30歳代)外来での栄養指導で栄養士の指導なしに、どうすれば患者に食事療法を守ってもらえるのか、その方法について。(開業医・50歳代)新しい糖尿病治療薬は高価なものが多く、年金生活者が多い当院の患者さんからは、「もっと安い薬にして欲しい」という要望が多く苦労している。そうした要望に、どのように対応したらいいのか?(勤務医・60歳代)体重、HbA1cの値が正常値までいき、コントロールがよくなるとかえって体がもたないという患者がいます。こういう症例では、我慢させた方がよいのか、それともコントロール基準をゆるめた方がよいのか?(勤務医・50歳代)2012年9月~10月ケアネット調べ

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治療抵抗性高血圧に対する腎デナベーションはQOLも改善する

 近年、治療抵抗性高血圧に対する腎デナベーションが長期間にわたって血圧を低下させることが発表されてきているが、生活の質(QOL)に及ぼす影響については明らかではなかった。Lambert氏らは腎デナベーション施行3ヵ月後のQOLについて、SF-36およびベックうつ評価尺度を用いて検証した結果、精神的側面のQOLを改善したことをHypertension誌に発表した。腎デナベーションによってQOLが改善 豪ベーカーIDI心臓・糖尿病研究所のLambert氏らは、腎デナベーション施行例に対し、SF-36およびベック評価尺度を用いて、QOLへの影響を評価した。 おもな結果は下記のとおり。●3ヵ月後の診察室血圧値の変化(n=40):−16.4±4/−6±2mmHg (P<0.01)●SF-36による精神的側面のQOLサマリースコアが改善した。ベースライン:47.6±1.1 → 3ヵ月後:52.0±1.0 (P=0.001)●SF-36の項目のうち、以下の項目にて有意な改善が認められた。 活力、社会的生活機能、日常役割機能、心の健康●ベックうつ病評価尺度による以下の感情を有意に改善した。 悲壮感(P=0.01)、疲労感(P<0.01)、性欲(P=0.001)●QOLの改善と到達血圧に相関は認められなかった。

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