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アリスミアのツボ Q13

Q13たまたま見つかった無症候性の発作性心房細動はどう対処するべきでしょうか?脳梗塞予防のみを行い、心房細動はまずその行方を観察するに留めておきます。最近よく見かけるたまたま健診で捕まった発作性心房細動社会の高齢化のためでしょうか、最近よく出会うのが・・・、健康診断の心電図で偶然見つかった心房細動で受診を促されたものの、受診時には洞調律だったという例です。自然に洞調律に復しているので、発作性心房細動です。しかし、本人につぶさに問診しても、まったく症状らしきものがなく(健康診断を受けたぐらいですから、そうでしょう)、定義上「無症候性発作性心房細動」で、私の前にいるときは洞調律という患者です。まずは脳梗塞リスクを考える発作性心房細動でも、持続性・永続性と同じように脳梗塞が生じることが知られています。だから、まず、脳梗塞予防を脳梗塞リスクに応じて行うことが基本となります。なんとなく、一度健康診断だけで偶然見つかった無症候性発作なのに、脳梗塞予防まで必要?と感じてしまうのですが・・・。心臓血管研究所では、無症候性発作性心房細動の行方を追ってみたことがあります。このような無症候性発作性心房細動は、症状のある発作性心房細動よりもむしろ速いスピードで持続性心房細動に移行していたのです。「たまたま見つかった」無症候の発作性心房細動だからといって、症状のある発作性心房細動となんら大きな違いはありません。実際、脳梗塞の発症リスクは、無症候性と有症候性で違いはありませんでした。見つかったときが脳梗塞リスクを患者に伝えるチャンスなのです。その心房細動の行方は・・・無症候ですから、発作の頻度や持続時間はとうてい知ることができません。状況がわからないのに、心房細動の治療を行ったとしても、その治療効果の判定ができません。判定できないからこそ、心房細動自身に対する治療は行わず、経過観察することにしています。やがて、いつの日か持続性心房細動に移行するでしょう。そのときが治療のチャンスです。少し遅れ気味になってしまいますが、治療の効果も判定することが初めてできるようになります。私は、持続性心房細動に移行して1年以内が、カテーテルアブレーションという治療を行う価値のある最初のそして最後の猶予期間だと患者に伝えています。 

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日本男性の勃起硬度はアレと関連していた

 日本人男性7,710人を対象としたWEBベースの断面全国調査において、1日2箱以上の喫煙、メタボリックシンドローム、高血圧、糖尿病の既往は、勃起の硬さスケール(EHS: Erection Hardness Score)※の低さと有意な関連を認めることが、東邦大学の木村 将貴氏らによる研究で明らかになった。EHSは、加齢、性行為、性的自信、勃起不全(ED)関連のリスク因子などさまざまな要素と相関が認められた。また、EHSは、EDのモニタリングや治療において有益であり、男性とそのパートナーの性生活の質を改善するための貴重なツールとなりうると考えられる。Sexual medicine誌2013年12月号の報告。 勃起の硬さは、男性の性生活の質を測る要素の一つであり、EHSによって簡単に測定することができる。しかし、日本においては、EHSに関することや、EHSと老化、男性の性的行動、性的自信、リスク因子との関連についての報告は少ない。 そのため、本研究では、日本人におけるEHSと老化、性行動、性的自信、リスク因子との関連について、2009年3~5月にWEBベースの断面全国調査を行った。主要評価項目は、EHS、ライフスタイル因子、併存疾患、健康状態、性的自信、性行為の頻度、EDの治療に対する姿勢であった。 主な結果は以下のとおり。・男性7,710人(平均39.3±13.0歳)が調査に参加した。・ホスホジエステラーゼ5阻害薬を使用していたのは6,528人であった。・EHS 3以下は3,540人(54.2%)、2以下は1,196人(18.3%)であった。・EHS、性的満足、性行為の頻度の減少は、年齢依存性の有意な関連を認めた。・性的な自信は、EHSの高さと強い関連を認めただけでなく、より高齢のグループ、子孫の存在、健康に対する意識がより高いこと、性行為がより高頻度であることとも関連していた。・多変量ロジスティック回帰分析の結果、年齢で調整後のEHS 2以下のリスク因子は、1日2箱以上の喫煙(オッズ比1.7)、メタボリックシンドローム(オッズ比1.4)、高血圧(オッズ比1.2)、糖尿病(オッズ比 1.4)の既往であった。 ※勃起の硬さスケール(EHS):患者自身がED を簡単にチェックできる評価スケール(EHSの結果だけではEDの診断はできない)グレード0:陰茎は大きくならない。グレード1:陰茎は大きくなるが、硬くはない。グレード2:陰茎は硬いが、挿入に十分なほどではない。グレード3:陰茎は挿入には十分硬いが、完全には硬くはない。グレード4:陰茎は完全に硬く、硬直している。

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医薬品企業、医療機器企業が共同で糖尿病啓発

 2014年11月6日、田辺三菱製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:三津家 正之)とジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社メディカルカンパニー(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:日色 保)は、共同で日本の糖尿病患者の良好な血糖コントロールを支援する啓発活動を推進すると発表した。 田辺三菱製薬は2型糖尿病治療剤(選択的DPP-4阻害剤「テネリア錠20mg」、SGLT2阻害剤「カナグル錠100mg」)の製造販売元、ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社メディカルカンパニーは自己検査用グルコース測定器 (ワンタッチウルトラビュー他)を販売している。 今回の取り組みは、血糖変動パターンを捉えて血糖コントロールを実現していくことの重要性を普及・啓発するもの。医薬品企業と医療機器企業の双方が連携し、患者向け小冊子の配布、医療従事者向けセミナーや講演会での情報提供などを協力して行う。 従来、患者啓発は医薬品企業、医療機器企業が別途に行っていたが、全国規模で両者が連携しての活動は新たな取り組みといえる。田辺三菱製薬プレスリリースジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社メディカルカンパニープレスリリース

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CareNet座談会 「高齢者の肺炎診療 ~新しい肺炎球菌ワクチンで変わる高齢者肺炎予防~」

<座長><出席者>高齢者肺炎の現状と肺炎球菌ワクチンの重要性賀来(座長) 本日は、感染症の専門の先生方にお集まりいただき、高齢者の肺炎の現状と新しい肺炎球菌ワクチンについて伺います。私どもは東日本大震災後の感染症について解析しており、災害後の集団感染リスクから被災者を守る必要性を感じています。震災後に東北大学病院に入院した感染症患者は、高齢者の誤嚥性肺炎を含めた市中肺炎などの呼吸器感染症が67%を占め、肺炎の原因菌の25.8%が肺炎球菌であり(図1)1)、肺炎球菌ワクチン接種による肺炎発症予防の重要性を感じました。図1 東北大学病院における震災関連感染症の解析画像を拡大するはじめに、高齢者における肺炎球菌感染症対策の重要性について伺います。門田 肺炎はわが国の死因の第3位の疾患であり、死亡者の大半を高齢者が占める現状がありますが、なかでも肺炎球菌による肺炎が多く、65歳以上の市中肺炎入院患者を対象とした検討では肺炎球菌が約30%を占めることが報告されています2)。また、生命を脅かす重篤な疾患である髄膜炎や敗血症などの侵襲性肺炎球菌感染症も高齢者に多く起こりますので、肺炎球菌感染症の予防はきわめて重要です。三鴨 高齢者ではさまざまな基礎疾患を有することが多く、それらが肺炎リスクを高めていると考えられます。例えば、糖尿病患者では白血球の貪食能、殺菌能の低下により、感染症リスクが高まると考えられます。また、脳梗塞や一過性脳虚血発作の後遺症がある場合は、誤嚥が関連する肺炎のリスクが高いと考えられます。さらに、高齢者に対する治療を考えると、腎機能低下例が多いために抗菌薬療法を十分に行えない可能性があります。腎機能や肝機能に留意した治療が求められるのが高齢者の特徴です。賀来(座長) 誤嚥は肺炎の要因になりますが、そこでも原因菌として肺炎球菌は重要でしょうか。門田 誤嚥の疑いのある高齢者の肺炎において肺炎球菌が26%を占めていたという報告もあり3)、意外に多いことが明らかになりつつあります。三鴨 とくに不顕性誤嚥(睡眠中に無意識のうちに唾液などが気道に入る)があると誤嚥性肺炎のリスクが高まり、免疫機能の低下が加わることでさらにリスクが増加します。肺炎球菌が意外に多いことを考えると、やはり肺炎球菌ワクチンによる予防が重要となります。また、高齢者の基礎疾患と肺炎リスクは関連があると考えられますので、高齢者全員にワクチンを接種するユニバーサルワクチネーションの考え方が重要です。高齢者肺炎の診断と病態の特徴賀来(座長) 次に、高齢者肺炎の診断と病態の特徴について伺います。門田 高齢者肺炎において注意していただきたいのは、細菌性肺炎であっても白血球数が上昇しない場合があること、また、症状が潜在性の場合があることです。典型的な症状がなくとも、食欲減退・不活発・会話の欠如などがあり、肺炎が疑われる場合には早めに胸部画像検査をしていただきたいです。三鴨 高齢者の肺炎で、もう1つ臨床上重要な点は、不顕性誤嚥があると肺炎を繰り返す例が多いことです。門田 肺炎を繰り返すと、抗菌薬治療を繰り返すことで耐性菌が出現するリスクも高まります。三鴨 おっしゃるとおりです。そのため、私たちは高齢者の肺炎患者に対しては退院時に積極的に肺炎球菌ワクチンを接種するようにしています。新しい肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)のエビデンス賀来(座長) これまで高齢者に対しては肺炎球菌多糖体ワクチン(PPV)が用いられてきましたが、先頃、小児において使用実績の高い肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)が成人(65歳以上)に対しても適応が認められ、選択肢が広がりました。この新しいワクチンの特徴と期待されるメリットについて伺います。門田 PPVは肺炎球菌の莢膜多糖体を抗原とするワクチンですが、PCV13は莢膜多糖体にキャリアタンパクを結合させたワクチンであり、免疫原性が高いことが特徴です(図2)。図2 多糖体ワクチンと結合型ワクチンにより誘導される免疫応答の概略画像を拡大するキャリアタンパクを結合することでB細胞のみならずT細胞を活性化することが可能であり、免疫応答の惹起に加え、メモリーB細胞を介した免疫記憶の確立が期待できます。賀来(座長) これらの特徴は臨床試験からも確認されているのでしょうか。三鴨 国内における第III相試験4)では、肺炎球菌ワクチン未接種の65歳以上の日本人高齢者764例を対象として、従来のPPVを対照群とする非劣性試験が実施されました。接種1ヵ月後のオプソニン化貪食活性(OPA)を比較した結果、両ワクチンに共通する12種類の血清型のいずれについてもPCV13はPPVに対して非劣性を示しました。このうち9血清型についてはPCV13におけるOPAの有意な上昇が認められ、PCV13の免疫原性が示されました(図3)。図3 ワクチン血清型別OPA*幾何平均力価比画像を拡大する一方、海外における第III相試験5)では、1回目にPCV13またはPPVを接種し、その3~4年後にPPVを再接種した場合のOPAの上がり方を検討しており、PCV13を接種した群における再接種時の免疫応答からPCV13による免疫記憶の確立が示されています(図4)。この結果から、1回目にPCV13を接種すると、PCV13に続いて2回目に接種されるワクチンの免疫応答も増大すると考えられ、今後、両ワクチンの特性を活かして接種スケジュールを検討する際の参考にできると思います。図4 肺炎球菌ワクチンの2回目接種前後のワクチン血清型別OPA画像を拡大する高齢者に対する肺炎球菌ワクチン接種の今後の展望賀来(座長) PCV13が高齢者にも使用可能になったことにより肺炎球菌感染症の予防にさらなる期待がもたれます。今後、高齢者へのワクチン接種をさらに普及させるうえでどのような方策が必要でしょうか。門田 日本呼吸器学会では「ストップ肺炎キャンペーン」を展開しており、一般向け・医療従事者向けの冊子をWebでも公開しています6)。今後、呼吸器科のみならず他科の先生方にも肺炎予防の重要性を周知し、他疾患領域の学会とも連携して取り組む必要があると思います。三鴨 糖尿病やリウマチでは、新薬の登場により治療成績が向上していますが、その一方で感染症リスクが高まる場合もあるため、高齢者の感染症予防に対する関心が高まっています。こうした面からも肺炎球菌ワクチン接種の意義を訴求していけると思います。また、ワクチンの普及には行政の役割も重要です。2014年10月から、65歳以上を対象に成人用肺炎球菌ワクチンが定期接種化されました(表1)。国の制度では5年間で順次接種することになっていますが、私はすべての高齢者に接種することが望ましいと考えています。そのため、居住地である岐阜市の市長がワクチン接種の公費助成に力を入れる方針を示していることを知り、この地域に居を構えるアカデミアの一人として肺炎球菌ワクチンについて提言を行いました(表2)。その結果、岐阜市では本年度に65歳以上全員を接種対象として予算を組んでくれました。高齢者医療はこうした比較的小規模な枠組みからも改善でき、非常に重要な動向であると思っています。賀来(座長) 本日は、高齢者に対する肺炎球菌ワクチンの現状と今後の展望について詳細にお話を伺うことができました。皆さま、ありがとうございました。表1 65歳以上の成人用肺炎球菌ワクチン定期接種(B型)の経過措置を含めた接種対象年齢画像を拡大する表2 肺炎球菌ワクチンについての提言画像を拡大する参考文献1)賀来 満夫. 日本内科学会雑誌. 2014; 103: 572-580.2)石田 直. Infection Control. 2005; 14: 645-649.3)Ishida T, et al. Intern Med. 2012; 51: 2537-2544. 4)ファイザー(株) 社内資料 国内第Ⅲ相試験(非劣性試験、未接種者、B1851088試験).5)Jackson LA, et al. Vaccine. 31; 2013: 3594-3602.6)日本呼吸器学会ホームページ PCV13についての詳細は製品添付文書をご覧ください。

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事例27 注入器用注射針の査定【斬らレセプト】

解説事例では、支払基金からD事由(告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの)を理由に、万年筆型注入用注射針は算定できないと「突合点検結果連絡書」が届いた。突合点検結果連絡書とは、「院外処方せんに基づき調剤薬局が処方した調剤レセプトと医療機関のレセプトを電子的に突き合わせ、査定が発生した場合に医療機関の診療報酬から相殺することを予告する文書」である。毎月18日までに不一致の申し出として異議申し立てができる。請求レセプトを確認するとカルテ内容に応じてC101 在宅自己注射指導管理料、C150 血糖自己測定器加算、C153 注入用注射針加算が算定されていた。院外処方せんでは、注入用注射針が処方されていた。診療報酬点数表で注入用注射針加算の算定要件を確認すると、その留意事項には「注入器用注射針を処方した場合に算定できる」とある。処方した場合とは自院で処方・投与された場合を指すものであり、注入用注射針加算が算定されている場合は、院内で投与済みと判断される。したがって、注入用注射針加算算定時の院外処方せんにおける注入用注射針の処方は、重複として算定ができないのである。

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63)お酒が好きな患者さんに検査値を説明するコツ【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者夏になると缶ビールがおいしくて、つい飲みすぎちゃうんです。医師確かにそうですね。1缶だけじゃなくて、2缶とか・・・患者調子にのって、3缶目にいくこともあります。医師そうですか。ちょっと、この検査を見てもらえますか。ここです。患者A1cですか。医師そうです。これ缶ビールにも書いてありませんか?患者そりぁ、アルコール(Alc)のことですね。ハハハ。 医師缶ビールのアルコールは5%ですが、血糖コントロールの指標であるHbA1cも正常な人は5%台です。患者私は7.6%とかなり高いですね。調子にのって、2缶、3缶と飲み過ぎていてはいけませんね(気づきの言葉)。●ポイント身近な話題を取り上げて、検査値について復習できるといいですね

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LDL-C上昇と大動脈弁疾患の遺伝学的関連/JAMA

 LDLコレステロール(LDL-C)上昇の遺伝学的素因は、大動脈弁石灰化や大動脈弁狭窄症の発症と関連することが、スウェーデン・ルンド大学のJ Gustav Smith氏らCHARGEコンソーシアムの研究グループの検討で明らかとなった。この知見は、LDL-Cと大動脈弁疾患の因果関係を示すエビデンスだという。これまでに血漿LDL-C値と大動脈弁狭窄症の関連が観察研究で示されているが、弁疾患患者に対する脂質低下療法の無作為化試験では、疾患進行の抑制効果は確認されていない。JAMA誌2014年11月5日号(オンライン版2014年10月26日号)掲載の報告。4つのコホート試験で遺伝学的素因の関与を評価 CHARGEコンソーシアムは、欧米で進行中の長期的な大規模前向きコホート試験で、メンデル無作為化試験デザインが採用されている。今回の検討では、LDL-C、HDL-C、トリグリセライド(TG)と大動脈弁疾患の関連への遺伝学的素因の関与について解析が行われた。 対象は、CHARGEコンソーシアムに含まれる3つの地域住民ベースのコホート試験[フラミンガム心臓研究(FHS、米国、1971~2013年、1,295例)、Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis試験(MESA、米国、2000~2012年、2,527例)、Age Gene/Environment Study–Reykjavik試験(AGES-RS、アイスランド、2000~2012年、3,120例)]に参加した6,942例と、Malmo Diet and Cancer 試験(MDCS、スウェーデン、1991~2010年)の2万8,461例であった。 解析には、遺伝学的リスクスコア(GRS)が用いられた。GRSは血漿脂質値上昇の遺伝学的素因の指標で、ゲノムワイド関連解析で同定された一塩基多型(SNP)に基づく。CHARGEコホートのCT所見から大動脈弁石灰化を定量化し、MDCSコホートの追跡データから大動脈狭窄の評価を行った。HDL-C、TGのGRSとの関連はない ベースライン時の4つのコホートの平均年齢は58~76歳、女性が47~60%で、全員が白人であった。 3つのCHARGEコホートにおける大動脈弁石灰化の発症率は32%(2,245例)であった。また、MDCSコホート(フォローアップ期間中央値16.1年)の473例が大動脈狭窄症を発症し(発症率:17/1,000人)、205例に大動脈弁置換術が行われた(施行率:7/1,000例)。 血漿LDL-C値は大動脈弁狭窄症と有意に関連した(ハザード比[HR]:1.28、95%信頼区間[CI]:1.04~1.57、p=0.02)。四分位解析では、LDL-C値が最も低い群の大動脈弁狭窄症の発症率は1.3%、最も高い群は2.4%であった。HDL-CおよびTGには、大動脈弁狭窄症との間に関連はみられなかった。 LDL-CのGRSは、CHARGEコホートにおける大動脈弁石灰化の発症(GRSの増分のオッズ比[OR]:1.38、95%CI:1.09~1.74、p=0.007)およびMDCSコホートにおける大動脈狭窄症の発症(2.78、1.22~6.37、p=0.02)と有意な関連が認められた。HDL-CおよびTGのGRSには、石灰化、狭窄症との関連はなかった。 感度分析を行ったところ、LDL-CのGRSは大動脈弁石灰化(p=0.03)および大動脈弁狭窄症(p=0.009)との相関が維持されており、操作変数(instrumental variable)解析でもLDL-Cの上昇は大動脈弁狭窄症のリスクと有意な関連を示した(HR:1.51、95%CI:1.07~2.14、p=0.02)。 著者は、「約7,000例の症状発症前の大動脈弁石灰化のデータと、2万8,000例以上を15年以上追跡した大動脈弁狭窄症のデータにより、GRSに基づく遺伝学的なLDL-Cの上昇が石灰化および狭窄症と関連することが示された」とまとめ、「早期のLDL-C低下療法による介入の、大動脈弁疾患の予防効果を検討する試験の実施が望まれる」と指摘している。

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キーワードで記憶する糖尿病合併症

患者さん用画 いわみせいじCopyright© 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.説明のポイント(医療スタッフ向け)診察室での会話患者 どんな合併症が起こるんですか?医師 糖尿病は別名、血管の病気といわれていますから、全身のあらゆる場所に、ありとあらゆる合併症が起こる可能性があります。患者医師血管の病気ってなんですか?特に、糖尿病の人に起こりやすいのが、糖尿病の3大合併症ともいわれています。患者医師それは何ですか?手足のしびれやこむら返りなどの神経障害、失明の原因となる眼の合併症、透析の原因となる腎臓の合併症です。患者医師なるほど。神経障害、眼、腎臓の頭文字をとって「し・め・じ」と覚えておくといいですね。画 いわみせいじ患者 キノコのしめじですね。しめじは大好きです。それなら覚えられそうです。●糖尿病の3大合併症1.し しんけい(神経)障害2.め め(眼)の合併症(網膜症)3.じ じん(腎)症ポイント語呂合わせで教えることで、記憶に残りますCopyright© 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

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健康に良いは、体重に悪い

患者さん用画 いわみせいじCopyright© 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.説明のポイント(医療スタッフ向け)診察室での会話患者医師患者医師患者医師患者医師患者医師患者医師患者医師患者医師患者医師患者朝食は気をつけて食べています。朝食はどんなものを食べておられますか?朝食は主にパンです。パンですね。どんなものをよく塗られていますか?えっと、目にいいというので、ブルーベリージャムを塗っています。パンにはブルーベリージャムですね。飲み物は?牛乳です。牛乳にきなこを混ぜています。きなこは健康にいいというので・・・そうですか。野菜とかは?ドレッシングにはオリーブオイルを使っています。他には?画 いわみせいじ腸にいいというのでヨーグルトを摂ることにしています。砂糖の代わりにはちみつを使っています。なるほど。この朝食メニューをみてもらっていいですか。どちらがヘルシーな朝食メニューだと思いますか?(イラストを示して)どちらもよさそうですけど、しいていえば、Aですか?残念ながらBです。Bのメニューが400kcalに対し、Aのメニューは900kcalと倍以上のカロリーです。えっ、そんなに違うんですか!?どうしてですか?(驚きの声)実は、健康にいいといわれている食品はカロリーの高いものが多くて、それを摂り過ぎるとカロリーオーバーになってしまうのです。つまり、健康にいいと思って摂っていたのが逆効果だったんですね。そうですね。Aさんにとって一番簡単な食事療法は、健康にいいと思って勘違いしてとり過ぎている食品を止めることかもしれませんね。はい。わかりました。(嬉しそうな顔)ポイントメニューを比較してもらうことで、患者さん自身に食事療法の勘違いに気づいてもらえますCopyright© 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

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分かりやすい糖尿病の段階の説明法

患者さん用脳卒中・心筋梗塞脳や心臓の大血管の動脈硬化1正常駅空腹時血糖値食後血糖HbA1c23予備群駅1005.61101406.0456糖尿病駅1262006.57.07合併症駅細い血管障害3大合併症(神経・眼・腎症)Copyright© 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.説明のポイント(医療スタッフ向け)診察室での会話患者医師先生、私の糖尿病はどのくらい進んでいるんですか?かなり悪くなっているんですか?(やや不安な顔)それでは、糖尿病の状態について説明しましょう。糖尿病を駅に例えると、正常駅(1)、予備軍駅(2、3)、糖尿病駅(4、5)、合併症駅(6、7)になります。あなたは今、どの辺りだと思いますか?患者医師(少し考えてから)6番ですか?まだ、合併症は出ていませんから、合併症駅の手前5番になりますね。患者医師そうですか。合併症駅に進まないためにはどんなことに気をつけたら、いいですか?3つのポイントがあります。患者それは何ですか?(興味津々)ポイントわかりやすい例えを利用することで、理解が深まりますCopyright© 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

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低血糖の症候は「ハ」行で指導

患者さん用画 いわみせいじCopyright© 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.説明のポイント(医療スタッフ向け)診察室での会話医師患者この薬を飲むと、低血糖が起こる可能性があります。低血糖ってどんな症状が出るのですか?医師患者代表的な5つの症状を覚えておいてください。5つの症状?医師 強い空腹感、冷や汗やふるえ、動悸、何も処置せずに放っておくと、意識がなくなる人もいます。患者 なるほど。医師 低血糖は「ハ行」で覚えておくといいですね。患者 ハ行!?医師患者画 いわみせいじ腹が減り(ハ)、冷や汗(ヒ)、震え(フ)、変にドキドキ(へ)、放置しておくと意識がなくなる(ホ)です。なるほど。それなら、私にも覚えられそうです。●低血糖は、ハ行「ハヒフヘホ」ハ ハラ(腹)が減り(空腹感)ヒ ヒヤ(冷)汗フ フル(震)えヘ ヘン(変)にドキドキ(動悸)ホ ホウ(放)置しておくと意識がなくなる(昏睡)ポイント語呂合わせで説明することで、記憶に残りますCopyright© 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

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動かない時は食べないの原則

患者さん用画 いわみせいじCopyright© 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.説明のポイント(医療スタッフ向け)診察室での会話患者 休みになると、体重が増えてしまいます。医師 働かざる者・・・という言葉がありますね。患者 働かざる者 食うべからずですね。医師 そうです。働かざる者食うべからずです。これからにんべんをとると・・・。患者 にんべんをとる?医師 「動かざる者食うべからず」ということになります。画 いわみせいじ患者 なるほど!医師 「動いた時は食べる、動かない時は食べない」これが大切です。患者 私、逆になっていますね。平日はよく動いているのか、食べないのに、休みの日はゴロゴロして、何かつまんでばかりです。これから気をつけます。ポイント慣用句を用いて説明すれば、患者さんの理解度が深まりますCopyright© 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

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「覚醒」から「睡眠」へ 新機序の不眠症治療薬

2014年9月26日、MSD株式会社は新規作用機序の不眠症治療薬スボレキサント(商品名:ベルソムラ錠15mg、同20mg)の製造販売承認を取得した。本剤は、世界初のオレキシン受容体拮抗薬で、過剰な覚醒状態を抑制することにより、生理的なプロセスで眠りに導く。本剤の登場によって、新たなアプローチからの不眠症治療が可能となる。本稿では、不眠症治療の現状および課題、新薬への期待について紹介する。不眠症とは不眠症は、入眠障害、中途覚醒などの夜間不眠の訴えがあり、その結果として日中の精神・身体機能に影響が生じる疾患である。不眠症の原因は多岐にわたるが、「睡眠」と「覚醒」のバランスが乱れて、体を「覚醒」させるという機能が「睡眠」を誘う機能よりも上回った場合に生じると考えられている。このバランスを乱す要因としては、ストレスなどの心理的要因、うつ病などの精神疾患、不適切な睡眠環境や生活習慣などの生理学的要因、アルコールなどの薬理学的要因、痛みなどの身体的要因などが挙げられる。近年、不眠症の患者ではうつ病の発症リスク、高血圧や糖尿病などの生活習慣病発症リスクが高まることも報告されており、睡眠習慣の改善や薬物による治療の必要性が高まっている。不眠症の治療診断基準(睡眠障害国際分類第2版[ICSD-2]など)により、不眠症を疑った場合には、まず身体・精神的疾患や薬物の影響が不眠症状の原因となっていないか確認を行う。  そのうえで睡眠環境や生活習慣の改善や薬物治療を行う。現在、不眠症治療薬としては、ベンゾジアゼピン系睡眠薬や非ベンゾジアゼピン系睡眠薬などのGABA受容体作動薬、メラトニン受容体作動薬などが一般的に用いられている。それぞれの薬剤の特徴や作用時間などを考慮して治療薬が選択されるが、翌日への持ち越し効果や耐性・依存・離脱症状などの懸念、それらに対する患者側の心理的抵抗感が課題であった。世界初の作用機序の不眠症治療薬起きている状態を保つオレキシンオレキシンは視床下部のニューロンから産生される神経ペプチドで、睡眠-覚醒システムのバランスを調整する脳内物質である。オレキシンが分泌されると、覚醒システムが活性化されて覚醒の維持に働いて、眠りにくくなる。逆に、眠りに誘われるときはオレキシンの分泌が減り、睡眠システムが優位になっている。なお、睡眠システムにはGABAが深く関わっている。スボレキサントの特徴不眠症の患者では、夜になっても脳の覚醒が亢進することによって不眠が生じると考えられるが、スボレキサントはオレキシンが受容体へ結合することをブロックし、過剰に働いている覚醒システムを抑制する。つまり、脳を覚醒状態から睡眠状態へ移行させるという、体が本来持っている生理的なプロセスによって、本来の眠りをもたらす。用法・用量1日1回20mg(高齢者は15mg)を就寝前に服用する。入眠効果の発現が遅れるおそれがあるため、食事と同時または食直後の服用は避ける(食後投与では、投与直後の血漿中濃度が低下することがある)。なお、臨床試験では単剤で処方されていたため、他の不眠症治療薬と併用したときの有効性および安全性は確立されていないので注意が必要となる。※CYP3Aを強く阻害する薬剤(イトラコナゾール、クラリスロマイシン、リトナビル、サキナビル、ネルフィナビル、インジナビル、テラプレビル、ボリコナゾール)を服用中の患者では、本剤の作用が増強されるおそれがあるため禁忌である。臨床成績・試験:日本人を含む国際共同プラセボ対照試験・対象:原発性不眠症患者638例(成人370例、高齢者268例)・方法:スボレキサント通常用量(成人:20mg、高齢者:15mg)またはプラセボを3ヵ月間、1日1回就寝前に投与・結果:主観的睡眠潜時(患者申告による入眠までの時間)および主観的総睡眠時間(患者申告による睡眠時間の合計)は、スボレキサント群において、1週時からプラセボ群に比べて有意な改善がみられた。安全性上記試験において、6ヵ月間の副作用は53例(20.9%)に認められた。主な副作用は傾眠(4.7%)、頭痛(3.9%)、疲労(2.4%)であった。スボレキサント投与による翌朝の認知機能テストへの影響や、投与中止による反跳性不眠はみられなかった。なお、オレキシンの受容体への結合を阻害して、オレキシンの作用を抑制するという作用機序からナルコレプシーが生じること懸念されるが、臨床試験では認められなかった。ナルコレプシーではオレキシン神経が脱落することが報告されている。一方で、スボレキサントはオレキシン受容体を阻害するものの一過性であるため、機序が異なると考えられる。日本が世界をリードするようなエビデンス構築をスボレキサントについて、MSD株式会社の製品担当者に話を聞いた。「本剤は、世界に先駆けて日本で発売される新規作用機序の薬剤なので、できるだけ慎重に使用していただきたい。まずは臨床試験で有効性・安全性が確認された、未治療またはウォッシュアウト期間のある原発性不眠症患者に使用していただき、スボレキサント本来の有効性・安全性を確認していただきたい」としたうえで、「スボレキサントは不眠症治療の標準薬の1つとなりうる薬剤だと考えている。日本が世界をリードするようなエビデンスや使い方を構築し、現在の不眠症治療の課題克服に貢献したい」と語った。本剤の登場によって、覚醒状態を抑制することで睡眠を導くという、新たなアプローチからの不眠症治療が可能となる。これにより、症状に合わせた薬剤選択、体本来の生理的な睡眠を導く治療が可能になると期待される。

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スタチン治療はやはり糖尿病を増やすのか?そのメカニズムは?(解説:興梠 貴英 氏)-272

 スタチンが虚血性心疾患の一次予防においても二次予防においても有効であることについては、これまで多くの一貫したエビデンスがある。 しかし、以前より一部の研究者によって、スタチンが新規糖尿病発症を増やすのではないか、ということが疑われている。とくにJUPITER試験の安全性評価の項目で、プラセボ群と比較してロスバスタチン投与群で有意に新規糖尿病が多かったという報告1)を契機に、やはりスタチンが新規糖尿病発症を増やすのではないか、ということが広く疑われるようになった。その後、観察研究のメタ解析2)のみならず、本論文の著者らが2010年に行ったRCTのメタ解析3)においてもスタチン投与が糖尿病発症を増加させるということが報告された。 こうした後ろ向き解析による因果関係の推論において問題となるのは、スタチンを投与する必要がある患者では元々糖尿病発症リスクも高く、そのため見かけ上の相関(因果)が認められるのではないか、ということである(適応による交絡)。確かに観察研究の場合はそうしたこともありうるが、RCTのメタ解析においては適応とは無関係に割り付けされており、そうした批判は当たらない。 さて、本論文は著者らが2010年に発表した論文にいくつかのRCT試験を加えてメタ解析し直したこと、さらにスタチンが糖尿病新規発症を増加させるメカニズムに迫るために遺伝学的な検討を加えているところが新しい。 まず、今回のメタ解析においては前回の13試験に加えて、さらに7試験を加えた解析を行い、スタチン対プラセボ、強化治療対通常治療を合わせて12%のリスク上昇があることを示している。 さらに、スタチンが阻害するHMG-CoA還元酵素遺伝子近傍のSNPを検討し、その中でrs17238484とrs12916の2つのSNPとLDL-Cを含めた複数のバイオマーカーや身体計測値(身長、体重、BMI、腹囲)等との関係を調べている。その結果、rs17238484の基準遺伝子型(TT)がGT、GGとなるにつれ、LDL-Cが低下すること、またBMIや体重が増加すること、さらに糖尿病リスクも順次増加することが示されている。rs12916においても同様の傾向の結果を示している。 また、メタ解析を行った20のRCTのうち15においては体重の変化に関するデータも取得できており、スタチン対プラセボ、強化治療対通常治療を合わせて比較した場合、前者では0.24kg有意に体重が増加していた。 これらのことより、著者らはスタチンによる体重増加および糖尿病新規発症はHMGCRの機能阻害によるものだと結論付けている。スタチンには以前よりさまざまなpleiotropic effectがあるのではないかと報告されているが、本論文の結論が正しいとすれば、スタチンが糖尿病新規発症を増やしてしまうのはそうしたpleiotropic effectを通じてではなく、スタチンの本来の作用(HMGCR阻害)によるものであるので、将来的にpleiotropic effectがなく、より特異的にHMGCRを阻害する薬物を開発しても問題は解決しないこととなる。 ただ、本論文で取り上げられたSNPが直接体重増加や糖尿病新規発症の原因ではなく他の交絡因子を介している可能性は否定できず、またそもそもなぜHMGCRの機能阻害が体重増加の原因となりうるのか、という点については本論文でも明らかになっていない。したがって、メカニズムとしても今回の解析で完全に明らかになったわけでもない。 とくに、日本で行われたJ-PREDICT試験ではIGT患者に対してピタバスタチンを投与したときの糖尿病発症を前向き介入試験として検証しており、これまで学会等ではピタバスタチン投与によりむしろ糖尿病発症リスクを減少させたことが報告されており、最終的な論文発表および発症抑制のメカニズムについて興味が持たれるところである。 本論文は学術的には興味深い点はいろいろあるものの、心血管イベント発症リスクを考えた場合、スタチンによる糖尿病新規発症がイベント増大リスクに寄与する割合は、スタチンが減らすリスクよりも小さいことが報告されており4)、本論文の結果をもってしても、虚血性心疾患患者もしくはその高リスク者においてスタチンの投与をためらう必要はないと思われる。

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2型糖尿病患者におけるエンパワーメントと治療意思決定支援ツール(decision aids)(解説:住谷 哲 氏)-271

高血糖、高血圧、高コレステロール血症、喫煙のすべてに介入する多因子介入治療(multifactorial approach)が2型糖尿病治療において重要であることは論を俟たない1)。 しかし、この治療が成功するか否かは、患者自身が治療の意義を理解し、多くの治療介入に積極的に参加することに依存している。われわれ医療従事者が患者と向き合うのは診察室におけるごく短時間のみであり、その他の時間はすべて患者の自己管理下にある。この患者の自己管理能力を向上させることで治療を成功に導こうとする考えがエンパワーメント(適切な日本語訳がない)である。 ここでの自己管理能力とは、医療従事者の指示に従うだけではなく、医療従事者との対話を通じて、治療法そのものを自己決定する(shared decision making)ことをも含む広い概念である。本論文は治療意思決定支援ツール(decision aids)が、2型糖尿病患者のエンパワーメントに及ぼす影響を検討したものである。 方法はオランダ北部の18のプライマリケアクリニックに通院中の344例の2型糖尿病患者を通常診療群と治療意思決定支援ツール提供群に無作為に振り分け、1次エンドポイントとしては、治療ゴール達成への意思決定およびゴール達成に対する患者のエンパワーメントの程度をエンパワーメントスコアにより評価した。2次エンドポイントは経過を通じての高血糖、高血圧、高脂血症およびアルブミン尿に対する処方強化および禁煙とした。治療意思決定支援ツールは4つの領域(血糖、血圧、コレステロール、喫煙)から構成されており、それぞれHbA1c<7.0%、収縮期血圧<140mmHg、LDLコレステロール<2.5mmol/L(100mg/dL)、禁煙がゴールに設定されていた。さらに個々の患者のリスクをUKPDS risk engine2)を用いて計算し、たとえば「あなたと同じ年齢、性別の2型糖尿病患者さん100人の中で、16人が今後5年間に心筋梗塞になり、84人は心筋梗塞になりません。しかし、現時点ではあなたが、そのどちらに属しているかはわれわれにはわかりません。」のような説明が提供された。 さらに、4つの領域のいずれがゴール未達成であるか、それに対する治療を受けることによるbenefit およびharm、さらに治療の有効性に関する不確実性についても説明された。探索的検討として、情報提供がパソコンの画面上で提供される群と印刷された紙媒体で提供される群、および詳細情報がすべて提供される群と簡略化された情報が提供される群が2x2要因デザインを用いて比較された。 結果は1次エンドポイントには両群に差を認めなかった。2次エンドポイントについても、紙媒体を用いた治療意思決定支援ツール提供群において高脂血症薬の投与が強化されたのみであった。これらの結果は、2型糖尿病患者に、通常の診療に加えて治療意思決定支援ツールを追加してもエンパワーメントには結びつかないこと示している。しかし、治療意思決定支援ツールによる介入を実際に受けたのが同ツール提供群の46%に過ぎず、結果の解釈には慎重を要する。 世界中で最も多数の患者からの相談を受けている医療従事者はGoogleである、と皮肉まじりにいわれるように医療においてインターネットは必要不可欠になりつつある。もし今回の検討で用いられた治療意思決定支援ツールが有効であったならば、インターネットを通じてすべての2型糖尿病患者に情報が提供され、われわれの日常診療も大きな影響を受けたかもしれない。その点で、今回の結果はわれわれの日常診療の継続に少しの安心感を与えるといえよう。 さらに、論文の主旨とは離れるが、欧米におけるエンパワーメントとわが国のそれとの違いが浮き彫りにされている点も注目してよい。わが国でのエンパワーメントは、「いかにして患者のやる気を引き出すか?」のように情緒的な点に比重が置かれており、具体的な治療目標(HbA1c<7.0%のような数値目標)と、それを達成することによるアウトカム改善のエビデンスとを医療従事者と患者との間で共有したうえでのshared decision makingが行われているとはいい難い状況にある。エンパワーメントもEBMから無縁ではないことを再認識する必要があるだろう。

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62)消費税率を話題に目標血糖値を覚えてもらうコツ【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者消費税が5%から8%に上がって大変です。そんなに経済的に余裕がないのに・・・医師確かにそうですね。今日の検査を見て頂けますか。患者悪くなっているんですか?医師そうですね。血糖値が8%台になりました。合併症予防のための血糖コントロール(HbA1c)の第一目標は7%になります。ちなみに、糖尿病でない人のHbA1cは5%台です患者普通の人が5%で、私が8%ですか。消費税と同じ数字ですね。医師そうですね。値上がりをきっかけに、食品の購入について考えてみてもいいですね。患者確かに。余分なものは買わないようにしないと・・・(気づきの言葉)。●ポイント身近な話題を取り上げて、検査値について復習できるといいですね

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アリスミアのツボ 第4回

Q10治療の必要のない不整脈について、日常生活のアドバイスや指導はどのようにしていますか?何も証拠となる情報はないので……無難な対応で臨んでいます。アドバイスほど難しいものはない「アドバイス」……という言葉にはよいイメージがあります。日本語では「忠告」と訳されることもあり、これはどちらかというと悪いイメージかもしれません。そして、「エデゥケーション(教育)」、「指導」という言葉もあります。これは、どちらかといえば上から下へというイメージでしょうか。こう考えると、患者に対して医師が話す内容は、このうちどれなのでしょう。エビデンスはない実は、治療の必要のない不整脈について、「~すればよくなる」という確固とした証拠は何もありません。ただ、現場には期外収縮の症状に悩まれている患者も数多くいます。「薬がいらないことはよくわかりましたが、この症状はどうすればよくなるのでしょう」、「毎日の生活で気を付けることはありますか」などの質問を頻繁に受けます。相手の気持ちになってこのような質問に対して、「医学的に証明されている日常生活上の工夫はない」というのが学問的には正しいことです。が、社会的には到底受け入れられる回答ではないでしょう。アドバイス、指導は、相手の立場に立って行うからこそ意味のある行為だと感じます。何を隠そう、私自身が心房期外収縮の症状がひどくてつらい時期がありました。だからどうしたというわけではないのですが、「私も期外収縮があってつらかった」ことを伝えると、なぜか多くの患者さんが少しほっとした表情をみせてくれます。そのうえで、「できることはあまりないんですけど、規則的な生活を守って、睡眠不足やストレスを避けることですね。といっても、いつも守れるわけはありませんよね。そうそう、肥満もよくないんですよ……」というような、日常会話をしています。相手も不整脈を持っているということを知ると、同じ土俵に立っていると感じてもらえるのか、それなりに聞いてもらえます。Q11抗不整脈薬がたくさんありすぎて、どれをどの順番で使えばよいのかわからないのですが……。私の場合は、ここ数年かなりシンプルです。抗不整脈薬の投与対象は「発作性心房細動」昔は、さまざまな不整脈に対して抗不整脈薬を使用していました。対象がさまざまなため、それぞれの不整脈ごとに覚えなければいけないことも多かったという記憶があります。しかし、現在は、期外収縮は治療することがほとんどなくなり、上室頻拍、心房粗動など多くの不整脈がカテーテルアブレーションで治癒できるようになり、抗不整脈薬の出番は激減しました。今、私が抗不整脈薬を用いるといったら、そのほとんどは「発作性心房細動」ということになります。抗不整脈薬の薬効は薬によって異なる?昔の私は、少しは異なるのだろうと思っていました。そこで、心房細動を対象としたJ-RHYTHM研究という医師主導型の臨床研究を行った際、アミオダロン以外の抗不整脈薬が多数用いられていたので、サブ分析として薬物別の効果分析をしてみました。そうすると、驚いたことに洞調律が維持される程度(いわゆる薬効)に大きな差がなかったのです。差がないのなら、これほど日本にたくさんの種類の抗不整脈薬はなくてもいいんじゃないかと思ったぐらいですが、日本での歴史に基づいた結果なのでぼやいても仕方ありません。使い慣れた薬物で十分効果に差がなければ、安全性重視ということになるわけです。確かに、抗不整脈薬間で少しずつ安全性が異なるようです。ただ、すべての用量・副作用を記憶しておくわけにもいきません。というわけで、自分が使い慣れた薬物(ということは副作用をよく知っている)、具体的にはピルジカイニド(サンリズム)とフレカイニド(タンボコール)ばかりを使用しています。前者は腎排泄型、後者は肝代謝の要素があり、多くの場合に対処可能です。安全性重視ですから、使用する用量は少なめで開始し、サンリズムは75~100 mg/day、タンボコールは100mg/dayです。効果不十分で安全性に問題なければ、それぞれ倍の用量(これが通常用いられる用量)に増量します。つまり、半量から開始して、問題がなければ通常用量にしているわけです。Q12経口アミオダロンの使い方を教えていただけますか?循環器専門医に任せたほうが無難ですが、ここでも副作用回避が決定的に重要です。アミオダロンだけは他の薬物と異なる抗不整脈薬すべての薬効が似たようなものであれば悩まなくてよいのですが、唯一例外、アミオダロンだけは、他の抗不整脈薬とまったく異なる存在です。明らかに有効性に優れる一方で、致死的な副作用があり、さらにいったん体に入るとなかなか体から抜けにくい……有効性・安全性・薬物代謝のバランス感覚が取りにくい薬物です。なので、どちらかといえば、一般医家は用いないほうがよい、専門医で処方されアミオダロンを継続しなければならない患者でも、アミオダロンに関してだけは専門医に任せたほうがよいと思います。副作用回避を患者と共有するアミオダロンは、致死的な副作用があったとしても、それより重篤な病態を有する患者に対して用います。副作用をできるだけ少なくすることが、この場合に重要なことになりますが、これは医師だけで行うことは難しい……患者の協力を仰ぐほうが効率的です。そこで私のやり方を紹介します。1)アミオダロンの副作用を説明する(1)肺障害、甲状腺障害、肝機能障害があること、(2)とくに肺障害は10%の患者に生じ、致死率10%であること(初期は単なる感冒症状との違いがわからないので受診すること)、(3)3ヵ月に1度は副作用チェックを行うこと、などを説明します。患者が副作用を理解することが、副作用チェックを万全なものにしてくれます。2)初期投与量は400mg/dayを2週間アミオダロンは、総投与量が5gになるまでその薬効を期待しがたいのが実情です。3)2週間後に200mg/dayの通常量に減量副作用回避のために基本的には、3ヵ月ごとに胸部レントゲン、KL-6、甲状腺機能、肝機能、アミオダロン血中濃度を測定することにしています。ただし、KL-6、アミオダロン血中濃度は参考程度にしかなりません。KL-6が間質性肺炎の診断の契機となることは数%でしかなく(診断の契機はほとんど自覚症状かレントゲンです)、アミオダロン血中濃度は効果や副作用に重要な組織中濃度とは異なります(脂溶性薬物のため)。それでも、KL-6やアミオダロン血中濃度の測定は用量減量の契機となることが重要だと思っています。つまり、副作用回避は「常にできるだけ減量を考慮する」が肝です。100mg/dayを目指します。

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61)インスリンの大切さを説明するコツ【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者甘いものが大好きで、なかなか止められなくて・・・医師なるほど。ちょっとイメージしてもらえますか?患者全然、想像ができません。医師それでは、選択肢を出しますね。(1) 5g、(2) 50g、(3) 500gさて、どれでしょう?患者500gだと多そうだから、50gですか?医師残念! 正解は(1) 5gでした。患者えっ、それだけしか血液の中には糖分はないんですか。医師そうなんです。インスリンというホルモンが、この血糖を微妙に調節してくれているんです。患者インスリンって大切なんですね。私はインスリンの出が悪いみたいなので、食べるものにもっと気をつけないといけませんね(気づきの言葉)。●ポイント血液の中の糖分の量をイメージしてもらうことで、インスリンや食事療法の大切さを理解してもらえます●解説人間の血液量は体重の13分の1。65kgの人なら、5L(=65÷13)になります。空腹時の血糖が100mg/dLだとすると、5Lの血液の中には5gのブドウ糖が含まれている計算になります

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GLP-1受容体作動薬と基礎インスリンの併用療法のポジショニング(解説:吉岡 成人 氏)-265

2型糖尿病の基本的な病態として、膵β細胞機能が経年的に低下することに対するコンセンサスがこの10年ほどの間で形成され1)、膵β細胞の機能を温存する可能性を持つホルモンとしてGLP-1が脚光を浴び、GLP-1受容体作動薬、DPP-4阻害薬が市場に登場した。確かに、マウスやラットではGLP-1の膵β細胞保護作用が示されているが、ヒトではいまだ確認されていない。 臨床的には発症早期の2型糖尿病患者にGLP-1受容体作動薬を投与すると、持続血糖モニター(CGM)ではわずか2~3日で血糖変動は平坦となることが確認される。しかし、生理的にわずか数分の半減期しか持たないホルモンを、長時間にわたって高く維持することの長期的な安全性や有効性については何の保証もない。 しかも、毎日の外来診療の場でわかることは、GLP-1受容体作動薬を使用している患者の半数以上で、体重減少効果や血糖降下作用が半年から1年で消失してしまうという事実である。治療開始のタイミングや併用薬、さらには、日本人では肥満が少なく、欧米人との2型糖尿病の病態が異なっていることも関係があるのかもしれない。 そのような中で、3~4年前から基礎インスリンとGLP-1受容体作動薬との併用が話題となり、多くの臨床試験が積み重ねられ、日本でも、GLP-1受容体作動薬であるリキシセナチド(商品名:リキスミア)とリラグルチド(同:ビクトーザ)の基礎インスリンとの併用が保険適適用となっている。 このような背景のもとに、Conrad EngらはGLP-1受容体作動薬と基礎インスリンを併用することの有用性を、無作為化対照比較試験の論文をメタアナリシスすることによって検討している。 検討の対象となった論文には、日本人を対象とした臨床試験も含まれている。基礎インスリン(±SU薬)にリキシセナチドないしはプラセボを併用した試験(対象患者331例)と、基礎インスリンないしは混合インスリン、強化インスリン療法にリラグルチドないしはプラセボを併用した試験(対象患者257例)である。 主要評価項目は血糖コントロール、低血糖、体重の変化の3項目であり、解析の対象となった4,348例のベースラインにおけるHbA1c値(平均)は8.13%、BMI(平均)は32.9、糖尿病の罹病期間(平均)は12.2年であった。 GLP-1受容体作動薬と基礎インスリンの併用療法群では、HbA1c値が平均で0.44%(95%信頼区間[CI]:-0.60~-0.29%)低下し、HbA1c値7.0%以下の達成率も多く(相対リスク[RR]:1.92、95%CI:1.43~2.56)、統計学的に有意差が確認されている。また、低血糖の頻度については差がなく(RR:0.99、95%CI:0.76~1.29)、体重は併用療法群で3.22kg(95%CI:-4.90~-1.54kg)、有意差をもって減少したと報告されている。 観察期間は12週から36週、多くは24週前後であり、半年前後の検討ではGLP-1受容体作動薬と基礎インスリンの併用による、血糖管理状況の改善、体重減少効果が確認されたこととなる。 しかし、年余にわたる効果については未知数であり、GLP-1受容体作動薬は、製剤間で差はあるものの1本当たりの薬価は7,171円から10,245円であり、1年間使用すると薬価のみで12~18万円にも及ぶ。欧米人ほど肥満患者が多くなく、期待したほどは有用な臨床効果が得られていない日本で、基礎インスリンとGLP-1受容体作動薬を併用することの有用性、またそのポジショニングについては今後のさらなる検討が必要である。

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