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高齢の遅発統合失調症患者に対する漢方薬の効果は?

 統合失調症の発症年齢には個人差があるが、遅発性および超遅発性の統合失調症に関する研究は不十分であり、治療のさまざまな問題点は未解決のままである。島根大学の宮岡 剛氏らは、認知機能障害のない超遅発性統合失調症様精神障害の高齢患者に対する抑肝散(TJ-54)単独療法の有効性と安全性を評価した。Phytomedicine : international journal of phytotherapy and phytopharmacology誌2013年5月15日号の報告。 本試験は、最近の超遅発性統合失調症様精神病のコンセンサス基準およびDSM-IV-TR診断基準の両方を満たす患者(平均年齢73.1±4.8歳)40例を対象としたオープンラベル試験。簡易精神症状評価尺度、臨床全般印象重症度(CGI-SI)、PANSSについて、ベースライン時と抑肝散(2.5~7.5g/日)投与4週間後のスコアの変化量を評価した。加えて、異常不随意運動は、Scale Simpson-Angus 錐体外路系副作用評価尺度、Barnesアカシジア尺度、異常不随意運動評価尺度(AIMS)にて評価した。 主な結果は以下のとおり。・すべての患者において、精神症状の有意に高い改善が認められた(p<0.001)。・抑肝散の忍容性は良好であり、臨床的に有意な有害事象は認められなかった。・すべての異常な不随意運動に関するスコアは、抑肝散の投与前後で有意な差は認められなかった。・超遅発性統合失調症様精神病患者に対する抑肝散による治療は、有用かつ安全であることが示された。関連医療ニュース 統合失調症患者に対するフルボキサミン併用療法は有用か?:藤田保健衛生大学 統合失調症治療にベンゾ併用は有用なのか? 統合失調症患者の社会的認知機能改善に期待「オキシトシン」

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Dr.中野のこどものみかたNEO

第1回「小児気管支喘息最前線 ! 」第2回「使ってみよう ! こどもに漢方」第3回「ワクチン(1) Hib,肺炎球菌」第4回「ワクチン(2) 子宮頸癌の予防ワクチンとHPV」 第1回「小児気管支喘息最前線 ! 」他科領域で“最も難しい”、“なるべくなら回避したい”とされる小児科。小児の特異性は成人を診ることが多い医師にはどうしても判断しにくいものです。このシリーズでは、一般内科医の「診断はどうすれば良いのか?」「治療薬の処方は?」などの疑問に小児科専門医が答えるQ&A形式でわかりやすくお伝えしていきます。新米ママでもある馬杉先生が臨床現場の生の声をぶつけます。2008 年に改訂されたガイドラインを基軸に、現在の小児・乳児の気管支喘息の診断や治療、そして保護者への具体的な指導内容とその方法を徹底的に解説します。医師のみならず薬剤師や看護師など、小児と保護者に接する機会のある全ての医療従事者にご覧いただける内容です。第2回「使ってみよう ! こどもに漢方」最近では一般の医師でも漢方を処方したり、西洋薬と併用使用したりするケースが増えてきましたが、逆に情報通の保護者から漢方処方を依頼されることもあるのではないでしょうか。夜泣きや疳の虫、引きつけなど小さなこどもに多くみられる特有の症状。病気とはいえないがママ達には大変なストレス ! 漢方はそんな症状にズバリ著効することが多々あるのです。もちろん、嘔吐や下痢、発熱、くしゃみ鼻水といった一般的な症候によく効く漢方薬もあります。比較的小児に用い易い漢方処方を取り上げ、症例に沿って紹介します。大流行したノロウイルス感染症に効果のある「五散」のほか、「抑肝散」の母子同服という裏ワザ、そして服薬指導も行います。苦手意識をもたずに先ずは実践してみてください。第3回「ワクチン(1) Hib,肺炎球菌」Hib(インフルエンザ菌b型)と肺炎球菌(7価混合型)の2 種のワクチンについて学習します。Hib も肺炎球菌も、細菌性髄膜炎や中耳炎、肺炎、ときには菌血症といった非常に深刻な感染症を引き起こす菌。こどもが保育園などに通い始めると1年あまりで保菌率が飛躍的に上昇します。そのため家族に高齢者がいれば飛沫感染で影響を及ぼすこともあります。これらのワクチンは、世界的には非常にポピュラーでありWHO でも定期接種が勧められていながら日本では認知度も接種率も低かったのですが、2011 年度から公費助成での接種が始まりました。公衆衛生や集団免疫の観点からも、小児科医だけでなく全ての医師と医療従事者がきちんと知っておく必要がありますので、この機会に是非ワクチンの知識を身につけてください !第4回「ワクチン(2) 子宮頸癌の予防ワクチンとHPV」第4回は小児疾患ではなく、子宮頸がんとそのワクチンについて学習します。近年急増傾向にあり、特に20 代から30 代女性の罹患と発症が問題となっています。子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルス感染症によって引き起こされ、日本では成人女性の実に4 割以上がHPV に感染しているという驚くべき感染症です。タイプによっては予後が非常に悪く発症後の死亡率も高いため「Mother killer」と呼ばれています。にも関わらず日本では定期検診受診率が低くワクチンに関しても浸透しておらず、医師を含む医療従事者の間でさえ認知度が高いとはいえませんでした。しかし、2009 年12月から一般の医療機関でワクチン接種が可能となり、国と市町村の公費助成がはじまったため、婦人科以外で問合せを受ける可能性もあります。ワクチンで予防可能ながんをよく知り、その重要性を患者さんに啓蒙できるようになることが、これからの医療には求められるのではないでしょうか。

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漢方薬の服用経験者は7年前より2倍以上に増えている

 クラシエ薬品が21日、全国の20代~60代の男女560人を対象に実施した「漢方薬」に関する意識調査の結果を発表した。調査は2012年12月6~7日、インターネット上で行われた。 漢方薬を「飲んだことがある」と回答した人は75.0%を占め、同社が7年前に行なった調査の33%という結果よりも、服用経験者が2倍以上に増えていることが明らかになった。男女別でみても、それぞれ70%を越えており(男性 75.3%、女性 74.5%)、男女を問わず漢方薬が浸透していることがわかった。 また、漢方薬を服用したきっかけは、「医師から処方された」と回答した人が35.0%と最も多く、「自分で調べて服用した」30.0%、「薬局ですすめられた」24.5%と続いた。年代別に大きな差はみられなかったという。 同社は、「日本漢方生薬製剤協会の調査(2011年11月)によると、漢方薬を処方している医師は全体の89.0%という結果があるなか、患者や消費者の意識の変化もあり、実際に服用した経験から漢方薬のイメージが変化したことなどがわかる調査結果となった」と述べている。詳細はプレスリリースへhttp://www.kracie.co.jp/release/10067356_3833.html

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明解!Dr.浅岡の楽しく漢方

東洋医学の特徴(前編)東洋医学の特徴(後編) 講師の浅岡先生曰く、『西洋医学は西洋科学の一部なわけで、いわゆる元素の集合体として物を見ますよね。人間の体も同じ、パーツに分けて考えます。そしてパーツの異常を「病名」というかたちで表現し、その原因を「排除」するという考え方で治療を進めます。それぞれのパーツごとに専門家がいて、場合によって一人の患者さんが複数の治療を同時に受けることになります。一方、東洋医学ではパーツの異常は観察するものの「結果として全体のバランスがどうなっているのか」に注目をします。そして西洋医学との根本的な相違として、東洋医学では病名を診断するのではなく「状態を診断する」という手法をとるのです。つまり、「△△病」といえば西洋医学では「これこれの病態でなになに」と一つのことを指すことになりますが、東洋医学の視点は「△△病」に罹った人の「状態」に着目して治療をすることになるので答えが一つになるとは限らないわけです。つまり、病名が一緒でもその結果として陥る状態は様々なのだから、それぞれ個の事情に合わせて治療しようと考えるのが東洋医学の思想だということなのです。 ですから、「漢方薬を西洋医学的考え方の下に使う」という発想の限界はご理解いただけると思うのです。漢方薬を使うこと自体に意味があるのではなく、それを使いこなすために必要な「東洋医学の視点」が重要なのだということです。』 今まで何度読んでも難解だった「東洋医学」、そして「漢方」。そんな思いを吹き飛ばす浅岡式「東洋医学の視点」、それは常に講演会を満席にする楽しくわかりやすい講義。漢方を正しく処方、治療するために必要な基礎知識を解説します。

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明解!Dr.浅岡の楽しく漢方

カゼに葛根湯が効かない?めまい、耳鳴り元気が出なくて. . ./食欲もイマイチ. . カゼに葛根湯が効かない?今回はカゼについての漢方治療のお話です。ごく一般的な疾病「カゼ」。「カゼのひき始めに葛根湯」はよく用いられる言葉ですが、そもそも「ひき始め」とはいつまでの段階なのでしょうか。また葛根湯が全く効かなかったという経験はありませんか?本シリーズ第1回「東洋医学の特徴」で学習した東洋医学的な診断方法“証(しょう)”。その『証』を使った治療で「カゼの治療と葛根湯の謎」が明解になります。また今回から「Dr.Kの漢方診療日記」と題し実際の診察シーンを想定したシミュレーションが展開します。めまい、耳鳴り人間の体の大部分を占める「水」は、その状態が適切でないとさまざまな症状を引き起こすことがあります。漢方用語でこれを「水毒」といい、めまいや耳鳴りはこの水毒が原因で引き起こされるケースが多い疾患。そんな症状に効く処方とは?生薬の働きから理解しましょう。今回も大奮闘! Dr.K の「漢方診療日記」。かわいい患者さんにあがり気味…? Dr.E の「ワンポイントアドバイス」は、診療の現場ですぐに役立つ一言です。そして「番外編」も見逃せません!今回は横浜中華街・お相撲の土俵・漢方薬の名前。この3つに一体どんな関係があるというのでしょう。答えは番組を見てのお楽しみ!!元気が出なくて. . ./食欲もイマイチ. .西洋医学ではなかなか診断がつかない「元気が出ない」とか「食欲がない」といった症状、当然医師の皆さまにもご経験があるはず。東洋医学ではこれらを“元気の気”とか“気持ちの気”の『気』という概念から診断します。「カンパーイ!ゴクゴク…フ~っ五臓六腑に滲みわたるなぁ…」。ところでこの五臓六腑って?心臓、肝臓、脾臓…いいえ、実は違うんです。それでは一体なに??答えは、番組の中に。Dr.Kも元気いっぱい!?「Dr.Kの漢方診療日記」ではどんな患者さんを診ることになるのでしょうか。臨床にすぐ活用できるケーススタディをお見逃しなく!

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明解!Dr.浅岡の楽しく漢方

何とかしたい「にきび」と「蓄膿」どうも、精神的に不安定で…『腰が痛い・関節が痛い』時の対応方法 何とかしたい「にきび」と「蓄膿」「にきび」は皮膚疾患、「蓄膿」といったら耳鼻科の疾患。でも東洋医学では、この2つの疾患は同じジャンルに分類されます。この例に限らず、漢方処方の適応症をみると全く関連のなさそうな疾患が並んでいることがよくあります。というのも、東洋医学の視点でみると共通の病態(状態)が存在しているためです。今回の例で病態を考えてみると「熱がこもっていて」「つまっている」という点に共通点があります。この時重要なのは、東洋医学には抗生物質のように「(菌などを)殺す」という発想がないこと。どうも、精神的に不安定で…寒い季節が終り春が始まろうとする時、天候や気温など環境は変化しやすく不安定になりがち。それに伴って人のからだも不安定な状態に陥りやすくなります。特にこの冬から春への移行時期は気持ちが不安定となる、東洋医学の視点でいう「気の異常」が現れやすくなる時期です。これまで何度も出てきた「気の異常」。一体どんなものがあったでしょうか? そう、「気逆」「気鬱」「気虚」の3つです。しかし、この3つになかなかすっきり分類できない、つまりこれらが錯綜して現れるタイプの方もたくさんいらっしゃいます。そんな時のもう1つの分類法とは?また、それらに対応する生薬とは?季節の変調に上手に対応してゆく処方をご紹介します。『腰が痛い・関節が痛い』時の対応方法“痛み”に漢方の処方を用いるケースとしては、「消炎鎮痛剤が使いにくい患者さんに」、「コントロールが今ひとつなので消炎鎮痛剤と併用する」などが多いようです。けれど、上手に漢方薬を活用すれば、患者さんの全身状態を改善し、疼痛も良くなることが多々あります。例えば、痛みを増幅させる要因となる「湿気」や「冷え」。これは東洋医学の概念では「水」と「寒」ということになります。さらに「血」の概念を導入して、困難な疼痛治療を行なってみると…。今回は聴講生参加型の講義。数ある漢方処方から、事例に見合った処方を選択することができるでしょうか?皆さんもご一緒に考えてみてください。

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Dr.浅岡のもっと楽しく漢方!

第1回「狂ったシナリオ」第2回「構想の死角」第3回「もう一つの鍵」 第1回「狂ったシナリオ」どのような場合でも薬剤を選ぶ際にはシナリオというものがあるはず。漢方の場合でも当然根拠、「なぜ」と「だから」が必要です。もしその根拠を持たなければ、「シナリオは狂う」のです。「どうしてその処方になるのか」「なぜ他の処方ではないのか」「別の処方にチャンスはないのか」、番組は皆様ご自身にお考えいただきながら進んでいきます。漢方薬・生薬を題材とした知的ゲームのような展開。「知識」を超えて「思考」の世界へ!第2回「構想の死角」身体に起こる諸事について考える場合、様々な要素をピックアップし、考えを組み立てることが必要不可欠です。「こうなっているからこういう結果」「これが原因でこの症状」「だからこういう対処」…それが「構想」です。漢方診療においても「構想」がなければ対処はできません。ではその構想に「死角」があるとすれば、いったいどこにあるのでしょうか?この回では、『漢方薬がどのようにつくられてきたか』の道筋を追う事により「処方」とそれを構成する「生薬」の関係について、また「“水”に関する構想」とその死角について解説します。第3回「もう一つの鍵」患者さんの症状を確認し、原因がどこにあり、どのような問題点があるのかをつきとめるときにも、対応するときにも「鍵」は必ず存在します。西洋医学で対応するべきか、東洋医学で解決するべきか? 何がそれを決めるのか? それぞれの医学には問題解決のための「鍵」が用意されています。「扉を開けることができる鍵」がどちらにあるのか、どちらを選ぶか、その判断の極意をお届けします。またこの回では、番外編で「オーダーメイド治療」という言葉について取り上げます。その意味を踏まえながら「東洋医学の鍵」について考えましょう。

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Dr.浅岡のもっと楽しく漢方!

第4回「見えない檻」第5回「美食の報酬」第6回「逆転の構図」 第4回「見えない檻」「檻」とは猛獣などが逃げ出さないように設けるもの。つまり空間を隔てるために用意されるものです。我々人間の間でも「世界を隔てる」という意味でいつも檻をつくられ、内と外を区別しようとします。はっきりと意識して檻に入ったり、檻の外へ出たり、そんな時もあります。しかし時には無意識のうちに「見えない檻」に囲まれることもあるかもしれません・・・。第5回「美食の報酬」美食を嫌う人はまずいないでしょう。しかしその「報酬」は…?「美食」を「薬」に置き換えても同じことが言えます。「楽になりたいから薬を」→「でも副作用は嫌だ」→「漢方なら安心」→「だから漢方治療で」という図式は、漢方薬の人気を支えている一つの要素です。しかし漢方薬も薬ですから、その「結果」について考えておかなければいけません。第6回「逆転の構図」東洋医学の重要な考え方に「寒熱」があります。もちろん寒と熱は反対側に位置するもの。しかし、だからといって無関係であるとは言い切れません。女性に多くみられる「冷え症」、これは実際に冷える部分(足など)に触れてみると確かに冷たくなっています。したがって、診断は「寒」。一方で、風邪をひいた時の診断として知られる「表寒」の時には、多くの場合、体表は冷えてはおらず、反って発熱。つまり体表は温かくなっているのに診断は「寒」。これはいったいどういうことなのでしょうか?

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Dr.浅岡のもっと楽しく漢方!

第10回「消された記憶」第11回「ルージュの呪縛」第12回「寡黙な案内人」 第10回「消された記憶」「認識する」とはどういうことか、それは目の前の物事を予め用意されたメンタル・イメージ(心像)と照らし合わせることで行われます。過去に様々な情報の中から蓄積されたイメージをもとにその対象を認識するのです。私たちはあらゆるものの判断を心像で行ないます。しかしその大事な情報が常に正確に均質に伝えられているとは限りません。予め用意されたイメージが誤ったものなら、当然認識も誤ります。生薬についても然り、事前に与えらたイメージが正しくなければその薬能を正しく認識することは出来ません。第11回「ルージュの呪縛」ルージュ、言わずと知れた「口紅」のことです。しかし、rougeはフランス語で本当は「赤」という意味です。東洋医学における四診「望聞問切」、その第一歩である「望診」においても唇の色の観察は重要で、誰でも簡単に始めることが出来る診察方法です。しかし…、ルージュというものがあるくらいですから、時には見誤ることもあるでしょう。さて、そもそも四診と呼ばれる診察方法、どうして四つの手段が用意されているのか。もちろん「ひとつだけでは判断を誤ることがあるから」に違いありませんが、それではなぜ望・聞・問・切の順番なのでしょうか。東洋医学の診察方法が西洋医学のそれと異なることだけに気をとられてはなりません。大切なことは「それがどんな意味をもつのか」という点であり、「なぜその順番なのか」を考えることが重要なのです。第12回「寡黙な案内人」生薬の重ね合わせにより目的を達成しようとする漢方薬。配合される一つひとつの生薬にはそれぞれ薬能と薬性があり、その合算が処方全体の適応を決めることはどの処方においても共通の原理です。そして、そこには集合体である処方の方向性を決定する上で重要な鍵を握る(周りの協力を得ながら先導するいわば案内人のような)生薬があります。第12回はジャンルを超えて活躍する生薬のひとつ、「芍薬」にスポットをあてます。この芍薬が、それぞれの処方においてどのような薬能を期待され配合されているのか、あるいはなぜ配合されないのか、配合されない理由は何か。その意味についてじっくりと考えていきます。

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Dr.浅岡のもっと楽しく漢方!

第13回「足されたダイアル」第14回「合鍵の証言」第15回「光と影」第16回「二つの顔」 第13回「足されたダイアル」漢方処方における生薬配合を決めてゆく過程で、そこに加えられる生薬が選ばれ決定される理由は、「治したい問題点として○○があり、それに対応する生薬が△△、だから××を加えた」が基本的な理由です。そして、副作用が出そうな生薬を使う場合には、またそれを防ぐための生薬を配合するのです。それでは、「全ての病態に対応する生薬を全て配合した処方」というものがあると仮定して、「万能薬」と成り得るのか。残念ながらそうではありません。適応となるのは「その全ての病態を抱えている人」が正解であるはずです。漢方処方は複数の生薬からなる既成のセットです。患者に処方を選ぶ場合、セットのなかに「必ずしも必要とされない生薬が配合されることがある」ことは容易に想像されます。その時、それを是とするか否か判断しなければなりません。複合剤を用いるなら複合剤を用いるための思考が必要です。漢方処方が生薬を用いた複合剤であることを忘れ、単純に病名に処方を対応させようとすることの限界がここにもあるのです。第14回 「合鍵の証言」漢方治療の特徴を表現するものとして「鍵と鍵穴」という言葉を用いることがあります。それは具体的に何と何を指すのでしょうか。仮に、「漢方処方とその適応となる患者」を指すとすると、漢方治療があまり普遍的な治療ではないという結論を導き出すことになってしまいます。なぜなら、漢方薬は生薬配合もその率も決められた“約束処方”であり、患者ごとに毎回ぴったり「鍵と鍵穴」が成立するとは限らないからです。漢方処方を用いた治療とは、既製の生薬セットの中から最も合目的的なものを選び出す作業のことです。それは、少しずつ異なった事情を抱えた患者に、共通する「合鍵」を探すのと同じこと。したがって、漢方治療が個の医療だ、とは言えないのです。それではいったい何と何が「鍵と鍵穴」の関係なのでしょう。第15回「光と影」「陰陽」という概念があります。漢方治療の場でも、この「陰陽」という用語を用いたり、「陰陽五行説」と呼ばれる定理のような考え方が紹介されたりしますが、これに関する本などをご覧になった方は、難解な印象を持たれたのではないでしょうか。しかし東洋医学の用語や概念というものは、おしなべて古代人たちが日常生活や日々の営みの中に見つけたヒントであり、物事を説明するための術なのです。本来ならば、誰にでも理解できる内容であるはずです。「陰陽」も同じこと、決して理解できないものではありません。また「陰陽」が医学に限った概念ではないということを認識しなければなりません。現代社会を見渡しても、何かが一方に傾き過ぎて混乱が生じたり、それを是正するために反対に行き過ぎてしまったり。物事にはバランスが重要であることの例は日常のなかにいくらでも見つけることができます。東洋医学における陰陽、それは人と自然との調和というバランス、個にとって自分自身の中におけるバランス、その重要性を表現したものなのです。第16回「二つの顔」昨今よく目にする「alternative medicine」という言葉。alternativeとは「もう一つの」「別の」という形容詞ですが、はたして正しい意味で用いられているのでしょうか。なぜ東洋医学をalternative medicineとして位置づけるのか。それは東洋医学には西洋医学とは相反するものの見方をする点が多々あるからでしょう。ですが、いくら漢方薬が一般的になっても、“東洋医学というソフト”を知る意思なくしてalternativeは成立しません。東洋医学が何をどのように見つめるのか、その視線の先にあるものを考えることで、""東洋医学=Alternative Medicine""を知る意味も見えてくるのではないかと思います。根底に流れる東洋医学の思想、そこにヒントを求めなければ、いくら漢方薬を語ったところで得られるものはそれほど多くはないということに気づかなければなりません。

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認知症のエキスパートドクターが先生方からの質問に回答!(Part2)

CareNet.comでは10月の認知症特集を配信するにあたって、事前に会員の先生より認知症診療に関する質問を募集しました。その中から、とくに多く寄せられた質問に対し、朝田 隆先生にご回答いただきました。今回は残りの5問について回答を掲載します。6 アルツハイマー病と血管性認知症を簡単に鑑別する方法はあるか? 血管性認知症の具体的な治療方法は?6 この鑑別方法は認知症医療の基本と言えるテーマですね。鑑別については、血管性認知症では片麻痺をはじめとする神経学的な所見があり、その発症と認知症の発症との間に時間的な密着性があることが基本かと思います。そのうえで、段階的な悪化や、障害される認知機能の不均等さ(斑認知症)などの有無が鑑別のポイントになるでしょう。ところで、かつてはわが国で最も多いのは血管性認知症で、これにアルツハイマー病が次ぐとされていました。ところが最近では、両者の順位が入れ替わったとされます。また実際には、両者が合併した混合型認知症が最も多いともいわれます。それだけに、この鑑別は二者択一の問題から、両者をどう攻めたら効率的かの方略を考えるうえでの基本、という新たな意味を持つようになったと思います。7 アルツハイマー病とてんかんとの鑑別点は?7 認知症もどきの「てんかん」は最近のトピックスになっていますね。てんかんはややもすると子どもの病気というイメージがありましたが、最近では初発年齢が高くなる傾向があり、患者数も高齢者に多いという事実が知られるようになりました。てんかんも、明らかなけいれんを伴うタイプであれば、認知症との鑑別は簡単です。ところが、けいれん発作がないタイプのてんかんもあります。とくに海馬付近に発作の焦点をもつケースでは、主症状が健忘ということが少なくありません。注意深く観ているとそのような人では、時に数秒から数分、「ぼーっ」として心ここにあらずという状態が生じがちです。これが家族や同僚など周囲の人に気づかれていることも少なくありません。本人にはこのような発作中のことは、ほぼ記憶に残りません。また傍目には普通に過ごしているように見える時であっても、本人はぼんやりとしか覚えていないことがあります。このような状態が、周囲の人には認知症ではないかと思われてしまうのです。8 薬物治療を開始する際、専門医にアルツハイマー病の診断をしてもらうべきか? また、精神科へ紹介すべきなのはどのようなケースか?8 これもまた悩ましい問題ですね。と言いますのは、すごく診断に迷うような例外的なケースは別ですが、最も多い認知症性疾患はアルツハイマー病ですから、普通の認知症と思われたら、即アルツハイマー病という診断になるかもしれません。それなのにいちいち専門医にアルツハイマー病の診断をしてもらうべきなのか?というのもごもっともなことです。しかし、時としてアルツハイマー病と誤診されるものに、たとえば意味性認知症や皮質基底核変性症など、各種の変性性認知症があります。あるいは正常圧水頭症も、最大の可逆性認知症に位置づけられるだけに要注意です。臨床経過、神経心理学的プロフィール、神経学的所見、脳画像所見などから、これらとの鑑別がついているという自信があれば、紹介は不要でしょう。逆に、何となくひっかかりを覚えたら、必ず専門医に相談するようにされていれば、後悔を生まないことでしょう。次に、精神科医であれば誰でも認知症が診られるというわけではありません。しかし、他科の医師との比較で精神科医が得意とするのは、幻覚妄想などの精神症状や攻撃性・不穏興奮などの行動異常(両者を併せてBPSD)への対応でしょう。とくに暴力が激しくなった認知症のケースでは自傷他害の危険性も高いですから、早めに対応設備のある精神科の専門医に依頼されるようにお勧めします。9 抗アルツハイマー病薬の使い分けは? また、増量、切り替え、追加のタイミングは?9 ここでは、現在わが国で流通している抗アルツハイマー病薬の特徴と処方の原則を述べます。これらの薬剤は、コリンエステラーゼ阻害薬とNMDA受容体拮抗薬に二分されます。前者にはドネペジル(商品名:アリセプト)、ガランタミン(同:レミニール)、リバスチグミン(同:イクセロン、リバスタッチ)の3種類があります。後者はメマンチン(同:メマリー)です。前者について、どのようなタイプのアルツハイマー病患者にはどの薬が適切といったエビデンスレベルは今のところありません。総じて言えば、どれもそう変わらない、同レベルと言っても大きな間違いではないでしょう。たとえ専門医であっても、3つのうちのどれかで始めてみて、効果がないとか副作用で使いづらい場合に、次はこれでというパターンが一般的かもしれません。増量法は、それぞれ異なりますが、ガランタミン、リバスチグミンの場合は、副作用のために最大用量の24mg/日、18mg/日まで増量せずに中間用量を維持した方がよい場合もあります。適応については、ドネペジルは軽症から重症まですべての段階のアルツハイマー病に適応があります。野球のピッチャーにたとえるなら先発完投型と言えます。これに対してガランタミン、リバスチグミンは軽度と中等度例を適応としますので、先発ながら途中降板のピッチャーです。NMDA受容体拮抗薬であるメマンチンについては、中等度と高度の例が適応ですからリリーフ専門のピッチャーと言えるでしょう。使用上の特徴として、コリンエステラーゼ阻害薬は複数処方できませんが、コリンエステラーゼ阻害薬と本剤の併用は可能なことがあります。この薬は原則として1週間ごとに増量していきます。ところが、わが国では15~20mg/日の段階で、強い眩暈や眠気などの副作用を来す例が少なくないことがわかっています。この副作用を防止するために、2~4週間毎に増量する方法を勧める専門医もいらっしゃいます。10 BPSDに対する抗不安薬や気分安定薬などの上手な使い方は?10 BPSDに対する治療の基本は薬物治療ではなく、対応法の工夫・環境調整やデイケアも含めた非薬物療法にあります。薬物は、それらでだめな場合に使うセカンドチョイスと位置づけたほうがよいと思われます。その理由として、せん妄や幻覚・妄想など精神面のみならず、錐体外路症状そして転倒などの副作用があります。また高齢者では10種類以上の薬剤を服用していることも珍しくありませんから、処方薬を加えることでさまざまな副作用を生じるリスクは指数関数的に上昇します。そうは言っても薬物治療が求められるのは、暴言・暴力、不眠・夜間の興奮、幻覚・妄想などのBPSDが激しいケースでしょう。このような場合に向精神薬を処方するとしたら、とくに以下の点を考慮してください。筋弛緩・錐体外路症状などの易転倒性を惹起する可能性、それに意識障害を起こす危険性です。そうなると、ほとんどの抗精神病薬(メジャートランキライザー)、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬・睡眠薬は使えません。また三環系の抗うつ薬も同様です。そこで、あくまで私的な方法ですが、私は漢方薬を好んで使います。抑肝散、抑肝散加陳皮半夏などが主です。抗不安薬では、鎮静効果を狙って非ベンゾジアゼピン系のタンドスピロン、睡眠薬としてはむしろ睡眠・覚醒のリズム作りを狙ってラメルテオンを使うことがあります。こうした薬剤で無効なときには、バルプロ酸やカルバマゼピンといった抗てんかん薬も使います。どうにもならない激しい暴力・攻撃性には最後の手段として、スルトプリドをごくわずか(20~30mg/日)処方します。多くの場合、適応外使用ですから、このことをしっかり説明したうえで処方すべきでしょう。

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NHK、人気番組で漢方を取り上げる

NHK総合2月25日OA「夜なのにあさイチ 漢方スペシャル」NHKは2月25日夜、漢方薬を特集した生活情報番組「あさイチ」のスペシャル番組「夜なのにあさイチ 漢方スペシャル」を放映する。病院に行くほどでもないが、頭痛、倦怠感。そんな不調の数々を同番組では「なんとなく不調」と命名し、漢方で改善する方法を紹介する。また、有働由美子アナウンサー自ら半年間の症状改善もレポート。主な内容は、(1)漢方ならではの「同病異治」この不思議を半年にわたって取材(2)花粉症、頭痛、更年期障害、ストレス性倦怠感といった「なんとなく不調」の治療体験談(3)昔は土瓶で煎じていた薬が現代では粉薬として気軽に服用できるのはなぜか?(4)今注目を集める漢方薬「抑肝散」30年をかけ抑肝散の研究を続ける島根大学の堀口淳教授は、副作用で苦しむ患者の姿に心を痛めているなか、やっと出会えた患者を苦しめない薬だという。暴言や徘徊など認知症の周辺症状に効果があると注目されるこの薬剤……番組では精神科隔離病棟に密着し、患者の変化を実録。 放映:2012年2月25日(土)午後7:30~8:43出演:井ノ原快彦、有働由美子アナ、柳澤秀夫解説委員ほか 「夜なのにあさイチ」番組告知http://www.nhk.or.jp/asaichi/yoruichi/index.html

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教授 向井秀樹先生の答え

アトピー性皮膚炎30年間悩まされています。昨年近医にてネオーラル処方され、症状改善し漸減中止しました。が、症状悪化しネオーラル再開(一回50mg一日2回)しました。この量でないと有効でないようで…飲み続けてもいいのでしょうか?皮膚の良い状態がこんなに楽なのもかと思い知り、ステロイドだろうが免疫抑制剤だろうが(副作用が多少あっても)なんでも使いたい!という思いです。 シクロスポリンは使用ガイドラインが出来ており、体重当たり3mg換算とされています。効果があれば12週間を1クールにして、最低2週間以上の休薬とあります。スタンダードな治療法として有用だと思います。但し、極めて重症度の高い方には中止が出来ない、再度内服するという方も少なくありません。さらに高価なお薬のため経済的にも再燃時のショックは大きいのは理解できます。文章からは十分に理解しているとは言えないかも知れませんが、ダラダラと服用しているより、2クール目&3クール目と繰り返すうちに症状が安定する場合も経験します。焦らず頑張って下さい。そして併用している外用剤ですが、内服していると痒くないからといって使用していない、使用量が大幅に減っていないことはありませんか? こんな高級品を使っているのです、今こそ徹底的に改善して寛解状態を得て元を取るぞ!という覚悟で頑張って下さい。そして、悪化時の原因を考え悪化要因の対処法などの工夫、アドバイスを貰うなどの積極性を出すこと!綺麗な肌を取り戻して下さい!発汗異常について手汗がひどく悩んでいる方がいます。来年4月から社会人になりますが事務関係で書類を触るのに用紙がくしゃくしゃになってしまい、仕事に支障がでてしまうのではないかと・・手術以外になにか方法がありませんか?漢方 刑芥蓮ぎょう湯を服用して様子を見ています。程度は個人差がありますが、お悩みのことと推察いたします。大学時代の友人がひどい汗かきで、いつもタオル持参で授業内容を記載していました。現在会って話をすると昔より良くなっているそうですが完治はしていないとのことです。一般的に自律神経を安定させる内服薬を飲み続け、汗を抑える塩化アルミニウム溶液を外用します。漢方薬を試されているようですが、防己黄耆湯や補中益気湯はお飲みになりましたでしょうか?漢方薬は一般的にすぐに効果がでる訳ではありません、最低1~2ヶ月間は内服してみて下さい。手術に関しては現在しない方向です。脇の下の交感神経を切断するは一時流行りました。確かに手の効果はありますが、背中や胸などが代償性に発汗するようになり患者さんの生活の質が低下するので行わない方が良いようと思います。専門に手術する施設が増えましたが、医療問題にまで発展し陰が薄くなりました。発汗を専門とする施設は少ないですが、東京医科歯科大学皮膚科には専門外来があります。塩化アルミニウム溶液を器械で皮膚に導入するイオントフォレーシス法を行っており、それなりの有用性を報告しています。機会があれば受診してみて下さい。まずは、一般初診を受診して専門外来にまわしてくれるそうです。研究分野について東邦大学大橋病院での研究分野について教えてください。どのような研究をされているのでしょうか?ホームページを拝見しましたが、「研究について」のページを見ても、「爪白癬動物モデルを用いた病理組織学的検討」しかなかったので、もう少し情報を頂きたく思います。(後期研修先を探している研修医です)大橋皮膚科はアトピー性皮膚炎の治療を専門にしております。1~2週間の入院療法は、短期間で急速&確実に改善する方法を言えます。しかし、入院期間に多量に使用する極めて強いステロイド外用剤の副腎機能に関する影響に関して、明らかな文献は見当たりません。そこで、入院前後の血中コルチゾール値を測定してみました。その結果は予想に反して、重症例では入院前のステロイド外用量と関係がなく血中コルチゾール値は大幅に低下。この変化は不可逆性で退院時には上昇して正常値に戻るという結果が得られました。そこで次に、血中ACTHや1日尿中コルチゾール値を測定しました。両者とも同様の推移を呈することより、皮疹の重症度に相関して不可逆性の副腎機能抑制状態が生じていることを昨年11月の日本皮膚科学会誌に報告いたしました。これから入院する患者さんにもその結果をお話して、入院で使用するステロイドの安全性を強調する共に検査し確認を取る旨を了承して頂いております。なお、このデータは昨年の第26回日本臨床皮膚科学会で金賞そして学内の柴田奨学助成金をめでたく選考授賞&授与することが出来ました。次に、この入院期間の前後で治療効果を判定できる"短期的な治療マーカー検査"を検討し、昨年日本アレルギー学会で発表しました。皮膚の改善やかゆみの程度で患者さんは退院を希望されます。明らかな検査データを示し改善度を示すことは疾患の理解を更に深めると思います。大橋皮膚科で行っている入院療法の有用性を評価するために、患者さんを対象にしたアンケート調査を行いこの2月に行なわれる東京支部学術大会で発表します。今年度からは重症例に多くみられる睡眠障害に関して研究を始めます。激しい痒みに伴うものと基礎にある心因反応に伴うものに大別できます。そこで、入院前後の睡眠障害を詳細に分析しその違いを見つけ、後者の人に関しては早期に入眠剤や心療内科的アプローチを検討します。さらに、外来患者にも行い重症度の違い、罹患率など調査していく予定です。ホームページにある"爪白癬動物モデルを用いた病理組織学的検討"は、日本真菌学会および国際学会で報告したので掲載したものです。動物モデルを使って、爪に感染後の経過を臨床面と爪の病理組織像を同時に立体的に観察した興味あるデータです。近く真菌専門の英文誌に掲載されますので、機会があればご一読下さい。この他に、帯状疱疹後の神経痛に関する薬剤間の比較、各種皮膚良性腫瘍におけるダーモスコープ所見の検討、炭酸ガスレーザーを用いた難治性皮膚疾患の治療の試みなどいろいろと考えて行っています。化粧品会社や製薬会社の研究所とも連携して研究し、その成果を順次発表しております。大橋皮膚科では目の前にいる患者さんの疾患をみて、その病態を考えどのようなアプローチをすべきか、解明のための臨床研究を積極的に行っています。珍しい疾患の解明ばかりでなく、ありふれた疾患の新しい考え方や治療法なども発信できればと思っています。やる気のある方は大歓迎です、是非とも来て下さい。アトピー性皮膚炎、診断のコツ研修中なので基本的な質問ですみません。アトピー性皮膚炎の診断について、治療ガイドラインの診断基準を見ながら勉強しているのですが、確信を持って診断を下すことができません。診断間違ってステロイドを処方すると悪化する症例もあるので、少し怖くなっています。今は当然ながら自分一人で診察をして診断を下すわけではないのですが、皮膚科を目指しているので、どうにかしたいです。診断のコツや、先生がどのように勉強されてきたか?などアドバイスいただけると幸いです。難しい問題だと思います。でも専門とする私でも治療&診断ガイドラインは講演のときに使う程度で診療の際に見ることはありません。患者さんを見れば検査をしなくとも100%診断が付きます。皮膚科の醍醐味とはそういうもので、見たことがある、本で読んだ、学会で聞いたなどで診断が出来るのです。要するに、長年たくさんの患者さんを見ることで感じ覚えていくのだと思います。とくにアトピーの難しさは年齢によって皮膚症状の好発部位や臨床像も変化します。時期ごとに出やすい部位、臨床像を整理して覚え、鑑別疾患を挙げその違いを頭の中で除外していく必要性があります。アトピー素因の有無は必要です、そして皮膚所見が有用で湿疹病変と分かってもかぶれもありますし,自家感作性皮膚炎や皮脂減少性皮膚炎もあります。年齢や部位などが役立ちます。血清IgEや各種アレルゲン特異抗体価も診断に有用です。症例をたくさん見て、いろいろな鑑別疾患を整理して頭の中に入れることが重要です。疑問があれば上級医を呼んで,診断の決め手や考え方を教えてもらうのも良いと思います。重症のアトピーとして治療していたら皮膚リンフォーマという事例もあります、皮膚生検も時として有用です。よく見てよく考え疾患の特性を理解して下さい。患者さんを診て、患者さんから教えられる、学ぶものです。民間療法との戦いについて皮膚の疾患、特にアトピーなどは民間療法が多くて困っています。全てを否定するわけではないですが、処方した薬を使わなくなったり、通院しなくなったりするので(大体症状が悪化して戻ってきますが…)かなり厄介です。先生も当然同じような状況かと思います。先生のこれまでのご経験から「このように民間療法と戦っている!」「こんな説明をすると有効だ!」というものがあれば是非ご伝授いただきたく思っております。宜しくお願いします。日本皮膚科学会の努力もあり民間療法は20年前に比べるとかなり淘汰された感はあります。随分日常診療でその対策と説明に苦労させられて来ましたし、重症で入院を要する患者さんの半数以上が民間療法経験者でした。皮膚科医以外の医師や医療関係者が行っている場合が多いようです。患者自身が現在の治療法に不満を抱いているのは事実だと思います。頭ごなしに否定することなく、ゆっくり時間を掛けて話をする・聞くことを心掛けています。どうしてもしたいと言ってくるものに関しては、現在の治療を中止せず併用することや部分使用を認めています。専門家の私が冷静に判断してその効果を認めるなら、継続すべきだし、効果が見えない場合にこだわって皮膚が悪化することは避けたいと話します。ただ、使用しているステロイド剤の副作用を強調して中止を強要し高額な治療費を請求するものは絶対的に反対します。ステロイド治療に不満や不安が強い人が多いので、ステロイドの使用法や安全性を十分説明する必要はあると思います。いずれにせよ、本人は悩んでの事ですから、頭ごなしに叱らない、救済方法を残すやり方で指導しております。 電子付加治療は効きますか?患者より、アトピー性疾患治療として電子付加治療というものがあると聞きました。私も調べてみたのですが、日本アトピー治療学会という聞きなれない学会が推奨しているようです。一見理にかなっているようには見えるのですが、実際のところ如何なものでしょうか?もし電子付加治療について何かご存知でしたらご教示お願いします。残念ながら実態は良く分かりません。私の外来では慢性かつ難治性の重症例が多く受診されますが、受診前の治療法としても電子付加治療は初耳です。アトピー性皮膚炎の治療&診断ガイドラインにも電子付加治療などは記載されていません。日本アトピー治療学会と実にもっともそうなネーミングですが、所属会員がどれほどいるのか?我々のような皮膚科専門医、アレルギー専門医や指導医がいるのか疑問です。これでは質問のお返事とはなりません。丁度インフルエンザAに罹患して自宅待機の身ですので、ホームページをしっかりと拝見しました。基本的におかしいのがアトピーの原因を酸化アレルゲンとして一つに括っていることだと思います。この論理はアトピー性皮膚炎診療&治療ガイドラインをご一読されればすぐ分かります。どこにも記載されている言葉ではありません。アトピーの発生機序は、最近北大皮膚科が皮膚の角層に日本特有のフィラグリン遺伝子多型を30%の症例に発見以来、バリア機能の破綻が発症の第一要因とされました。これに伴い、環境にいるダニやハウスダストが経皮的に侵入してアレルギー炎症が生じるのです。但し乳児は卵など食事の関与が強い時期ですし、年齢的&季節的にアレルゲンや増悪因子は変化します。また最近ではフィラグリン遺伝子多型がなく血清IgE値が正常&主に金属アレルギー関与が示唆される内因性という概念も出ていますし、現代人が抱える心理的なストレスも大きな要因の一つです。またいくつかの要因が複雑に絡み合い病態を複雑にしています。酸化が皮膚の老化以外に種々の炎症を起こすことは知られています。同じ論理で四国の方では活性酸素の除去を目的とした外用剤や内服を行っています。理論は同じで酸素の毒を取り除くというもので、当初大した効果はありませんでした。そこでステロイドを外用剤に混ぜるようになりました。アトピーの機序はすでにお話したように実に複雑で、単に酸素の毒を抑えられても寛解できるか疑問です。理論とシェーマと治療前後の臨床写真だけで基礎的な実験データがありません。ところで、以前中国で何にもよく効く漢方薬がネット上で評判になり日本のアトピー患者も購入者が続発しました。とにかくステロイド張りのすごい臨床効果なのです。そこで成分を調査したところ、何と最強のステロイドが入っていたのです。われわれ専門家でも滅多に使用しない最強のステロイド入りとは驚きです。本当に良い薬は正式に承認され薬価が付きます、新薬の欲しい薬品会社がほっとくわけはありません。入院療法の期間アトピー性皮膚炎に対する治療として「入院療法」が紹介されていましたが、入院期間はどの程度必要なのでしょうか?全国で少数ですが入院療法を当科のように展開しているところはあります。ばらばらで決まり残念ながらありません。治療ガイドラインをみても、マニュアル通りの治療で効果のない場合は入院とありますが期間に関する記載はありません。以前私のいた横浜労災病院では徹底的に良くなるまで入院させました。全国から多数の患者さんが来られたので皮膚症状や検査所見の改善、試験外泊で悪化症状のなしを目安にしたところ平均26.5日という入院期間でした。入院後のアンケート結果をみると、退院時の皮膚症状は改善以上の有効率は93.3%で極めて高く、不変や悪化例はいません。また、調査時の皮膚症状に関しても88.1%と高率に症状が改善維持できていることが判明しました。一方で10%の患者さんが入院期間の長さを指摘、33.3%の方が悪化時の再入院を"出来れば外来で頑張りたい"と答えています。確かに仕事を持つ社会人が1ヶ月近く休むということは問題ですし、家庭を任された主婦そして通学、受験や試験などの問題を抱えた学生にとって長すぎます。そこで、東邦大学に来てからは2週間を原則に致しました。1週間で徹底的に皮膚症状を抑え、残りの1週間で安定化を図る。退院後しばらく頑張ればコントロールできると考えたからです。その結果は2月の東京支部学術大会で発表します。退院時の皮膚症状は改善以上の有効率は92%で極めて高く、調査時の皮膚症状に関しても76%の方が改善維持できていました。一方で9%の患者さんが入院期間の長さを指摘、43%の方が悪化時の再入院を"出来れば外来で頑張りたい"と答えています。重症度や対象患者の遠距離度が異なるかも知れませんが、平均年齢は30歳代と同様でした。やはり2週間でも患者さんにとって長すぎるのかもしれません。そこで次の裏付けデータをもとに1週間に減らしています。そのデータとは、質問3でお答えした入院前後で血中のコルチゾール値を測定した結果を参考にしました。重症度と血中コルチゾール値が相関するなら、入院時に正常値以下まで低下したものが何日入院すると正常値に戻るのか?入院期間と血中のコルチゾール値の推移で計算すると4.8日という値が出ました。そこで、約1週間の入院期間で一過性の副腎機能低下状態は改善できると判断しました。現在、極めて治しにくい重症度の極めて高い皮膚症状を有する例を除き、1週間の入院を基本として初診患者に説明しております。TNF-α阻害薬について乾癬の患者さんがTNF-α阻害薬での治療に興味をもっております。乾癬であれば全て有効なのでしょうか?また、感染症の発現が危惧されると聞きましたが、大橋病院さんではどのような体制で望んでいるのでしょうか?差し支えなければ、これまでの成績も含めて教えていただけると大変参考になります。この治療はどこの施設でも自由に行える訳ではありません。副作用として重要な感染症に対して、診療体制のとれる呼吸器内科医や放射線医の常勤が必要で、皮膚科学会に正式に申請してTNF-α阻害薬使用施設として認定される必要があります。TNF-α阻害薬は2種類あり、多少適応疾患が異なります。詳細は大橋病院皮膚科のホームページを参考にして頂くと役立ちます。本剤の副作用の最も多いのが感染症です。潜在的に持っている、感染しやすいものを発症させます。日本は結核が多く、治験段階で最も危惧されたところです。ところが、しっかりとした体制が奏功したのか肺結核はおらず、細菌性肺炎が見られています。致死的な副作用は今のところありません。勿論、私どもの症例も毎回診察していますが副作用はありません。対象は、重症、難治性&治療抵抗性の乾癬および関節症性乾癬の患者さんです。罹患部位が全身で外用剤のみでコントロール不良な症例、ネオーラルやチガソンの内服でも不安定ないしその薬剤の副作用で中止した例、関節症状のコントロール不良例、さらにステロイド外用剤による局所の副作用が生じている例などです。今後あちこちの施設から有用性のデータが報告されると思いますが、有用率90%は全国の諸施設で行った治験結果の驚異的な数字です。私の経験でとくに驚いたのが、関節症性乾癬の患者さん達です。その効果は患者さんのQOL向上に素晴らしいものです。但し、最大の難点が支払い額の高さです。高額療養費制度を用いて医療費が還付されますが、それでも負担金は極めて高く、投与前に概算を示し了解を得ないと継続した治療が受けられなくなります。また、今後判明してくると思いますが予後が問題です。投与中は良いのですが、中止できるのか再燃しやすいのか、検討課題だと思います。また新薬も開発中で楽しみです。ステロイドの安全塗布量、参考文献先生の記事を拝見して「ステロイドのガイドラインとして現在も使用されている安全塗布量は、40年以上前に海外でステロイドを使う必要のない正常な人を対象にして行われたデータで、その後の追試はありません。」ということを初めて知りました。大変びっくりしています。ステロイドの安全塗布量について他に参考になる文献等がありましたらご教示お願いします。本においてステロイド(ス)外用剤は1953年から登場し、現在までに30種類以上の外用剤が開発。薬効の強さから上位からI~V群の5つに分類され使用されています。幅広い皮膚疾患に有効で、従来まで治療法のなかった疾病の治療薬として大いに役立ったことは事実です。全身皮膚が障害し多量の外用を必要とする症例の中で、Cushing様症状、骨粗しょう症や小児の発育遅延など極めて少ない確率ですが起こることが判明。多量にス外用剤を使用例が突然中止すると、皮疹悪化以外に発熱、悪寒、悪心、嘔吐などの全身症状を呈するものを離脱反応、これは一種の副腎クリーゼの状態です。質問5でお答えした民間療法が横行した時期に、ス外用剤を中止してこの反応を起こしQOLが大幅に悪化、私どもの病院に入院した症例を数多く経験しました。外用を再開し症状を改善させました。全身的な副作用を知るには、主に視床下部-下垂体-副腎皮質機能がどの程度抑制されるのかをチェックします。日常で処方される外用量、成人で10~30g/週程度では抑制は起こりません。この全身的な副作用に関しては1960~1970年代に精力的に研究されたのですが、それ以降はほとんど行われていません。薬効ランクⅢ群(リンデロン)を成人入院に1日30g、幼小児に1日13gと大量塗布した結果。1.副腎皮疹機能は一過性に生じるが、中止後1~2日で回復。2.症例によっては継続中でも抑制が回復。その理由は、皮膚が改善して経皮吸収率が低下する。3.密封療法を行うと経皮吸収率が高まり、臨床効果も上がるが抑制は顕著となる。4.小児では成人より抑制は起こりやすいので強い薬効ランクのものは控える。また、外用方法として1日5~10gで開始し、症状に合わせて漸減し3ヶ月間使用しても、一過性&可逆性の抑制は生じても不可逆性の抑制は生じないとされています。私どもの入院を要する重症例では1日12gも投与しましたが、抑制例は2例と少なくしかも正常範囲内で何ら身体的にも問題は起きませんでした。それどころが、正常値以下に抑制された症例の多くが逆に正常に復したという事実は大きな驚きでした。十分な診察もせず漫然と使い続けるのではなく、メリとハリの要領で使用量や部位別に上手に使うことが大切です。最近外来で勧めているのがプロアクティブ治療です。適切な薬剤で十分量の使用で寛解状態を作り、その後すぐに休薬するのではなく、週2回は外用することで再燃効果を大幅に減少することが出来ます。何も全身同時に開始することはありません。顔からでも、腕からでも良くなった場所はスタートO.K !眼に見えない副作用に怯えることなく、上手に使うことが重要なのです。尋常性ざ瘡(にきび)の食事療法について最近、20~30代の女性の患者様から肌に関するちょっとした質問を受けます。医者なので、ある程度はアドバイスしてあげたいのですが、尋常性ざ瘡の方の食事に気をつけることや最近の新しい治療の動向を、他科医師として知っておくべき事はありますでしょうか?御教示よろしくお願いします。一般的によく言われていることですが、甘いものや脂っこいものは避けるべきです。スナック菓子も同様です。ただ、肌に良くないからといって全部やめようと話しても難しいと思います。食べる回数や量を減らすことが大切です。また女性には生理があります。ホルモンバランスの変化する生理前に悪化する例が多く、イライラする精神的なストレス以外にヤケ食いや飲酒など食生活が悪化要因の場合があります。ディフェリンと言う新しいにきび用の外用薬が発売されています。効果は従来品のアクアチムクリームやダラシンゲルより期待出来ます。但し、皮膚のカサツキがでる場合がありますので注意して下さい。基本的なこととして、入浴時の洗顔が大切です。オイリー肌用の石鹸で十分に洗うこと、とくにベタツク&症状の強い部位は2度洗いを勧めます。入浴後、ご自身の肌にあった化粧水を塗るとかさつきは予防できますが、べたつくクリームやローションは毛穴をつぶしてしまうので禁止です。難治性の症例には、このほかピーリングが行なわれています。毛穴が詰まって角質の溜まった白ニキビや炎症の強い赤ニキビに有効です。自費診療になりますが、皮膚科専門医で行なっている施設は少なくありません。総括いろいろとご質問を頂き感謝しております。話すのは自信が多少あるのですが、文章では相手の理解度が伝わりません。また質問があれば聞いて下さい。実は私が大橋病院ホームページ委員会の責任者なのですが、機械音痴と雑用が多く皮膚科ホームページの更新が遅れ気味なのです。時間があるときに更新いたしますので、時々見て下さい。研修希望者に:どんどん大橋皮膚科を見学に来て下さい。大橋病院は歴史的な作りで驚くかもしれませんが、アットホームな環境で仲良く頑張っています。教える体制はしっかりしています。何をしたいのかをはっきり明示してそれが努力に値する仕事なら全面的にサポートします。ただ、まず皮膚科医としての基本を覚えなければいけません。皮膚科は奥が深く、自己完結型の科と言えます。ある程度オールラウンドの皮膚科医を目指し、その上で疑問、難問の解決を同時進行で行うと臨床が100倍楽しくなります。教授 向井秀樹先生「患者さんと真摯に向き合う中から病態は解明される」

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開業医たちは漢方薬の処方に積極的? 9割が日常診療で処方経験あり

株式会社QLife(キューライフ)は27日、開業医の漢方薬処方の背景や今後の意向についてアンケート調査結果を発表した。回答したのは診療所の院長200名。調査は、2010年5月25日~6月1日にインターネット上で行われた。調査結果によると、日常の診療において漢方薬を使っている医院は89%にのぼった。「患者の5人に1人以上」に処方している医師も13%いた。逆に「過去に処方していたが今はしていない」という回答もあった(8%)。また、漢方薬の処方に積極的なのは「収益好調な」医院に多い傾向があった。また、漢方薬の処方は治療効果以外にも、患者との関係や再診率向上にもメリットがあったと回答した開業医が多かった。特に「患者層に更年期女性が多い」医院では大きな効果がみられたようだ。さらに、3人に1人は今後「漢方薬を増やす」と回答し、すでに積極的に処方している医師ほど増やす意向が強かった。主な理由は「西洋薬のみでは限界」「エビデンス情報の増加」など。その一方で、「エビデンス・メカニズムが不明確」「効果に疑問」「剤形の選択肢が乏しい」などの点で増やしにくいと考える医師も少なくなかった。詳細はプレスリリースへhttp://www.qlife.co.jp/news/1312.html

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一般用医薬品の国内市場は今どうなっている?

富士経済は22日、改正薬事法により変動する国内の一般用医薬品の主要薬効73分野の調査を2010年1月から4月にかけて実施し、分析の結果をまとめたものを発表した。今回は、同社がまとめた報告書「一般用医薬品データブック 2010 No.2」「一般用医薬品データブック 2010 No.3」からの紹介。調査対象は、感冒関連用薬、循環器・血液用薬、泌尿器官用薬、歯科口腔用薬、ドリンク剤、ビタミン剤、その他精神神経用薬、それに漢方薬などの10分野50品目。市場を明らかにすると共に13年に向けて市場を予測した。改正薬事法(2009年6月施行)は、一般用医薬品を副作用リスクの高い順から第1類、第2類、第3類に分け、第1類は薬剤師に取り扱いを限定し、第2類は薬剤師の他に新たに登録販売者の取り扱いも可能としている。第3類は、通信販売も可能となる。ただし、通信販売の取り扱いが第3類に限定されることに対して日本オンラインドラッグ協会や全国伝統薬連絡協議会が反対の姿勢を表明しており、紆余曲折が予想される。また、第1類の取り扱いについてさまざまな課題が明らかになりつつある。2009年は、新型インフルエンザの流行で医療機関受診の傾向が強まり、市場規模の大きい総合感冒薬は562億円と前年から6.6%も落ち込み、感染予防意識の高まりから含嗽剤特需(96億円前年比33%増)が生じた。また、ドリンク剤とミニドリンク剤(一般用医薬品と医薬部外品を合わせた市場)は、2009年はミニドリンク剤が女性用や新コンセプト製品の投入で増加(621億円、前年比1.1%増)したが、冷夏でドリンク剤が低迷(1,039億円前年比3.9%減)して、前年同様、全体では減少という結果になった。改正薬事法は、第1類の取扱店減少や取扱い時間の縮小の影響から大幅に実績が減少する薬効品目も見られた。特に、販売実績が大きかった制酸薬、禁煙補助剤市場では09年は前年比で10%以上の大幅な減少となった。また市場は小規模であるが、新薬効製品として認知途上のしみ治療薬、口唇ヘルペス治療薬、エネルギー代謝改善薬などは、改正薬事法で第1類に分類され売り場の露出が低下して市場は減少した。市場全体では第2類の薬効品目が多いため、2009年の減少は季節要因による需要減退が大きかった。10年1月にはロキソプロフェンナトリウム水和物、エピナスチン塩酸塩、トロキシピドを有効成分とする第1類医薬品が承認されるなど、一般用医薬品市場の停滞状況を打破するために、スイッチOTCを積極的に展開し新規薬効領域開拓や顧客獲得を目指す動きが活発化している。詳細はプレスリリースへhttps://www.fuji-keizai.co.jp/market/10055.html

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モバイル公式サイト『家庭の東洋医学』配信開始

株式会社IMJモバイルは11日、薬日本堂株式会社と共同で、モバイル公式サイト『家庭の東洋医学』サービスを開始した。本サービスは、2010年3月1日から「Yahoo!ケータイ」向けに、8日から「i-mode」向けに、11日から「EZweb」向けに提供開始されている。主なサービス、コンテンツは、192種類の漢方薬、150種類以上の症状から自分に合った処方が検索できる「漢方薬検索」、健康についての疑問に答える「こころの相談室」など。東洋の知恵をわかりやすく教えてくれるコラムは週1回ペースで配信される。他にも、日常の生活に関する質問に回答すると、それぞれの体質に合った養生法がわかる「漢方タイプ診断」や、「人気漢方薬ランキング」、「漢方薬辞典」などもある。料金は月額315円(税込)。URLはhttp://kateino-toyoigaku.jp/詳細はプレスリリースへhttp://www.imjp.co.jp/company/press/release/20100311-001031.html

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加齢による尿の悩みを改善する漢方薬「ベルアベトン」発売

クラシエ薬品株式会社は22日、加齢による衰えから生じる頻尿、軽い尿漏れ、排尿困難などの症状を改善する漢方薬「ベルアベトン」を7月7日より発売すると発表した。同商品は「腎」の働きを補い、加齢による衰えから生じる頻尿、軽い尿漏れ、排尿困難などの症状を改善する漢方製剤「八味地黄丸」からなるもの。8種類の生薬の働きで身体を温め、水分代謝や血液の流れを良くすることで、頻尿や軽い尿漏れなどの症状に効果を現すという。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.kracie.co.jp/image/newsimage/image_f/358/090622_bell_abeton.pdf

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CKD死亡率1.83倍、心血管疾患罹患率2倍:台湾大規模コホート研究

台湾では、慢性腎臓病(CKD)とそれに起因する全死亡の発生率が、特に社会経済的な地位が低い人口層で高く、その低減が公衆衛生学的な優先課題であることが、国立健康研究所健康政策研究開発センターのChi Pang Wen氏らが実施したプロスペクティブな大規模コホート研究で明らかとなった。末期腎臓病、CKDともに世界的な規模で増加しているが、CKDの5つの病期ごとの死亡リスクが明確でないためその影響の全貌は不明だという。Lancet誌2008年6月28日号掲載の報告。46万人以上を対象としたプロスペクティブなコホート研究研究グループは、台湾におけるCKDの全病期ごとの発生率および死亡率を評価し、CKDに起因する全死亡を定量化した。対象は、1994年に開始された標準的医学スクリーニングプログラムに参加した20歳以上の成人46万2,293人。2006年12月31日の時点で1万4,436人が死亡していた。CKDは糸球体濾過率(GFR)および尿蛋白で定義し、年齢および教育水準で補正したコホートにおいて台湾の全国的な発生率を評価した。ハザード比はCox比例ハザードモデルを用いて推算し、CKDに起因する死亡率を全国民および社会経済的な地位が低い人口層について算出した。全人口の10.3%がCKDで死亡、CKDの39%が65歳以前に死亡全国的なCKDの発生率は11.93%(95%信頼区間:11.66~12.28%)であったが、CKDを自覚していたのは参加者の3.54%(95%信頼区間:3.37~3.68%)にすぎなかった。社会経済的な地位が高い人口層に比べ、低い層でCKD発生率が実質的に高かった(19.87% vs. 7.33%)。CKD患者数は5万6,977人であった。観察期間13年、フォローアップ期間中央値7.5年におけるCKD患者の全死亡率は非CKDに比べ83%高く(ハザード比:1.83、95%信頼区間:1.73~1.93)、心血管疾患の罹患率は100%高かった(ハザード比:2.00、95%信頼区間:1.78~2.25)。全人口の10.3%がCKDで死亡していたが、社会経済的な地位の低い人口層のCKDによる死亡率は17.5%であった。CKD患者のうち、2,350人(39%)が65歳以前に死亡していた。漢方薬常用者はCKDの発症リスクが非使用者に比べ20%上昇していた(ハザード比:1.20、95%信頼区間:1.16~1.24)。Wen氏は、「台湾では、CKDとそれに起因する全死亡の発生率が、特に社会経済的な地位が低い人口層で高いため、CKDの低減が公衆衛生学的な優先課題である」と結論、「早世を減らし、CKDの世界的まん延に歯止めをかけるには、自分のGFRを知ることと尿検査の受診に関する社会的な認識を高めることが重要」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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医薬品と栄養補助食品の相互作用に関するデータベースを作成

小林製薬株式会社は、医薬品と栄養補助食品の相互作用に関するデータベースを作成し、2008年5月1日より顧客対応を開始した。医薬品24,718種(漢方薬を除くOTC医薬品と医療用医薬品)と小林製薬が発売する栄養補助食品157種を収載しているとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.kobayashi.co.jp/corporate/news/0878/index.html

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