BPSDへの対応、どうすべきか

提供元:ケアネット

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公開日:2016/09/14

 

 認知症の中核症状と周辺症状(BPSD)は、介護者や臨床医にとって管理上の課題である。米国・トリプラー陸軍病院のTyler R Reese氏らは、認知症におけるBPSDに対する適切な非薬理学的治療と抗精神病薬使用について報告した。American family physician誌2016年8月15日号の報告。

 主なまとめは以下のとおり。

・第1選択となる非薬理学的治療には、身体的および感情的なストレス要因の排除、患者の環境の変更、毎日のルーチンの確立が含まれる。
・家族や介護者は、要介護者の認知症症状や行動は標準的なもので故意ではないと忘れないようにすることについて、介護教育からベネフィットを得ている。
・認知、感情志向性の介入、感覚刺激の介入、行動管理技術、その他の心理社会的介入はわずかな効果である。
・難治性の場合、医師はオフラベル抗精神病薬処方を選択することが可能である。
・アリピプラゾールは、症状改善に対し最も一貫したエビデンスを有するが、改善効果は限定的である。
・オランザピン、クエチアピン、リスペリドンは、ベネフィットに対する一貫したエビデンスが得られていない。
・医師は、有害事象(死亡リスクが最も顕著に増加)を最小限に抑えるために、最小有効量で可能な限り短期間の使用にとどめる必要がある。
・その他の有害事象には、抗コリン作用、抗ドパミン作用、錐体外路症状、悪性症候群、起立性低血圧、メタボリックシンドローム、不整脈、鎮静が含まれる。
・患者は、治療を受けながら、これらの影響を監視する必要があるが、長期治療中の患者に限定してもよい。

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(鷹野 敦夫)