医療一般

高齢者に対するSSRI継続使用、認知症リスクを上昇させるか?低下させるか?

 うつ病は、認知症のリスク因子である。しかし、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)と認知症リスクとの関連を検討した研究において、うつ病を交絡因子として調整した研究は少なく、神経病理学的アウトカムを検討した研究はほとんど存在しない。米国・ジョンズ・ホプキンス大学のJacob S. Shaw氏らは、うつ病の既往歴を有する高齢者におけるSSRIの継続使用と認知機能障害および機能障害の進行、抑うつ症状、認知症に関連する神経病理学的所見との関連を検討した。The American Journal of Geriatric Psychiatry誌2026年1月号の報告。

SCLCの頭蓋内管理、MRIサーベイランス単独かPCI併用か(SWOG S1827/MAVERICK)/WCLC2026

 初回治療後に脳転移を認めない小細胞肺がん(SCLC)患者において、MRIによる脳サーベイランス単独と、MRIサーベイランスおよび予防的全脳照射(PCI)の併用を比較した第III相試験の結果、認知機能低下または死亡までの期間(CFFS)はMRI単独群で有意に良好であった。  米国・コロラド大学のChad G. Rusthoven氏が、世界肺がん学会(WCLC2026)で発表した第III相無作為化比較試験SWOG S1827/MAVERICKの結果である。  SCLCは脳転移の頻度が高く、予防的治療を行わない場合、約40~60%が脳転移を発症するとされる。PCIは頭蓋内病勢進行を約50%低下させる一方で、認知機能やQOLへの障害を引き起こす。

イサツキシマブ皮下注が多発性骨髄腫の治療とSDMにもたらすもの/サノフィ

 抗CD38抗体薬を含む4剤併用療法の導入により、多発性骨髄腫(MM)の1次治療は進化を遂げている。そのような中、従来の静注製剤に加え、イサツキシマブ(商品名:サークリサ)に皮下注製剤が登場した。サノフィが開催したメディアセミナーでは、日本赤十字社医療センターの鈴木 憲史氏、湘南鎌倉総合病院の佐藤 淑氏が登壇。イサツキシマブによる治療の進展と、皮下注製剤の登場がShared Decision Making(SDM)にもたらす影響を紹介した。  近年、MMの治療成績は向上し、標準リスク患者の約6割が10年生存する時代となっている。

ピロリ除菌の保険適用拡大後、日本の胃がん死亡・罹患はどう推移したか

日本では、2013年2月にHelicobacter pylori(H. pylori)陽性の内視鏡診断慢性胃炎に対する除菌療法が保険適用となり、胃がん予防に関わる診療環境が大きく変化した。一方、この保険適用拡大後の胃がん死亡・罹患数の全国的な推移については、人口高齢化や内視鏡検査の普及などを踏まえた解釈が求められる。そこで、札幌・カレス記念病院の浅香 正博氏らは、2013年の保険適用拡大前後における日本の胃がん死亡および罹患の推移を検討した。その結果、2013年以降、日本の胃がん死亡数は減少し、とくに80歳未満で死亡数の減少が顕著であった。罹患数もその後のピークを経て減少した。本研究結果は、Helicobacter誌2026年9・10月号に掲載された。

男性乳がんに術前化学療法は有効か~SEERデータでの検討

 術前化学療法(NAC)は女性の乳がんで広く行われているが、男性の乳がんにおけるNACの有効性は十分に明らかになっていない。今回、中国・Zhejiang University School of MedicineのLiwei Pang氏らは、SEERデータベースを用いて、男性乳がんに対するNAC後の病理学的完全奏効(pCR)率および全生存期間(OS)をサブタイプ別に検討した。その結果、男性乳がん患者では女性乳がん患者と比較してpCR率が有意に低く、とくにホルモン受容体(HR)+/HER2-およびHR+/HER2+ではNACへの抵抗性がより高かった。また、男性乳がんにおいてpCRはOSの予後因子ではないことが示唆された。Breast Journal誌2026年9月12日号に掲載。

再発卵巣がんに対するmirvetuximab soravtansine(MIRV)の実臨床における有用性

 再発卵巣がんを対象に、抗体薬物複合体(ADC)であるMIRVの実臨床での有効性と安全性を評価した後方視的コホート研究を行った。その結果、MIRVは臨床的に意義のある生存期間の延長を示した一方で、その治療成績は患者の全身状態(PS)に影響を受けることが明らかになった。  本研究は米国・ワシントン大学のAnna V. Jones氏らによるもので、Gynecologic Oncology Reports誌オンライン版2026年9月1日号に掲載された。

残余リスク可視化へ、Lp(a)コンセンサス・ステートメント公表/日本動脈硬化学会

 日本動脈硬化学会は2026年9月14日、Lp(a)に関する日本版『コンセンサス・ステートメント』を公表した。本ステートメントは、「世界的なエビデンスと日本の疫学的および臨床的現実を統合し、将来の治療および医療システムの発展を支援しつつ、日本に合わせたLp(a)の測定、解釈、リスク層別化、および管理に関する明確な推奨事項を提供することを目標」として作成された。今回、日常診療においてLp(a)測定の普及促進を訴える、日本動脈硬化学会Lp(a)タスクフォースの吉田 雅幸氏(日本動脈硬化学会理事長/東京科学大学 生命倫理センター長・大学院先端倫理医科学分野 教授)が測定法や心血管リスク評価への具体的な活用法など、診療で実践すべき臨床的Key takeawayについて解説した。

HER2変異NSCLCの1次治療、T-DXdでPFS改善(DESTINY-Lung04)/WCLC2026

 HER2遺伝子変異陽性の切除不能局所進行または転移を有する非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療では、免疫療法+プラチナ製剤併用化学療法が標準治療とされるが、十分な治療効果が得られない患者も少なくない。そこで、Julia Rotow氏(米国・ダナ・ファーバーがん研究所)らは、HER2遺伝子変異陽性NSCLCの1次治療として、HER2を標的とする抗体薬物複合体トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)単剤療法と、ペムブロリズマブ+プラチナ製剤+ペメトレキセド併用療法を比較する国際共同第III相試験「DESTINY-Lung04試験」を実施した。その結果、T-DXd単剤療法は、無増悪生存期間(PFS)を有意に改善した。本結果は、2026年9月12~15日に開催された世界肺がん学会(WCLC2026)で発表された。

初発統合失調症患者の認知機能に血清尿酸値が関係か

 認知機能低下は、統合失調症の中核的な特徴の1つである。また、酸化ストレスや代謝調節に関与する代謝産物である尿酸は、統合失調症の病態生理に関与していることが示唆されている。しかし、初発未治療の統合失調症患者における尿酸と認知機能の関連に関するエビデンスは依然として限られている。中国・山西医科大学のXiaojuan Zhang氏らは、初発未治療の統合失調症患者を対象に、血清尿酸値と認知機能との関連を検討した。Psychiatry Research誌2026年10月号の報告。  対象は、初発未治療の統合失調症患者521例。血清尿酸値を測定し、精神病理学的症状は陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)、認知機能は神経心理検査アーバンズ(RBANS)を用いて評価した。多変量回帰分析、四分位に基づく分析、サブグループ解析を実施した。

今年も「ワクチン虎の穴セミナー」を開催/プライマリ・ケア連合学会

 日本では、今年も麻しん流行や肺炎球菌ワクチンのPCV20への変更など、感染症やワクチンに関係する話題が多い。また、海外ではハンタウイルス、エボラ出血熱などの再興感染症の流行も危惧されている。  こうした環境の中、「こどもとおとなのワクチンサイト」を運営する日本プライマリ・ケア連合学会 感染症委員会 ワクチンチームは、10月に医師・医療従事者向けに「ワクチン虎の穴セミナー」を開催する。

わずか2日で開発、医師が生成AIで作った医療英語アプリ

 医療現場で使う英語をスマートフォンで学べるiOSアプリ「Casey English Prep」が登場した。開発したのは、米国で臨床に携わる山田 悠史氏(マウントサイナイ医科大学 老年医学科 アシスタントプロフェッサー)。問診や病状説明、申し送り、学会発表などで使う英語フレーズのほか、医療英単語や略語などを反復して学習できる。特徴的なのは、山田氏は監修にとどまらず、生成AIを活用して自らアプリそのものを開発したことだ。週末の2日ほどでアプリの原型を作り上げたという。  アプリ開発の原点には、山田氏自身の米国での臨床経験がある。

日本の胃がん検診、内視鏡vs.胃部X線の感度・特異度は

本邦では、50歳以上を対象とする住民ベースの胃がん検診における検査法として、胃内視鏡検査と胃部X線検査が推奨されている。しかし、両検査法の限局性胃がん検出能に関する、近年のリアルワールドでのエビデンスは限られている。神奈川県立がんセンターのChoy-Lye Chei氏らは、リアルワールドにおける集団検診の環境下で、胃がんおよび各臨床病期について胃内視鏡検査および胃部X線検査の検出性能を推定した。Gastric Cancer誌オンライン版2026年9月9日号掲載の報告より。

全国に整備が義務付けられた「認知症疾患医療センター」その地域格差は

 日本の認知症施策では、各2次医療圏に1ヵ所以上の認知症疾患医療センターを設置し、地域を問わず専門的な認知症医療サービスへの公平なアクセスを確保することが求められている。新潟医療福祉大学の馬場 美彦氏らは、認知症疾患医療センターの地理的・気候的特性および地理的アクセシビリティを明らかにするとともに、各2次医療圏への設置方針にもかかわらず同施設が未設置である2次医療圏の地理的特性を解明することを目的とし、本研究を実施した。BMJ Open誌2026年8月14日号の報告。

医師はネコ派とイヌ派ではどちらが多い?/医師1,000人アンケート

 全国犬猫飼育実態調査2025(日本ペットフード協会調べ)によれば、ネコの飼育数は約884万頭、イヌの飼育数は約682万頭と報告されている。近年は室内飼いの手軽さやSNS映えからネコの人気が高い。では、医師はネコ派とイヌ派のどちらが多いのだろう。CareNet.comでは、2026年8月12~18日にかけて「ネコ派かイヌ派か」について医師会員のアンケートを行い、医師会員1,025人より回答を得た。  質問1で「ネコ派かイヌ派」を尋ねたところ、「ネコ派」と回答した医師会員は20%、「イヌ派」と回答した医師会員は56%、「どちらでもない/決めることはできない」と回答した医師会員は24%であり、医師会員の間では「イヌ派」が圧倒的に多かった。

10月23日(金)開催『第8回ヘルスケアベンチャー大賞』最終審査会【ご案内】

 未来のヘルスケアを変える企業は、ここから生まれるかもしれない―。日本抗加齢協会は2026年10月23日(金)、アンチエイジングに資する医療・ヘルスケア分野で革新的な挑戦を続けるスタートアップを応援する「第8回ヘルスケアベンチャー大賞」最終審査会を開催する。  本アワードは、医療・学術界と産業界をつなぎ、新しい価値を創出するヘルスケアスタートアップを発掘・支援することを目的に開催されており、グローバルに羽ばたく登竜門として毎回大きな注目を集めている。

2049年までに世界の1型糖尿病患者数が約3割増加と予測

 世界の1型糖尿病の患者数が、2049年までに急速に増加する可能性のあることが分かった。ステノ糖尿病センター(デンマーク)のAnders Green氏らの研究の結果であり、詳細は第62回欧州糖尿病学会(EASD2026、9月28日~10月2日、イタリア・ミラノ)での発表が予定されている。  この研究では、1型糖尿病の発症率、人口年齢分布、生存率に関する入手可能なデータに加え、各国におけるインスリン供給の歴史的変化のパターンも考慮に入れた、「DIAMOND-T1Dモデル」という新しい予測モデルを用いて、1型糖尿病の発症率、有病率、死亡率の変化を、全世界と国・地域別に予測した。その結果、世界の1型糖尿病患者数は、今後24年間で29%増加し、2025年の944万5,191人から2049年には1218万3,418人に達する可能性が示された。

ソーシャルメディア、長時間利用は自己申告によるうつ病と関連

 ソーシャルメディアの利用時間が長い成人では、自分はうつ病だと申告する割合が高いことが、新たな研究で示された。ソーシャルメディアの利用が1日約150分に達するあたりから、自己申告によるうつ病(self-reported depression;SRD)との関連がより明確になる傾向が認められたという。米シンシナティ大学教授のHans Breiter氏らによる研究で、詳細は8月22日付で「npj Mental Health Research」に掲載された。ソーシャルメディアは、仕事や学歴、ゲーム、インターネットサーフィン、テレビ視聴などの要因と比べても、SRDの予測因子としてはより重要だったという。

化学療法を使わない新たな治療法が一部の転移のある乳がん患者に有望

 ホルモン受容体(HR)陽性HER2陽性の転移のある乳がんに対する新たな治療法によって、一部の患者では、少なくとも初回治療として化学療法を回避できる可能性が、第1・2相臨床試験で示された。米マウントサイナイ・アイカーン医科大学乳腺腫瘍内科臨床部長のAmy Tiersten氏らによるこの試験の詳細は、7月30日付で「Journal of the National Cancer Institute」に掲載された。  Tiersten氏は、「これらの知見は、より大規模なランダム化臨床試験で確認する必要があるが、一部の患者では将来的に、この治療法が初回治療として化学療法に代わる有効な選択肢となる可能性がある」と述べている。

ショウガは片頭痛予防に有効?

 オーストラリア・Bond UniversityのTiffany Atkins氏らは、片頭痛の治療およびマネジメントにおけるショウガの有効性を明らかにするため、ランダム化比較試験(RCT)のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。BMJ Evidence-Based Medicine誌オンライン版2026年8月14日号の報告。  ショウガの単独または補助療法の効果を、プラセボまたは通常の有効対照薬(バルプロ酸、アミトリプチリン、スマトリプタンなど)と比較したRCTを対象とした。2025年3月26日(2026年4月16日に更新)までに公表された研究をPubMed、Embase、CINAHL、PsycINFO、Epistemonikos、Cochrane CENTRALより検索した。採用された対象研究について、引用文献および被引用文献のフォローアップ調査(前方・後方検索)を実施した。2人の著者が独立して文献のスクリーニングとデータ抽出を行い、Cochrane Risk of Bias 2(ROB 2)ツールを用いてバイアスのリスクを評価した。主要評価項目には、治療後の頭痛重症度または疼痛スコア、治療後に疼痛消失または疼痛緩和が得られた患者の割合、片頭痛発作の頻度と持続時間、片頭痛に伴う症状を含めた。ランダム効果モデルを用いたメタ解析を実施し、Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation(GRADE)手法を用いてエビデンスの確実性を評価した。

乳がん術後放射線療法、左側と右側で虚血性心疾患リスクに差

 乳がん術後放射線療法の部位(左側vs.右側)と虚血性心疾患リスクとの関連を調査した後ろ向きコホート研究の結果、ベースライン時の心血管リスクが高い患者では、左側乳房への放射線療法(左側RT)は、右側乳房への放射線療法(右側RT)と比較して虚血性心疾患リスクの上昇と関連したことを、韓国・Ajou University School of MedicineのChung Seung Yeun氏らが示した。JAMA Network Open誌2026年9月2日号掲載の報告。  研究グループは、韓国国民健康保険公団のデータベースを用いて、全国規模の後ろ向きコホート研究を実施した。