医療一般

糖尿病患者の将来リスクをAI活用で予測/福島医大・日本糖尿病学会ほか

 福島県立医科大学と千葉大学、国立健康危機管理研究機構(JIHS)らの研究グループは、株式会社エフコムとの共同研究により、AIを活用して糖尿病を5つのサブタイプに分類し、将来の合併症・併存症リスク(糖尿病関連腎臓病、透析導入、心血管障害など)を推計するウェブプラットフォーム「福島医大 糖尿病未来予測ナビ」を研究・開発した。このウェブプラットフォームは。5月20日に福島県立医科大学附属病院、日本糖尿病学会、てだこ浦西駅循環器・糖尿病クリニックの各ホームページ上で公開された。

心血管疾患2次予防、LDL-C 55mg/dL未満の達成後も高Lp(a)は強力な残余リスクに/EAS2026

 欧州心臓病学会(ESC)などのガイドラインでは、アテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の2次予防において、LDL-C 55mg/dL未満への厳格な管理を推奨している1)。しかし、依然として残る心血管リスク因子として、遺伝的要因の強いリポ蛋白(a)[Lp(a)]が注目されている。現在、具体的なLp(a)低下療法が確立されていない中、LDL-Cを徹底的に低下させることでLp(a)によるリスクをどこまで軽減できるか、とくに日本人患者における検証は不十分であった。  ギリシャ・アテネで開催された欧州動脈硬化学会(EAS2026)にて、国立循環器病研究センターの片岡 有氏らの研究グループがこの課題に関する多施設共同研究「Lp(a)-JAPAN study」の成果を発表した。なお、本研究はEuropean Heart Journal誌オンライン版2026年5月24日号に同時掲載された。

医師確保の新しい選択肢に、「旅当直」サイトオープン

 地方の医療機関にとって、医師確保は長年にわたる大きな経営課題となっている。とくに当直体制の維持は、常勤医の負担軽減や病院機能の継続に直結する一方で、従来の人材紹介や単発アルバイトだけでは、中長期的な関係性づくりにつながりにくいという課題がある。 こうした中、Mediative株式会社は、都市部の医師が地方の医療機関で当直勤務を行いながら、その土地の人や文化、地域医療の現場に触れる新しい地域医療体験「旅当直」のポータルサイトを、2026年5月14日に公開した。本稿では特別寄稿として、Mediative代表で医師の畑 拓磨氏が本サービスの特徴を紹介する。

市中肺炎で検出された肺炎球菌、ワクチンカバー率は?/感染症学会・化学療法学会

 肺炎球菌は市中肺炎(CAP)の主要な原因菌である。侵襲性肺炎球菌感染症のサーベイランスは、日本を含む多くの国で確立されているものの、肺炎球菌性CAPの血清型分布については、国内データが十分に蓄積されているとはいえない。そこで、日本の成人入院CAP患者を対象に、肺炎球菌性CAPの臨床的特徴、臨床転帰、肺炎球菌血清型の分布を明らかにすることを目的として、多施設共同前向き研究「PNEUMO Japan」が実施されている。本研究の中間解析の結果、肺炎球菌陽性と判定された患者は17.6%であり、CAP患者から検出された計76血清型のうち、89.5%は21価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV21)に含まれる血清型であることが示された。

患者に最も好まれる第1選択抗精神病薬は?

 初回エピソードの精神疾患患者に対する抗精神病薬の選択は、臨床医が複数の基準を経験的に評価する必要があるため、非常に困難な課題である。診療記録を用いて開発された精密治療(precision treatment)ルールは、臨床医の治療選択を支援する実用的なアプローチを提供できるが、副作用や患者の嗜好は考慮されていない。イタリア・University of PaviaのKamil Krakowski氏らは、初回エピソードの精神疾患における第1選択抗精神病薬推奨のための、有効性、副作用、患者の嗜好を総合的に考慮した精密治療ルールの開発および検証を行った。Translational Psychiatry誌オンライン版2026年4月11日号の報告。

慢性片頭痛、最も有望な治療薬はCGRP標的治療薬か

 慢性片頭痛は治療が難しいことがあるが、慢性片頭痛の成人患者を対象としたランダム化比較試験(RCT)を解析した大規模レビューで、CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)またはその受容体を標的とする新しいクラスの治療薬が、最も有効である可能性が示された。CGRP標的治療薬には、eptinezumab(商品名Vyepti)やアトゲパント(商品名Qulipta、アクイプタ)などが含まれる。マクマスター大学(カナダ)Michael G. DeGroote Institute for Pain Research and CareのMalahat Khalili氏らによるこの研究結果は、「Annals of Internal Medicine」に5月5日掲載された。

「トイレでのスマホ」が痔の悪化の一因に

 米国消化器病学会(AGA)は4月29日、現時点で推奨される痔の診断と治療に関するベストプラクティスを公表した。AGAは、痔の診断・治療は消化器内科医が積極的に担うべきだとした上で、症候性の痔に対する第一治療選択肢は、食生活を見直して便通を整え、スマートフォン(以下、スマホ)を見ながらトイレに長居する習慣を改めることだとしている。  最新の「米国人のための食事ガイドライン」では、毎食でのタンパク質摂取や全脂肪乳製品の摂取が重視されているが、消化器専門医らは、高タンパク食、特に赤肉中心の食事に偏るあまり、食物繊維の摂取がおろそかになる傾向を懸念している。

難治性肺MAC症へのベダキリン、培養陰性化を改善(TMC207NTM3002)/ATS2026

 肺非結核性抗酸菌症(肺NTM症)のうち、Mycobacterium avium complex(MAC)を原因菌とする肺MAC症では、多剤併用療法を6ヵ月以上実施しても細菌学的効果が不十分な患者を難治例としている。難治性肺MAC症の治療選択肢は限られている。ジアリルキノリン系抗菌薬であるベダキリンは、多剤耐性結核に対する併用療法の一部として用いられており、MACに対してin vivoでの活性も報告されている。そこで、難治性肺MAC症に対するベダキリンの有効性および安全性を検討することを目的として、国際共同第II/III相無作為化比較試験「TMC207NTM3002試験」が実施された。

爪白癬への外用抗真菌薬、反応不良と関連する因子は/岩手医科大ほか

 外用抗真菌薬は爪白癬に対して広く用いられているが、患者内相関を考慮し、治療反応に関する病変レベルの予測因子が定量化されたデータはほとんどない。岩手医科大学の井上 剛氏らは、爪白癬患者の治療反応とその予測因子について、一般化推定方程式(GEE)を用いた解析を実施した。The Journal of Dermatology誌オンライン版2026年5月17日号への報告より。  本研究では、2017~21年にルリコナゾール爪外用液5%またはエフィナコナゾール爪外用液10%で治療された爪白癬患者を後ろ向きに検討し、66例について計80病変を特定した。

軽度認知障害患者は1年でどの程度認知機能が低下するのか?

 中国・黒龍江中医薬大学のMingyang Liu氏らは、軽度認知障害(MCI)患者における認知機能低下の軌跡を調査し、関連するリスク因子を特定するため、レトロスペクティブコホート研究を実施した。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2026年4月13日号の報告。  対象は、2021~24年にMCIと診断された高齢患者500例。MCIから認知症への進行に関連するリスク因子を特定するため、多変量Cox比例ハザード回帰モデルを用いた。認知機能低下の年間進行率は、最終スコアとベースラインスコアの差をフォローアップ期間で割って算出し、関連因子の特定には多変量線形回帰分析を用いた。

電子カルテ情報からAIが小児のADHD診断リスクを予測

 注意欠如・多動症(ADHD)は世界で数百万人もの小児に影響を及ぼしているが、多くは診断を受けないまま何年も過ごしており、早期支援の機会を逃している。こうした中、新たな研究で、人工知能(AI)が電子カルテを分析することで、一般にADHDと診断される時期よりも早い段階で、小児のADHDリスクを高い精度で推定できる可能性が示された。米デューク大学医学部のデータサイエンティストであるElliot Hill氏らによるこの研究は、「Nature Mental Health」に4月27日掲載された。  Hill氏は、「電子カルテの記録は非常に豊富な情報源となる。

夜間の食事でストレスによる腸の不調が悪化

 夜遅い時間帯の食事は、ストレスによる腸の不調を悪化させる可能性があるようだ。午後9時以降の食事量が多い人は、便秘や下痢のリスクが高くなる可能性が、新たな研究で示された。米セントメアリーズ・アンド・セントクレアズ病院のHarika Dadigiri氏らによるこの研究結果は、消化器疾患週間会議(DDW 2026、5月2〜5日、シカゴ)で発表された。  Dadigiri氏は、「何を食べるかだけでなく、いつ食べるかも重要だ。また、すでにストレスを抱えているときには、食べるタイミングが腸内環境にとって『二重の負担』となる可能性がある」とニュースリリースで述べている。

チルゼパチドが中等症以上のOSASに適応拡大

 厚生労働省薬事審議会・医薬品第一部会は4月24日、日本イーライリリーの肥満症治療薬チルゼパチド(商品名:ゼップバウンド皮下注)について、中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)など2つの適応拡大が承認された。そして、厚生労働省が5月18日に承認したことに伴い、チルゼパチドの添付文書が改訂された。また、本剤の使用に当たっては、最適使用推進ガイドラインを参照していただきたい。

HR+/HER2+早期乳がん、de-escalation術前療法でも良好な長期予後(WSG TP-II)/JCO

 HR+/HER2+の早期乳がんにおいて、術前療法としてトラスツズマブ+ペルツズマブにパクリタキセルまたは内分泌療法(ET)を併用した第II相WSG TP-II試験の結果、ET併用群でも良好な長期生存アウトカムが得られたことが、ドイツ・Evangelisches Krankenhaus Bethesda KlinikのOleg Gluz氏らにより示された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2026年5月18日号掲載の報告。  本試験は、手術可能なHR+/HER2+乳がん患者を対象に、トラスツズマブ+ペルツズマブの術前療法(12週間)に加え、パクリタキセル(週1回)またはETの併用が、病理学的完全奏効(pCR)や全生存期間(OS)などに及ぼす影響を評価した第II相多施設共同無作為化非盲検試験。

統合失調症や双極症リスクを低下させる修正可能なリスク因子は?

 統合失調症や双極症は、遺伝的リスク因子と修正可能なリスク因子の影響を受ける、重篤な精神疾患である。脳ケアスコア(BCS)は、身体的、生活習慣、社会情緒的にわたる12の修正可能な因子から構成される検証済みのツールであり、それぞれが脳の健康に関連している。中国・北京大学のYichen Cui氏らは、多遺伝子リスクスコア(PRS)により定量化されたさまざまな遺伝的リスクレベルにおいて、BCSが統合失調症または双極症のリスクとどのように関連するかを調査した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2026年4月13日号の報告。

ピロリ菌検査・除菌、普及の成果と残された課題/日本消化器病学会

 2013年にHelicobacter pylori(H. pylori)感染胃炎への除菌治療が保険適用となってから10年以上が経過し、感染検査と除菌治療は一般化した。H. pylori感染者は急速に減少傾向にあるが、新たな課題も生じているという。2026年4月16~18日に開催された第112回日本消化器病学会総会では、「ヘリコバクター・ピロリ診療の課題と将来展望」と題したパネルディスカッションが行われ、2024年刊行の「H. pylori感染の診断と治療のガイドライン(改訂版ガイドライン)」作成委員会委員長の下山 克氏(青森県総合健診センター所長)が基調講演を行った。

認知症スクリーニングは家族の心理的負担を増やさない

 認知症のスクリーニングを受けることは、高齢者本人や家族が将来の疾患の進行に備えて計画や準備をするための「事前の警告」となり得る。一方で、陽性と判定された場合、家族が介護者としての役割に不安を抱いたり、高齢者本人が自立を失うことを心配したりするなど、ストレスとなる可能性もある。  しかし、こうしたストレスを理由に認知症のスクリーニングを先延ばしにする必要はないようだ。大規模臨床試験において、かかりつけ医の診察時に実施されたアルツハイマー病および関連認知症(ADRD)のスクリーニングの結果は、高齢者の家族に心理的苦痛を引き起こさないことが示された。米インディアナ大学医学部のNicole Fowler氏らによるこの研究結果は、「JAMA Internal Medicine」に4月20日掲載された。

介助犬は介護者並みのケアを提供する

 介助犬は私たちが考えている以上に、障害や病気を抱える人の「積極的なケア提供者」として行動しているようだ。人間と介助犬との協働的な相互作用を調査した新たな研究で、介助犬は、飼い主の健康状態を予測したり、移動を補助したり、人間やロボットでは代替できない方法で精神的な支えを提供したりするなど、目に見えないケア活動を行っていることが明らかになった。アールト大学(フィンランド)経営学部のAstrid Huopalainen氏とトゥルク大学(フィンランド)経済学部のSuvi Satama氏によるこの研究の詳細は、「Human Relations」に3月20日掲載された。

半月板部分切除術、長期的改善は認められず

 世界的に広く実施されている膝の手術の一つである半月板部分切除術は、患者の症状改善に寄与しないばかりか、症状悪化につながる可能性がある----そんな研究結果を、ヘルシンキ大学(フィンランド)外科分野教授のTeppo Jarvinen氏らが報告した。半月板損傷は、膝関節内にある半月板が損傷することで、痛みや腫れ、関節可動域の制限などを引き起こす疾患で、半月板部分切除術は、その損傷部分を切除する手術だ。Jarvinen氏らの研究では、この手術は長期的には膝の痛みや機能を改善せず、むしろ関節炎の進行を促進する可能性が示された。詳細は、「The New England Journal of Medicine(NEJM)」に4月29日掲載された。

ヨーグルトや低脂肪チーズ、高齢期のうつ病や認知症予防に有効?

 ヨーグルトやチーズなどの発酵乳製品には、非乳製品とは異なる生理活性成分が含まれているが、高齢期のうつ病や認知症リスクとの関連性については依然として不明であった。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のMuniratul Idrus氏らは、発酵乳製品摂取と高齢期のうつ病および認知症リスクとの関連を調査した。Nutrients誌2026年3月24日号の報告。  年齢70~90歳で地域在住の高齢者を対象としたコホート研究であるSydney Memory and Ageing Studyのデータを用いて、乳製品摂取と抑うつ症状(15項目の老年期うつ病評価尺度:GDS15)、心理的苦痛(Kessler-10[K10尺度])、うつ病(医師による診断または抗うつ薬の使用)と認知症(DSM-IV基準)との関連性を検討した。