医療一般

食道がん1次治療、ニボルマブ+CRTの安全性確認、完全奏効率73%(NOBEL)/京都大学ほか

 国内における食道がんの初回標準治療は術前化学療法+手術である。近年、切除不能進行再発例の2次治療におけるニボルマブをはじめ、免疫療法も承認されているが、放射線療法との併用に関する有用性のエビデンスは限られていた。京都大学をはじめとした国内5施設において、ニボルマブと放射線療法の併用の有用性を検討するNOBEL試験が行われ、完全奏効(CR)率や1年全生存(OS)率などで有望な成績が報告された。京都大学の野村 基雄氏らによる本研究結果は、EClinicalMedicine誌2026年1月号に掲載された。

アルツハイマー病に伴うアジテーション、最適なブレクスピプラゾールの投与量は?

 アルツハイマー病に伴うアジテーションは、患者の転帰と介護者の負担に重大な影響を及ぼす。ブレクスピプラゾールは有望な治療選択肢と考えられている。しかし、至適用量は依然として不明であった。サウジアラビア・King Faisal UniversityのMahmoud Kandeel氏らは、アルツハイマー病に伴うアジテーションの治療におけるブレクスピプラゾールの異なる用量の有効性と安全性を比較するため、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2025年12月8日号の報告。

高齢者の健康関連QOL低下の最も強い予測因子は?/名古屋大学

 最大12年間にわたり縦断的に収集された日本の地域在住高齢者データを用いて健康関連QOLの長期的な変化パターンとその予測因子を調査した結果、一部の健康関連QOLは一律に低下するのではなく、維持する群と急速に低下する群に分かれ、その分岐を最も強く予測していたのは睡眠の質の悪化であったことを、名古屋大学の大島 涼賀氏らが明らかにした。Scientific Reports誌2025年12月7日号掲載の報告。  主観的な身体・精神・社会的健康を包括的に評価する健康関連QOLは将来の死亡率や心血管疾患の発症などと関連することが報告されている。

納豆が心房細動リスクを下げる?~日本人前向き研究

 大豆食品の摂取量が多いと心血管疾患を予防する可能性があることが報告されているが、心房細動予防においては解明されていない。今回、国立循環器病研究センターのParamita Khairan氏らが、都市部の日本人一般集団を対象とした前向きコホート研究で、大豆食品およびその栄養素(イソフラボン、ビタミンK)における心房細動発症率との関連を調査したところ、女性でのみ、納豆およびビタミンKの摂取量が多いと心房細動リスクが低いことが示された。The Journal of Nutrition誌2026年1月号に掲載。

中年期のうつ病の6つの症状が将来の認知症と関連

 中年期のうつ病は、これまで認知症リスクの増加と関連付けられてきた。しかし、新たな研究で、認知症と関連するのはうつ病全体ではなく、6つの特定の症状から成るクラスターである可能性が示唆された。研究グループは、これら6つの症状に焦点を当てることで、中年期に抑うつ症状に苦しんでいる人が将来、認知症を発症するのを回避できる可能性があると述べている。英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)のPhilipp Frank氏らによるこの研究結果は、「The Lancet Psychiatry」に12月15日掲載された。  Frank氏は、「認知症リスクは、うつ病全体ではなく、限られた数の抑うつ症状と関連している。

うつ病の死亡リスク調査、抗うつ薬治療の影響は?~メタ解析

 うつ病は早期死亡と関連していることが報告されている。しかし、抗うつ薬治療を含む増悪因子や保護因子にも焦点を当て、うつ病患者における全死亡リスクおよび原因別死亡リスクを包括的に検討したメタ解析はこれまでなかった。中国・香港大学のJoe Kwun Nam Chan氏らは、あらゆる原因および特定の原因によるうつ病、併存疾患を有するうつ病における死亡リスクを明らかにするため、コホート研究のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施し、推定値を統合した。World Psychiatry誌2025年10月号の報告。  抗うつ薬および電気けいれん療法(ECT)の影響、死亡リスクのその他の潜在的な調整因子を評価した。2025年1月26日までに公表された研究をEMBASE、MEDLINE、PsycINFOデータベースより検索し、ランダム効果モデルを用いて死亡率推定値を統合した。

アルツハイマー病、発症から診断までは2.2年/新潟大学ら

 アルツハイマー病(AD)では、治療・ケア方針の決定において早期診断が極めて重要となるが、日本における診断までの実際の経過は明らかではなかった。新潟大学の春日 健作氏らは、日本国内の複数施設を対象に、症状出現からAD診断に至るまでの期間とその過程で最も時間を要する段階を明らかにする後ろ向き観察研究を実施した。本試験の結果はAlzheimer's & Dementia誌オンライン版2025年12月25日号に掲載された。  本研究には、2011年4月~2023年3月に「ADによる軽度認知障害(MCI)」または「AD型認知症」と診断された18~79歳の患者138例が含まれた。発症年齢65歳未満を若年発症AD、65歳以上を高齢発症ADと定義し、初診日で1対1にマッチングした上で解析した。

アトピー性皮膚炎治療薬のネモリズマブがかゆみを迅速に軽減

 最近承認された注射型のアトピー性皮膚炎(AD)治療薬ネモリズマブ(商品名Nemluvio)が、悩ましいこの疾患に苦しむ患者に迅速なかゆみの緩和をもたらすことが、新たな研究で示された。スイスの製薬会社であるガルデルマ社の研究者らの報告によると、治療開始からわずか2日でかゆみが軽減した患者の割合は、ネモリズマブを投与された群でプラセボを投与された群の3倍以上に上ることが示された。さらに、ネモリズマブ群では睡眠も改善した。ガルデルマ社治療用皮膚科学プログラム責任者であるChristophe Piketty氏らによるこの研究結果は、「Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology」に12月16日掲載された。

食事の飽和脂肪酸を減らすことは心疾患の高リスク者に有益

 心疾患のリスクが高い人は、飽和脂肪酸の摂取量を減らすことで健康にプラスの効果を得られる可能性のあることが、新たなシステマティックレビューで示された。心疾患リスクの高い人が食事中の飽和脂肪酸の量を減らした場合、心筋梗塞や脳卒中の発症数が減少することが明らかになったという。一方、心疾患のリスクが低い人では、5年間の追跡期間で同様の効果は明確には確認されなかった。詳細は、「Annals of Internal Medicine」に12月16日掲載された。  このシステマティックレビューでは、合計6万6,337人が参加した17件の臨床試験のデータを分析し、飽和脂肪酸の摂取量を減らすことが心臓の健康やコレステロール値、全死因死亡にどのような影響を与えるのかを調べた。

1歳6ヵ月時点の母乳育児がむし歯発症と関連、口腔衛生指導の重要性を示す縦断研究

 乳幼児のう蝕(むし歯)は生活習慣や食事習慣など複数の要因が絡み、授乳との関係はこれまで議論が続いてきた。今回、日本の子ども約6,700人を1歳6ヵ月~3歳6ヵ月まで追跡した縦断研究で、1歳6ヵ月時点で母乳育児を続けていた子どもで、その後のむし歯発症との関連が示された。一方で、母乳育児を継続していても多くの子どもはむし歯を経験しておらず、母乳育児そのものではなく、食事習慣や口腔衛生習慣などのケアが重要である可能性が示唆された。研究は大阪大学大学院歯学研究科小児歯科学講座の三笠祐介氏、大継將寿氏、仲野和彦氏、同大学口腔生理学講座の加藤隆史氏らによるもので、11月27日付で「Scientific Reports」に掲載された。

zanidatamab、HER2陽性胃がん1次治療の新たな選択肢となるか(HERIZON-GEA-01)

 BeOne(旧:BeiGene)は2026年1月6日にプレスリリースを出し、同社が開発する抗HER2二重特異性抗体zanidatamabとPD-1阻害薬チスレリズマブに化学療法を加えた併用療法が、HER2陽性胃がんの1次治療として有用な結果を示したと発表した。HER2陽性胃がん1次治療は長くトラスツズマブ+化学療法が標準治療だったが、新たな選択肢となる可能性がある。日本も参加するこのHERIZON-GEA-01試験の中間解析結果は、2026年1月8~10日に開催された米国臨床腫瘍学会消化器がんシンポジウム(ASCO GI 2026)でも報告されている。 ・試験デザイン:国際共同非盲検第III相試験

若者の精神疾患の世界的負担、30年間の変化と今後の予測

 精神疾患は、世界の非致死性疾患負担の主な原因の1つであり、小児、青年、若者の間で有病率が上昇している。中国・Northwest Women's and Children's HospitalのWei Liu氏らは、GBD 2021データを用いて、9つの精神疾患について、1990~2021年の地域、年齢、性別による推定値を分析し、2050年までの負担を予測した。Frontiers in Public Health誌2025年9月16日号の報告。  年齢調整有病率(ASPR)および障害調整生存年数率(ASDR)の平均年変化率(AAPC)および年変化率(APC)を算出した。分解分析、不平等分析、フロンティア分析、比較リスク分析、ベイズ統計を用いた年齢・時代・コホート分析を実施した。

高齢者におけるCDK4/6阻害薬の毒性、薬剤別に調査

 高齢者におけるCDK4/6阻害薬の安全性は十分に検討されていない。トルコ・Koc大学のBahadir Koylu氏らは、FAERSデータベースの分析を通じて、高齢者におけるCDK4/6阻害薬(アベマシクリブ、パルボシクリブ、ribociclib)に関連する毒性を調査したところ、腎毒性、肺毒性、心毒性、神経認知毒性の発現率が高く、アベマシクリブは腎毒性・肺毒性、パルボシクリブは神経毒性・血栓性/出血性毒性、ribociclibは腎毒性・心毒性との関連が認められた。Breast誌2025年12月29日号に掲載。  この後ろ向き薬物安全性調査は、CDK4/6阻害薬が主に疑われる薬剤として記録された乳がん女性患者4万9,223例(18~100歳)を同定し、4つの年齢層(65歳未満、65~74歳、75~84歳、85歳以上)に層別化した。年齢関連の差異を検出するため、年齢層別多変量解析を行った。

日本人市中肺炎、β-ラクタムへのマクロライド上乗せの意義は?

 市中肺炎(CAP)の治療では、β-ラクタム系抗菌薬が中心となるが、とくに重症例ではマクロライド系抗菌薬が併用されることがある。ただし、マクロライド系抗菌薬の併用が死亡率の低下に寄与するか、依然として議論が分かれている。本邦の『成人肺炎診療ガイドライン2024』では、重症例に対してはマクロライド系抗菌薬の併用が弱く推奨されている一方で、非重症例に対しては併用しないことが弱く推奨されている。そこで、中島 啓氏(亀田総合病院 呼吸器内科 主任部長)らの研究グループは、市中肺炎の多施設共同コホート研究の2次解析を実施し、マクロライド系抗菌薬の併用の有無別に院内死亡などを検討した。

悪態をつくことはパフォーマンスを高める?

 次に、罵り言葉があふれ出しそうなのを必死でこらえる状況に陥ったときには、むしろ思い切って吐き出してしまうと良いかもしれない。英キール大学のRichard Stephens氏らによる新たな研究で、悪態をつくことで抑制が弱まり、筋力や持久力テストで、より限界まで自分を追い込めるようになることが示された。「悪態をつくことは、集中力や自信を高め、気を散らしにくくし、もう一歩踏み出す助けになる手軽な方法だ」と述べている。この研究結果は、「American Psychologist」に12月18日掲載された。

がん患者の治験参加を阻む要因とは?

 最先端のがん治療薬は常に臨床試験で有効性や安全性が検証されており、試験参加者の命を救ったり生存期間を延ばしたりする可能性がある。それにもかかわらず、多くのがん患者がこうした治験に参加しない理由は何なのか。その答えはお金であることを示した研究結果が報告された。がん治療薬に関する臨床試験への参加と最も強く関連する因子は、人種や患者背景ではなく経済的要因であることが示されたという。米ワイル・コーネル医科大学およびヒューストン・メソジスト病院のWeichuan Dong氏らによるこの研究結果は、「Journal of the National Comprehensive Cancer Network」に12月17日掲載された。

ASCO多発性骨髄腫ガイドライン改訂、移植適応初回治療に4剤併用を推奨など/JCO

 米国臨床腫瘍学会(ASCO)・Ontario Health(Cancer Care Ontario)による多発性骨髄腫治療に関するガイドラインの改訂版が、Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2026年1月6日号に公表された。ASCOおよびOntario Health(Cancer Care Ontario)の合同の専門家パネルが論文の系統的レビューを実施し、同定された161の無作為化試験における217論文を基に治療推奨が作成された。  改訂された主な推奨箇所は以下のとおり。 ・高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫には、積極的モニタリングのほかダラツムマブ(最長36ヵ月)が推奨される場合がある。

「全国がん登録」での初の5年生存率発表、小児/成人・性別・進展度・都道府県ごとに集計/厚労省

 厚生労働省は、2026年1月14日に「2016年全国がん登録生存率報告」の結果を公開した。この「全国がん登録」は、すべての病院と都道府県が指定する診療所に対し、がん患者の情報の登録を義務付けた制度であり、2016年から登録が開始され、今回、初めて5年生存率が公表された。

夜勤と日勤の頭痛有病率、ストレスや睡眠の影響は?

 夜勤は、主に概日リズムの乱れや睡眠障害により、頭痛リスクを高めることが示唆されている。これまでの多くの研究において夜勤者と日勤者が比較されているが、両群間の職務特性や業務内容の違いがバイアスをもたらす可能性がある。デンマーク・The National Research Centre for the Working EnvironmentのRikke Harmsen氏らは、この潜在的なバイアスを最小限にする目的で、同一被験者における異なる労働条件(夜勤と日勤)が頭痛の発症に及ぼす影響を検討した。Headache誌2025年10月号の報告。

NSAIDsによるVTEリスク上昇は本当?~アセトアミノフェンと比較

 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、静脈血栓塞栓症(VTE)発症リスクを上昇させる可能性が指摘されている。しかし、VTE発症リスクの上昇は、NSAIDsが必要となる患者背景による影響を受けている可能性も考えられている。そこで、松尾 裕一郎氏(東京大学)らの研究グループは、日本のレセプトデータベースを用いた研究において、NSAIDsとアセトアミノフェンのVTE発症リスクを比較した。その結果、新規にNSAIDsを処方された患者は、アセトアミノフェンを処方された患者と比較して、VTE発症リスクが有意に低かった。一方で、NSAIDsを処方された患者は、NSAIDsを処方されていない患者と比較するとVTEリスクが高かった。著者らは、アセトアミノフェンがVTE発症リスクを上昇させないと仮定すると、NSAIDsがVTE発症リスクを上昇させるわけではないことが示唆されたとしている。