医療一般

ヨーグルトや低脂肪チーズ、高齢期のうつ病や認知症予防に有効?

 ヨーグルトやチーズなどの発酵乳製品には、非乳製品とは異なる生理活性成分が含まれているが、高齢期のうつ病や認知症リスクとの関連性については依然として不明であった。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のMuniratul Idrus氏らは、発酵乳製品摂取と高齢期のうつ病および認知症リスクとの関連を調査した。Nutrients誌2026年3月24日号の報告。  年齢70~90歳で地域在住の高齢者を対象としたコホート研究であるSydney Memory and Ageing Studyのデータを用いて、乳製品摂取と抑うつ症状(15項目の老年期うつ病評価尺度:GDS15)、心理的苦痛(Kessler-10[K10尺度])、うつ病(医師による診断または抗うつ薬の使用)と認知症(DSM-IV基準)との関連性を検討した。

未治療の肺MAC症への吸入アミカシン上乗せ、呼吸器症状と培養陰性化を改善(ENCORE)/ATS2026

 肺非結核性抗酸菌症(肺NTM症)のうち、Mycobacterium avium complex(MAC)を原因菌とする肺MAC症では、初回治療において呼吸器症状の改善と培養陰性化を達成する有効な治療選択肢に関するエビデンスは十分でない。肺MAC症に対する新規治療薬としてアミカシンリポソーム吸入懸濁液(ALIS、商品名:アリケイス)が使用されているが、本邦での適応は「多剤併用療法による前治療において効果不十分な患者」である。そこで、新規に肺MAC症と診断された患者を対象に、アジスロマイシン+エタンブトールへのALIS併用の有用性を検討することを目的として、国際共同第IIIb相無作為化二重盲検比較試験「ENCORE試験」が実施されている。

胃がん診療、周術期を中心とした個別化治療の時代へ/AZ

 アストラゼネカは5月13日、「胃がん疾患啓発セミナー」を開催した。セミナーでは国立がん研究センター東病院 胃外科科長の木下 敬弘氏が「胃がん治療の現在地と今後の課題」と題した講演を行った。 ――日本における胃がんの疫学では、がん種別にみた罹患数では全体3位、死亡数では4位を占め、依然として主要ながん種である。世界的にも東アジアで発生頻度が高く、日本、中国、韓国が罹患の多い地域に含まれる。近年の治療の発達に伴い、胃がんの5年相対生存率は約65~67%まで伸びており、「不治の病」ではなくなりつつある。しかし、StageIVの5年相対生存率は6.6%にとどまり、早期発見・早期治療の重要性が裏付けられている。

医師のランチ事情、ベテランは「時短」、若手は「節約」を優先/医師1,000人アンケート

 日々の外来や手術、急患対応などに追われる医師の勤務環境において、「昼食(ランチ)」は貴重な休息とエネルギー補給の時間である。しかし、急な呼び出しや処置の延長など、業務の都合に左右されやすい。今回、CareNet.comでは「医師のランチ事情」と題したアンケートを実施し、勤務日の昼食時間や内容、仕事による中断の頻度、ランチ選びの優先事項などを聞いた。対象はケアネット会員医師1,012人で、20代以上の各年代層から回答を得た。

経鼻インフルエンザワクチン、鼻腔内に免疫反応を形成

 経鼻弱毒生インフルエンザワクチンのフルミスト(FluMist)は、従来の注射型ワクチンとは異なる仕組みで作用することが、新たな研究で示された。フルミストは、ウイルスが侵入してくる鼻腔内で直接的に免疫反応を引き起こし、ウイルスと闘うための「戦場」を形成することが明らかになったという。米ラホヤ免疫研究所のチーフサイエンティフィックオフィサーであるShane Crotty氏らによるこの研究の詳細は、「Science Translational Medicine」に4月29日掲載された。  研究グループは、こうした免疫反応は上気道にとどまり、血液検査では検出できないため、これまで成人に対する経鼻ワクチンの潜在的な有益性が見過ごされてきたと指摘する。

性的・ジェンダー少数者の健康格差、心理的・身体的暴力被害が背景か

 性的・ジェンダー少数者(SGM)では、非SGMに比べて高血圧や精神疾患などの健康問題のリスクが高い可能性がある。今回、日本のミレニアル世代を対象とした研究で、SGMの高血圧リスクは非SGMの約3倍と推定され、こうした健康格差の背景に暴力被害が関与している可能性が示された。研究は筑波大学人文社会系の松島みどり氏らによるもので、詳細は「Public Health」に3月27日掲載された。  SGMは非SGMに比べて身体的・精神的健康状態が不良であることが報告されており、その背景には差別や心理的・身体的暴力など、少数者であることによって受ける「マイノリティストレス」があると考えられている。

抗うつ薬治療期間と心臓突然死リスク

 抗うつ薬は、世界で最も使用されている薬剤の1つである。これまでの研究において、抗うつ薬の使用と心血管系有害事象との関連が示唆されている。しかし、抗うつ薬の治療期間や治療開始時期が心臓突然死リスクに及ぼす影響は明らかになっておらず、臨床的なリスク層別化ができていなかった。デンマーク・コペンハーゲン大学病院のJasmin Mujkanovic氏らは、抗うつ薬治療の累積期間と開始時期が心臓突然死リスクと関連しているかどうか、また、その関連性が薬剤クラスによって異なるかどうかを調査するため本研究を実施した。Heart Rhythm誌オンライン版2026年3月12日号の報告。

長鎖脂肪酸代謝異常症に初の治療薬、トリヘプタノイン発売/ウルトラジェニクス ジャパン

 ウルトラジェニクス ジャパンは、2026年3月23日付で「医薬品の条件付き承認制度」のもと製造販売承認を取得した長鎖脂肪酸代謝異常症(LC-FAOD)治療薬トリヘプタノイン(商品名:ドジョルビ内用液100%)を、2026年5月21日に発売したことを発表した。トリヘプタノインはLC-FAODに対して国内で初めて承認された治療薬となる。  LC-FAODは、ミトコンドリアにおける長鎖脂肪酸のエネルギー変換に関与する酵素をコードする遺伝子の両アレルに疾患原因変異を有する、6つの常染色体劣性遺伝性疾患の総称。とくに、心臓、骨格筋、肝臓に影響を及ぼし、主な症状は低ケトン性低血糖、心筋症、筋肉症状で、横紋筋融解症、代謝性アシドーシス、高アンモニア血症などの重篤な合併症を引き起こすことがある。

タブネオスの肝機能障害にブルーレター発出/厚労省

 2026年5月21日、厚生労働省は選択的C5a受容体拮抗薬アバコパン(商品名:タブネオスカプセル10mg)について、添付文書の「警告」を新設し、「重要な基本的注意」などを改訂するとともに、「安全性速報(ブルーレター)」により医療関係者などに対して速やかに注意喚起を行うようキッセイ薬品工業に対し指示した。  アバコパンは顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症に対する治療薬で、承認申請時に提出された臨床試験成績を踏まえ、2021年9月の承認当初から、添付文書において重大な副作用として肝機能障害に関する注意喚起がなされていた。

肺高血圧症治療のセレキシパグ、高用量製剤が発売/日本新薬

 2026年5月20日、日本新薬は肺動脈性肺高血圧症・慢性血栓塞栓性肺高血圧症治療剤のセレキシパグ(商品名:ウプトラビ錠0.8mg)を発売した。  本剤は、プロスタサイクリン受容体(IP受容体)に対して選択的かつ持続的に作用する経口のIP受容体作動薬。血管平滑筋細胞のIP受容体に結合してcAMP産生を増加させ、血管拡張作用および血管平滑筋増殖抑制作用を介して肺動脈圧を低下させる。国内において本剤の0.2mgおよび0.4mgがすでに販売されているが、本治療は患者の状態に応じて、段階的に用量調整を進める治療設計がなされることから、患者の服薬コンプライアンス向上のために高用量製剤0.8mg錠が追加された。

外傷性脳損傷に伴う慢性期の運動麻痺への細胞治療薬「アクーゴ脳内移植用注」発売/サンバイオ

 サンバイオは2026年5月21日に、外傷性脳損傷に伴う慢性期の運動麻痺の改善を効能、効果又は性能とした細胞治療薬「アクーゴ脳内移植用注」(一般名:パンデフィテムセル、以下「アクーゴ」)の販売を開始したことを発表した。  アクーゴは、健康なドナーの骨髄液から採取した間葉系幹細胞を培養した後、神経再生能力を高めるためのヒトNotch-1細胞内ドメイン遺伝子を導入して作られる、ヒト(他家)骨髄由来加工間葉系幹細胞である。脳内の損傷した神経組織に移植することで、タンパク質の一種であるFGF-2などが放出され、損傷した神経細胞が本来持つ再生能力を促し、神経細胞の増殖・分化を促進する作用が示唆されている。

頻回増悪を示すCOPD、astegolimabが好酸球数によらず増悪を抑制か(ALIENTO・ARNASA併合解析)/ATS2026

 既存の維持療法によっても増悪リスクが残存する慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者が存在し、新たな治療選択肢が求められている。IL-33受容体であるST2を標的とするモノクローナル抗体astegolimabは、頻回増悪歴を有するCOPD患者を対象として、開発が進められている。本剤について、海外第IIb相試験「ALIENTO試験」および国際共同第III相試験「ARNASA試験」が実施されており、米国胸部学会国際会議(ATS2026 International Conference)において、2試験の併合解析結果をJadwiga A. Wedzicha氏(英国・インペリアル・カレッジ・ロンドン)が報告した。

日本人の頭蓋骨は100年で変化したか/東大

 100年という期間で日本人の頭蓋などに変化は起こるであろうか。このテーマについて、東京大学大学院理学系研究科生物科学の臼井 詩織氏らの研究グループは、112例の頭蓋骨をCTスキャンデータで比較し、検討した。その結果、現在の日本人は短頭化し、乳様突起の肥大化など、100年前と比べ長期的変化があることが明らかになった。American Journal of Biological Anthropology誌2026年4月号に掲載。  研究グループは、約100年前の歴史的日本人と現代の日本人集団の頭蓋形状の3次元的な変容の詳細について、幾何学的形態測定学的解析を行った。

MCIからアルツハイマー病への進行率は? スクリーニングツールの精度は?

 軽度認知障害(MCI)は、正常な脳老化と病的な脳老化の中間段階であり、30~50%が3~5年以内に認知症へと進行するといわれている。進行リスクの高い患者を早期に特定することは、公衆衛生戦略においてきわめて重要である。イタリア・Italian National Institute of HealthのFlavia L. Lombardo氏らは、MCIからアルツハイマー病への進行リスクを評価した。Alzheimer's & Dementia誌2026年4月号の報告。  MCI患者398例を対象に、INTERCEPTORプロジェクトを実施した。社会人口統計学的、臨床的、神経心理学的、遺伝学的(アポリポタンパク質E)、脳脊髄液(アミロイドβ、タウ)、脳波(脳接続性)、MRI(海馬体積測定)、FDG-PETについて、統一された手順を用いて、ベースライン評価を行った。

糖尿病患者の下痢・便秘に有効なビフィズス菌の種類は?

 2型糖尿病患者の下痢・便秘といった消化器症状にプロバイオティクスであるビフィドバクテリウム・ビフィダムG9-1(BBG9-1)が有効であることをマキノ病院の小林 玄樹氏らが明らかにした。Diabetes, Obesity and Metabolism誌オンライン版2026年4月22日号掲載の報告。  研究者らは、下痢または便秘を伴う2型糖尿病患者100例を対象に12週間の非盲検ランダム化比較試験を実施。対照群またはBBG9-1群に1対1に無作為に割り付け、BBG9-1群にはビフィズス菌を1日12mg投与した。主要評価項目は全解析対象者(BBG9-1群43例、対照群51例)の消化器症状評価尺度(Gastrointestinal Symptom Rating Scale:GSRS)の変化。

眼底写真を基にした「網膜年齢」が健康状態を知る手がかりに?

 目は心の窓であるだけでなく、その人の健康状態を映し出す窓でもある――そんな研究結果が発表された。この研究によると、網膜の早期老化は、糖尿病や心疾患といった重大な病気の兆候となる可能性があるという。東北大学大学院医学系研究科眼科学分野教授の中澤徹氏らによるこの研究結果は、「Communications Medicine」に4月8日掲載された。  網膜は、眼球の奥にある光を感知する細胞層である。研究グループによると、網膜は血管や神経の状態を非侵襲的に観察できる部位であることから、眼の画像データを解析して全身の健康状態や疾患リスクを読み解く「オキュロミクス」と呼ばれる新たな研究領域が注目を集めている。

複数ドナー由来の細胞製剤追加で臍帯血移植に有望な結果

 白血病などの血液悪性腫瘍の患者に対する臍帯血移植で、通常の単一臍帯血移植に加えて、複数ドナー由来の臍帯血を用いて製造された細胞製剤を追加投与する方法が有効である可能性が、臨床試験で示された。小規模な患者集団において、通常の臍帯血製剤の投与後にこのような幹細胞製剤を投与したところ、ほとんどの患者で重度の移植片対宿主病(GVHD)は認められず、28人中27人が少なくとも1年間生存したことが確認されたという。米フレッド・ハッチンソンがんセンターの臍帯血プログラム部門長のFilippo Milano氏らによるこの研究の詳細は、「Journal of Clinical Oncology」に4月27日掲載された。Milano氏は、「移植患者が実質的に9人の異なるドナー由来の細胞の移植を受けたのは、これが初めてだ」とニュースリリースで述べている。

男性の生殖能力低下、一部のがんリスク上昇と関連

 男性不妊症が一部のがんのリスクと関連しているとする研究結果が報告された。ルンド大学(スウェーデン)のMichael Kitlinski氏らが、1973年以降に同国内で生まれた全ての人の医療記録(Medical Birth Register;MBR)を用いて明らかにしたもので、研究結果は「European Journal of Epidemiology」に2月21日掲載され、4月16日に同大学からリリースが発行された。リリースにおいてKitlinski氏は、「生殖能力が低下している男性は、自然妊娠で父親になった男性と比べて、大腸がんのリスクは約2倍であり、甲状腺がんのリスクは約3倍であることが分かった」と述べている。

過剰な塩分摂取は男性の記憶力を低下させる?

 ソルトシェーカー(塩入れ)に手を伸ばすことは、記憶力や脳の健康に長期的な影響を与えるかもしれない。新たな研究で、ナトリウムの摂取量が多いことは、過去の個人的な経験や特定の出来事についての記憶である「エピソード記憶」に悪影響を及ぼす可能性があることが明らかになった。こうした影響を受けやすいのは主に男性であり、女性では同様の関連は認められなかったという。エディス・コーワン大学(オーストラリア)のSamantha Gardener氏らによるこの研究の詳細は、「Neurobiology of Aging」6月号に掲載された。

T2D合併肥満患者、セマグルチドvs.減量手術

 糖尿病(T2D)と肥満を合併する患者が多いことはよく知られている。こうした患者では、肥満治療薬と減量手術のどちらを利用し、その医療費、臨床転帰はどのようになるだろう。このテーマについて、米国のニューヨーク大学グロスマン医学部公衆衛生学科のKaran R. Chhabra氏らの研究グループは、T2Dと肥満を合併する患者におけるセマグルチドと減量手術の費用と臨床転帰の比較を検討した。その結果、減量手術は3年間の自己負担額が少なく、総医療費は同程度であり、長期的な主要心血管イベント(MACE)発生率も低いことが示された。Obesity誌オンライン版2026年5月6日に掲載。