医療一般

高齢2型糖尿病、SGLT2阻害薬で死亡・透析リスク低く/統数研・横浜市大ほか

 高齢の糖尿病患者への薬物治療では、DPP-4阻害薬だけでなく、近年ではSGLT2阻害薬も使用されている。その一方で、SGLT2阻害薬の75歳以上の成人におけるエビデンス、とくにDPP-4阻害薬との比較データは限られている。このテーマについて野間 久史氏(統計数理研究所/総合研究大学院大学 教授)、後藤 温氏(横浜市立大学医学部 教授)らの研究グループは、レセプトデータなどを基に標的試験エミュレーションを実施した。その結果、SGLT2阻害薬は、DPP-4阻害薬と比較し、全死因死亡および腎臓関連リスクの低下と関連していることが示唆された。Age and Ageing誌2026年8月3日号に掲載。

キシリトールが心血管イベント増加と関連/ESC2026

 人工甘味料のキシリトールは食品や口腔ケア製品などに広く使用されているが、一般集団における長期的な心血管安全性に関するエビデンスは限定的である。今回、カナダ・マギル大学のThomas M. Zheng氏らの研究グループが、北米と欧州の2つの大規模前向き観察コホートのデータを用いて解析した。その結果、血中キシリトール濃度が高い一般集団において、主要心血管イベント(MACE)リスクが有意に上昇することが示された。本研究結果は、ドイツ・ミュンヘンで開催されたEuropean Society of Cardiology 2026(ESC2026、欧州心臓病学会)において8月29日に発表された。

急性期統合失調症に対する8つの抗精神病薬とKarXTとの比較~ネットワークメタ解析

 米国FDAは、xanomelineとtrospiumを配合したKarXTを統合失調症の新たな治療薬として2024年に承認した。KarXTは、成人統合失調症患者を対象とした3つのランダム化比較試験(RCT)において、プラセボに対する優越性が報告されている。しかし、従来の抗精神病薬との比較は明らかになっていない。英国・LumanityのConor Hickey氏らは、急性期統合失調症の治療に対する8つの第2世代抗精神病薬とKarXTの相対的な有効性、安全性、忍容性を比較するため、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。Journal of Comparative Effectiveness Research誌2026年8月号の報告。

若年婦人科がん40年にわたる死亡率・罹患率の変化(NORDCANレジストリ)

 北欧諸国における若年(0~49歳)の婦人科がん患者を対象とした国際コホート研究の結果、子宮体がん、卵巣がん、子宮頸がんそれぞれ独自の動向が示された。  本研究は、スウェーデン・カロリンスカ研究所のCharlotta Riese氏ら(PredictAYAコンソーシアム)によるものであり、Gynecologic Oncology誌オンライン版2026年8月19日号で発表されている。  子宮体がん、卵巣がん、子宮頸がんは中高年女性に多くみられるが、若年女性においては特有の危険因子(肥満、経口避妊薬の使用、HPV感染など)や臨床的特徴を持つため経時変化が異なる可能性がある。しかし、若年層に焦点を当てた長期的な疫学動向は十分に解明されていなかった。

組織的なスポーツ活動で自閉症スペクトラム症の子どもの運動能力が向上

 自閉症スペクトラム症(ASD)の子どもは運動能力の課題を抱えていることが少なくないが、組織的なスポーツ、特に武道や水中トレーニングによって、運動能力が向上する可能性が報告された。米オールド・ドミニオン大学のSonia Khurana氏らが行ったシステマティックレビューの結果であり、詳細は「Developmental Medicine & Child Neurology」に7月22日付で掲載された。  ASDの診断基準に、運動能力に関する項目は含まれていない。しかし、最近報告されたメタ解析から、ASDの子どもの50~88%が、バランス感覚、手と目の協調性、微細運動の制御、手先の器用さなどに、何らかの困難を抱えていると推定されている。

アルコール依存症患者の飲酒関連がん、遺伝的体質でリスクに差

 飲酒は頭頸部がんや食道がんなどの飲酒関連がんの重要なリスク因子として知られている。今回、日本人のアルコール依存症患者を対象とした研究で、アルコール代謝に関わる遺伝的体質によって、こうしたがんのリスクが異なることが明らかになった。研究は、国立病院機構久里浜医療センターアルコール内科の横山顕氏、国立保健医療科学院生涯健康研究部の横山徹爾氏によるもので、詳細は7月7日付の「Cancer Medicine」に掲載された。  飲酒は頭頸部がんや食道がん、肝がん、大腸がん、胃がんなどのリスク因子として知られている。

低用量リバーロキサバン、LAAO後の無症候性脳塞栓の減少や認知機能維持に効果/ESC2026

心房細動(AF)患者に対する左心耳閉鎖術(LAAO)後の抗血栓療法において、長期維持療法の最適なレジメンは確立されていない。今回、LAAO成功後のAF患者を対象に、低用量リバーロキサバン(10mg/日)が抗血小板療法と比較して無症候性脳塞栓(SCE)を減少させ、認知機能を維持しうるかを検討する「HALO-SCE試験」を実施。その結果、低用量リバーロキサバンは抗血小板療法と比較し、新規SCEの発生率を有意に低下させ、認知機能低下の抑制効果が認められることが明らかになった。本研究結果は、中国・南京医科大学第一附属病院のKexin Wang氏が8月28~31日にドイツ・ミュンヘンで開催されたEuropean Society of Cardiology 2026(ESC2026、欧州心臓病学会)で発表し、European Heart Journal誌オンライン版2026年8月31日号に同時掲載された。

睡眠薬の切り替えまたは減量に関する推奨事項

 世界人口の10~30%が不眠症に罹患しているといわれている。また、睡眠薬を服用する人の4人に1人が、その薬剤に依存するようになるともいわれている。不眠症では、利用可能な薬剤の種類が多岐にわたるため、薬剤の切り替えは複雑である。しかし、これまでの推奨事項は、すべての薬剤クラスを網羅しているわけではなかった。そのため、欧州全体および各地域の診療の特性を考慮した、実践的かつエビデンスに基づいた推奨事項が求められていた。ドイツ・ケルン大学のGoran Hajak氏らは、睡眠薬の切り替えまたは減量に関する推奨事項について、ドイツ睡眠学会およびオーストリア睡眠学会の不眠症ワーキンググループによるナラティブレビューを実施した。

降圧薬による認知症リスクの低下、ARB vs.Ca拮抗薬~日本人大規模データ

 降圧薬の「種類」の違いが、血圧低下とは独立して認知症リスクに影響するかについては、十分に明らかになっていなかった。今回、統計数理研究所/総合研究大学院大学の野間 久史氏らが実施した65歳以上を対象とした標的試験エミュレーションの結果、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)の新規開始はカルシウム拮抗薬(CCB)の新規開始に比べて、認知症、とくに血管性認知症のリスクが低いことが示された。Alzheimer’s & Dementia誌2026年8月号に掲載。  本研究では、19自治体の医療・健診情報を統合した約505万人の大規模医療データベースであるLIFE Studyの2014年4月~2024年9月のデータから、新規にARBまたはCCBによる高血圧治療を開始した65歳以上の認知症ではない成人を対象に、標的試験エミュレーションによりARB開始群とCCB開始群の認知症リスクを比較した。

セラピードッグが脳卒中リハビリを後押し

 動物との触れ合いがもたらす有益な作用を人間の心身の健康状態の向上に活用しようとする動物介在療法(AAT)は、脳卒中のリハビリテーション(以下、リハビリ)にも有効かもしれない。新たな研究で、最近脳卒中を発症した患者のリハビリでは、セラピードッグを取り入れることで患者のリハビリ参加度が高まり、身体活動量も増えたことが示された。米メイヨー・クリニック動物介在療法サービスマネジャーのWhitney Romine氏らによるこの研究結果は、「Mayo Clinic Proceedings」8月号に掲載された。

胚移植の成功率を高めるための3つの手法、その効果は?

 体外受精(IVF)での胚移植は治療の最終段階であり、成功率を高めるためにさまざまな方法が試みられている。例えば、移植時の子宮の角度を改善する目的で膀胱を充満させる方法、移植前に子宮頸管粘液を除去する方法、カテーテル留置後に胚を装填する方法(アフターローディング法)などである。しかし、加藤レディスクリニックの産婦人科医である秋野亮介氏らが8月6日付で「Cochrane Database of Systematic Reviews」に発表した研究で、これらの3つの手法の有効性を裏付ける確実性の高いエビデンスは得られていないことが示された。秋野氏は、「ある意味では、エビデンスよりも慣習が診療を動かしている例と言える。

2型糖尿病・糖尿病予備群、更年期症状の負担が大きい可能性

 2型糖尿病または糖尿病予備群の女性では、更年期の症状がより強く現れる可能性を示唆するデータが報告された。乙支大学校(韓国)のYou Lee Yang氏らの研究によるもので、詳細は「Menopause」に8月4日付で掲載された。2型糖尿病または糖尿病予備群の女性は、非糖尿病群に比べて、更年期に経験する自覚症状の数が多く、重症度のスコアも高いという。  この研究は、韓国の40~64歳の女性296人(平均年齢55.02±5.55歳)を対象に行われた。空腹時血糖値とHbA1cに基づき、220人が2型糖尿病または糖尿病予備群と判定され、これを「糖尿病群」とし、残りの76人を「非糖尿病群」とした。

IPFの慢性咳嗽にガバペンチンは有効か

 特発性肺線維症(IPF)では咳嗽が高頻度にみられ、QOLを大きく損なう一方、有効な治療選択肢は限られている。ガバペンチンは難治性慢性咳嗽に対する咳嗽軽減効果が報告されているが、IPF関連咳嗽における有効性と安全性は明らかではない。今回、中国・Tongji UniversityのYaxing Zhou氏らが、IPF患者の咳嗽に対するガバペンチンの有用性を検討したところ、ガバペンチンはプラセボと比較して治療終了時の咳嗽軽減率を有意に改善し、安全性プロファイルは許容可能であった。Chest誌オンライン版2026年8月29日号に掲載。

食事のタイミングと日本人の認知症リスクとの関係~LIFE研究

 食事のタイミングと認知症についてのエビデンスは限られている。九州大学の川口 健悟氏らは、深夜の夕食および朝食抜きと、認知症の発症との関連を検討した。GeroScience誌オンライン版2026年7月28日号の報告。  本研究には、2016年4月~2021年3月の19自治体におけるレセプトデータを含むLIFE研究(Longevity Improvement & Fair Evidence Study)のデータが用いられた。深夜の夕食(就寝前2時間以内の夕食を週3回以上)および朝食抜き(週3回以上)については、健康診断時に評価し、「あり」または「なし」として解析した。

子宮内膜症で2型糖尿病のリスクが46%上昇

 子宮内膜症の女性は2型糖尿病発症リスクが46%高いことを示すデータが報告された。米ジョージ・メイソン大学のMaggie Fuzak Nunziato氏らの研究によるもので、詳細は「Diabetologia」に8月6日付で掲載された。論文の筆頭著者である同氏は、「これまでの研究の多くは、子宮内膜症を独立した疾患として捉えており、2型糖尿病との関連性はほとんど報告されていなかった。われわれの研究結果は、子宮内膜症が生殖機能以外の健康面にも影響を及ぼす可能性があるという認識を深めるものだ」と述べている。

親の離婚を経験した子どもは成人期のうつ病リスクが高い

 親が離婚した子どもは、親が婚姻関係を維持していた子どもと比べて成人期にうつ病と診断されるオッズが41%高いことが、7月29日付で「Psychiatry Research」に掲載された論文で示された。ただし、親の精神疾患や物質使用を考慮すると、この関連は大幅に弱まったという。論文の筆頭著者であるティンデール神学大学(カナダ)心理学分野のMary Kate Schilke氏は、「親の離婚そのものが子どもの将来のうつ病リスクを高めると考える人もいるだろう。しかし今回の研究結果は、ことはそれほど単純ではない可能性を示している。離婚に伴いしばしば生じる家庭内の問題、特に親の精神疾患や物質使用は、子どもの長期的なうつ病リスクを説明する上で離婚そのものよりも重要な因子と考えられる」と述べている。

視覚障害につながるまれな眼疾患とGLP-1受容体作動薬の関連性

 GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)の使用が、視覚障害につながるまれな眼疾患の発症リスク上昇と関連する可能性があるとする研究結果が報告された。米ラトガース大学のChintan Dave氏らの研究によるもので、詳細は「Annals of Internal Medicine」に7月14日付で掲載された。ただし、この病気を発症する絶対リスクは非常に低いという。  この研究では、虚血性視神経症(ION)という眼の病気に焦点が当てられた。IONは、網膜で受け取った情報を脳へ送る「視神経」に虚血(血流の不足)が生じる病気で、視野が欠けたり視力が低下したりすることがある。近年、GLP-1RAとIONとの関連について関心が高まっているが、これまで十分なデータは得られていなかった。

胃がん手術、低CXIは予後不良・再発リスクと関連

 「がん悪液質」は、筋肉量の減少や低栄養、全身性炎症などを特徴とし、患者の予後に影響を及ぼすことが知られている。今回、これらを統合的に評価するCachexia Index(CXI)が、胃がん手術患者の予後や再発リスクを予測する指標として有用である可能性が示された。研究は、東京大学医学部附属病院胃食道外科の小島晴樹氏、菅原弘太郎氏らによるもので、詳細は7月13日付の「Surgery Today」に掲載された。  胃がんの予後は病期が最も重要な決定因子とされる一方、患者の全身状態も術後の生存に影響することが知られている。

マラソン中の心停止、スタート時の気温が低いほどリスク上昇か

 マラソン中の心停止はまれではあるものの、生命を脅かす重大なアクシデントだ。今回、日本全国のフルマラソン約453万人の参加データを解析した研究で、スタート時の気温が低いほど心停止リスクが高い可能性が示された。一方、大気汚染物質との有意な関連は認められなかった。研究は、霞ヶ浦医療センター循環器内科の加藤穣氏らによるもので、詳細は6月30日付の「JACC:Advances」に掲載された。  マラソン中の心停止は、冠動脈疾患などランナー側の心血管疾患が主な原因と考えられている。一方、これまでの研究はランナー個人の特徴や基礎疾患に焦点を当てたものが中心で、レース当日の気象条件や大気汚染などの環境要因が心停止リスクに与える影響については十分に明らかになっていなかった。

急性期うつ病に対する21種類の抗うつ薬の比較~ネットワークメタ解析

 うつ病は、成人の精神疾患において世界的に頻度が高く、負担が大きく、かつ多大なコストを要する疾患の1つである。うつ病の治療では薬物療法と非薬物療法の両方が利用可能である。しかし、リソースが不十分であるため、心理的介入よりも抗うつ薬が頻繁に使用されている。これらの抗うつ薬の処方は、利用可能な最良の科学的根拠に基づいて行われるべきである。英国・オックスフォード大学のAndrea Cipriani氏らは、成人単極性うつ病患者に対する急性期治療薬としての抗うつ薬を比較、順位付けしたこれまでの研究を更新、拡張することを目的とし、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。Focus(American Psychiatric Publishing)誌2026年4月号の報告。