医療一般

アルコールは認知症を予防するのか?~メタ解析

 アルコール摂取と認知症リスクとの関連を明らかにするため、中国・黒龍江中医薬大学附属第一医院のRen Zhang氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Internal Medicine Journal誌オンライン版2025年12月10日号の報告。  2024年7月22日までに公表された研究をPubMed、Embase、Cochrane Library、Web of Scienceのデータベースより網羅的に検索した。対象研究は、アルコール摂取と認知症リスクとの関連を評価した研究とした。研究の質の評価には、ニューカッスル・オタワ尺度(NOS)を用いた。アルコール摂取と認知症リスクの関連性は、相対リスク(RR)および95%信頼区間(CI)を用いて評価した。アルコール摂取量、地域、年齢に基づいてサブグループ解析を実施した。すべての統計解析は、Stata 15.0を用いて行った。

出産年齢が高いほど子供のアレルギーリスクが低い~日本の全国調査

 高齢出産は遺伝的およびエピジェネティックな変化と関連しているものの、小児アレルギーリスクとの関連は不明である。今回、国立成育医療研究センターの山本 貴和子氏らが3万4,942組の母子を対象としたコホート研究で調査したところ、出産時の年齢が高い母親の子供は、幼児期の食物アレルギー、喘鳴、ハウスダスト感作のオッズが低く、高齢出産が幼児期のアレルギー疾患を防御する可能性があることが示唆された。JAMA Network Open誌2026年1月2日号に掲載。

睡眠障害やうつ病は急性冠症候群リスクと関連するか?~メタ解析

 精神疾患と急性冠症候群との関連を評価したシステマティックレビューおよびメタ解析により、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、不安障害、睡眠障害、うつ病が急性冠症候群のリスク増加と関連し、PTSDと睡眠障害は睡眠の質が心血管疾患アウトカムに潜在的に関与する可能性があることが、カナダ・カルガリー大学のArnav Gupta氏らによって示された。JAMA Psychiatry誌オンライン版2026年1月14日号掲載の報告。  これまでの研究により、精神疾患は従来の心血管リスク因子と関連し、それらを介して急性冠症候群のリスクを高める可能性が示唆されているが、精神疾患ごとのリスクについては十分明らかにはなっていなかった。

日本人既婚男性の性機能が顕著に低下~30年前と比較

 本邦の男性不妊を対象とした研究では、勃起機能不全による不妊の増加が報告されている。そこで、佐藤 嘉一氏(三樹会泌尿器科病院)らの研究グループは、日本人男性を対象として1991年と2023年に実施された調査のデータを用いて、性機能、性交頻度の変化を検討した。その結果、2023年調査では、1991年調査と比較して既婚男性の勃起硬度、早朝勃起の頻度、性交頻度が低下していることが示された。とくに若年・中年層での性機能の低下が顕著であった。本研究結果はInternational Journal of Urology誌2026年1月号で報告された。  研究グループは、日本性機能学会が2023年に実施した全国調査(性機能障害全国実態調査:2023年調査)と、札幌医科大学泌尿器科が1991年に実施した調査(1991年調査)のデータを比較した。

指先からの採血による血液検査でアルツハイマー病の兆候を正確に評価

 指先から採取した血液を郵送して行う血液検査によって、アルツハイマー病に関連するマーカーを正確に検出できることが、新たな研究で示された。これによって脳の変性疾患であるアルツハイマー病の診断や研究がより容易になる可能性があるという。米バナー・ヘルス、フルイド・バイオマーカー・プログラムのシニアディレクターであるNicholas Ashton氏らによるこの研究の詳細は、「Nature Medicine」に1月5日掲載された。  この検査は、指先に針を刺して少量の血液を採取するフィンガー・プリック・テストと呼ばれるもので、リン酸化タウタンパク質(p-tau217)やグリア線維性酸性タンパク質(GFAP)、ニューロフィラメント軽鎖(NfL)の血中濃度を正確に測定できるという。

新たなリスクスコアで膵臓がんの再発リスクを予測

 新たに開発された複合リスクスコアが、再発しやすい膵臓がんサバイバーの予測に役立つことが、新たな研究で示唆された。このスコアは、膵臓の腫瘍を外科的に切除され、かつリンパ節転移のない患者に対するフォローアップ医療をより適切に管理するのに役立つ可能性がある。米シダーズ・サイナイ医療センターのCristina Ferrone氏らによるこの研究結果は、「JAMA Surgery」に12月17日掲載された。  Ferrone氏は、「これまでは見逃されがちだった再発リスクの高い患者を特定できる方法が、今や手に入った。これにより、この患者集団に対するケアのあり方を実質的な形で変えることができる」と述べている。

日本におけるベンゾジアゼピン処方制限が向精神薬使用による自殺企図に及ぼす影響

 ベンゾジアゼピン系薬剤の過剰摂取では、自殺企図が問題となる。日本では、2012年からベンゾジアゼピン系薬剤の多剤使用に対する政府の規制が開始された。その結果、ベンゾジアゼピン系薬剤の処方数と多剤使用数が減少した。帝京大学の赤羽 晃寿氏らは、この規制後、日本において向精神薬の過剰摂取による自殺企図が減少したかどうかを検証した。Neuropsychopharmacology Reports誌2025年12月号の報告。  帝京大学医学部附属病院の高度救命救急センター集中治療室に入院した患者4,183例(2013年4月〜2015年3月の2年間、規制導入直後:第1期)および4,140例(2018年4月〜2020年3月の2年間、規制強化後:第2期)の診療記録から、それぞれ2年間の情報をレトロスペクティブに収集した。自殺企図、向精神薬の過剰投与、患者の臨床的特徴について両期間で比較を行った。

逆流性食道炎へのボノプラザン、5年間の安全性は?(VISION研究)

 逆流性食道炎は再発や再燃を繰り返しやすく、カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)やプロトンポンプ阻害薬(PPI)による維持療法が長期に及ぶことがある。P-CABのボノプラザンは、PPIより強力かつ持続的な酸分泌抑制を示すが、長期使用による高ガストリン血症を介した胃粘膜の変化や、腫瘍性変化のリスクが懸念されていた。  CareNet.comでは、P-CABとPPIの安全性に関するシステマティックレビューおよびメタ解析結果を報告した論文(Jang Y, et al. J Gastroenterol Hepatol. 2026;41:28-40.)について、記事「P-CABとPPI、ガストリン値への影響の違いは?」を公開している。

小児片頭痛、起立性調節障害を伴わない場合は亜鉛欠乏か?

 片頭痛は学童期の子供の約10%にみられ、起立性調節障害を併存していることが多い。成人では血清亜鉛レベルの低下と片頭痛の関連が報告されているが、小児におけるエビデンスはこれまで限られていた。兵庫医科大学の徳永 沙知氏らの研究によると、小児片頭痛患者のうち、起立性調節障害を併存していない群では併存群に比べて血清亜鉛レベルが有意に低く、両者の病態生理が異なる可能性が示唆された。Nutrients誌2025年11月28日号に掲載。  本研究では、2017年12月~2022年3月に片頭痛と診断された小児患者57例を対象に、初診時の血清亜鉛、鉄、銅、フェリチン濃度および起立性調節障害併存の有無を後ろ向きに調査した。

RSV感染症とインフルの症状を比較、RSV感染症の重症化リスク因子は?

 RSウイルス(RSV)とインフルエンザウイルスはいずれも下気道感染症の主要な原因であり、冬から春にかけて流行することが多い。従来RSVは主に乳幼児の感染症として認識されてきたが、近年では、高齢者や基礎疾患を持つ人を中心に、成人においても重篤な下気道感染症や合併症を引き起こすとの報告が相次いでいる。こうした背景から、両ウイルスの臨床的特徴や予後への影響を比較した研究が行われた。中国・国立呼吸器疾患臨床研究センター(北京)のRui Su氏らによる本研究の結果は、nternational Journal of Infectious Diseases誌オンライン版2026年1月9日号に掲載された。

お金の心配が心臓の老化を早めて死亡リスクを高める

 家計のやりくりの心配が、既に知られている心臓病のリスク因子と同程度以上に、心臓の老化や死亡リスクに関係していることが報告された。米メイヨー・クリニック心臓血管研究センターのAmir Lerman氏らの研究によるもので、詳細は「Mayo Clinic Proceedings」12月号に掲載された。  この研究によると、経済的負担と食料不安が心臓の老化を加速させる最も大きな要因であって、それらに関連する心臓の老化は、糖尿病や高血圧、心筋梗塞の既往などの既に知られているリスク因子によって引き起こされる老化と似ているという。そして、そのような心臓の老化の結果として、心臓病の発症と心臓関連死のリスクが上昇するとのことだ。

体内時計の乱れが認知症リスクの上昇に関連

 概日リズムの乱れは認知症の初期兆候である可能性が新たな研究で示された。概日リズムの相対振幅(最も活動的な時間帯と最も活動が少ない時間帯の差)が低く、リズムの断片化が進んでいることは、認知症リスクの上昇につながることが明らかになったという。米テキサス大学サウスウェスタン医療センター疫学・内科学分野のWendy Wang氏らによるこの研究の詳細は、「Neurology」に12月29日掲載された。  Wang氏は、「概日リズムの変化は加齢に伴い起こる。また、概日リズムの乱れは、認知症のような神経変性疾患のリスク因子になり得ることを示すエビデンスがある。

精神疾患早期介入プログラムで治療を受けた患者のLAI抗精神病薬継続率は?

 精神疾患の早期介入プログラムで治療を受けた患者は、通常治療を受けた患者と比較し、治療成績が良好であり、長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬の使用率が20~50%と高くなるといわれている。このプログラムでは通常2~3年間治療が行われ、その後、多くの患者は他の精神保健サービスへ移行し退院する。また、罹病期間がより長期の統合失調症患者を対象とした研究において、経口抗精神病薬への切り替えが一般的に行われている可能性が示唆されている。しかし退院後のフォローは、複数の臨床サービスや医療提供者間での患者記録の移行という課題によって複雑化しているのが現実である。カナダ・ダルハウジー大学のCandice E. Crocker氏らは、精神疾患の早期介入サービス(EIS)から退院した後に、LAI抗精神病薬の使用が継続されるかどうかを調査した。Therapeutic Advances in Psychopharmacology誌2025年10月16日号の報告。

妊娠中のアセトアミノフェン、神経発達症と関連なし

 アセトアミノフェンは、妊娠中の解熱・鎮痛の第1選択薬であり、非ステロイド性抗炎症薬やオピオイドより安全性が高いとされる一方で、近年自閉スペクトラム症(ASD)などの神経発達症への影響が議論され、注目を集めた。そこで、イタリア・University of ChietiのFrancesco D'Antonio氏らは、妊娠中のアセトアミノフェン使用と児のASD、注意欠如・多動症(ADHD)、知的障害(ID)リスクの関連を検討するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、妊婦のアセトアミノフェン使用とこれらの神経発達症のリスクとの間に関連はみられなかった。本研究結果は、The Lancet Obstetrics, Gynaecology, & Women's Health誌オンライン版2026年1月16日号に掲載された。

ウォーキングや家事がメタボの人の命を救う

 家事や散歩などの軽強度運動が、メタボリックシンドロームなどに該当する人の死亡リスク低下につながっている可能性が報告された。米ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生大学院のJoseph Sartini氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of the American Heart Association(JAHA)」に1月7日掲載された。  この研究から、心血管・腎・代謝(CKM)症候群に該当する人では軽強度運動に充てる時間が毎日1時間多いことが、14年間での死亡リスクが14~20%低いことと関連していることが明らかになった。CKM症候群とは、過体重、高血圧、脂質異常、高血糖、腎機能低下などがあって、心筋梗塞や脳卒中、心不全などのリスクが高くなっている状態のこと。米国成人の約9割が、CKM症候群の構成因子を一つ以上持っている。

女性の重度冠動脈疾患における治療選択、PCIかCABGか

 動脈の詰まりに対する最適な治療法は、男女で異なる可能性があるようだ。冠動脈疾患(CAD)患者に対しては、細い金網状のチューブを狭窄した動脈内に入れて広げるステント留置術(経皮的冠動脈インターベンション〔PCI〕)が行われることが多い。しかし、重度の慢性CADの女性患者に対しては、冠動脈バイパス術(CABG)を施行する方が、長期的に見て良好なアウトカムにつながり得ることが、新たな研究で示唆された。米ニューヨーク・プレスビテリアン病院および米コロンビア大学アービング医療センターのKevin An氏らによるこの研究結果は、「European Heart Journal」に11月25日掲載された。

エナジードリンクの過剰摂取は脳卒中リスクを高める?

 エナジードリンクは活力や元気をもたらすかもしれないが、飲み過ぎは深刻な脳卒中リスクを招く可能性があるとして、医師らが警鐘を鳴らしている。「BMJ Case Reports」に12月9日掲載された英ノッティンガム大学病院のMartha Coyle氏とSunil Munshi氏による症例報告によると、毎日8缶のエナジードリンクを飲む習慣があった健康で体力もある50代の男性が、その危険性を、身をもって知ることになった。報告によると、この男性は極めて高い血圧が原因で軽度の脳卒中を起こし、永久的なダメージを受けた。男性の血圧はエナジードリンクを飲む習慣をやめた後、正常に戻ったという。

肝腫瘍の「深さ」が手術成績を左右する?ロボット手術が有利となる2.5cmの境界線

 肝臓の腫瘍手術では、腫瘍の大きさや位置が成績を左右することが知られている。なかでも「どれだけ深い場所にあるか」は、手術の難易度に直結する重要な要素だ。今回の研究では、肝腫瘍までの深さに着目し腹腔鏡手術とロボット手術を比較した結果、深さ2.5cmを超える肝部分切除ではロボット手術が有利となる可能性が示された。研究は岡山大学大学院医歯薬学総合研究科消化器外科学の藤智和氏、高木弘誠氏、藤原俊義氏らによるもので、詳細は11月27日付で「Langenbeck's Archives of Surgery」に掲載された。

食道がん1次治療、ニボルマブ+CRTの安全性確認、完全奏効率73%(NOBEL)/京都大学ほか

 国内における食道がんの初回標準治療は術前化学療法+手術である。近年、切除不能進行再発例の2次治療におけるニボルマブをはじめ、免疫療法も承認されているが、放射線療法との併用に関する有用性のエビデンスは限られていた。京都大学をはじめとした国内5施設において、ニボルマブと放射線療法の併用の有用性を検討するNOBEL試験が行われ、完全奏効(CR)率や1年全生存(OS)率などで有望な成績が報告された。京都大学の野村 基雄氏らによる本研究結果は、EClinicalMedicine誌2026年1月号に掲載された。

アルツハイマー病に伴うアジテーション、最適なブレクスピプラゾールの投与量は?

 アルツハイマー病に伴うアジテーションは、患者の転帰と介護者の負担に重大な影響を及ぼす。ブレクスピプラゾールは有望な治療選択肢と考えられている。しかし、至適用量は依然として不明であった。サウジアラビア・King Faisal UniversityのMahmoud Kandeel氏らは、アルツハイマー病に伴うアジテーションの治療におけるブレクスピプラゾールの異なる用量の有効性と安全性を比較するため、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2025年12月8日号の報告。