BPSD治療にベンゾジアゼピン系薬物治療は支持されるか 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2014/04/01 米国・テキサス大学サンアントニオ校のRajesh R. Tampi氏らは、認知症の行動・心理症状(BPSD)に対するベンゾジアゼピン系薬物治療の有効性と忍容性に関する、無作為化試験のシステマティックレビューを行った。その結果、現状の入手できたデータは、限定的ではあるが、BPSDへのベンゾジアゼピン系薬物治療をルーチンに行うことを支持しないものであったことを報告した。ただし特定の状況では使用される可能性があることも示唆されている。American Journal of Alzheimer's Disease and Other Dementias誌オンライン版2014年3月6日号の掲載報告。 研究グループは、ベンゾジアゼピン系薬物の使用について入手可能なデータを要約することを目的に、BPSD治療に関する無作為化試験をレビューした。5大主要データベース(PubMed、MEDLINE、PsychINFO、EMBASE、Cochrane Collaboration)をシステマティックに検索して行った。 主な結果は以下のとおり。 ・レビューの結果、無作為化試験5本が得られた。 ・ジアゼパムとチオリダジン(国内発売中止)を比較したもの1試験、オキサゼパム(国内未発売)とハロペリドールまたはジフェンヒドラミンを比較したもの1試験、アルプラゾラムとロラゼパムを比較した1試験、ロラゼパムとハロペリドールを比較した1試験、筋注(IM)ロラゼパムとIMオランザピン(国内未発売)またはプラセボと比較した1試験であった。 ・5試験のうち4試験のデータにおいて、BPSD治療の有効性について試験薬間の有意差は示されていなかった。 ・残る1試験で、チオリダジンがジアゼパムよりもBPSD治療についてより有効である可能性(better)が示唆されていた。 ・また1試験では、プラセボと比較した場合に試験薬の有効性がより高かった(greater)。 ・忍容性については、試験薬間で有意差はみられなかった。しかし5試験のうち2試験において、約3分の1の被験者が試験途中で脱落していた。 ・入手データの分析の結果、限定的ではあるが、BPSD治療についてベンゾジアゼピン系薬物のルーチン使用は支持されなかった。しかし、BPSDを有する人で他の向精神薬使用が安全ではない場合、もしくは特定の向精神薬についてアレルギーや忍容性の問題が顕著である場合はベンゾジアゼピン系薬物が使用される可能性があった。 関連医療ニュース ベンゾジアゼピン使用は何をもたらすのか 認知症のBPSDに対する抗精神病薬のメリット、デメリット ベンゾジアゼピン系薬物による認知障害、α1GABAA受容体活性が関与の可能性 (ケアネット) 原著論文はこちら Tampi RR, et al. Am J Alzheimers Dis Other Demen. 2014 Mar 6. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 ベンゾジアゼピン使用と認知症リスクとの関連性が示唆された 医療一般(2018/11/20) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] SGLT2阻害薬、自己免疫性リウマチ性疾患のリスクは?/BMJ(2025/10/24) 腹部大手術時の周術期血圧管理、個別化vs.通常/JAMA(2025/10/24) ALK陽性進行NSCLCへのアレクチニブ、OS中央値81.1ヵ月(ALEX)/ESMO2025(2025/10/24) 下剤のルビプロストン、重大な副作用にアナフィラキシー追加/厚労省(2025/10/24) 免疫療法の対象とならない進行TN乳がん1次治療、Dato-DXdがPFSとOSを延長(TROPION-Breast02)/ESMO2025(2025/10/24) 結腸がん術後ctDNAによるde-escalation、リスク低減も非劣性は示されず(DYNAMIC-III)/ESMO2025(2025/10/24) 寝たきり原因第1位「脳卒中」、最新治療アクセス改善と患者支援の最前線/日本脳卒中学会・日本脳卒中医療ケア従事者連合・日本脳卒中協会(2025/10/24) 父親の厳しい子育てが子供のメンタルヘルスに影響(2025/10/24) [ あわせて読みたい ] Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20) シネマセラピー ~シネマにみるメンタルヘルス~(2013/04/26)