内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:158

熱中症に伴う急性腎障害の早期検出に適したマーカーは?―自衛隊富士病院

 熱中症に伴う急性腎障害(AKI)の検出能を、複数の尿バイオマーカーで比較検討した研究結果が報告された。5種類のバイオマーカーの中でL-FABPのクレアチニン補正値のみが、AKIの有無による有意差が見られ、かつ、血清クレアチニンやシスタチンCと有意に正相関したという。防衛医科大学校病院腎臓内分泌内科の後藤洋康氏らの研究によるもので、詳細は「Nephrology, Dialysis, Transplantation」に5月2日掲載された。  気候温暖化の影響で近年、夏季の熱中症の多発が社会的問題になっている。熱中症に伴いAKIを発症することがあり、それが急性転帰に影響を及ぼしたり、回復後に慢性腎臓病(CKD)へ移行する可能性があるため、AKIの速やかな診断と介入が求められる。そこで後藤氏らは、5種類の腎機能の尿バイオマーカーを用いて、熱中症関連AKIの診断能を比較した。

コロナ・インフルワクチン同時接種可、オミクロン株対応ワクチン秋以降に導入へ/厚労省

 これまで新型コロナワクチンの接種は他のワクチン接種と13日以上の間隔を空けて実施することとされていたが、知見等の蓄積をふまえ、インフルエンザワクチンに関しては同時接種も可能とすることが、7月22日に開催された第33回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で了承された。同会ではそのほか、オミクロン株対応ワクチンの接種や4回目接種の対象者拡大等についても議論された。 <同時接種の有効性> ファイザー社・アストラゼネカ社:2回目接種において、ファイザー社またはアストラゼネカ社ワクチン単独接種と比べ、新型コロナウイルス抗スパイクIgG抗体価は有意差がなかった。さらにファイザー社ワクチンとの同時接種においてインフルエンザの一部の株に対するHI抗体価の上昇がみられた。

‘Life's Simple 7’に「睡眠」を加え‘Life's Essential 8’に―AHAニュース

 米国心臓協会(AHA)は、心臓と脳の健康のスコアリングシステムとして広く用いられている‘Life's Simple 7’に、「睡眠」の要素を加えた‘Life's Essential 8’を新たに策定。「Circulation」に6月29日、米ノースウェスタン大学フェインバーグ医学部のDonald Lloyd-Jones氏らによる論文が掲載された。  AHAは2010年以来、心臓血管系の健康のために、適正体重の維持、禁煙、身体活動習慣、健康的な食習慣、血圧・血清脂質・血糖値のコントロールという7つの修正可能な因子をLife's Simple 7と名付け、それらの重要性を訴求してきた。これまでにLife's Simple 7を利用した研究の科学論文は2,500報以上報告されており、診察室での医師-患者間の会話でもしばしば話題に上る。Life's Essential 8ではこの7つに「睡眠」が新たに加わった。ただし、論文の筆頭著者でAHA会長でもあるLloyd-Jones氏は、「改訂のポイントは睡眠を追加しただけにとどまらない。新たなスコアリングシステムは、直近12年間のエビデンスを基に、食事や運動などの評価機能の強化も図られている」としている。

発熱に対する解熱薬と身体冷却、死亡リスクに影響するか/BMJ

 成人発熱患者に対する治療(解熱薬、身体冷却)は、死亡や重篤な有害事象のリスクに影響しないことが、スウェーデン・ルンド大学のJohan Holgersson氏らが実施したシステマティック・レビューとメタ解析で示された。これまでの試験は特定の患者群あるいは特定の発熱治療に焦点を当てたもので、統計学的な検出力に限界があり、発熱患者における発熱治療のリスクとベネフィットは不明であった。BMJ誌2022年7月12日号掲載の報告。

サル痘感染拡大、4~6月に感染した528例の特徴/NEJM

 2022年4月以降、欧米を中心にサル痘感染が広がっている。7月23日にはWHOが緊急事態を宣言し、日本でも7月25日に感染者が確認された。今回、英国・Queen Mary University of LondonのJohn P. Thornhill氏らの国際共同研究グループ(SHARE-net Clinical Group)が、2022年4月27日~6月24日に16ヵ国43施設でPCR検査によりサル痘と確認・診断された528例について、症状、臨床経過、転帰を調査した結果を報告した。NEJM誌オンライン版2022年7月22日号に掲載。

コーヒーが急性腎障害のリスクを下げる可能性

 コーヒー好きの人は、いくつかの健康上のメリットを得ている可能性のあることが既に知られているが、また新たなコーヒー摂取の良い影響を示唆するデータが報告された。コーヒーが、急性腎障害のリスクを下げるかもしれないという。米ジョンズ・ホプキンス大学のChirag Parikh氏らの研究によるもので、詳細は「Kidney International Reports」に5月5日掲載された。  Parikh氏は、「習慣的にコーヒーを摂取している人は、2型糖尿病や心血管疾患、肝疾患などのリスクが低いという事実は、現在では広く知られるようになった。われわれの研究に基づけば、コーヒー摂取がリスク抑制というメリットになり得るそのような疾患のリストに、急性腎障害の追加が可能だ」と、同大学発のリリースで述べている。

体臭の類似性は友を呼ぶ?

 出会ってすぐに意気投合するペアでは、ランダムに選んだ知らない者同士のペアと比べて体臭が類似している可能性の高いことが、新たな研究で明らかになった。この研究では、人の嗅覚を模倣して特定の香りを知覚する電子鼻により体臭を分析することで、初対面でも気の合う人たちを予測できることも示されたという。ワイツマン科学研究所(イスラエル)のInbal Ravreby氏らが実施したこの研究の詳細は、「Science Advances」に6月24日掲載された。  この研究は、ソーシャルメディアを通じて集めた、初対面で意気投合したことを互いに認めた友人のペア20組(男女各10組ずつ、平均年齢24.757歳)を対象に実施された。対象者は同性の友人で、恋愛関係にはない者とした。対象者には、無香料の石鹸とコットン100%のTシャツを提供し、毎夕、石鹸で体を洗った後にTシャツを2晩連続で着用してもらい、そのTシャツを体臭のサンプルとした。回収したTシャツのにおいを電子鼻により分析したところ、各対象者の体臭は、他の対象者と比べてペアである友人の体臭に似ていることが明らかになった。この結果は、人によるTシャツのにおい判定からも裏付けられた。

若年層での3回目接種、オミクロン株流行下も感染率低下/JAMA

 若年層での新型コロナウイルスワクチンのブースター接種の有効性を検討するため、米国の医療情報コンサルティング企業のIQVIAは、全米プロバスケットボール協会(NBA)の選手およびスタッフにおいて、ブースター接種者と未接種者の感染発生率を調査した結果、オミクロン株流行期でも、ブースター接種が感染率を有意に低下させることが示された。本結果は、JAMA誌2022年6月2日号オンライン版のリサーチレターに掲載された。

mRNAワクチン後の心筋炎、予防に有効な接種間隔は?/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するmRNAワクチン接種後の心筋炎のリスクが最も高いのは、思春期および若年成人の男性であり、これらの集団ではモデルナ製よりファイザー製のワクチンを用い接種間隔は30日以上が望ましいこと、5~11歳の小児での心筋炎発症は非常に稀でエビデンスの確実性は低いことなどを、カナダ・アルバータ大学のJennifer Pillay氏らが、システマティック・レビューの結果、報告した。著者は、「mRNAワクチンに関連した心筋炎は良性と思われるが、長期追跡データは限られており、生検や組織形態学等の適切な検査を用いた前向き研究によりメカニズムの解明が進むだろう」とまとめている。BMJ誌2022年7月13日号掲載の報告。