内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:160

今冬にインフル流行の懸念、ワクチンを強く推奨/日本ワクチン学会

 近年、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により、季節性インフルエンザは影を潜めることになった。しかし、2022-23シーズンはインフルエンザの流行が懸念されている。その理由として、北半球の流行予測をする指標となる南半球のオーストラリアにおいて、2022年4月中旬以降からインフルエンザの流行が報告されているからである。そこで、日本ワクチン学会(理事長:岡田 賢司)は、6月23日に同学会のホームページで、「2022-23 シーズンの季節性インフルエンザワクチンの接種に関する日本ワクチン学会の見解」を公開した。

2価RSVpreFワクチン、第IIa相チャレンジ試験で有効性を確認/NEJM

 2価の呼吸器多核体ウイルス(RSV)融合前F蛋白ベース(RSVpreF)のワクチンはプラセボと比較して、症候性のRSV感染やウイルス排出の予防効果が高く、安全性に関する明らかな懸念も認めないことが、ドイツ・Pfizer PharmaのBeate Schmoele-Thoma氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌2022年6月23日号で報告された。  本研究は、2価RSVpreFワクチンの有効性と安全性の評価を目的に、単施設で行われた探索的なRSVチャレンジ試験(二重盲検無作為化プラセボ対照第IIa相試験)である(米国Pfizerの助成を受けた)。

オミクロン株BA.4/BA.5、BA.2より免疫逃避しやすい?/NEJM

 現在、米国ではオミクロン株BA.2.12.1、南アフリカではBA.4やBA.5といった、新たな系統への置き換わりが進んでいる。米国・ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターのNicole P. Hachmann氏らが、ワクチン接種者とCOVID-19既感染者において、オミクロン株BA.1、BA.2、BA.2.12.1、BA.4、BA.5に対する中和抗体価を測定したところ、BA.2.12.1、BA.4、BA.5といった新系統の亜種が、ワクチンと感染による免疫から逃避する可能性があることが示された。本結果は、NEJM誌オンライン版2022年6月22日号のCORRESPONDENCEに掲載された。  本研究では、ファイザー製ワクチンを2回接種し、その後ブースター接種した27例と、オミクロン株BA.1またはBA.2に感染した27例において、パンデミック初期に米国で初めて分離された従来株(WA1/2020株)、およびオミクロン株BA.1、BA.2、BA.2.12.1、BA.4、BA.5に対する中和抗体価を測定し、その中央値が求められた。なお、BA.4とBA.5はスパイク蛋白の配列が同一である。  主な結果は以下のとおり。

スボレキサントからレンボレキサントへの切り替え治療の睡眠障害に対する有効性

 昭和大学 横浜市北部病院の沖野 和麿氏らは、不眠症治療におけるオレキシン受容体拮抗薬であるスボレキサントからレンボレキサントへの切り替えの影響について調査を行った。その結果、スボレキサントからレンボレキサントへの切り替えで、入眠障害の改善が認められたことを報告した。Psychogeriatrics誌オンライン版2022年6月10日号の報告。  対象は、症状が3ヵ月以上持続し、スボレキサント治療を3ヵ月以上行っている慢性不眠症患者。対象患者をスボレキサント維持群またはレンボレキサント切り替え群の2群に割り付けた。不眠症の4つのサブタイプ(入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠障害)について調査を行った。両群における12週間後の改善効果を評価するため、ロジスティック回帰分析を用いた。

減量により肥満男性の精子数が上昇

 余分な体重を落とし、その体重を維持することは健康増進につながるが、男性では、減量により精子数も増加する可能性のあることが、新たな研究で明らかにされた。コペンハーゲン大学(デンマーク)教授のSigne S. Torekov氏らが実施したこの研究結果は、「Human Reproduction」に5月17日掲載された。  肥満は精子の質の低下と関連することが、過去の研究で報告されている。そこでTorekov氏らは今回、減量によって精子濃度や運動率などの精液のパラメーターの改善が可能であるのか否かを検討した。対象としたBMI32〜43で18〜65歳の男性56人には、まず低カロリー(1日800kcal)の食事療法を8週間続けてもらった。その後、対象者をランダムに4群に割り付けて、維持期間として52週間にわたり以下のいずれかを実施してもらった。第1群は、週150分以上の中等度の有酸素運動、または週75分以上の高強度の有酸素運動を実施、第2群は、リラグルチド(減量目的でも使用される糖尿病薬)を1日当たり3mg服用、第3群はその両方を実施し、第4群はいずれも実施しなかった。運動を伴う介入を行う群には、モチベーションを維持するためのクラスも提供された。

テレビ視聴1日1時間未満なら心臓病になりにくい?

 テレビの連続ドラマの一気見を始めたのに、1回か2回のエピソードで見るのを中断するのは難しいかもしれない。しかし、そうするだけの価値はあるようだ。テレビ視聴時間が1日1時間未満の人は1日4時間以上見る人よりも、冠動脈性心疾患(CHD)リスクが16%低いというデータが報告された。香港大学のYoungwon Kim氏らの研究によるもので、詳細は「BMC Medicine」に5月24日掲載された。  座位行動の時間の長さがCHDリスクの高さと関連することは既に知られている。Kim氏らの研究ではより具体的に、テレビの視聴時間とパソコンの操作時間に的を絞って、CHDリスクとの関連を検討した。また、CHDのなりやすさを表す遺伝的背景と、テレビ視聴やパソコン操作の時間の長さとの関連の有無を検討した。

COVID-19ワクチン接種はメンタルヘルスを改善しない?

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが人々のストレスとなり、メンタルヘルスの悪化につながることが懸念されている。それに対してワクチン接種を受けると、感染や重症化リスクが低下するという安心感から、メンタルヘルスが改善するとの期待がある。しかし実際には、そのような影響は見られないとする研究結果が4月12日、「Neuropsychopharmacology Reports」に短報として掲載された。東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野の佐々木那津氏、川上憲人氏らによる報告。

追加接種のタイミング、6ヵ月以上でより高い有効性か

 ワクチンの種類や2回目接種からの間隔の長さによって、オミクロン株に対する3回目接種の有効性は異なるのか? スペイン・公衆衛生研究所のSusana Monge氏らは、全国規模の住民登録データを用いて、オミクロン株が優勢な期間におけるワクチン有効率をいくつかのサブグループごとに推定。結果をThe Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2022年6月2日号で報告した。  本研究では、スペインの3つの全国的な人口登録(ワクチン接種登録、検査結果登録、および国民健康システム登録)からのデータをリンクさせて、ワクチン初回シリーズ(mRNAワクチンおよびアストラゼネカ製ワクチンは2回、ヤンセン製ワクチンは1回)をフォローアップ開始の3ヵ月前までに完了した40歳以上の個人を選択した。パンデミックの開始以降、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染したことがある者(検査陽性者)は含まない。

テストステロン低下が肥満のない非アルコール性脂肪性肝疾患の要因か/日本抗加齢医学会

 テストステロン欠乏により生じる病態と言えば男性更年期(疲れやすい、肥満、うつ、性欲低下…)をまず思い浮かべるが、実は、加齢による骨格筋量の減少(サルコペニア)の原因の1つであり、脂肪肝の発症にも深いかかわりがあるというー。6月17~19日に大阪で開催された日本抗加齢医学会総会のシンポジウム「男性医学」において、濱口 真英氏(京都府立医科大学 内分泌・代謝内科学助教)が『脂肪肝とテストステロン』と題し、骨格筋量の低下とテストステロン欠乏、そして脂肪肝への影響について講演した。

日本人労働者の睡眠負債がプレゼンティズムや心理的苦痛に及ぼす影響

 健康上の問題を抱えながら仕事や業務に携わる状態を表すプレゼンティズム(presenteeism)は、生産性の低下やメンタルヘルスの問題による欠勤のリスク指標である。北海道医療大学の高野 裕太氏らは、睡眠負債、ソーシャル・ジェットラグ(社会的時差ぼけ)、不眠症状がプレゼンティズムや心理的苦痛に及ぼす影響を調査した。その結果、不眠症状は、睡眠負債や社会的時差ぼけよりも、プレゼンティズムや心理的苦痛に大きな影響を及ぼしていることが明らかとなった。プレゼンティズムや心理的苦痛に対し、睡眠負債もまた独立した影響を及ぼしているが、社会的時差ぼけの影響は認められなかった。BioPsychoSocial Medicine誌2022年6月3日号の報告。