内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:161

コロナワクチン、感染・入院・死亡者数をどれくらい抑制したのか/CDC

 米国疾病管理予防センター(CDC)のMolly K. Steele氏らが、米国の18歳以上の成人において、新型コロナワクチン接種によって予防された感染者数、入院者数、死亡者数を推定したところ、成人の67%がワクチンの初回シリーズ接種完了していた2021年9月において、ワクチン接種により、予想感染者数の52%、予想入院者数の56%、予想死亡者数の58%を防いだと推定された。JAMA Network Open誌2022年7月6日号に掲載。

認知症有病率の日本のコミュニティにおける20年間の推移

 認知症患者数は世界的に増加しており、とくに世界で最も高齢化が進む日本において、その傾向は顕著である。認知症高齢者の増加は、予防が必要な医学的および社会経済的な問題であるが、実情について十分に把握できているとはいえない。愛媛県・平成病院の清水 秀明氏らは、1997~2016年に4回実施した愛媛県中山町における認知症サブタイプ横断研究の結果を解析し、認知症有病率の経年的傾向について報告した。その結果、認知症の有病率は、人口の高齢化以上に増加しており、高齢化だけでない因子が関与している可能性が示唆された。著者らは、認知症高齢者の増加を食い止めるためには、認知症発症率、死亡率、予後の経年的傾向や認知症の増進・予防に関連する因子の解明および予防戦略の策定が必要であるとしている。Psychogeriatrics誌オンライン版2022年6月26日号の報告。

ビールは男性の腸内細菌叢に良い?

 ビールが男性の腸内細菌叢に良い効果をもたらす可能性のあることを示す、小規模な研究の結果が報告された。NOVA大学リスボン(ポルトガル)のAna Faria氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of Agricultural and Food Chemistry」に6月15日掲載された。  この研究では、健康な男性22人(解析は19人)を無作為に2群に分け、1群にはアルコール度数5.2%のラガービール330mL、他の1群にはノンアルコールビールを同量、夕食時に飲んでもらった。介入期間は4週間で、介入前後に血液と糞便の検体を採取した。その解析の結果、両群ともに、腸粘膜のバリア機能のマーカーである糞便アルカリホスファターゼ活性が上昇するとともに、腸内細菌叢の多様性が向上したことが確認された。体重や体脂肪量の増加はなく、心血管代謝マーカーに有意な変化は生じなかった。

長寿を望まないと短命になる?―日本人4万人、25年の縦断解析

 長生きを望まない人は実際に短命になってしまう可能性を示すデータが報告された。日本人約4万人を四半世紀にわたり追跡した結果であり、東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野の辻一郎氏らによる論文が「Journal of Epidemiology」に5月5日掲載された。  この研究は、地域住民対象の疫学研究である「宮城県コホート研究」のデータを用いて行われた。宮城県コホート研究では、1990年に同県内の14市町村に住む40~64歳の住民全員5万1,921人を登録して、その後の健康状態を長期間追跡している。ベースライン時点で行ったアンケートで、「寿命についてどのように考えていますか」という質問に対して、「長いほどよい」「平均寿命ぐらいが良い」「平均寿命より短くてもよい」という回答から三者択一で選んでもらっていた。今回の研究では、その回答と実際の死亡リスクとの関連を調査した。

5製品の特徴を整理、コロナワクチンに関する提言(第5版)公開/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:四柳 宏氏[東京大学医科学研究所附属病院長])は、7月8日に同学会のホームページで「COVID-19ワクチンに関する提言(第5版)」を公開した。  今回の提言では、第4版(2021年12月16日公開)と比較して構成を大幅に変更し、COVID-19ワクチンの種類ごとに記載。現在判明している各ワクチンの作用機序、有効性、安全性を記すとともに特定状況での接種として「妊婦」「免疫不全者」「COVID-19罹患者」の3区分を記載した。

日本人の職場環境とストレス・うつ病との関連

 日本において、さまざまな労働環境因子がストレスやうつ病に及ぼす影響を調査した研究は、十分ではない。慶應義塾大学の志賀 希子氏らは、日本の労働者における労働環境因子とストレスやうつ病との関連について、調査を行った。その結果、日本人労働者のストレスやうつ病には、仕事の要求、仕事のコントロール、職場でのハラスメント、心理的安全性などが関連していることが示唆された。Work誌オンライン版2022年6月18日号の報告。  日本で主にデスクワークに従事する労働者を対象に、アンケート調査を実施した。ストレス、うつ病、職場環境の評価には、知覚されたストレス尺度(PSS)、こころとからだの質問票(PHQ-9)、身体的および心理的な職場環境アンケートをそれぞれ用いた。対象者をPSSスコア(中央値で、低ストレス群または高ストレス群に分割)およびPHQ-9スコア(5未満:非うつ病群、5以上:うつ病群)に基づいて分類し、労働環境の群間比較を行った。加えて、重回帰分析を実施した。

家庭血圧の正しい測り方―AHAニュース

 血圧測定は健康管理の基本の一つだ。ただ、家庭血圧測定にはいくつかの注意点がある。米コロンビア高血圧センターのDaichi Shimbo氏は、「血圧計を買い求め、袖をまくり上げてボタンを押すだけで血圧を測定できる。簡単そうに思えるだろう。しかし必ずしもそうとは言えない」と語る。  高血圧は、心臓発作、脳卒中、認知症などと関連のある、有病率の高い疾患だ。医師は患者の血圧変動を把握するために、家庭血圧の測定を勧める。しかしShimbo氏によると、「専門家でさえ家庭血圧測定の手順を正確に理解していないことがある」とのことだ。家庭血圧測定に関するいくつかのポイントを紹介する。

仕事での身体活動とは別に余暇での運動が大切―産業医大

 仕事などによる身体活動量が多い人も、余暇時間に短時間でも運動をした方が、健康には良い可能性を示唆するデータが報告された。産業医科大学産業生態科学研究所の菅野良介氏、池上和範氏、大神明氏らの研究によるもので、詳細は「Frontiers in Sports and Active Living」に2月24日掲載された。  座位中心の生活よりも体を動かす生活の方が、健康に良いことは広く知られている。ただし、仕事などでの身体活動と、健康や体力の維持を目的とした運動とで、健康への影響が異なるのかどうかはよく分かっていない。菅野氏らはこの点について、産業医科大学が行っている「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行下における労働者の生活、労働、健康に関する調査(CORoNaWork研究)」のデータを用いて検討を行った。

ノババックスワクチンに心筋炎・心膜炎の注意喚起/使用上の注意改訂指示

 厚生労働省は7月8日、新型コロナウイルスに対するノババックス製新型コロナウイルスワクチン「組換えコロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン」(商品名:ヌバキソビッド筋注)について、使用上の注意に「重要な基本的注意」の項目を新設し、心筋炎・心膜炎に関して追記するよう改訂指示を発出した。  今回の改訂指示は、第81回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和4年度第6回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)(2022年7月8日開催)における審議結果などを踏まえたものとなる。

動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版、主な改訂点5つ/日本動脈硬化学会

 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版が5年ぶりに改訂、7月4日に発刊された。本ガイドライン委員長の岡村 智教氏(慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学 教授)が5日に開催されたプレスセミナーにおいて変更点を紹介した(主催:日本動脈硬化学会)。  今回の改訂でキーワードとなるのが、「トリグリセライド」「アテローム血栓性脳梗塞」「糖尿病」である。これを踏まえて2017年版からの変更点がまとめられている序章(p.11)に目を通すと、改訂点が一目瞭然である。なお、本書のPDFは動脈硬化学会のホームページより誰でもダウンロードできる。