内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:155

“お腹が減るとイライラする”は本当か

 空腹のときにイライラしたり怒りっぽくなるのは、どうやら本当のことらしい。英アングリア・ラスキン大学のViren Swami氏らが実施した研究から、空腹は、怒りやイライラ感といったネガティブな感情と結び付いていることが明らかにされた。この研究の詳細は、「PLOS ONE」に7月6日掲載された。  空腹時にイライラ感や怒りなどのネガティブな感情を抱いている状態を、英語ではhungry(空腹)とangry(怒り)を合わせてhangryという。この言葉は英語圏ではごく一般的に使われており、メリアムウェブスター英英辞典にも掲載されているという。Swami氏は、「私の妻は時々、私がhangryになっていると言う。そんなとき、私はいつも、hangryなんてものが真の精神状態であるはずはないと思っていた。しかし、今回の研究で、自分が間違っていたことが分かった」と話す。

大気汚染と認知症リスク~メタ解析

 大気汚染と認知症リスクとの関連を調査した疫学研究の結果は、矛盾している。インド・National Institute for Research in Environmental HealthのVikas Dhiman氏らは、大気汚染による認知症発症リスクのプールされた推定値を明らかにするため、メタ解析を実施した。その結果、微小粒子状物質PM2.5はすべての原因による認知症、アルツハイマー病、血管性認知症のリスク因子であり、オゾン(O3)はアルツハイマー病のリスク因子である可能性が示唆された。Neurology India誌2022年5-6月号の報告。

未接種者とブレークスルー感染者、臨床転帰と免疫の違いは?

 国内における新型コロナ感染流行の第7波においては、ワクチン接種後の感染、いわゆるブレークスルー感染も多数報告されている。ワクチン接種を受けた感染者の大半は軽症か無症状だが、入院を要する者もいる。ワクチン接種者または未接種者で重症化した患者について免疫および臨床的特徴を調べたイタリア・フローレンス大学のGiulia Lamacchia氏らの研究がJournal of Clinical Immunology誌2022年7月9日号オンライン版に掲載された。

ビタミンD補給、中高年において骨折予防効果なし/NEJM

 ビタミンD欠乏症、骨量低下、骨粗鬆症を有していない概して健康な中高年以上の集団では、ビタミンD3を摂取してもプラセボと比較し骨折リスクは有意に低下しないことが、米国・ハーバード・メディカル・スクールのMeryl S. LeBoff氏らが行った「VITAL試験」の補助的研究で示された。ビタミンDサプリメントは、一般集団において骨の健康のために広く推奨されている。しかし、骨折予防に関するデータは一貫していなかった。NEJM誌2022年7月28日号掲載の報告。  VITAL試験は米国の50歳以上の男性と55歳以上の女性を対象に、ビタミンD3(2,000 IU/日)、n-3系脂肪酸(1g/日)、またはその両方の摂取により、がんや心血管疾患を予防できるどうかをプラセボと比較した2×2要因デザインの無作為化比較試験である。選択基準にビタミンD欠乏症、骨量低下、骨粗鬆症は含まれていない。

コロナ禍で医療資源確保のために国民へのお願い/4学会

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第7波の流行拡大が深刻な様相を呈している。発熱外来には連日長蛇の受診者がならび診療予約の電話が鳴りやまない。また、救急搬送は大都市圏で稼働率9割を超え、受け入れ先医療機関の不足や長い待機時間などが大きな問題となっている。  こうした事態を鑑み、日本感染症学会(理事長:四柳 宏)、日本救急医学会(代表理事:坂本 哲也)、日本プライマリ・ケア連合学会(理事長:草場 鉄周)、日本臨床救急医学会(代表理事:溝端 康光)の4学会は連名で「限りある医療資源を有効活用するための医療機関受診及び救急車利用に関する4学会声明」を8月2日に急遽発表した。

コロナワクチン、医師はいくらまで払う?/1,000人アンケート

 第7波の到来により、医療者へもコロナワクチン4回目接種が始まった。6月にCareNet.comが会員医師に行った『ワクチン4回目接種、あなたは受けたい?/会員医師1,000人アンケート』の結果によると、回答者の7割が接種したいと回答していた(対象となったらすぐに接種したい:33%、対象となったら時期をみて接種したい:36%)。  ところで、ワクチン接種は現時点では全額公費負担(厚生労働大臣の指示に基づき国の負担により実施することを踏まえ、全国統一の単価で接種1回あたり2,070円[消費税については、定期接種の予防接種と同様の取り扱い。ワクチン代はワクチンを国が確保し供給するため含まれていない1)])であり、自分の懐が痛むことはない。だが、将来的に新型コロナワクチン接種が定着した場合は自己負担になる可能性が高く、もしも費用負担が発生したら、医師も接種を控えたいと考えるのだろうか。さらには、ほかのワクチンとの兼ね合いを考慮した適正価格や、患者負担の許容範囲はいくらが妥当と捉えているのだろうかー。

全粒粉穀物がもたらす身体への効果/日本糖尿病学会

 5月12日~14日まで神戸市で「第65回 日本糖尿病学会年次学術集会」(会長:小川 渉氏[神戸大学大学院医学研究科 糖尿病・内分泌内科学 教授])が「知の輝きと技の高みへ」をテーマに開催された。  本稿では「シンポジウム 糖尿病食事療法研究の最前線」より「穀物由来の食物繊維の生活習慣病予防効果」(青江 誠一郎氏 [大妻女子大学家政学部食物学科])をお届けする。  食物繊維の摂取量と糖尿病などの生活習慣病の発症には負の相関関係があることは知られているが、どういった穀物の摂取が勧められるのであろうか。

4回目接種、感染予防は限定的だが重症化・死亡に高い効果

 国内ではワクチン4回目接種の対象が医療者等に拡大されたが、接種が先行する海外では4回目接種の有効性の検証が行われている。世界に先駆けてワクチン接種を開始したイスラエルにおいて、施設に入居する高齢者を対象とした4回目接種の有効性を見たコホート試験の結果が、JAMA Internal Medicine誌オンライン版6月23日号に掲載された。 本試験はオミクロン株による感染が主流となった2022年1月10日~3月31日にイスラエルで実施され、当時の接種対象となった60歳以上で、高齢者施設に入居または通所している人を対象とした。BNT162b2(ファイザー製)の3回接種者と4回接種から7日以上経過した者を対象とし、COVID-19の感染、入院、死亡の累積発生数を比較した。

コロナによる嗅覚・味覚障害が長期持続する人の割合~メタ解析/BMJ

 成人の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による嗅覚・味覚障害の長期持続者は、それぞれ5.6%と4.4%に認められ、女性は男性に比べ、両障害ともに回復しにくい傾向がみられるという。180日回復率は、嗅覚障害が95.7%、味覚障害は98.0%だった。シンガポール国立大学のBenjamin Kye Jyn Tan氏らによるシステマティック・レビューとメタ解析の結果で、「COVID-19患者のかなりの割合で、長期にわたり嗅覚や味覚に変化を生じる可能性があり、このことがlong COVID(罹患後症状、いわゆる後遺症)の負荷を増す可能性も示唆された」と述べている。BMJ誌2022年7月27日号掲載の報告。