医療一般|page:299

前立腺がん予防に成人早期の身体活動が有効か

 わが国でも前立腺がんの罹患率は年々増加しており、近い将来、男性のがんで第1位になると予想されている。この前立腺がん罹患における身体活動の影響については研究結果が一致していない。今回、オーストラリア・Curtin大学のElizabeth Sorial氏らが症例対照研究で検討したところ、成人早期に高強度の余暇身体活動を活発に行うことが、前立腺がんリスクを減らす可能性が示唆された。Cancer Causes & Control誌オンライン版2019年4月8日号に掲載。

次世代JROADでバイオマーカーの予測目指す/日本循環器学会

 高齢化とともに心不全罹患率は上昇傾向を示し、治療の発展からその予後は短期的から長期的へ変遷する。2018年12月には、「脳卒中・循環器病対策基本法」が成立し、がん患者以外の緩和ケア医療も進んでいくだろう。2019年3月29~31日、横浜で開催された第83回日本循環器学会学術集会で、井手 友美氏(九州大学医学研究院循環器病病態治療講座准教授)が、循環器疾患診療時実態調査(JROAD)を活用した心不全に対する新たな取り組みについて講演した。

若年性認知症の生存率に関するコホート研究

 若年性認知症患者の生存期間や平均余命、また年齢、性別、認知症サブタイプ、併存疾患との関係について、オランダ・Centre for Elderly CareのAdrie A. J. Gerritsen氏らが、調査を行った。International Psychogeriatrics誌オンライン版2019年3月27日号の報告。  対象は、アルツハイマー型認知症(AD)、脳血管性認知症(VaD)、前頭側頭型認知症(FTD)患者を含む、若年性認知症のニーズ調査に参加した198例。主要アウトカムは、症状発現後および診断後の生存期間とした。生存率と年齢、性別、認知症サブタイプ、併存疾患との関係を調査するため、Cox比例ハザードモデルを用いた。また、平均余命への影響も調査した。

SGLT2阻害薬カナグリフロジンの腎保護作用が示される:CREDENCE試験/国際腎臓学会

 2型糖尿病患者に対する心血管系(CV)イベントリスクの低下を検討したランダム化試験から、SGLT2阻害薬による腎保護作用が示唆された。しかし、あくまで副次的解析であり、対象は腎機能が比較的保たれた例に限られていた。4月12~15日にオーストラリアで開催された国際腎臓学会(ISN)-World Congress of Nephrology(WCN)2019で報告されたCREDENCE試験では、SGLT2阻害薬カナグリフロジンが、慢性腎臓病(CKD)を合併した2型糖尿病患者の腎・心イベントを抑制することが明らかになった。Vlado Perkovic氏(オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学)が報告した。

脳卒中およびその病型を病院到着前から見分ける分類スコア(JUST)を開発

 兵庫医科大学脳神経外科講師 内田 和孝氏らは、病院到着前に脳卒中の病型(脳卒中、脳大血管閉塞[LVO]、頭蓋内出血[ICH]、クモ膜下出血[SAH])を予測する脳卒中病型分類スコア(JUST)を開発した。研究の成果は、Stroke誌2018年8月号に掲載された。  脳卒中は、その病型により治療アプローチや緊急度が大きく異なるため、病院到着前に脳卒中の病型が予測できれば、より早期により適切な治療を提供することが可能となる。しかし、現在報告されている病型予測ツールは、1つの病型のみを対象とするものや病型を分類せずに脳卒中全般を扱うものであった。そこで、本研究は、救急救命士が脳卒中を疑う患者に、脳卒中、LVO、ICH、およびSAHを予測するスコアを開発することを目的に実施された。

急性冠症候群ガイドラインの改訂点は?/日本循環器学会

 急性心筋梗塞や不安定狭心症、心臓突然死を含む急性冠症候群。これは、欧米での死因第一位であり、高齢化や食の欧米化が年々加速する日本でも他人事ではない。2019年3月29~31日、第83回日本循環器学会学術集会が開催され、『急性冠症候群診療ガイドライン(2018年改訂版)』の作成班長を努めた木村 一雄氏(横浜市立大学附属市民総合医療センター心臓血管センター)が、急性冠症候群診療ガイドラインの改訂ポイントについて解説した。  『急性冠症候群診療ガイドライン』は、3つのガイドライン(「ST上昇型急性心筋梗塞の診療に関するガイドライン」、「非ST上昇型急性冠症候群の診療に関するガイドライン」、「心筋梗塞二次予防に関するガイドライン」)を包括し、発行された。作成するにあたり、急性冠症候群診療ガイドラインがアジア諸国の参考となることを目指し英文ガイドラインも同時発表されたが、このような急性冠症候群(ACS)を包括したガイドラインは、米国や欧州でもいまだに作成されていない。

ペットと肺がん死亡率に意外な関連

 わが国でもペットを飼っている人は多く、ここ数年はネコがイヌを上回っている。今回、米国ジョージアサザン大学のAtin Adhikari氏らは、米国の全国コホートにおける18年間の追跡調査で、ネコを飼っている女性は飼っていない女性に比べ、肺がん死亡率が2.85倍と有意に高かったことを報告した。ペットによるこの影響は、喫煙やアトピー性疾患の交絡によって説明されないという。Environmental Research誌2019年2月25日号に掲載。

双極性障害治療に対する新薬候補

 ドラッグ・リポジショニングは、多くの医療分野において有望なアイデアである。躁病および双極性障害の発症率低下に対するアスピリン以外の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、低用量アスピリン、高用量アスピリン、スタチン、アロプリノール、アンジオテンシン系薬の継続使用の影響を調査するため、デンマーク・コペンハーゲン大学のLars Vedel Kessing氏らは、デンマークの全国人口ベースレジストリをシステマティックに使用し、検討を行った。Bipolar Disorders誌オンライン版2019年3月14日号の報告。

統合失調症に対する抗炎症薬補助療法~メタ解析

 統合失調症に対する抗炎症薬補助療法が、症状改善に寄与することが最近のエビデンスで示唆されている。しかし、認知機能、全般的機能、副作用に対する抗炎症薬補助療法の効果については、システマティックに研究されていない。韓国・カトリック大学のMyeongju Cho氏らは、統合失調症に対する抗炎症薬補助の効果を包括的に調査するため、メタ解析を実施した。The Australian and New Zealand Journal of Psychiatry誌オンライン版2019年3月13日号の報告。

EGFR変異肺がん1次治療におけるエルロチニブ+ベバシズマブの効果(NEJ026)/Lancet Oncol

 StageIVのEGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)ではEGFR-TKIが標準療法であるが、1年程度で半数に耐性が起こる。そのため、さまざまな併用療法が試みられている。NEJ026はASCO2018で発表されたEGFR変異陽性NSCLCの1次治療に対するエルロチニブとベバシズマブの併用をエルロチニブ単剤と比較した第III相試験であるが、その中間解析の結果がLancet Oncology誌2019年4月8日号で発表された。

心不全患者の突然死、わが国でも高い精度で予測可能に/日本循環器学会

 欧米で開発された心不全患者の突然死の統計的な発症予測モデルSeattle Proportional Risk Model(SPRM)を用いることにより、日本人の心不全患者においても高い精度で突然死の発症を予測できることが示唆された。突然死の予防に有効な植込み型除細動器(ICD)を含めた治療方針を検討するうえで役立つことが期待される。2019年3月29~31日に開催された第83回日本循環器学会学術集会で、慶應義塾大学医学部循環器内科の福岡 良磨氏らが発表した。

再生細胞薬SB623、慢性期外傷性脳損傷、先駆け審査の対象品目に/サンバイオ

 サンバイオ株式会社及びその子会社である SanBio, Inc.は、同グループが外傷性脳損傷を対象疾患としてグローバルで開発を進めている再生細胞薬SB623が、2019年4月8日、厚生労働省より再生医療等製品として「先駆け審査指定制度」の対象品目の指定を受けることになったと発表。  SB623は、一過性に遺伝子導入した成人骨髄由来の間葉系幹細胞を加工・培養して製造したもので、脳内の神経組織に投与されると自然な再生機能を誘発することで失われた運動機能の改善を促すことが期待されている。

骨折の介護は介護者の働き方を変える

 高齢者の骨粗鬆症による骨折は、患者自身のQOLを悪化させるだけでなく、予後も悪化させる。と同時に家族など介護者に多大な負担を強いることになり、わが国でも問題となっている。今回、介護の実情、介護者の本音について、アステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社は、50歳以上で骨粗鬆症に起因すると思われる骨折患者を介護する家族介護者の男女にアンケートを実施し、その詳細を公開した。

高校進学時のうつ病に対する予防プログラム

 中学校から高校へ進学する青少年におけるうつ病および不安症状に対する学校ベースの適応予防プログラムの効果について、米国・ワシントン大学のHeather Makover氏らが、検討を行った。Prevention Science誌オンライン版2019年3月9日号の報告。  高校進学プログラムは、青少年にとってとくに脆弱な時期における社会的および学術的な問題解決のスキルとエンゲージメントを構築するために設計されたプログラムである。太平洋沿岸北西部の6校の中学校の生徒2,664人を対象に、8年生の後半に普遍的な感情健康診断を実施し、うつ病スコアが高く、行動障害問題スコアの低かった生徒に対し研究参加を依頼した。

がん患者の深部静脈血栓症、再発率は2倍以上/日本循環器学会

 がんは深部静脈血栓症(VTE)の強力なリスク因子である。がん患者のVTE発症頻度は非がん患者に比べ高く、その発症率は近年増加している。しかし、がん関連VTEに関する研究は十分ではなく、適切な管理については明らかになっていない。天理よろづ相談所病院 循環器内科 坂本二郎氏らは、がん関連VTEの臨床的な特徴、管理、臨床的転帰をリアルワールドで評価する多施設後ろ向きコホート研究COMMAND-VTEレジストリを行い、その結果を第83回日本循環器学会学術集会で発表した。

がん患者の食欲不振にnabiloneが有効?

 カンナビノイドに由来する薬剤(nabiloneなど)は近年、食欲不振の改善効果があることが認められたが、がん患者の食欲不振の改善にも有効なのか。メキシコ・国立がん研究所のJenny G. Turcott氏らは、肺がん患者を対象にnabiloneの有効性を検討する、無作為化二重盲検プラセボ対照第II相臨床試験を行い、「nabiloneは食欲不振のがん患者に対する支持療法の選択肢となりうる」ことを示した。「肺がん患者における有効性を結論付けるために、さらなる大規模臨床試験を行う必要がある」とまとめている。

セファゾリンナトリウム注射用の代替薬

 2019年3月29日、厚生労働省は、事務連絡として「セファゾリンナトリウム注射用「日医工」が安定供給されるまでの対応について」を全国の関係機関に発出し、各医学会でも周知が開始された。  セファゾリンナトリウムは、日医工株式会社が製造・供給に大きなシェアをもつ抗菌薬だが、本年2月に製品供給に支障をきたす可能性がある旨の周知があり、現在も供給再開の目途が立っていない。そして、同製品の代替品と考えられる製品の一時的な供給不足も危惧されることから、安定供給が再開されるまでの間の対応として周知された。

がん終末期は減薬を/Cancer

 がん終末期における予防薬の投与はいつまで行われているのか。スウェーデン・カロリンスカ研究所のLucas Morin氏らは、高齢の進行がん患者における降圧薬、抗血小板薬、抗凝固薬、スタチン、経口糖尿病薬などの予防薬の継続について調査を行い、これらは死亡前1年間においても処方され、しばしば最後の数週間まで続けられていたことを明らかにした。著者は、「終末期の患者において、予防薬が臨床的有用性を達成する可能性は低い。

コーヒーは5杯未満が有益?日本人の死亡率への影響

 これまでのコホート研究で、コ―ヒー摂取によるがん、心疾患、呼吸器疾患などへの良い影響が示唆されている。今回、国立がん研究センターによる「科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究」で、コーヒー摂取による日本人の全死因および死因別死亡リスクへの影響について、日本の8つのコホート研究(Japan cohort consortium)のプール解析を行った。その結果、コーヒー1日5杯未満の摂取で全死因死亡や主な死因による死亡リスクが低下する可能性が示唆された。Preventive Medicine誌オンライン版2019年4月2日号に掲載。

第13回Transcatheter Imaging Forum(TCIF2019)開催のご案内

 NPO法人日本血管映像化研究機構は、2019年4月26・27日に第13回Transcatheter Imaging Forumを開催する。本会は当初より、種々の画像診断技術を用いて、動脈硬化性疾患の評価をライブ中継画像を交えながら真摯に議論する集まりとして開催されてきた。近年は、改良された血流維持型血管内視鏡によって観察される大動脈内腔、自然破綻を繰り返す動脈硬化性粥腫(プラーク)に注目し、その診断、病態、治療に関する種々の検討を積み重ねている。