医療一般|page:297

うつ病に対するブレクスピプラゾール補助療法の長期非盲検試験

 うつ病に対する長期治療は、再発予防および機能回復のために推奨されている。デンマーク・H. Lundbeck A/SのMary Hobart氏らは、成人うつ病患者に対するブレクスピプラゾール補助療法の長期非盲検試験において、安全性、忍容性、有効性を評価した。Journal of Clinical Psychopharmacology誌2019年5/6月号の報告。  対象は、3つのランダム化二重盲検プラセボ対照試験から52週間(26週間へ修正)の試験へロールオーバーしたうつ病患者。対象患者には、最新の抗うつ薬治療にブレクスピプラゾール0.5~3mg/日(フレキシブルドーズ)を追加した。主要アウトカムは、治療による有害事象(TEAE)の頻度および重症度とした。

女性へのゾルピデム使用リスク

 2013年、女性に対するゾルピデム就寝前投与は、昼間の鎮静リスクを上昇させ、運転技能の低下を来すことを示す新たなデータの存在をFDAが報告した。これには、女性では男性と比較し、ゾルピデムの代謝クリアランスの減少および朝の血中濃度の上昇が影響していると推定される。このことから、FDAは、女性へのゾルピデム推奨投与量を、男性の50%まで減量するよう指示した。しかし、世界的にどの規制当局においても同様な指示は出ていない。米国・睡眠障害研究センターのDavid J. Greenblatt氏らは、女性へのゾルピデム使用リスクについて、レビューおよび評価を行った。Journal of Clinical Psychopharmacology誌2019年5月号の報告。

予後予測に優れた円形脱毛症評価ツールを開発

 円形脱毛症は、さまざまな原因やタイプがあることで知られている。韓国・延世大学校のSolam Lee氏らは、これに対し、すでに多くの評価ツールや分類法があるが、それらによる予後予測の価値は限定的だとして、予後の層別化に重点を置いた評価ツール「TOAST(topography-based alopecia areata severity tool)」を開発した。「TOASTは、毛髪損失の局所的特徴と予後を描出するのに効果的であり、医師はより良い治療計画を立てることができるだろう」と述べている。また、開発の過程で、「より良く予後を層別化するには、側頭部の病変を個別に評価することが必要」であることも明らかになったとしている。JAMA Dermatology誌オンライン版2019年3月27日号掲載の報告。

CAR-T療法が臨床へ、まずは2~3施設でスタート

 CAR-T療法が、白血病や悪性リンパ腫に対する治療として実臨床で使用される日が近づいてきた。2019年3月、キメラ抗原受容体T(CAR-T)細胞療法として国内で初めて、チサゲンレクルユーセル(商品名:キムリア)が製造販売承認を取得した。これを受けて4月18日、都内でメディアセミナー(主催:ノバルティス ファーマ)が開催された。  セミナーでは、豊嶋 崇徳氏(北海道大学大学院医学研究院血液内科 教授)、平松 英文氏(京都大学医学部附属病院小児科 講師)が登壇。CAR-T療法(キムリア)の適応症である再発・難治性のCD19陽性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、B細胞性急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)について、それぞれ実臨床での展望を示した。

知ることから始める、多発性硬化症患者が輝く社会への転換

 2019年4月22日、バイオジェン・ジャパンとエーザイは、5月30日のWorld MS Day(世界多発性硬化症の日)に先駆け、「20-40歳代の女性に多く発症する神経疾患『多発性硬化症(MS)』~働き盛り世代の健康・家庭・仕事の両立に大きなインパクト~」と題するメディアセミナーを開催した。  多発性硬化症(以下、MS)は、日本では女性の患者数が男性の2.9倍で、20~40歳代で多く発症するとされる。この年代の女性は就職や出産、育児などのライフイベントが多く、社会への影響が大きいと考えられる。本セミナーでは、河内 泉氏(新潟大学 脳研究所・医歯学総合病院 神経内科 講師)が、MSの疾患概要と、MS患者が活躍できる社会の実現に向けた思いを語った。

応援歌で前向きに生きる乾癬の患者

 2019年4月9日、アッヴィ合同会社は、ミュージシャン・音楽プロデューサーとして人気を博すヒャダインこと前山田 健一氏とのコラボレーションにより完成した乾癬患者への応援ソング『晴れゆく道』の発表を記念し、都内においてメディアセミナーを開催した。   セミナーでは、最新の乾癬診療の概要や今回の応援ソング制作の経緯などが説明された。なお、前山田氏も乾癬患者として現在、治療を受けている。

治療抵抗性うつ病患者の脱落予測因子と臨床的影響

 第2選択薬治療による臨床試験より脱落した治療抵抗性うつ病患者について、イタリア・ボローニャ大学のPaolo Olgiati氏らが、調査を行った。International Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2019年4月2日号の報告。  対象は、第1選択薬で奏効が見られず、ベンラファキシンの6週間治療に移行したうつ病外来患者342例。社会人口統計学的および臨床的特徴を、脱落群と非脱落群で比較を行った。  主な結果は以下のとおり。

ドイツ女子サッカーリーグにおけるうつ病や不安症状の有病率

 トップアスリートのメンタルヘルス問題の有病率に関する情報が、明らかとなっていない背景には、回答率の低さやサンプルの不均一さなどの方法論的課題があると考えられる。ドイツ・Medical School HamburgのAstrid Junge氏らは、トップレベルの女子サッカー選手におけるうつ病および不安症状の有病率および危険因子を評価するため、検討を行った。British Journal of Sports Medicine誌2019年4月号の報告。  ドイツ女子サッカー1部リーグ10チームおよび2部リーグ7チームに所属する選手を対象に、選手の特性、うつ病自己評価尺度(CES-D)、全般不安症尺度(GAD-7)に関するアンケートを実施した。

女子短大生における睡眠の質とスマートフォン依存

 スマートフォンの使用は一般的となり、青少年の睡眠の質に影響を及ぼしている。思春期の女性では、睡眠の質に関連する問題が増大する傾向にある。台湾・Changhua Christian Children HospitalのPo-Yu Wang氏らは、これまで研究されていなかった、女子短大生における睡眠の質とスマートフォン依存および健康関連行動との関連を調査し、睡眠の質に影響を及ぼす予測因子を特定するため検討を行った。PLOS ONE誌2019年4月3日号の報告。

日本人うつ病患者における健康関連QOLや経済的負担

 うつ病は、健康だけでなく経済的負担への影響も大きい疾患である。武田薬品工業の山部 薫氏らは、日本人成人におけるうつ病診断の有無による健康関連アウトカムとコストへの影響について調査を行った。ClinicoEconomics and Outcomes Research誌2019年3月号の報告。  日本の健康調査National Health and Wellness Survey(NHWS)の2012~14年のデータ(8万3,504人)を用いて、レトロスペクティブ観察研究を行った。日本人のうつ病診断群2,843例、うつ病未診断群2,717例(weight)、非うつ病対照群2,801例(weight)における健康関連QOL、仕事の生産性および活動障害に関する質問票(Work Productivity and Activity Impairment Questionnaire:WPAI)、医療リソース利用、年間コストの差を評価した。共変量で調整した後、傾向スコアの重み付けと加重一般化線形モデルを用いて、アウトカム変数の群間比較を行った。

自閉スペクトラム症におけるADHD症状とインターネット依存

 いくつかの研究報告によると、自閉スペクトラム症(ASD)患者では、インターネット依存(internet addiction:IA)がより多く認められるという。しかし、IAを伴う青年期のASD患者の特徴は、よくわかっていない。愛媛大学・河邉 憲太郎氏らは、青年期ASDにおけるIAの有病率を調査し、IA群と非IA群の特徴を比較した。Research in Developmental Disabilities誌オンライン版2019年3月13日号の報告。  対象は、愛媛大学医学部附属病院および愛媛県立子ども療育センターの外来ASD患者55例(10~19歳)。患者およびその両親に対し、Youngのインターネット依存度テスト(IAT)、子どもの強さと困難さアンケート(SDQ)、自閉症スペクトラム指数(AQ)、ADHD Rating Scale-IV(ADHD-RS)を含む質問を行った。

出産前後の日本人女性に対する抗てんかん薬処方~健康管理データベースからの検討

 東北大学の石川 智史氏らは、出産前および産後の日本人女性に対する抗てんかん薬(AED)の処方率および処方パターンについて、大規模データベースを用いて評価を行った。Pharmacoepidemiology and Drug Safety誌オンライン版2019年3月10日号の報告。  公表されているアルゴリズムまたは乳児の生年月日を用いて、妊娠開始日および出産日を推定した。AEDの処方率、最大用量、併用療法の頻度について、妊娠開始前180日、妊娠中、産後180日で評価した。

クロザピンと他の抗精神病薬による好中球減少症発症比較~メタ解析

 クロザピンは、他の抗精神病薬と比較し、好中球減少症との関連性が高いとの懸念から、ほとんどの国において、白血球数の定期的なモニタリングを行わなければ使用できない。しかしこれまで、対照研究のメタ解析により決定的に実証されてはいなかった。オーストラリア・クイーンズランド大学のNicholas Myles氏らは、他の抗精神病薬と比較したクロザピンの好中球減少症との関連性を評価するため、対照研究のメタ解析を行った。The Australian and New Zealand Journal of Psychiatry誌オンライン版2019年3月13日号の報告。

週1本のワインによるがん生涯リスクはタバコ何本に相当?

 適度のアルコールもやはりリスクなのか。英国・サウサンプトン大学病院 NHS Foundation TrustのTheresa J. Hydes氏らが英国のデータを解析し、ワインを1週間に1本飲む女性は、アルコール関連がんの生涯絶対リスクが増加し、この増大をもたらしているのは、乳がんであることを明らかにした。女性では、週1本のワインは週10本の喫煙に相当するという。著者は、「今回の結果は、女性にとって適度な飲酒は公衆衛生上の重大なリスクであることを知ってもらうのに役立つだろう。

低線量CTの肺がんスクリーニング、5年以上実施で10年生存が改善/Ann Oncol

 肺がんスクリーニングは肺がん死を減少するのか。National Lung Screening Trial(NLST)では、低線量CTによる年1回3年間の肺がんスクリーニングが肺がん死を減少させたことが示されている。イタリア・Foundation IRCCS国立がん研究所のUgo Pastorino氏らは、低線量CTによるさらに長期のスクリーニングについて評価する前向き無作為化臨床試験「Multicentric Italian Lung Detection:MILD試験」を行った。その結果、5年を超える長期スクリーニングは、NLST研究と比較し、早期発見のベネフィットの増強が可能であり、全死亡および肺がん死を大きく減少できる可能性が認められたという。

低食物摂取アルツハイマー病患者に対するリバスチグミンパッチの有効性

 多くのアルツハイマー病(AD)患者は、食物摂取不良や食欲不振を経験し、認知障害の進行を加速させる。これまでのいくつかの報告によると、リバスチグミンがAD患者の食欲を改善させることが示唆されている。香川大学の角 徳文氏らは、AD患者における低食物摂取を改善させるためのリバスチグミンパッチの有効性について検討を行った。Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版2019年3月12日号の報告。  対象は、「AD患者の食物摂取に対するリバスチグミンの効果に関する研究」にて募集した、食欲不振または不十分な食物摂取のいずれかを経験したAD患者。

「働き方改革」一歩前進へ-ロボット麻酔システム-

 2019年4月16日、福井大学医学部の重見 研司氏(麻酔・蘇生学教授)、ならびに松木 悠佳氏(同、助教)とその共同研究者らは、全身麻酔の3要素である鎮静・鎮痛・筋弛緩薬をすべて自動的に制御する日本初のシステムについて厚生労働省で記者発表した。本会見には共同研究者の長田 理氏(国立国際医療研究センター麻酔科診療科長)、荻野 芳弘氏(日本光電工業株式会社 呼吸器・麻酔器事業本部専門部長)も同席し、実用化に向けた取り組みについて報告した。

心房細動アブレーションに対するエドキサバン継続 vs.ワルファリン継続(ELIMINATE-AF)【Dr.河田pick up】

 エドキサバンはFXa(活性化血液凝固第X因子)を選択的に阻害することにより、心房細動患者において脳梗塞を予防する。心房細動アブレーションを受ける患者に対するエドキサバンの継続療法に関しては、これまで試験が行われていない。  ELIMINATE-AF試験は、多国籍、多施設共同、オープンラベルの無作為化並行群間比較試験。カテーテルアブレーションを受ける心房細動患者における、ワルファリンと比較したエドキサバン(1日1回60mg、減量投与が必要な患者には30mg)の安全性と有効性を評価するために行われた。

境界性パーソナリティ障害に対する集団精神療法のメタ解析

 境界性パーソナリティ障害(BPD)治療ガイドラインでは、必須とはいかないまでも、患者ケアの重要な要素として精神療法を推奨している。米国・Rawson-Neal Psychiatric HospitalのStephanie P. B. McLaughlin氏らは、BPDに対する集団精神療法と通常治療(TAU)を比較したランダム化比較試験のメタ解析を行った。Psychotherapy誌オンライン版2019年3月14日号の報告。  グループおよび患者の特性、バイアス変数リスク、TAU比較条件の治療要素(精神療法が含まれるかどうかなど)に基づくアウトカムの違いを調査するため、モデレーター分析を行った。

女性化乳房のPPIによる発症リスクを調査

 プロトンポンプ阻害薬(PPI)による女性化乳房の症例報告は多いが、大規模な疫学研究はなかった。今回、カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のBonnie He氏らが大規模な後ろ向きコホート研究を実施し、男性患者におけるPPIによる女性化乳房リスクを調べた。その結果、PPI使用による女性化乳房発症リスクはアモキシシリン使用に比べ、50歳超で1.5倍であった。Pharmacotherapy誌オンライン版2019年3月13日号に掲載。