セファゾリンナトリウム注射用の代替薬

提供元:ケアネット

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公開日:2019/04/12

 

 2019年3月29日、厚生労働省は、事務連絡として「セファゾリンナトリウム注射用「日医工」が安定供給されるまでの対応について」を全国の関係機関に発出し、各医学会でも周知が開始された。

 セファゾリンナトリウムは、日医工株式会社が製造・供給に大きなシェアをもつ抗菌薬だが、本年2月に製品供給に支障をきたす可能性がある旨の周知があり、現在も供給再開の目途が立っていない。そして、同製品の代替品と考えられる製品の一時的な供給不足も危惧されることから、安定供給が再開されるまでの間の対応として周知された。

 利用にあたっては、「抗菌薬の処方に関する最終的な決定は、治療にあたる医師が行う」「一覧の病態・術式に対し本来の推奨薬とは限らない薬剤も含まれるので、個別の患者マネジメントにおいては病態や術式を十分に検討して決定すること」などの諸注意を踏まえ、院内などで情報共有をしつつ、活用してほしいとしている。

周術期予防抗菌薬(カッコ内はターゲットとする細菌)
・脳神経外科(黄色ブドウ球菌/レンサ球菌)
 代替薬例:セフォチアム、セフォタキシムなど
・耳鼻咽喉科(黄色ブドウ球菌/口腔内嫌気性菌/レンサ球菌)
 代替薬例:アンピシリン・スルバクタム、セフォチアムなど
・心臓血管外科(黄色ブドウ球菌/レンサ球菌)
 代替薬例:セフォチアム、セフォタキシムなど
・胸部外科(口腔内嫌気性菌/レンサ球菌)
 代替薬例:アンピシリン・スルバクタム、セフォチアムなど
・乳腺外科(黄色ブドウ球菌/レンサ球菌)
 代替薬例:セフォチアム、クリンダマイシン
・上部消化管外科(大腸菌/肺炎桿菌)
 代替薬例:アンピシリン・スルバクタム、セフォチアム
・消化器外科(腸内細菌科細菌)
 代替薬例:アンピシリン・スルバクタム、セフォチアムなど
・婦人科(腸内細菌科細菌、Bacteroides fragilisグループ)
 代替薬例:アンピシリン・スルバクタム、セフォチアムなど
・泌尿器科(腸内細菌科細菌)
 代替薬例:アンピシリン・スルバクタム、セフォチアムなど
・整形外科(黄色ブドウ球菌/レンサ球菌)
 代替薬例:セフォチアム、セフメタゾールなど

治療用抗菌薬(カッコ内はターゲットとする細菌)
・黄色ブドウ球菌菌血症(黄色ブドウ球菌)
 代替薬例:アンピシリン・スルバクタム、セフォタキシム、セフトリアキソンなど
・軟部組織感染症[蜂窩織炎、丹毒など](黄色ブドウ球菌/レンサ球菌)
 代替薬例:アンピシリン・スルバクタム、セフォタキシム、セフトリアキソンなど
・急性骨髄炎、化膿性関節炎(黄色ブドウ球菌)
 代替薬例:セフォタキシム、セフトリアキソン、クリンダマイシンなど
・尿路感染症[急性腎盂腎炎](大腸菌)
 代替薬例:セフォチアム、セフメタゾール、フロモキセフなど

 なお上記リストは、同製品の供給不足に伴う影響を最小限にし、かつ抗菌薬適正使用の観点から、既存の診療ガイドラインなどを踏まえ、国立研究開発法人国立国際医療研究センターAMR臨床リファレンスセンターの協力のもと作成された。

■参考
厚生労働省「セファゾリンナトリウム注射用「日医工」が安定供給されるまでの対応について」

(ケアネット 稲川 進)