肺がんの予後、正常組織の肺マイクロバイオームと関連

提供元:ケアネット

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公開日:2019/04/08

 

 腸内フローラなどとともに注目されている“ヒトマイクロバイオーム”が、肺がん予後に関わるという興味深い知見が示された。ヒトマイクロバイオームは、局所の発がんまたはがん進行に寄与する可能性のある多くの機能を有しているが、これまで肺がんの予後と肺マイクロバイオームとの関連は知られていなかった。米国・ニューヨーク大学のBrandilyn A. Peters氏らは、予備研究として少数例で解析を行い、正常な肺マイクロバイオームが肺がんの予後と潜在的に関連していることを初めて明らかにした。さらに大規模な研究が必要ではあるが、著者は「予後に関する細菌バイオマーカーを定義することが、肺がん患者の生存アウトカム改善につながる可能性がある」とまとめている。Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention誌オンライン版2019年2月7日号掲載の報告。

 研究グループは、非小細胞肺がん(NSCLC)19例を対象に予備研究を行った。

 同一肺葉/区における腫瘍組織および遠隔正常組織のペア検体を用いて16S rRNA解析を施行し、腫瘍または正常組織のマイクロバイオーム多様性/構成と無再発生存(RFS)/無病生存(DFS)との関連を調べるとともに、腫瘍組織と正常組織のマイクロバイオーム多様性/構成を比較した。

 主な結果は以下のとおり。

・正常組織におけるマイクロバイオームの豊富さ(richness:操作的分類単位[OTU]数が高い)と多様性(diversity:Shannon指数が高い)が、RFS低下(OTU数に関するp=0.08、Shannon指数に関するp=0.03)およびDFS低下(それぞれp=0.03、p=0.02)と関連していた。
・正常組織では、Koribacteraceae科の豊富さがRFSおよびDFSの上昇と関連していた。一方で、Bacteroidaceae科、Lachnospiraceae科およびRuminococcaceae科の豊富さはRFSおよびDFSの低下と関連していた(p<0.05)。
・腫瘍組織におけるマイクロバイオームの多様性と全体の構成は、RFSおよびDFSと関連していなかった。
・腫瘍組織では対応する正常組織と比較し、マイクロバイオームの豊富さと多様性が低かったが(p≦0.0001)、全体の構成に差はなかった。

(ケアネット)