心房細動と認知症リスク~1万3千人を20年追跡

提供元:ケアネット

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公開日:2018/03/15

 

 これまでに心房細動(AF)と認知機能低下および認知症との関連が報告されている。しかし、これらの研究は追跡期間が限られ、ほとんどが白人や選択された集団に基づいており、また認知機能の減衰を考慮していなかった。今回、ミネソタ大学のLin Y. Chen氏らは、ARIC(Atherosclerosis Risk in Communities)研究において、認知機能の20年間の変化(減衰を考慮)および認知症発症との関連を評価した。その結果、虚血性脳卒中と関係なく、AFが認知機能のより大きな低下や認知症リスクの増加と関連することが示された。Journal of the American Heart Association誌2018年3月7日号に掲載。

 本研究(ARIC-NCS:ARIC Neurocognitive Study)は、1万2,515人の参加者(1990~92年における平均年齢:56.9歳[SD:5.7歳]、女性56%、黒人24%)の1990~92年から2011~13年までのデータを分析。AF発症は心電図検査と退院コードで確認した。認知テストは、1990~92年、1996~98年、2011~13年に実施し、認知症発症は臨床医の判断とした。AFと認知テストにおけるZ scoreの変化および認知症発症との時間依存性の関連について、一般化推定方程式(GEE)とCox比例ハザードモデルを用いて評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・20年間に2,106人がAFを発症し、1,157人が認知症を発症した。
・虚血性脳卒中などの心血管リスク因子を調整後、global cognitive Z scoreの20年にわたる低下の平均は、AFがない参加者よりAFのある参加者のほうが大きく、0.115 (95%CI:0.014~0.215)であった。MICE(連鎖方程式による多変量補定)により減弱を調整すると、関連はさらに強くなった。
・さらに、虚血性脳卒中を含む心血管リスク因子について調整すると、AF発症は認知症リスクの増加と関連していた(ハザード比:1.23、95%CI:1.04~1.45)。

 著者らは、「認知機能低下は認知症の前段階であるため、この結果から、AF患者の認知機能低下を遅らせ、認知症を予防するAFの治療法を調べるために、さらなる調査が推進される」としている。

(ケアネット 金沢 浩子)