第1回 エビデンスが本の中で踊っている【Dr.倉原の“俺の本棚”】

  • 公開日:2018/01/15
企画・制作ケアネット

ほかのドクターがどんな本を読んでいるのか、気になりませんか?CareNet.com “おどろき”医学論文が好評の呼吸器内科医 倉原優氏が、自身の本棚から「これは!」とウナる本を毎月1冊ピックアップ。思わず読みたくなる“医書”を紹介します。

※紹介する書籍は倉原氏個人の選書です。ケアネットが推薦するものではありません。

【第1回】エビデンスが本の中で踊っている

書評ってカタいイメージがあると思うんですけど、ここではその書評のイメージをぶっ壊してみます。医学書は楽しんで読もうぜ、みんな!

『内科病棟・ER トラブルシューティング』

高岸 勝繁/著 上田 剛士/監修. 金芳堂. 2017

これは私がほうぼうで言っていることですが、医学書を買うときの一番大事なモチベーションは「焦燥感」です。とくに若手の場合はこれが大事。「なんだこの医学書、全部知ってること書いてんじゃん」と思いながら、数千円する医学書を買う必要なんてどこにもありゃしません。私がよかったと思う医学書は、「ああヤバイ」と読んで自分が焦る本です。膨大な情報量と著者の勉強量を目の当たりにし、医師としての自分の知識や能力に焦りを覚える本。

『内科病棟・ER トラブルシューティング』の著者、高岸 勝繁先生は、そういう本を連発するバケモノです。モンスターです。いや、いくらなんでもアンタそんな言い方したら失礼だろ、と思われるかもしれませんが、実は彼と私は同じ研修医時代を過ごした戦友なのです(しかしこの言い訳が通じるのもそろそろ限界かッ…!)。ご存じの方も多いと思いますが、彼と監修の上田 剛士先生は、総合診療・救急の分野でめちゃめちゃキレる医師として名をはせています。いや、別に、すぐに怒るという意味じゃないですよ、頭の回転がスゴイということです。

高岸先生は超がつくほどの勉強家で、ナニコレどこから集めたの?と言わんばかりの膨大なデータをブログでも公開しています。恐ろしいのは、それを臨床に還元できているということです。頭でっかちな論文大好きドクターではなく、得た論文のデータを臨床に体現できているんですよ。これって、やろうと思ってもなかなかできるもんじゃありません。

本書は、その壮絶な勉強量から紡ぎだされたものです。内容はどちらかといえばクリティカルなテーマが多く、心肺停止から電解質異常までさまざまです。合計340ページあまりで、手に持つとかなりズッシリきます。驚くべきは、一つひとつの文章にエビデンスが息づいているということです。ナニコレ、「エビデンスが本の中で踊っている!」と思いながら読み進めていました。彦摩呂風に書くと、「エビデンスのブレイクダンスや~」です。

……い、いかん、スベった!

私の専門分野の肺エコーのところなんて、「肺エコー所見を肺CT所見に脳内で変換する」とサラっと書いてあって、おいおい、脳内で変換できる呼吸器内科医なんて全体の1%もいねぇよ!とツッコみながら読んでいました。また、恥ずかしながら、「肋間神経痛だね」と今までごまかされてきた胸痛の中にLower rib pain症候群があることを知りました。

読んだ後、「もっと勉強しなきゃダメだ!」と焦燥感に奮い立つこと間違いありません。

『内科病棟・ER トラブルシューティング』

高岸 勝繁/著 上田 剛士/監修
出版社名
金芳堂
定価
本体5,200円+税
頁数 縦
342P 26cm
刊行年月
2017年12月

倉原 優 ( くらはら ゆう ) 氏近畿中央胸部疾患センター

[略歴]

2006年滋賀医大卒業。洛和会音羽病院を経て08年から現職。

自身のブログ「呼吸器内科医」では医学論文の和訳や医療エッセーを執筆。

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