治療抵抗性統合失調症へのクロザピン投与「3つのポイント」

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2012/09/10

 

 統合失調症治療薬クロザピンは治療抵抗性を示す患者に対して有用であるものの、安全性の観点から使用が制限されている。では、クロザピンはどのような患者に対し、とくに有効なのだろうか? Nielsen氏らは、過去のクロザピン使用症例データをもとに反応予測因子を解析した結果、3つの要因を導き出した。J Clin Psychopharmacol誌2012年10月号の報告。

 対象は、デンマーク精神中央研究所および全国処方データベースより抽出した、1997年~2006年までにクロザピンの投与を開始した統合失調症患者633例。クロザピン処方後の入院までの期間や中止原因の予測因子を明らかにするため、Cox回帰分析を行った。精神科入院の予測因子を明らかにするため、2年間のミラーイメージ法による多重ロジスティック回帰分析を行った。

主な結果は以下のとおり。

・入院に至る期間を短縮させる予測因子は、クロザピン処方前の他の抗精神病薬処方数(ハザード比 [HR]: 1.08/trial、信頼区間[Cl]:1.01-1.15/trial)や入院(HR:1.04/入院、Cl:1.03-1.05/入院)、統合失調症発症早期から初回クロザピン処方までの期間(HR:0.98/年、Cl:0.96-0.99/年)、クロザピンの低用量投与(HR:0.07/100mg、Cl:0.03-0.13/100mg)であった。
・クロザピン治療中2年間のミラーイメージ法では、入院延べ日数(269.9日[Cl:238.3-287.8日] ~64.2日[Cl:53.0-79.3日]、p<0.001)、入院(3.4[Cl:3.1-3.6]~ 2.2[Cl:1.9-2.5]、p<0.011)の有意な減少が認められた。
・クロザピン投与中の入院期間は、より多い抗精神病薬使用経験(オッズ比[OR]:1.11、Cl:1.00-1.22)、クロザピン投与前の入院(OR:1.08、Cl:1.04-1.11)、女性(OR:1.84、Cl:1.31-2.58)の3つの要因との関連が認められた。

■関連記事
「第二世代抗精神病薬」長期投与の課題は…
難治性の強迫性障害治療「アリピプラゾール併用療法」
慢性期統合失調症患者に新たな一手!「高酸素吸入療法」
治療抵抗性統合失調症は、クロザピンに期待するしかないのか