内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:162

うつ病患者における抗うつ薬の継続と慢性疼痛発症率~日本でのレトロスペクティブコホート

 うつ病と慢性疼痛との関連は、よく知られている。しかし、うつ病患者における抗うつ薬の治療継続およびアドヒアランスと慢性疼痛発症との関連は不明なままであった。これらの関連を明らかにするため、ヴィアトリス製薬のShingo Higa氏らは、日本国内のデータベースを用いたレトロスペクティブコホート研究を実施した。その結果、うつ病患者に対する6ヵ月以上の抗うつ薬の継続処方は、慢性疼痛発症を低減させる可能性があることが示唆された。Journal of clinical psychopharmacology誌2022年5-6月号の報告。

モデルナ2価ワクチン候補、BA.4およびBA.5に強力な中和抗体反応示す

 2022年6月22日、Moderna(米国)はオミクロン株に対する2価追加接種ワクチン候補mRNA-1273.214が第II/III相臨床試験において、すべての被験者でオミクロン株亜種BA.4およびBA.5に対する強力な中和抗体反応を示したことを発表した。  今回公表されたのは、初回接種ならびに1回追加接種が行われた被験者にmRNA-1273.214を50μg追加接種したデータである。発表された主な結果は以下のとおり。

オンデキサの臨床的意義とDOAC投与中の患者に伝えておくべきこと/AZ

 アストラゼネカは国内初の直接作用型第Xa因子阻害剤中和剤オンデキサ静注用200mg(一般名:アンデキサネット アルファ[遺伝子組み換え]、以下:オンデキサ)を発売したことをうけ、2022年6月28日にメディアセミナーを開催した。  セミナーでは、はじめに緒方 史子氏(アストラゼネカ 執行役員 循環器・腎・代謝/消化器 事業本部長)により同部門の新領域拡大と今後の展望について語られた。  AstraZeneca(英国)とアレクシオン・ファーマシューティカルズが統合したことで、今後多くのシナジーが期待されるが、今回発売されたオンデキサはその象徴的なものであると考えている。同部門では、あらゆる診療科に情報提供を行っているため、オンデキサの処方が想定される診療科だけでなく、直接作用型第Xa因子阻害剤を処方している診療科にも幅広く情報提供が可能である。オンデキサが必要な患者さんに届けられるよう、認知拡大や医療機関での採用活動に注力していきたいと述べた。

高齢者の悪夢はパーキンソン病発症のサイン?

 悪夢は誰にとっても不安なものだが、高齢者の悪夢はパーキンソン病(PD)発症のサインである可能性のあることが、「eClinicalMedicine」に6月8日掲載された論文で報告された。論文の著者である英バーミンガム大学ヒト脳健康センター(CHBH)のAbidemi Otaiku氏は、「この研究は、夢から脳の構造や機能に関する重要な情報を得られることを示すものだ。夢が神経科学における重要な研究分野となる可能性がある」と話している。  過去の研究では、PD患者は一般の人に比べて、悪夢を見る頻度の高いことが報告されている。しかし、PD発症リスクの指標として悪夢を用いることについては、これまで検討されていなかった。

背が高いと病気のリスクも高い?

 平均よりも背が高い人は、そのことに関連している遺伝因子がさまざまな疾患のリスクに影響を与える可能性があるという、新たな研究結果が発表された。米コロラド大学アンシュッツ医学キャンパスのSridharan Raghavan氏らの研究によるもので、詳細は「PLOS Genetics」に6月2日掲載された。  身長と疾患リスクの関係については過去にも研究されており、高身長の場合に心房細動と静脈瘤のリスクが高く、反対に冠動脈性心疾患や高血圧、高コレステロール血症のリスクは低いことが報告されていた。今回の研究では新たに、高身長が末梢神経損傷や足の潰瘍などのリスクの高さと関連のあることが分かった。ただしRaghavan氏は、「背が高いからといって、これらの疾患をいずれ発症する運命にあるとは限らない。個人的には、高身長であることを変更不能な疾患リスク因子として、憂慮すべきではないと考える」と述べている。

新型コロナ、2m超でも感染した事例のリスク因子/BMJ

 英国・UK Health Security AgencyのDaphne Duval氏らは、システマティック・レビューの結果、レストラン、公共交通機関、職場、合唱会場といった屋内環境において2m以上離れていても新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染(airborne transmission)が生じる可能性があり、感染に寄与する可能性がある要因として不十分な換気が特定されたことを報告した。SARS-CoV-2感染リスクは、感染者に近接したとき(2m未満)に最も高くなる傾向があり、スーパースプレッダーでは2m超でも感染する可能性が示唆されていたが、詳しいことは不明であった。著者は、「今回の結果は、屋内環境での感染予防対策、とくに十分な換気の必要性を強調するものである」とまとめている。BMJ誌2022年6月29日号掲載の報告。

新型コロナウイルス感染症は妊婦で重症化しやすく、早産と帝王切開のリスクを上げる(解説:前田裕斗氏)

新型コロナウイルス感染症と妊婦の関係性について、これまで(1)一般女性と比較して妊娠中にとくに罹患しやすいということはない(2)罹患した場合は一般女性よりも重症化しやすい(3)罹患した場合、妊娠合併症(帝王切開や早産など)が増えるなどの可能性が報告されている。なお、上記は母体についての影響の話であり新生児については記載していない。このうち、(2)と(3)については複数の中小規模の研究があるものの、研究組み入れ基準が症状ではなく入院時PCR陽性が条件である、同時期のコホートを比較対象とした研究は少なかった。今回の研究では、同時期の妊娠していない新型コロナウイルス感染者と比べた感染妊婦の重症化リスク、および感染妊婦の中でも重症化しやすい要因、そして非感染妊婦と比較して妊娠合併症が増えるかどうかについて検討している。

体重が実際より重いと思っている人は筋量で評価したサルコペニアに該当する可能性が高い―大阪府摂津市での研究

 サルコペニアとは筋量や筋力が低下し、疾患や要介護のリスクが高い状態である。自分の体重が実測値よりも重いと思っている人はサルコペニアの診断基準の1つである低筋量に該当する可能性が高いことを示す研究結果が報告された。医薬基盤・健康・栄養研究所 身体活動研究部の中潟崇氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of Physiological Anthropology」に5月5日掲載された。  体重の自己認識の誤り(実際より軽い、または重いとの誤解)が、さまざまな疾患のリスクと関連していることが報告されている。ただし、自己認識の誤りと筋量との関連はまだ報告がないため、中潟氏らは大阪府摂津市の地域住民を対象とした、大阪府との共同事業「大阪府健康格差の解決プログラム促進事業」で得られた研究データを解析し、この点を検討した。

DPP-4阻害薬で胆嚢炎リスク増、とくに注意が必要な患者は/BMJ

 2型糖尿病患者において、DPP-4阻害薬は胆嚢炎リスクを増大することが、中国・北京連合医科大学病院のLiyun He氏らによるシステマティック・レビューとメタ解析の結果、示された。無作為化試験の被験者で、とくに医師の注意がより必要となる治療期間が長期の患者でその傾向が認められたという。先行研究で、GLP-1は胆嚢の運動性の障害に関与していることが示唆されており、主要なGLP-1受容体作動薬であるリラグルチドが、胆嚢または胆道疾患リスクとの増大と関連していることが報告されていた。また、GIPも胆嚢の運動性に影響を及ぼすことが報告されていた。BMJ誌2022年6月28日掲載の報告。

オミクロン株流行中の5~11歳へのワクチン接種、実際の有効性は?/NEJM

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)オミクロン変異株流行中における、5~11歳へのmRNAワクチンBNT162b2(ファイザー製)の2回接種は、SARS-CoV-2感染および症候性新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対し中程度の保護効果を示したことが、イスラエル・Clalit Research InstituteのChandra J. Cohen-Stavi氏らによる検討で示された。これまでオミクロン変異株流行中の5~11歳への、BNT162b2ワクチンのリアルワールドでの有効性に関するエビデンスは限定的だった。NEJM誌オンライン版2022年6月29日号掲載の報告。