内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:164

砂糖入りのコーヒーも死亡リスクを下げる可能性

 コーヒーに少量の砂糖を入れて飲む習慣も、健康にとってプラスに働く可能性を示唆する研究結果が報告された。南方医科大学(中国)のChen Mao氏らの研究によるもので、詳細は「Annals of Internal Medicine」に5月31日掲載された。  これまでの観察研究から、コーヒーを摂取するという習慣が死亡リスクの低さに関連していることが示唆されている。ただし、それらの研究はコーヒーをブラックで飲むか、砂糖を入れて飲むかといった区別をしておらず、砂糖を入れて飲むと健康へのプラスの影響が相殺される可能性も考えられる。そこでMao氏らは、英国の大規模ヘルスケア情報データベース「UKバイオバンク」を用いてこの点を検討した。

高齢者の4回目接種、オミクロン株への有効性は?/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するmRNAワクチン(BNT162b2[ファイザー製]、mRNA-1273[モデルナ製])の4回接種は、3回接種と比較し、オミクロン変異株流行中の長期療養施設の60歳以上の入居者において、SARS-CoV-2オミクロン変異株の感染(症状の有無を問わないRT-PCR検査陽性)、症候性感染および重篤なアウトカム(入院または死亡)の予防を改善することが、カナダ・オンタリオ州公衆衛生局のRamandip Grewal氏らによる検討で示された。また、4回目接種者はワクチン未接種者と比較し、重篤なアウトカムへの予防効果は高いことも示された。ただし、保護効果の持続期間は不明であった。これまでに、イスラエルにおける60歳以上を対象としたリアルワールドの有効性試験では、BNT162b2の4回目接種者は3回目接種者(4ヵ月以上前に接種)と比較して、オミクロン変異株への感染およびCOVID-19重症化がかなり予防できることが示唆されていた。BMJ誌2022年7月6日号掲載の報告。

生後6ヵ月~4歳へのコロナワクチン、国内製造販売承認を申請/ファイザー

 ファイザーは7月14日付のプレスリリースで、生後6ヵ月~4歳の小児に対する同社の新型コロナウイルスワクチン(一般名:コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン[SARS-CoV-2]、商品名:コミナティ筋注)の製造販売承認を、厚生労働省に申請したことを発表した。  なお、本ワクチンについては、米国にて6月17日に、生後6ヵ月以上に対して、米国食品医薬品局(FDA)が緊急使用許可(EUA)したことを発表している。

ストレスにより免疫システムの老化が加速か

 ストレスは、免疫システムを弱めてさまざまな疾患を引き起こす可能性のあることが、米南カリフォルニア大学のEric Klopack氏らの研究で示唆された。衝撃的な出来事や仕事の重圧、日々のストレスや不当な扱いなどの経験は、免疫システムの老化スピードを速めることが示されたという。研究結果は「PNAS(Proceedings of the National Academy of Sciences)」に6月13日発表された。  免疫機能は加齢に伴い大きく低下し、老朽化した白血球が増える一方で、感染と闘える新しい白血球の数はわずかとなる。こうした現象は、「免疫老化」と呼ばれている。免疫老化はがんや心血管疾患、肺炎の発症リスクを高めるだけでなく、ワクチンの有効性の低下や器官系の老化とも関連する。しかし、同じ年齢の人でも健康状態に大きな差があるのはなぜなのか。Klopack氏らはこの差を、ストレスと免疫システムの老化との関連から説明できるのではないかと考え、今回の研究を実施した。

コロナワクチン、感染・入院・死亡者数をどれくらい抑制したのか/CDC

 米国疾病管理予防センター(CDC)のMolly K. Steele氏らが、米国の18歳以上の成人において、新型コロナワクチン接種によって予防された感染者数、入院者数、死亡者数を推定したところ、成人の67%がワクチンの初回シリーズ接種完了していた2021年9月において、ワクチン接種により、予想感染者数の52%、予想入院者数の56%、予想死亡者数の58%を防いだと推定された。JAMA Network Open誌2022年7月6日号に掲載。

認知症有病率の日本のコミュニティにおける20年間の推移

 認知症患者数は世界的に増加しており、とくに世界で最も高齢化が進む日本において、その傾向は顕著である。認知症高齢者の増加は、予防が必要な医学的および社会経済的な問題であるが、実情について十分に把握できているとはいえない。愛媛県・平成病院の清水 秀明氏らは、1997~2016年に4回実施した愛媛県中山町における認知症サブタイプ横断研究の結果を解析し、認知症有病率の経年的傾向について報告した。その結果、認知症の有病率は、人口の高齢化以上に増加しており、高齢化だけでない因子が関与している可能性が示唆された。著者らは、認知症高齢者の増加を食い止めるためには、認知症発症率、死亡率、予後の経年的傾向や認知症の増進・予防に関連する因子の解明および予防戦略の策定が必要であるとしている。Psychogeriatrics誌オンライン版2022年6月26日号の報告。

ビールは男性の腸内細菌叢に良い?

 ビールが男性の腸内細菌叢に良い効果をもたらす可能性のあることを示す、小規模な研究の結果が報告された。NOVA大学リスボン(ポルトガル)のAna Faria氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of Agricultural and Food Chemistry」に6月15日掲載された。  この研究では、健康な男性22人(解析は19人)を無作為に2群に分け、1群にはアルコール度数5.2%のラガービール330mL、他の1群にはノンアルコールビールを同量、夕食時に飲んでもらった。介入期間は4週間で、介入前後に血液と糞便の検体を採取した。その解析の結果、両群ともに、腸粘膜のバリア機能のマーカーである糞便アルカリホスファターゼ活性が上昇するとともに、腸内細菌叢の多様性が向上したことが確認された。体重や体脂肪量の増加はなく、心血管代謝マーカーに有意な変化は生じなかった。

長寿を望まないと短命になる?―日本人4万人、25年の縦断解析

 長生きを望まない人は実際に短命になってしまう可能性を示すデータが報告された。日本人約4万人を四半世紀にわたり追跡した結果であり、東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野の辻一郎氏らによる論文が「Journal of Epidemiology」に5月5日掲載された。  この研究は、地域住民対象の疫学研究である「宮城県コホート研究」のデータを用いて行われた。宮城県コホート研究では、1990年に同県内の14市町村に住む40~64歳の住民全員5万1,921人を登録して、その後の健康状態を長期間追跡している。ベースライン時点で行ったアンケートで、「寿命についてどのように考えていますか」という質問に対して、「長いほどよい」「平均寿命ぐらいが良い」「平均寿命より短くてもよい」という回答から三者択一で選んでもらっていた。今回の研究では、その回答と実際の死亡リスクとの関連を調査した。

5製品の特徴を整理、コロナワクチンに関する提言(第5版)公開/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:四柳 宏氏[東京大学医科学研究所附属病院長])は、7月8日に同学会のホームページで「COVID-19ワクチンに関する提言(第5版)」を公開した。  今回の提言では、第4版(2021年12月16日公開)と比較して構成を大幅に変更し、COVID-19ワクチンの種類ごとに記載。現在判明している各ワクチンの作用機序、有効性、安全性を記すとともに特定状況での接種として「妊婦」「免疫不全者」「COVID-19罹患者」の3区分を記載した。

日本人の職場環境とストレス・うつ病との関連

 日本において、さまざまな労働環境因子がストレスやうつ病に及ぼす影響を調査した研究は、十分ではない。慶應義塾大学の志賀 希子氏らは、日本の労働者における労働環境因子とストレスやうつ病との関連について、調査を行った。その結果、日本人労働者のストレスやうつ病には、仕事の要求、仕事のコントロール、職場でのハラスメント、心理的安全性などが関連していることが示唆された。Work誌オンライン版2022年6月18日号の報告。  日本で主にデスクワークに従事する労働者を対象に、アンケート調査を実施した。ストレス、うつ病、職場環境の評価には、知覚されたストレス尺度(PSS)、こころとからだの質問票(PHQ-9)、身体的および心理的な職場環境アンケートをそれぞれ用いた。対象者をPSSスコア(中央値で、低ストレス群または高ストレス群に分割)およびPHQ-9スコア(5未満:非うつ病群、5以上:うつ病群)に基づいて分類し、労働環境の群間比較を行った。加えて、重回帰分析を実施した。