日本発エビデンス|page:91

認知症では味覚に関する機能も低下:東北大学

 認知症患者では、嚥下の問題がないにもかかわらず摂食障害が起こりうる。東北大学の目黒 謙一氏らは、アルツハイマー病(AD)および血管性認知症(VaD)患者における、食物と味覚に関する認知機能を検討した。その結果、AD、VaD患者とも健常人と比較して食物および味覚に関する認知機能が低下していること、味覚認知障害が脳の島皮質の障害と関連していることを報告した。International Psychogeriatrics誌オンライン版2014年4月3日号の掲載報告。

アルツハイマー病への薬物治療は平均余命の延長に寄与しているのか:東北大学

 アルツハイマー型認知症(AD)の進行抑制に対し、ドネペジルなどのコリンエステラーゼ阻害薬(ChEI)は有用であるが、平均余命への影響は不明である。東北大学の目黒 謙一氏らは、AD発症後の平均余命に対するChEIの影響を抗精神病薬の使用および特別養護老人ホームの入所とともに分析した。BMC neurology誌オンライン版2014年4月11日号の報告。

抗精神病薬による体重増加や代謝異常への有用な対処法は:慶應義塾大学

 抗精神病薬に誘発される代謝異常の管理はしばしば困難であり、これらを軽減するうえで薬剤の併用は理にかなっているとされている。慶應義塾大学の水野 裕也氏らは、統合失調症患者における抗精神病薬誘発性の代謝異常に対する薬物療法の有効性を明らかにすることを目的とした、システマティックレビューとメタ解析を行った。その結果、各種薬剤の併用により体重増加およびその他の代謝異常の軽減が図られることが示され、なかでもメトホルミンは体重増加の軽減、インスリン抵抗性の改善、血清脂質の低下など代謝異常の是正に好ましい多彩な作用を示すことを報告した。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2014年3月17日号の掲載報告。

握力強い中高年は心血管・呼吸器疾患の死亡リスク低い~久山町研究

 高齢者では握力減少が全死因死亡の危険因子であることが報告されているが、中年期の握力と一般集団での全死亡および死因別死亡リスクとの関連は不明である。九州大学の岸本 裕歩氏らは、久山町研究において40歳以上の一般集団の日本人における握力の強さが全死亡および死因別死亡に与える影響を検討した。その結果、中年期以降における握力の強さは、全死亡およびがん以外の原因疾患(心血管疾患、呼吸器疾患など)による死亡リスクと逆相関していることが示唆された。Journal of epidemiology and community health誌オンライン版2014年3月12日号に掲載。

安静時下肢痛は腰椎椎間孔狭窄のサイン:横浜市立大学

 腰椎脊柱管狭窄症の特徴的な症状は歩行時下肢痛および間欠跛行で、安静時下肢痛は腰椎椎間板ヘルニアに特有の神経学的症状とされている。これまで、安静時下肢痛と腰椎椎間孔狭窄との関連は報告されていなかったが、横浜市立大学の山田 勝崇氏らは前向き研究を行い、安静時下肢痛はL5/S1椎間孔狭窄に特徴的であることを明らかにした。

朝食をとる頻度が握力に相関~日本人での横断的研究

 定期的な朝食の摂取が健康上のベネフィットに関連しているという研究がいくつか報告されているが、朝食摂取頻度と筋肉機能との関連を検討した研究は数報しかない。東北大学大学院医工学研究科 永富 良一氏らのチームでは、健常な日本人(成人)の朝食摂取頻度と筋力との関連性を横断的研究により調査したところ、これらの間に正の相関が認められたとした。Nutrition, metabolism, and cardiovascular diseases誌オンライン版2014年1月21日号に掲載。

扁桃体腫大を伴う側頭葉てんかんの特徴は:国立精神・神経医療研究センター

 国立精神・神経医療研究センターの木村 有喜男氏らは、片側性の扁桃体腫大を伴う側頭葉てんかんについて、臨床的、形態学的および病理学的特徴を明らかにする検討を行った。23例のMR画像を分析した結果、皮質形成異常が扁桃体腫大の病理診断の1つとなりうること、また一部の患者では皮質形成異常が側頭極にまで及んでいる可能性があることなどを報告した。Journal of Neuroimaging誌オンライン版2014年3月5日号の掲載報告。

母乳育児はとくに男子で7~8歳時の肥満を防ぐ~日本全国4万人の前向き研究

 国立成育医療研究センター 成育社会医学研究部では、日本の全国的な前向きコホート研究における4万人以上のデータから、母乳栄養が小児期後期での過体重や肥満に及ぼす効果を調査した。その結果、母乳栄養は部分的もしくは短期間であっても、とくに男児において、小児期後期における過体重や肥満の潜在的予防効果があることが示唆された。Obesity誌オンライン版2014年3月4日号に掲載。

震災と精神症状、求められる「レジリエンス」の改善

 2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震の生存者は、仮設住宅への避難を余儀なくされた。活水女子大学の久木原 博子氏らは、避難住民の心的外傷後ストレス障害(PTSD)やうつ病の有病率や健康状態とレジリエンス(回復力)に関して、社会・人口統計学的要因を調査した。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2014年1月21日号の報告。