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てんかんとADHD合併の小児および青年における薬物療法の課題

 てんかんの小児および青年における罹病率は、3.2~5.5/1,000である。また、てんかん患者の約1/3は、ADHD症状を合併している。てんかんとADHDとの関連は、よくわかっていないが、不注意、多動、行動障害などのADHD症状は、しばしば抗てんかん薬の有害作用であると考えられる。イタリア・University of L'AquilaのAlberto Verrotti氏らは、行動に対する抗てんかん薬の影響に関するデータを検索した。Clinical drug investigation誌オンライン版2017年10月25日号の報告。

スタチン長期投与で頸動脈硬化進行を抑制

 スタチンの頸動脈内中膜複合体厚(IMT)の進行抑制効果は、脳梗塞の既往がない欧米人でのみ確認されている。今回、心原性脳梗塞症以外の脳梗塞を発症した日本人において、プラバスタチン(10mg/日、日本における通常用量)の頸動脈IMTへの影響を検討した結果、5年間で頸動脈IMTの進行を有意に抑制したことを国立循環器病研究センターの古賀 政利氏らが報告した。本結果から、低用量(10mg/日)でも長期投与により頸動脈硬化進行を抑制し、アテローム血栓性脳梗塞の再発予防につながることが示唆された。Stroke誌オンライン版2017年11月30日号に掲載。

治療抵抗性うつ病に対する心理的サポートとしてのシロシビンの6ヵ月追跡調査

 最近の研究によると、幻覚系(psychedelic)ドラッグ補助的心理療法によるメンタルヘルスアウトカムの改善が報告されている。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのR. L. Carhart-Harris氏らは、治療抵抗性うつ病に対するシロシビン(マジックマッシュルーム含有成分)の非盲検試験における、6ヵ月間の有効性および安全性について報告を行った。Psychopharmacology誌オンライン版2017年11月8日号の報告。

“新型タバコ”でタバコの害なくせますか?

 世界保健機構(WHO)によれば、世界では年間700万人がタバコ類の使用により命を落としている。また、禁煙の早期実施により肺がんの発生が少なくなることも明らかになり、タバコを巡る規制は世界的に強まっている。そのような中、電子タバコや非燃焼加熱式タバコ(Heat–Not-Burn、以下HNB)といった“新型タバコ”の市場が拡大している。

加齢黄斑変性の5年発症リスク、出生世代ごとに減少

 米国・ウィスコンシン大学マディソン校のKaren J. Cruickshanks氏らは、ビーバーダム眼研究およびビーバーダム子孫研究のデータを解析し、加齢黄斑変性(AMD)の5年発症リスクは20世紀の出生世代ごとに減少してきていることを明らかにした。著者は、「このリスク低下を説明する因子は不明である」としたうえで、「しかしながらこのパターンは、心血管疾患および認知症のリスク低下の報告と一致しており、高齢となったベビーブーム世代(1946~64年生まれ)は前の世代に比べ、高齢でも網膜が健康である可能性を示唆している」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年11月16日号掲載の報告。

不眠症と交通事故の関係、トラックドライバー研究

 睡眠関連の問題は、交通事故のリスク因子として知られている。しかし、不眠とそれに伴う要素の影響はほとんど研究されておらず、トラック運転手などリスクに直面している労働者に関する利用可能なデータは存在しない。イタリア・ジェノバ大学のSergio Garbarino氏らは、トラック運転手の自動車事故に対する不眠症の影響について検討を行った。PLOS ONE誌2017年10月31日号の報告。

スマホ写真で皮膚科の遠隔医療は可能

 スマートフォンのカメラ機能の進歩(写真画質と画像転送の両方)は、患者と医師を直接つなぐ遠隔医療を成立させ、患者が治療を受ける機会を改善するのではと期待されている。では、小児皮膚疾患を、親から提供されたスマホ写真で正確に診断できるのか。米国・フィラデルフィア小児病院のDaniel M. O’Connor氏らによる前向き研究の結果、そうした方法で、正確な治療を提供可能なことが示された。JAMA Dermatology誌オンライン版2017年11月15日号掲載の報告。

双極性障害における混合状態の急性期および長期治療に関するWFSBPガイドライン

 最近のガイドラインでは、双極性混合状態の認知や治療は、臨床的に関連性が高いものの、十分に評価されていない。WFSBP(生物学的精神医学会世界連合)ガイドラインでは、成人の双極性混合状態の急性期および長期治療に関するすべての科学的エビデンスのシステマティックレビューが行われた。本検討に関して、英国・ニューカッスル大学のHeinz Grunze氏らが報告を行った。The world journal of biological psychiatry誌オンライン版2017年11月3日号の報告。

初のCDK4/6阻害薬イブランス、進行乳がん治療をどう変える?

 2017年11月20日、都内にて「進行乳がん治療におけるパラダイムシフトとは」と題したセミナー(主催:ファイザー株式会社)が開催された。演者として中村 清吾氏(昭和大学医学部 乳腺外科学 教授)、岩田 広治氏(愛知県がんセンター中央病院 乳腺科 部長)が登壇し、2017年9月に本邦で承認されたサイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害薬イブランス(一般名:パルボシクリブイブランス)を中心に、転移・再発乳がん治療の今後の展望について語った。

睡眠不足がADHDの有無にかかわらず小児に及ぼす負の影響

 睡眠に関する問題は、注意欠如多動症(ADHD)においてよく報告されているが、典型的な発達(TD)においてもよく見られる特徴である。英国・ロンドン大学(UCL)のFrances Le Cornu Knight氏らは、睡眠とADHD様行動や認知不注意との関連について、ADHD児とTD児においてどのように出現するかを検討した。Behavioral sleep medicine誌オンライン版2017年10月26日号の報告。

オシメルチニブ、EGFR変異肺がん1次治療の適応を国内申請/アストラゼネカ

 アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役会長:マーク・デュノワイエ)は2017年11月27日、第3世代EGFR-TKIオシメルチニブ(商品名:タグリッソ)に関し、「EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌」を予定の効能・効果として、本邦における製造販売承認事項一部変更承認を申請したと発表。

うつ病とアルコールとの関係:2014年英国調査より

 うつ病とアルコール消費に関して、比較的大規模な研究で調査されており、双方の因果関係を示唆するエビデンスが報告されている。しかし、この逆の因果関係(reverse causation)から生じる内生性は、報告されていない。オーストラリア・RMIT大学のS. Awaworyi Churchill氏らは、アルコールとうつ病との関連をレビューし、この関連の内生性について調査した。Drug and alcohol dependence誌2017年11月1日号の報告。

角膜内皮移植、ドナー角膜の保存期間が成功率に影響

 米国・Central Pennsylvania Eye CenterのGeorge O. Rosenwasser氏らは、デスメ膜剥離角膜内皮移植(DSAEK)の成功率が、ドナー角膜の保存期間の長さによらず同等であれば、ドナープールの拡大が可能なことから、3年成功率がドナー角膜の保存期間の長さに影響を受けるのか、多施設共同無作為化二重盲検非劣性試験にて検討した。その結果、DSAEKの3年成功率は保存期間によらず高かったが、保存期間が0~7日間に対する8~14日間の非劣性は認められなかった。保存期間が12~14日間の場合の成功率の低さ(89.3%)が影響したもので、著者は「保存期間が長いほど成功率は低いことが明らかになった。しかし、保存期間が11日までであれば成功率の差はわずかでアウトカムへの影響はほとんどない」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年11月10日号掲載の報告。