慢性期統合失調症に対するボルチオキセチン補助療法

提供元:ケアネット

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公開日:2020/04/14

 

 新規抗うつ薬ボルチオキセチンは、統合失調症の補助療法に期待される治療薬となる可能性がある。イラン・Tehran University of Medical SciencesのEhsan Mozen-Zadeh氏らは、統合失調症の陰性症状に対するボルチオキセチンの効果について評価を行った。Journal of Psychopharmacology誌オンライン版2020年3月2日号の報告。

 慢性期統合失調症入院患者78例を対象とした、8週間のランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間試験を実施した。対象患者は、2ヵ月間のリスペリドン(4~6mg/日)治療で安定した後、ボルチオキセチン(10mg 1日2回)群またはプラセボ群にランダムに割り付けられた。主要アウトカムは陰性症状の改善とし、副次アウトカムは総合精神病理およびすべての症状とした。試験期間中の患者の評価には、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)、錐体外路症状評価尺度(ESRS)、ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)を用いた。すべての患者のベースライン時のPANSS陰性症状サブスケールスコアは、16以上であった。試験を完了した患者は、68例であった。

 主な結果は以下のとおり。

・ボルチオキセチン群は、プラセボ群と比較し、ベースラインから8週目のエンドポイントまで陰性症状スコアおよびPANSS合計スコアが有意に良好であった。
 ●陰性症状スコア 平均差:-1.82、95%信頼区間(CI):-2.73~-0.92
 ●PANSS合計スコア 平均差:-2.09、95%CI:-3.16~-1.01
・PANSSの陽性症状スコアおよび総合精神病理スコアは、両群間に有意な差は認められなかった。
・有害事象の発生率は、両群間で同等であった。

 著者らは「本研究は、抗精神病薬治療中の統合失調症患者における、ボルチオキセチン補助療法の陰性症状に対する効果を明らかにした初めての報告である」としている。

(鷹野 敦夫)