アリピプラゾール維持治療の52週RCT結果

提供元:ケアネット

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公開日:2017/09/29

 

 米国・Zucker Hillside HospitalのChristoph U. Correll氏らは、若年統合失調症外来患者の維持療法におけるドパミンD2受容体パーシャルアゴニストであるアリピプラゾールの有効性、安全性、忍容性の評価を行った。Journal of the American Academy of Child and Adolescent Psychiatry誌2017年9月号の報告。

 多施設二重盲検プラセボ対照無作為化治療中止試験。13~17歳の統合失調症(DSM-IV-TR)と診断された患者を対象に、他の経口抗精神病薬(4~6週)から経口アリピプラゾール10~30mg/日(7~21週)で安定させ、経口アリピプラゾール継続群またはプラセボ切り替え群に2:1に無作為に割り付け、52週目までフォローアップを行った。主要エンドポイントは、無作為化後の精神症状の悪化、再燃までの期間とした。安全性、忍容性も併せて評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・対象患者201例のうち、無作為化に至った146例は、アリピプラゾール群98例、プラセボ群48例に無作為化された。
・アリピプラゾール群は、プラセボ群と比較し、精神症状の悪化、再燃までの期間を有意に延長した(HR:0.46、95%CI:0.24~0.88、p=0.016)。
・アリピプラゾール群では、プラセボ群と比較し、治療中の重篤な有害事象(3.1% vs. 12.5%、p=0.059)、重度の有害事象(2.0% vs. 10.4%、p=0.039)の発生率が低かった。
・アリピプラゾール群は、プラセボ群と比較し、治療中の有害事象による中止率が低かった(20.4% vs. 39.6%、p=0.014、NNH=5.1)。
・アリピプラゾール群は、プラセボ群と比較し、錐体外路症状、体重増加、傾眠の発生率が同等以下であり、血清プロラクチン上昇に関連する有害事象は報告されなかった。
・タナーステージングにおいては、アリピプラゾール群の27.6%、プラセボ群の16.7%はバースラインから1、2段階進行した。

 著者らは「アリピプラゾールは、若年統合失調症患者の維持治療に対し、安全かつ有効であることが認められた」としている。

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(鷹野 敦夫)