高プロラクチン血症、アリピプラゾール切り替えと追加はどちらが有効か

提供元:ケアネット

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公開日:2016/08/09

 

 高プロラクチン血症は、抗精神病薬の悪影響として重要な問題でありながら、しばしば見逃されている。いくつかの研究によると、アリピプラゾールへの切り替えや追加により、抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症が改善することが報告されている。しかし、これら2つの治療法の有効性、安全性を直接比較した報告はなかった。韓国・NHIC Ilsan HospitalのHui Woo Yoon氏らは、高プロラクチン血症に対するアリピプラゾールの切り替えと追加の効果について比較検討を行った。Clinical neuropharmacology誌オンライン版2016年7月19日号の報告。

 対象は、抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症を有する患者52例。軽度の高プロラクチン血症(血清プロラクチン値:50ng/mL未満)を有する患者にアリピプラゾール投与を行った。重度の高プロラクチン血症(血清プロラクチン値:50ng/mL超)を有する患者は、アリピプラゾール追加群(前治療薬にアリピプラゾールを追加)とアリピプラゾール切り替え群(前治療薬からアリピプラゾールへ切り替え)に無作為に割り付けられた。血清プロラクチン値、月経障害、性機能障害、精神病理学、QOLを、0、1、2、4、6、8週目に調査した。

 主な結果は以下のとおり。

・両群ともに、有意な血清プロラクチン値や月経障害の低下および性機能障害の改善が認められた。
・重度の高プロラクチン血症を有する患者において、切り替え群の高プロラクチン血症患者数、月経障害患者数は、追加群と比較し、8週目で有意に低かった。

 著者らは「抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症や月経障害、性機能障害を含む高プロラクチン血症に関連する有害事象に対し、アリピプラゾールへの切り替え、追加のどちらでも有効であった。さらに、アリピプラゾールへの切り替えは、追加よりも、統合失調症患者の高プロラクチン血症や関連する有害事象の改善に有効であることが示唆された」としている。

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(鷹野 敦夫)