MTXによる表皮壊死、初期徴候と予後因子は

提供元:ケアネット

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公開日:2017/06/07

 

 メトトレキサート(MTX)誘発性表皮壊死症(Methotrexate-induced epidermal necrosis:MEN)は、スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)や中毒性表皮壊死症(TEN)に類似した、まれな、しかし致命的な皮膚反応である。台湾・国立陽明大学のTing-Jui Chen氏らは、MENの臨床病理、リスク因子および予後因子について調査し、MENはSJS/TENとは異なる臨床病理的特徴を示すことを明らかにした。著者は、「ロイコボリンが有効な場合があるので、初期徴候と予後因子を認識しておくことが重要である」と述べたうえで、「MENのリスクを低下させるためには、高リスク患者へのMTX投与を避け、MTXの投与量は葉酸を併用しながら漸増していかなければならない」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2017年5月10日号掲載の報告。

 研究グループは、MENを呈した24例ならびに対照150例を登録し、患者背景、病理学および血漿中MTX濃度について解析した。

 主な結果は以下のとおり。

・MEN患者は、広範囲な皮膚壊死(総体表面積の平均33.2%)を呈し、標的病変はなく、病理組織学的にはケラチノサイトの変性を示した。

・MENの初期徴候は、痛みを伴う皮膚びらん、口腔の潰瘍、白血球減少および血小板減少であった。

・79.2%の患者がロイコボリン治療を受けたが、死亡率は16.7%に上った。

・MENのリスク因子は、高齢(>60歳)、慢性腎疾患、および葉酸を併用せずにMTXの投与を高用量から開始することであった。

・腎機能不全によりMTXのクリアランスが遅延した。

・重篤な腎疾患および白血球減少は、MENの予後不良の予測因子であったが、TEN重症度スコアはいずれもMENの死亡率とは関係していなかった。

(ケアネット)