慢性的に治療している頭痛患者の服薬アドヒアランスをモニタリングするため、頭髪分析が有益なのかという可能性について、イタリアのモデナ・レッジョ・エミリア大学のAnna Ferrari氏らが評価した。本研究では、(1)頭痛患者の頭髪における23種類の薬剤検出率(2)患者が自己報告した薬剤と頭髪から検出された薬剤の一致度(3)患者自己報告の薬剤摂取量に頭髪から検出されたレベルが反映されているかについて分析を行った。European journal of clinical pharmacology誌オンライン版2016年11月20日号の報告。
対象は、頭髪サンプリング前の3ヵ月間に、下記薬剤を1剤以上毎日服薬することに同意した原発性頭痛患者93例。対象薬剤は、アルプラゾラム、アミトリプチリン、citalopram、クロミプラミン、クロナゼパム、delorazepam、ジアゼパム、デュロキセチン、fluoxetine、フルラゼパム、レボメプロマジン、levosulpiride、ロラゼパム、ロルメタゼパム、ミルタザピン、パロキセチン、クエチアピン、セルトラリン、トピラマート、トラゾドン、トリアゾラム、ベンラファキシン、ゾルピデム。各患者の詳細な薬剤歴と頭髪サンプルを収集した。頭髪サンプルは、液体クロマトグラフィー・エレクトロスプレー・タンデム質量分析法によって従来方式を用いて分析した。
主な結果は以下のとおり。
・頭髪サンプルより、23種類すべての薬剤が検出された。
・自己報告した薬剤と頭髪から検出された薬剤の一致度は、ほとんどの分析において優れていた(p<0.001:Cohen's kappa)。
・アミトリプチリン、citalopram、delorazepam、デュロキセチン、ロラゼパム、ベンラファキシンについては、用量と頭髪レベルとの間に有意な関連が認められた(p<0.05:線形回帰分析)。
著者らは「頭髪分析は、頭痛患者の慢性的な薬物使用を収集するための特異なマトリクスであることが判明した。各患者の頭髪から検出された薬剤レベルは、服薬アドヒアランスに対する信頼できるマーカーであると考えられる」としている。
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