リウマチ患者の治療満足度はコミュニケーションで向上~世界13ヵ国の患者調査より

提供元:ケアネット

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公開日:2015/06/10

 

 米国ファイザー社は5月28日(現地時間)、世界13ヵ国の成人関節リウマチ患者3,600人以上を対象に行った調査の結果を発表した。同社の日本法人であるファイザー株式会社が6月8日に報告した。データによると、患者と医療従事者の関係、そして関節リウマチとその治療に対する患者の認識が疾患管理に影響する可能性が示唆されたという。

 RA NarRAtive患者調査は、2012年9月4日から2015年1月13日にかけて、ファイザー社に代わりHarris Poll社が世界13ヵ国の18歳以上の関節リウマチ患者3,649人 [アルゼンチン(217人)、オーストラリア(481人)、ブラジル(324人)、カナダ(237人)、フランス(122人)、ドイツ(525人)、イタリア(204人)、日本(354人)、韓国(168人)、スペイン(122人)、トルコ(123人)、英国(246人)、米国(526人)] を対象にインターネット上で調査を実施したもの。患者の治療や疾患管理における経験や満足度だけでなく、患者と医療従事者の関係やコミュニケーションについても同時に評価した今回の患者調査は、この種の調査としては初めてのケースとのこと。

 調査データによると、患者の関節リウマチ治療に対する満足度、そして医療従事者との良好な関係が、疾患管理にプラスに影響する可能性があるという。調査では、心配事や不安を医師や医療従事者に相談できる患者のほうがそうでない患者と比べて、自身の健康状態全般について「とても良い」または「良い」と回答している割合が高かった(43% vs.29%)。

 一方で、いくつかの問題も残っており、治療に対する満足度の自己報告と関節リウマチ管理に関わる病状の間にずれがあるという。調査では、関節リウマチ治療薬を処方されている患者の5人中4人(78%)が「治療法に満足している」と回答しているものの、同じ患者の中で自身の疾患が「コントロールできている」と答えたのはわずか30%であった。また、医療従事者によって病状が中等度から重度、または重度であると判断された患者の場合、患者本人の満足度と疾患管理に対する認識のずれがより顕著であった。

 治療目標設定時にシェアード・ディシジョンメイキング(医師と患者がともに意思決定に関与すること)を実践することが最も望ましいとされているが、調査の結果、患者は治療目標や不安、とくに疾患管理や治療法について、医療従事者とよく話し合っていない可能性があることがわかったという。疾患管理のために現在医療従事者にかかっている患者の大多数(83%)が、関節リウマチ治療に関する医療従事者との話し合いに満足していると回答していた。一方で、やはり大多数(85%)が医療従事者との関係がよくなれば疾患管理がさらに改善されるであろうと回答している。

 現在さまざまな治療薬や治療法があるにもかかわらず、一部の患者では最適な疾患管理が行われていない可能性があるという。今回調査を行った全関節リウマチ患者のうち47%が、日常生活の中で何らかの活動をあきらめたと回答していた。さらに、関節リウマチ治療薬に関しては、全回答者の42%が、関節リウマチの治療は関節リウマチとともに生きるのと同じくらい困難であると考えていた。

詳細はファイザー株式会社のプレスリリースへ