内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:154

3回目までと比較した4回目コロナワクチンの安全性/CDC

 2回目の追加接種(4回目接種)の安全性については、限られたデータしか報告されていない。今回、4回目接種としてファイザー社およびモデルナ社のmRNAワクチンを接種した50歳以上の約29万例についての安全性モニタリングデータを、米国疾病予防管理センター(CDC)のAnne M. Hause氏らがMorbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)7月29日号に報告した。  米国では、2022年3月29日に50歳以上および中程度から重度の免疫不全を有する12歳以上で、3回目接種後4ヵ月以上経過した人に対しmRNA ワクチンの4回目接種が承認された。7月10日までに、50歳以上の約1,680万例が4回目接種を受けている。今回、同期間中の4回目接種者における、v-safe(スマートフォンを用いたアクティブサーベイランスシステム)およびVAERS(CDCとFDAが管理する、ワクチン接種後の有害事象をモニタリングするパッシブサーベイランスシステム)に報告された有害事象および健康影響評価のレビューが行われた。なお、接種回数ごとの有害反応と健康影響の比較は、4回とも同じメーカー製ワクチンを接種した人(以下、同種接種者)に限定して実施された。

日本人男性では米飯が心血管死リスクを下げる?

 日本人男性では、米の摂取量が多い方が心血管疾患による死亡リスクが低いという、有意な関連のあることが報告された。岐阜大学大学院医学系研究科疫学・予防医学の和田恵子氏らの研究によるもので、詳細は「Nutrients」に5月30日掲載された。なお、女性ではこの関連は認められないとのことだ。  日本人は欧米人より心血管疾患リスクが低いことが古くから知られている。日本人の主食は米であり、その消費量は欧米よりはるかに高い。これまで、米の摂取量と心血管死リスクとの関連を前向きに解析した研究の結果は一致しなかった。和田氏らは岐阜県高山市で行われている「高山スタディ」のデータを用いて、主食としての米の摂取量と心血管死リスクとの関連を、日本でよく食べられる他の主食であるパンや麺と比較しながら検討した。これら3つの主食と関連する食事パターンについても検討した。

オミクロン株対応2価ワクチンを国内承認申請/ファイザー

 ファイザー社は8月8日付のプレスリリースで、オミクロン株対応の新型コロナウイルスワクチンを厚生労働省に承認事項一部変更申請を行ったことを発表した。今回申請したワクチンは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の起源株と、オミクロン株BA.1系統のスパイクタンパク質をそれぞれコードする2種類のmRNAを含む2価ワクチンで、生理食塩水での希釈が不要なRTU製剤となっている。  同社の2価ワクチンの効果については、6月25日付の米国でのプレスリリースによると、56歳以上を対象とした第II/III相試験において、現行のワクチンと比較してオミクロン株BA.1に対して大幅に高い中和抗体反応を示し、中和抗体価の幾何平均比(GMR)は、2価ワクチン30μgで1.56(95%信頼区間[CI]:1.17~2.08)、60μgで1.97(95%CI:1.45~2.68)であった。追加接種から1ヵ月後では、オミクロンBA.1に対する中和幾何平均抗体価(GMT)が、30μgで9.1倍、60μgで10.9倍に追加接種以前より増加した。

「BA.1対応型」で10月接種開始予定、小児へのワクチンは「努力義務」に変更/厚労省

 オミクロン株対応ワクチンについて、本邦では10月半ば以降、初回接種を完了したすべての住民を対象に接種を開始することを想定して「BA.1対応型」2価ワクチンの導入を進めることが、8月8日に開催された第34回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で了承された。また同会では、小児(5~11歳)の新型コロナワクチン接種について現行の取り扱いを変更し、努力義務の適用とすることも了承された。

スタチン服用の日本人患者で発がんリスクが有意に低下

 スタチン製剤の服用によって、日本人の脂質異常症患者の発がんリスクが低下したことが報告された。東京理科大学の前田絢子氏らが、保険請求データを用いた大規模な人口ベースの後ろ向きコホート研究を行い、スタチン製剤と日本人患者における発がんリスクの関係を調査した。近年の調査において、スタチン製剤が特定のがんの発生率を低下させる可能性が示唆されている。しかし、臨床試験では明らかにされておらず、日本人患者での調査も限定的であった。Cancer prevention research誌オンライン版2022年8月2日掲載。  本調査の対象は、2006~2015年に脂質異常症と新たに診断された患者。日本の保険請求データを用い、期間中にスタチン製剤を服用開始した群(服用群)と、年齢・性別・診断年に応じて無作為に抽出した非服用群を比較した。解析対象は各群23,746例で平均追跡期間は約2年、Cox比例ハザード回帰モデルを用いて評価した。

栄養不良による糖尿病が世界で8千万人に達する可能性

 栄養不良に伴う糖尿病に関する、米アルバート・アインシュタイン医科大学のMeredith Hawkins氏らの研究報告が、「Diabetes Care」6月号に掲載された。同氏らは、「本研究は、このタイプの糖尿病は1型糖尿病や2型糖尿病などとは大きく異なる独自の代謝特性を示すことを明らかにした初の報告であり、治療法の開発における重要な知見と言える。栄養不良に関連する糖尿病のさらなる研究が求められる」と述べている。  栄養不良に伴う糖尿病は約70年前に初めて報告され、1985年には世界保健機関(WHO)が「栄養不良関連糖尿病(malnutrition-related diabetes mellitus)」と命名し、糖尿病の病型の一つとして位置付けた。しかしその後、栄養不良が糖代謝異常の原因であるとする十分なエビデンスが集まらないことから1999年、WHOはこのカテゴリーを削除し今日に至っている。しかし1999年以降も食料事情の良くない国々からは、栄養不良に伴う糖尿病の存在を支持する疫学データの報告が続いている。

DPP-4阻害薬は胆嚢炎発症リスクを増加させる(解説:住谷哲氏)

 DPP-4阻害薬は低血糖を生じにくい安全な血糖降下薬として多くの患者に処方されている。しかしこれまでにDPP-4阻害薬投与と、心不全、水疱性類天疱瘡、急性膵炎、重症関節痛との関連が示唆されてきた。とりわけ初回治療薬として処方される血糖降下薬の約70%がDPP-4阻害薬とされるわが国では、まれな副作用についても注意が必要である。  GLP-1が胆嚢のmotilityに影響することは以前から知られており、血中GLP-1濃度を上昇させるDPP-4阻害薬が胆道・胆嚢疾患の発症リスクを増大させるのではないかとの懸念は以前からあった。GLP-1受容体作動薬であるリラグルチドが胆嚢・胆道疾患の発症と関連することはすでに報告されていたが、DPP-4阻害薬について報告がなかった。そこで著者らは、これまでに報告された82のRCTの結果を用いて、DPP-4阻害薬と胆道・胆嚢疾患発症との関連を検討した。

10代女性における不眠症と地中海食との関係

 これまでの研究で、食事の質の低さと睡眠障害との関連が示唆されている。地中海式食事療法は、高品質の食事療法であり、健康全体に対し有益な効果があるといわれている。イラン・Shahid Sadoughi University of Medical SciencesのZahra Yaghtin氏らは、思春期女性における地中海式食事パターンのアドヒアランスと不眠症スコアとの関連を調査した。その結果、イランの思春期女性では、修正済み地中海式食事スコアのアドヒアランスと不眠症レベルとの間に逆相関が認められた。BMC Nutrition誌2022年6月29日号の報告。

コロナ感染後の心筋梗塞・脳卒中発生率、ワクチン接種者vs.未接種者/JAMA

 韓国・国民健康保険公団(National Health Insurance Service)のKim Young-Eun氏らが、新型コロナウイルス感染後のワクチン接種と急性心筋梗塞(AMI)および虚血性脳卒中との関連を調査した。その結果、新型コロナ感染後のAMIおよび虚血性脳卒中の発生率の増加は、血栓症のリスク増加に関連しており、ワクチンを完全接種することでワクチン接種が感染後の二次合併症のうちAMIおよび虚血性脳卒中のリスク低下に関連していることが明らかになった。JAMA誌オンライン版2022年7月22日号リサーチレターに掲載。

食事に塩をかける習慣は寿命を縮める?

 テーブルで食事に塩をふりかける習慣のある人は、そうした習慣のない人に比べて寿命が短い可能性がある。そんな研究結果が、50万人以上の英国成人を対象にした大規模研究から示唆された。食事に塩をかける習慣のある人では、50歳時の余命が平均2年縮むことが示されたという。米テュレーン大学公衆衛生・熱帯医学分野のLu Qi氏らが実施したこの研究結果は、「European Heart Journal」に7月10日掲載された。  健康の専門家たちは長年にわたり、食事中のナトリウム摂取を制限するように勧めてきた。その主な目的は血圧コントロールのためである。しかし、ナトリウムの摂取制限により寿命が延長するのか否かについては研究間で一致した見解が得られていない。Qi氏によると、そうした状況を作り出している原因の一つと考えられるのが、ナトリウム摂取量の測定方法だという。例えば、一部の研究では、対象者の尿サンプルを使ってナトリウム量を測定しているが、この方法では直近のナトリウム摂取量しか確認できない。また、別の研究では、対象者の摂取した食事内容からナトリウム摂取量を計算しているが、これも信頼できる推定値とは言いがたい。