内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:153

爪の変色が再入院リスクと独立して関連―国内単施設前向き研究

 入院患者の爪の色から、退院後の再入院リスクを予測可能であることを示すデータが報告された。爪の半月(非高齢者の大半に見られる爪の根元の白い部分)がなくなっているのに爪の色が白く変化している高齢者は、交絡因子を調整後も再入院リスクが有意に高いという。雲南市立病院地域ケア科診療科の太田龍一氏らの研究によるもので、研究成果が「Cureus」に4月19日掲載された。  爪の色は、メカニズムの理解は不十分ながら、慢性疾患患者や低栄養状態では白く変化するケースのあることが知られている。爪の色は簡単に確認できる上に、変化した色は短期間では変わらないため、急性疾患患者の入院前の状態の推測や管理強化・予後予測の指標となる可能性もある。ただし、それらの関連の実態は明らかでない。太田氏らは、入院患者に見られる白い爪と再入院リスクとの関連について、単施設前向きコホート研究により検討した。

痛風発作、心血管イベントの一過性の増加と関連/JAMA

 痛風患者では、心血管イベントの経験者は非経験者と比較して、イベント発生前の0~120日以内に痛風発作を発症する確率が有意に高く、痛風発作後の心血管イベントの一過性の増加と関連する可能性があることが、英国・ノッティンガム大学のEdoardo Cipolletta氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌2022年8月2日号に掲載された。  研究グループは、痛風発作が痛風患者における心血管イベントのリスクを一過性で増加させるとの仮説の検証を目的に、後ろ向き観察研究を行った(ノッティンガム大学などの助成を受けた)。

埼玉県の熱中症リスクを把握する

 埼玉県環境科学国際センターは、GIS(地理情報システム)ソフトウェア国内最大手の ESRIジャパンのクラウドサービス ArcGIS Online を利用した暑さ指数(WBGT)の公開を開始した。県内20ヵ所の観測地点から約10分ごとに得られたデータはPCなどで簡単に見られるように地図化してウェブサイトで公開している。  埼玉県は全国的に見ても夏季に高温になる地域で、熱中症リスクが高まる。しかし、県内の熱中症のリスクには地域差がある。そこで、同センターが独自開発した暑さ指数計を用い、暑さ指数観測データをウェブサイトに掲載して、熱中症リスクを県内の地域ごとに把握できるようにしたもの。

COVID-19の後遺症を発症しやすい人とは?

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)では、患者を見るだけで、その人が後遺症を発症しそうかどうかを予測できることがあるようだ。米南カリフォルニア大学老年学分野のEileen Crimmins氏らが実施した研究で、肥満の人では、後遺症の発症リスクが5倍以上上昇することが明らかになった。また、罹患中に脱毛や頭痛、喉の痛みを経験した場合にも、同リスクは上昇していたという。この研究結果の詳細は、「Scientific Reports」に7月8日掲載された。  Crimmins氏らは今回、米国民の代表パネルであるUnderstanding America Study(UAS)のCOVID-19に関する8,400人以上の調査データを用いて、COVID-19後遺症の発症率やその一般的な症状、発症のリスク因子について検討した。同調査では、2020年3月10日から2021年3月31日までの間に、2週間ごとに調査対象者がタブレットやスマートフォンを使って、健康状態や症状発現の有無などに関する質問票に回答していた。

コロナ関連死リスク、BA.1株はデルタ株より低い/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死亡のリスクは、オミクロン変異株(BA.1)のほうがデルタ変異株(B.1.617.2)より低い。英国・Office for National StatisticsのIsobel L. Ward氏らが、後ろ向きコホート研究の結果を報告した。これまでに、オミクロン株のすべての系統(BA.1、BA.2、BA.3、BA.4、BA.5)はデルタ株より感染しやすいが、SARS-CoV-2検査陽性後28日以内の入院および死亡リスクは、オミクロン株のほうがデルタ株より低いことが示唆されていた。しかし、オミクロン株とデルタ株で、死亡診断書から特定されるCOVID-19関連死のリスクを比較した研究は不足していた。BMJ誌2022年8月2日号掲載の報告。

女性の果物や野菜の摂取とうつ病リスクとの関係

 特定の食品群がメンタルヘルスの改善に重要な役割を担う可能性を示唆するエビデンスが増えている。しかし、個々の食事の因子と抑うつ症状との関連を長期にわたる大規模コホートでフォローアップした調査は、これまでほとんどなかった。オーストラリア・マッコーリー大学のPutu Novi Arfirsta Dharmayani氏らは、Australian Longitudinal Study on Women's Healthのコホートより1973~78年に生まれた女性を対象に15年間のフォローアップを実施し、抑うつ症状に関連する果物および野菜の影響を調査した。その結果、果物および野菜の摂取量が多いほど、長期にわたる抑うつ症状リスク低下と関連することが示唆された。European Journal of Nutrition誌オンライン版2022年7月21日号の報告。

幼児のいる親はコロナ重症化リスクが低い~300万人超の分析

 米国・Kaiser Permanente Northern California(KPNC)のMatthew D. Solomon氏らが、幼児と接する機会の有無が、成人のCOVID-19重症化リスクに影響するかどうかを、300万人超の大規模なリアルワールドデータで調査した。その結果、家に0~5歳の子供がいる成人では、家に子供がいない成人に比べて重症化率が有意に低いことが報告された。これまで、小児では、過去のSARS-CoV-2以外のコロナウイルスへの曝露による交差免疫が、COVID-19の重症化予防に寄与している可能性が示唆されている。そこで、5歳未満の小児のいる成人ではウイルスへの曝露機会が増加するため、成人のSARS-CoV-2以外のコロナウイルスへの交差免疫の有無を小児との接触と推定して、COVID-19の重症化リスクを評価することにした。Proc Natl Acad Sci USA誌2022年8月16日号に掲載。

医療者のブレークスルー感染率、3回vs.4回接種

 オミクロン株流行下において、感染予防の観点から医療従事者に対する4回目接種を行うメリットは実際あったのか? イスラエルでのオミクロン株感染ピーク時に、3回目接種済みと4回目接種済みの医療従事者におけるブレークスルー感染率が比較された。イスラエル・Clalit Health ServicesのMatan J. Cohen氏らによるJAMA Network Open誌オンライン版2022年8月2日号掲載の報告より。  本研究は、イスラエルにおけるオミクロン株感染者が急増し、医療従事者に対する4回目接種が開始された2022年1月に実施された。対象はイスラエルの11病院で働く医療従事者のうち、2021年9月30日までにファイザー社ワクチン3回目を接種し、2022年1月2日時点で新型コロナウイルス感染歴のない者。4回目接種後7日以上が経過した者(4回目接種群)と、4回目未接種者(3回目接種群)を比較し、新型コロナウイルス感染症の感染予防効果を分析した。感染の有無はPCR検査結果で判定され、検査は発症者または曝露者に対して実施された。

高齢者の「目的意識」の鍵は社会的交流

 定年退職後も自分の存在意義を感じたい人は、人と交流するのが良いようだ。米ワシントン大学のGabrielle Pfund氏らが実施した研究により、他者とのポジティブな社会的交流が高齢者の目的意識に関連していることが明らかにされた。この研究の詳細は、「The American Journal of Geriatric Psychiatry」7月号に掲載された。  目的意識があるということは、その人が自分にとって意味のある目標を持ち、人生で進むべき方向が見えていると感じていることである。今回の研究では、平均年齢70.75歳の成人104人を対象に、合計で15日間(1回当たり5日を6カ月の間隔をあけて計3回)にわたり、1日に3回、社会的な交流の質を問う質問に回答してもらい、毎晩の締めくくりには、その日どのくらい自分の人生に目的があると感じられたかを5段階で評価してもらった。

COVID-19陽性者のメンタルヘルスに対するヨガの効果

 COVID-19パンデミックは、社会全体にストレス、不安、うつ病の増加をもたらした。とくにCOVID-19の検査で陽性となった人々では、メンタルヘルスやウェルビーイングへの影響が大きい。インド工科大学デリー校のNitesh Sharma氏らは、COVID-19の影響を受けた患者のストレス、不安、うつ病の軽減に対するヨガ介入療法の有効性を評価するため、COVID-19病棟における準ランダム化比較試験を実施した。また、COVID-19の影響を受けた患者のSpO2と心拍数の測定も実施した。その結果、ヨガ介入療法は、COVID-19陽性者のストレス、不安、うつ病の軽減に対し、実践可能な介入である可能性が示唆された。International Journal of Yoga Therapy誌2022年1月1日号の報告。