内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:151

5~11歳へのBNT162b2ワクチンのオミクロン株に対する有効性(解説:寺田教彦氏)

 本論文は、新型コロナウイルスのオミクロン変異株流行中における5~11歳へのBNT162b2(ファイザー製)ワクチンの2回接種の有効性を報告しており、過去の報告との差異は、2回接種後のCOVID-19関連入院予防効果がより高い可能性が示唆されたことである。  本研究では、シンガポールで5~11歳の25万5,936例を解析対象としており、完全接種(2回接種後7日以上)の小児ではワクチンによるSARS-CoV-2感染の有効率は36.8%(95%CI:35.3~38.2)、COVID-19関連入院の予防が82.7%(95%CI:74.8~88.2)だった。また、ワクチン接種後の重篤な有害事象は0.005%が保健科学庁に報告されたと発表している。

低血圧+低BMI+非HDL-C低値で認知症リスク4倍

 低血圧、低BMI、非HDLコレステロール低値の3要素が組み合わさるほど認知症リスクが増大することを、オランダ・ラドバウド大学医療センターのMelina Ghe den Brok氏らが報告した。低血圧、低BMI、非HDLコレステロール低値はそれぞれ認知症のリスク因子として知られているが、これらが相加的なリスク因子であるかどうかは不明であった。Neurology誌オンライン版2022年8月2日号掲載。  本調査は、認知症予防を目的とした介入試験であるPrevention of Dementia by Intensive Vascular Care(preDIVA)試験の拡張フォローアップの事後解析として行われた。対象は、オランダの総合診療施設に登録されている70~78歳の非認知症の地域住民であった。ベースラインの低収縮期血圧、低BMI、非HDLコレステロール低値と認知症発症の関連性を、Cox回帰分析を用いて評価した。

コロナvs.インフル、年齢別死亡リスクを比較/奈良医大

 新型コロナウイルスのオミクロン株は、デルタ株と比較して重症化リスクが低下したとされ、季節性インフルエンザとの臨床経過を比較することへの関心が高まっている。奈良県立医科大学は、8月4日のプレスリリースで、同大学の野田 龍也氏らによる、日本における季節性インフルエンザとオミクロン株流行期の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による人口1,000万人当たりの年間死亡者数について、複数の公開データベースを用いて年齢別に比較した研究を発表した。その結果、70歳以上の高齢者ではCOVID-19による年間死者数が有意に多かったのに対して、20~69歳では、COVID-19の年間死亡者数のほうがインフルエンザのよりも多いものの、その差が小さかったという結果が得られたという。なお本研究は、日本臨床疫学会発行のAnnals of Clinical Epidemiology誌オンライン版2022年8月3日号に早期公開された。  本研究では、オミクロン株が主流となった2022年1月5日~7月5日の26週間、および高齢者のワクチン接種が80%を超えた2022年3月30日~7月5日の14週間におけるCOVID-19関連の年齢別死亡者数を、厚生労働省の公開データベースから特定されている。COVID-19関連の累計死亡者数は、26週間で1万3,756例だった。COVID-19の第6波の流行期の死亡者数を基に、その流行期と同水準の死亡者数が1年間にわたり発生するという想定で年間死亡者数が推計されている。

フェイスシールドの飛沫防御効果は十分か

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが始まって以来、顔面を覆うフェイスシールドを着用した人を見かけることも珍しくなくなった。しかし、英イーストアングリア大学(UEA)ノリッジ医科大学のPaul Hunter氏らがこのほど、13種類のフェイスシールドについて検討したところ、どのフェイスシールドも感染につながる飛沫を防御する効果については十分ではなかったとする研究結果を報告した。詳細は、「American Journal of Infection Control」8月1日号に掲載された。  Hunter氏は、「フェイスシールドは呼吸を妨げず、マスクよりも自然なコミュニケーションを取ることができる上にしぶきを防御することができるため、人気がある。しかし、現時点で、フェイスシールドの新型コロナウイルス防御効果についてのエビデンスは、多くはない」と話す。  そこでHunter氏らは今回、13種類のフェイスシールドの感染予防効果を実験室内で検証した。実験は、機械装置で人間の咳が吐き出す飛沫の量や速度、粒子サイズをシミュレートした「咳」を作り出し、それを、フェイスシールドを装着したマネキンの頭部に向かって放出させ、それぞれのフェイスシールドの防御効果を比較するという内容だった。

脳卒中、55歳未満の発症増大/JAMA

 脳卒中罹患者が、55歳未満で有意に増大している一方、55歳以上では減少している。英国・オックスフォード大学のLinxin Li氏らが、イングランド・オックスフォードシャー州の住民について2002~10年vs.2010~18年の脳卒中罹患率を比較した検討の結果を報告した。他の主要血管イベントには同様の違いはみられず、著者は「脳卒中について示されたこの差の原因を明らかにする、さらなる検討が必要である」と述べている。先行研究で55歳未満の脳卒中罹患率が上昇していることが報告されていたが、多くが対象を限定した試験で、住民ベースのより多くの試験によるエビデンスが求められていた。JAMA誌2022年8月9日号掲載の報告。

DSWPD(睡眠覚醒相後退障害)に対する超少量ラメルテオンの有用性

 睡眠覚醒相後退障害(DSWPD)は、概日リズム睡眠覚醒障害の1つであり、「朝起きられない病気」として知られている。DSWPD患者は、夜の早い時間に眠ることができず、朝起きられない、または起きたとしても強い心身の不調を来すことにより、社会生活に重大な問題を抱えていることが少なくない。DSWPDの薬物療法ではメラトニンが主な治療オプションとなりうるが、日本では市販薬として販売されておらず、多くの国ではメラトニンの市販薬には品質にばらつきがあることが問題となっている。メラトニン受容体アゴニストであるラメルテオンは、潜在的な治療オプションになりうる可能性があるが、DSWPD患者に使用した報告はほとんどない。これまでの薬理学的および時間生物学的研究では、夕刻の超少量ラメルテオン投与がDSWPDに有益であることが示唆されている。東京医科大学の志村 哲祥氏らは、DSWPD患者に対する夕刻の超少量ラメルテオン投与について、薬理学的レビューおよび検討を行うとともに臨床経験を紹介した。Journal of Clinical Sleep Medicine誌オンライン版2022年8月5日号の報告。

BA.2.75の免疫回避能、BA.5より低い?/Lancet Microbe

 2021年11月に新型コロナウイルス亜種のオミクロン株が出現後、BA.1、BA.2、BA.2.12.1、BA.2.75(別名:ケンタウロス)、BA.4、BA.5などが世界中で流行している。BA.2.75は2022年6月にインドと日本で確認された新しい変異株で、そのスパイクタンパク質にはBA.2にはない9つの変異がある。今回、シンガポール・Duke-NUS Medical SchoolのChee-Wah Tan氏らが、ヒト血清でBA.5とBA.2.75の免疫回避の程度を調べたところ、BA.2.75とBA.5はワクチン接種やBA.1/BA.2への感染で誘導された免疫を回避すること、BA.2.75の免疫回避能はBA.5より低いことが示唆された。Lancet Microbe誌オンライン版2022年8月10日号に掲載。

運動後のサウナで健康メリットがさらに拡大

 次に運動するときからは、心臓の健康へのメリットのために、運動後に15分間、サウナに入ると良いかもしれない。ユヴァスキュラ大学(フィンランド)のEarric Lee氏らが行った研究から、運動のみでも心血管系の健康上のメリットを得られるが、サウナに入るとさらに効果が上乗せされることが分かった。詳細は「American Journal of Physiology―Regulatory, Integrative and Comparative Physiology」に7月4日掲載された。  この研究では、サウナが心血管系の健康をどのように高めるのかというメカニズムは調査されていないが、サウナに確かにメリットがあることはこれまでの研究で明らかになっている。Lee氏は、「サウナ入浴に伴う急性の心血管反応は、少なくとも中強度の運動に匹敵することが示されている」と解説。また、「サウナはフィンランド文化の不可欠な要素であり、フィンランドでは車の台数よりもサウナの方が多い」と語っている。  Lee氏らの研究は、運動時間が週に30分未満で座業中心の生活を送っている、30〜64歳の成人ボランティア47人を対象に実施された。参加者の主な特徴は、平均年齢49±9歳、女性87%、BMI31.3±4.1、最大酸素摂取量(VO2max)28.3±5.6mL/kg/分で、全員が何らかの心血管疾患リスク因子(高コレステロール血症、高血圧、肥満、喫煙、冠動脈性心疾患の家族歴など)を有していた。

サル痘を疑う閾値を低くする必要も、多様な症状/Lancet

 スペイン・Hospital Universitario 12 de OctubreのEloy Jose Tarin-Vicente氏らは、同国サル痘患者について臨床およびウイルス学的特性を明らかにする前向き観察コホート研究を行い、サル痘は性器、肛門周囲および口腔の病変と直腸炎や扁桃炎などの合併症を引き起こしており、病変部でウイルス量が多いことを示した。著者は、「症状はさまざまであり、臨床医はサル痘を疑う閾値を低くする必要がある」と述べている。また、「罹患者の性的接触歴や病変の分布から、現在起きている集団発生は濃厚接触が主要な感染経路と考えられる」とも報告した。サル痘は、2022年5月に欧州の複数の国で発症例が報告されて以降、急速に世界中に広がったが、初期の報告では非定型的な症状が示唆されていた。Lancet誌オンライン版2022年8月8日号掲載の報告。

診療科別、専門医の平均取得数は?/1,000人アンケート

 2018年からスタートした新専門医制度は、昨年初の機構認定の専門医が誕生し、新制度への移行が進む予定となっている。一方、サブスぺ領域の認定や、学会認定の専門医との位置付けなど、課題も多く指摘されている。CareNet.comの20~50代の会員医師1,000人を対象に、現在の専門医取得状況や今後の取得・更新意向について聞いた(2022年7月28日実施)。  全体で、取得数2つ以上と回答した医師は51%だった。少数派ではあったが、1.7%の医師が6つ以上と回答した。年代別にみると、30代では2つ以上と回答したのが42.3%だったのに対し、40代では62.5%まで増加、40代と50代はほぼ横ばいだった。  診療科別にみた取得数の平均値(中央値)は以下のとおり。消化器は外科・内科ともに取得数が多かったほか、神経内科や腎臓内科も高い傾向がみられた。一方、精神科や皮膚科では少ない傾向がみられた。