循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:11

健診後の早期受療、死亡リスクを減少させるか/阪大、NCGMほか

 血圧や脂質、血糖などに問題のあるハイリスク者について、健康診断後の受療行動は、その後の生命予後に影響するのだろうか。大阪大学大学院医学系研究科社会医学講座の董 加毅氏らの研究グループは、全国健康保険協会(協会けんぽ)の健康保険請求データベースを使用し、国立国際医療研究センター(NCGM)と共同で高リスク集団における健診後の受診時期と心血管イベントによる入院と全死亡リスクとの関連を検討した。その結果、健康診断後の早期受診が、高リスク者における主要心血管系イベントの入院および全死亡のリスク低下と関連していた。Atherosclerosis誌2024年1月号に掲載。  本研究では、協会けんぽの健康保険請求データベースに登録された男女35~74歳の高リスク者41万2,059人を、健診後12ヵ月間の受診時期によって4群に分類(早期:3ヵ月未満、中間:4~6ヵ月、後期:7~12ヵ月、なし)。Cox比例ハザード回帰モデルを用い、健診後の受診時期と脳卒中、冠動脈性心疾患、心不全、全死亡による入院リスクとの関連を検討した。

電話による緩和ケアでも患者のQOLは改善する

 命を脅かす慢性疾患を抱えている人に対する緩和ケアは、電話で行っても効果があるようだ。慢性閉塞性肺疾患(COPD)、心不全(HF)、および間質性肺疾患(ILD)の患者を対象にした臨床試験で、看護師やソーシャルワーカーが電話を通して症状の管理や心理社会的ケアを行ったところ、患者の生活の質(QOL)が有意に改善したことが明らかになった。米コロラド大学医学部教授のDavid Bekelman氏らによるこの研究結果は、「Journal of the American Medical Association(JAMA)」に1月16日掲載された。  Bekelman氏は、「われわれは、これらの病気に対する治療では良い成果をあげているが、患者のQOL向上に対してはもっとできることがある。多くの患者は、持続的な抑うつ、不安、息切れ、睡眠障害などの症状に悩まされ、病気を抱えながら生きることに大きな困難を感じている。これらの症状は早期死亡とも関連している」と話す。

心房細動のない心房性疾患患者の潜因性脳卒中、アピキサバンの再発予防効果は?/JAMA

 心房細動を伴わない心房性心疾患の証拠がある、潜因性脳卒中(cryptogenic stroke)を呈した患者において、アピキサバンはアスピリンと比較して脳卒中再発リスクを有意に低下しなかった。米国・Weill Cornell MedicineのHooman Kamel氏らが「ARCADIA試験」の結果を報告した。心房性心疾患は、臨床的に明らかな心房細動を認めない場合において、脳卒中と関連することが示されている。心房細動への有益性が示されている抗凝固療法が、心房性疾患を有するが心房細動は有さない患者の脳卒中を予防するかどうかは不明であった。JAMA誌オンライン版2024年2月7日号掲載の報告。

ED治療薬、心臓病の薬との組み合わせは危険な場合も

 心疾患の治療目的で硝酸薬を使用中の男性が、バイアグラ(一般名シルデナフィルクエン酸塩)やシアリス(一般名タダラフィル)といった勃起障害(ED)治療薬を併用すると、死亡リスクや心筋梗塞、心不全などのリスクが高まる可能性が、新たな研究で示された。カロリンスカ研究所(スウェーデン)のDaniel Peter Andersson氏らによるこの研究の詳細は、「Journal of the American College of Cardiology」1月23日号に掲載された。Andersson氏は「医師が、心血管疾患のある男性からED治療薬の処方を求められることが増えつつある」とした上で、「硝酸薬を使用している患者がED治療薬を併用することで、ネガティブな健康アウトカムのリスクが高まる可能性がある」と警鐘を鳴らしている。

院内心停止、心肺蘇生時間1分ごとの患者転帰との関連/BMJ

 米国・ピッツバーグ大学の大久保 雅史氏らは、院内心停止に関する大規模レジストリの後ろ向きコホート研究において、心肺蘇生時間1分ごとの患者アウトカムの時間依存確率を定量化し、生存および良好な神経学的アウトカムの確率は心肺蘇生時間とともに低下し、それぞれ心肺蘇生時間39分および32分時点で1%未満であることを明らかにした。心肺蘇生時間と患者転帰との関連性は、院内心停止患者については十分に調査されていなかった。著者は、「今回の結果は、蘇生チーム、患者、およびその代理人に、最初の自己心拍再開を待っている患者が、さらなる心肺蘇生を受けた場合に、良好なアウトカムが得られる客観的確率を提供するものである」とまとめている。BMJ誌2024年2月7日号掲載の報告。

フィネレノンの効果の多くはアルブミン尿抑制作用が媒介

 非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬であるフィネレノンによる腎転帰および心血管転帰改善効果の多くは、アルブミン尿抑制作用が媒介した結果であることを示唆するデータが報告された。米インディアナ大学のRajiv Agarwal氏らの研究によるもので、詳細は「Annals of Internal Medicine」に12月5日掲載された。  フィネレノンは、慢性腎臓病(CKD)患者や2型糖尿病患者のアルブミン尿抑制という他覚所見の改善とともに、心腎イベント発生リスクを低下させ、転帰を改善し得ることが報告されている。ただし、心腎イベント抑制効果に対して、アルブミン尿抑制作用がどの程度関与しているのかは明らかにされていない。Agarwal氏らは、同薬の第3相臨床試験として実施された2件の研究のプールされたデータを用いた媒介分析を行い、この点を検討した。

冠動脈CT血管造影による冠血流予備量比は安定狭心症の3年転帰を予測

 安定狭心症患者において冠動脈CT血管造影から得た冠血流予備量比(FFR)は、3年間の全死亡または非致死的心筋梗塞のリスクを予測するという研究結果が、「Radiology」9月号に掲載された。  南デンマーク大学病院(デンマーク)のKristian T. Madsen氏らは、新規発症の安定狭心症の患者において、冠動脈CT血管造影から得られたFFR検査の結果による3年間の臨床転帰の予測能を評価した。解析対象は、デンマークの3 施設で2015年12月~2017年10月に登録され、30%以上の冠動脈狭窄を1カ所以上有し、冠動脈CT血管造影によるFFR検査の結果を取得できた連続症例900人(平均年齢64.4歳、男性65%)であった。

ADHD治療薬、長期使用で心血管疾患リスク増大

 注意欠如・多動症(ADHD)の罹患者数は過去数十年で大幅に増加しており、治療薬の処方もそれに伴い増加している。ADHD治療薬には心拍数・血圧の上昇との関連が報告されているが、これに関し、重大な心血管疾患(CVD)との関連を調査した研究結果が発表された。スウェーデン・カロリンスカ研究所のLe Zhang氏らによる本研究の結果は、JAMA Psychiatry誌2024年2月1日号に掲載された。  2007~20年にスウェーデン国内でADHD診断を受けた、または同国で承認されたADHD治療薬である精神刺激薬(メチルフェニデート・アンフェタミン・デキストロアンフェタミン・リスデキサンフェタミン)および非精神刺激薬(アトモキセチン・グアンファシン)のいずれかの処方を受けた6~64歳の患者を対象に、ADHD治療薬の長期使用とCVD(虚血性心疾患・脳血管疾患・高血圧・心不全・不整脈・血栓塞栓症・動脈疾患・その他の心疾患)の関連を調査した。CVDの既往歴がある患者は除外され、ADHD治療薬の累積使用期間は14年以内であった。

ダークチョコレートはCVDリスクを低減させる?

 ダークチョコレートの摂取と12種類の心血管疾患(CVD)のリスクとの間に因果関係があるかどうかをメンデルランダム化解析で検討した結果、ダークチョコレート摂取により本態性高血圧症のリスクが有意に低減した一方で、そのほかのCVDでは因果関係は認められなかったことを、中国・Shaoxing People's HospitalのJuntao Yang氏らが明らかにした。Scientific Reports誌2024年1月10日号掲載の報告。  ダークチョコレートには、フラバノールやメチルキサンチンなどの身体に有益とされる成分が豊富に含まれていて、小規模のランダム化比較試験では心血管系に良好な影響を与えたことが報告されている。しかし、ダークチョコレート摂取がCVDリスクと関連するかどうかは確立されていない。そこで研究グループは、ダークチョコレートの摂取とCVDリスクとの因果関係を調べるために、メンデルランダム化解析を実施した。

枕が高いと脳卒中に?/国立循環器病研究センター

 脳卒中は高齢者で多いが、若年~中年者でも特殊な原因で起こることがある。その原因の1つである特発性椎骨動脈解離の発症と枕の高さの関連を、国立循環器病研究センターの江頭 柊平氏らが症例対照研究で検討したところ、枕が高いほど特発性椎骨動脈解離の発症割合が高く、また枕が硬いほど関連が顕著であることが示された。著者らは殿様枕症候群(Shogun pillow syndrome)という新たな疾患概念を提唱している。European Stroke Journal誌オンライン版2024年1月29日号に掲載。