循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:8

CRT-DはNYHA分類II/III度心不全の全死亡を14年後まで減少させる(解説:原田和昌氏)

心臓再同期療法(CRT)は、QRS幅が広いHFrEF患者にベネフィットがある。それら患者の大半が植込み型除細動器(ICD)適応患者でもあることから、ICD+CRTにより死亡、心不全入院が低下するかを、2010年に多施設共同二重盲検無作為化試験のRAFT試験は調べた。ICDにCRTを追加すると平均追跡期間40±20ヵ月時点で、ICD単独よりも死亡または心不全によるあらゆる入院の割合が減少した。試験に参加した施設のうち、被験者数が多かった8施設の1,050例を長期追跡し、ICD+CRTの有効性が持続するかを評価した結果が、カナダ・アルバータ大学のSapp氏らによりRAFT長期アウトカム試験として報告された。

2型糖尿病のNAFLD、CVDや全死因死亡リスク増/BMJ

 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を併発した2型糖尿病(T2DM)患者では、NAFLDが軽症であっても、心血管疾患および全死因死亡のリスクが上昇する可能性があり、非NAFLDとグレード1 NAFLD、非NAFLDとグレード2 NAFLDの間の心血管疾患および全死因死亡のリスク差は、非T2DMよりもT2DMで大きいことが、韓国・CHA Bundang Medical CenterのKyung-Soo Kim氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2024年2月13日号に掲載された。  研究グループは、韓国のT2DM患者において、NAFLDが心血管疾患および全死因死亡のリスクに及ぼす影響を評価する目的で、全国規模の人口ベースの縦断的コホート研究を行った(特定の研究助成は受けていない)。

大血管閉塞による急性脳梗塞、血栓除去術へのメチルプレドニゾロン併用は?/JAMA

 大血管閉塞による急性脳梗塞患者において、静脈内血栓溶解療法を含む血管内血栓除去術に低用量メチルプレドニゾロン静注を追加しても、90日後の機能的アウトカムに差はなかったが、死亡率および症候性頭蓋内出血の発生率は低かった。中国・人民解放軍第三軍医大学のQingwu Yang氏らが、中国の82施設で実施した医師主導無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「Methylprednisolone as Adjunctive to Endovascular Treatment for Acute Large Vessel Occlusion trial:MARVEL試験」で示された。JAMA誌オンライン版2024年2月8日号掲載の報告。

広範囲脳梗塞への血栓除去術併用、1年後も有効/Lancet

 広範囲脳梗塞患者において、内科的治療のみと比較し血管内血栓除去術の併用は90日時の身体機能を有意に改善することが示されていたが、その有効性は1年後の追跡調査においても維持されていた。米国・ケース・ウエスタン・リザーブ大学のAmrou Sarraj氏らが、「SELECT2試験」の1年アウトカムを報告した。広範囲脳梗塞患者に対する血管内血栓除去術の有効性と安全性は複数の無作為化試験で報告されているが、長期の有効性については不明であった。Lancet誌2024年2月9日号掲載の報告。

高親和性TTR安定化薬acoramidisはATTR心アミロイドーシスの予後を改善する(解説:原田和昌氏)

ATTR心アミロイドーシスは、単量体がミスフォールドされたトランスサイレチン(TTR)がアミロイド線維として心臓、神経、消化管、筋骨格組織に沈着することで引き起こされる疾患で、心臓への沈着により心筋症が進行する。ATTR心アミロイドーシスの治療薬としては、TTR安定化薬であるタファミジスがすでに承認されている(ATTR-ACT試験)。また、トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの適応をすでに取得しているsiRNA静脈注射剤のパチシラン(3週に1回投与)により、ATTR心アミロイドーシス患者の12ヵ月時の機能的能力が維持されることが報告された(APOLLO-B試験)。acoramidisは四量体TTRの解離をより強力に阻害する高親和性TTR安定化薬であり、第II相試験でその有効性が示唆されていた。

「座りっぱなし」でCVD死亡リスク34%増 

 2020年に発表された世界保健機関(WHO)ガイドラインでは、初めて「座り過ぎ」が健康を害し、心臓病、がん、2型糖尿病のリスクを高めることが明記された。長時間座ることの多い仕事は健康リスクにどのように影響し、それは身体的活動で軽減することができるのか。台湾・台北医科大学のWayne Gao氏らによる研究の結果が、JAMA Network Open誌2024年1月19日号に掲載された。  本試験は、1996~2017年の台湾の健康監視プログラムの参加者を対象とした前向きコホート研究だった。職業的座位時間、余暇時間における身体活動(LTPA)習慣、ライフスタイル、代謝パラメータに関するデータを収集した。データ解析は2020年12月に行われた。

やはりワルファリンとの比較でないとDOACは対抗できない?(解説:後藤信哉氏)

心房細動の脳卒中予防には、アピキサバンなどのDOACが多く使用されている。根拠となったランダム化比較試験では、PT-INR 2~3のワルファリンが対照薬であった。ワルファリン治療は心房細動の脳卒中予防の実態的な過去の標準治療ではなかった。さらに、PT-INR 2~3を標的とするのは実態医療とも乖離していた。今回は、心房の筋肉にcardiomyopathyを認めるが、心房細動ではない症例を対象として、奇異性塞栓によるアピキサバンの脳梗塞再発予防効果をアスピリンと比較した。心房筋に障害があるので、病態は心房細動に近い。心房細動例の脳卒中再発予防であれば、過去の標準治療(PT-INR 2~3を標的としたワルファリン)にDOACは有効性で劣らず安全性に勝った。しかし、本研究対象のように心房細動ではないとアピキサバンはアスピリンと有効性・安全性に差がなかった。心房細動の有無というリズムが結果に与えた影響が大きかったのだろうか? 筆者は見かけの差異は対象の差異によると考える。

心臓移植候補者の順位付け、より有用なリスクスコアモデル開発/JAMA

 米国・シカゴ大学のKevin C. Zhang氏らは、米国の心臓移植候補者約1万7,000例を対象としたレジストリベースの研究を行い、医学的緊急性に基づく心臓移植候補者の順位付けの連続多変数割り当てスコアモデルを開発した。現行の6段階システムに比べ、心臓分配の医学的緊急性の要素に関して、より有用である可能性があるという。米国の心臓分配システムは、移植をしなければ死亡するリスクが高い医学的緊急性がある候補者を優先しているが、現行の治療ベースの6段階システムは操作がされやすく、順位付けに限界があるとされている。JAMA誌2024年2月13日号掲載の報告。

国内初の「飲酒ガイドライン」を公表/厚労省

 2月19日、厚生労働省は飲酒に伴うリスクに関する知識の普及推進を図るために「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を公表した。本ガイドラインは、アルコール健康障害の発生を防止するため、国民一人ひとりがアルコールに関連する問題への関心と理解を深め、自らの予防に必要な注意を払って不適切な飲酒を減らすために、個人の適切な飲酒量・飲酒行動の判断の一助となるよう作成された。  本ガイドラインの特徴として、「基礎疾患等がない20歳以上の成人を中心に、飲酒による身体等への影響について、年齢・性別・体質などによる違いや、飲酒による疾病・行動に関するリスクなどをわかりやすく伝えるとともに、考慮すべき飲酒量(純アルコール量)や配慮のある飲酒の仕方や避けるべき飲酒方法などについて示している。お酒に含まれる純アルコール量は、「純アルコール量(g)=摂取量(mL)×アルコール濃度(度数/100)×0.8(アルコールの比重)」で表すことができ、食品のエネルギー(kcal)のようにその量を数値化できることから、純アルコール量に着目しながら、自身に合った飲酒量を決めて、健康に配慮した飲酒を心掛けることが必要とも記されている。実際に飲料メーカー各社では2021年頃よりアルコール飲料に含まれる純アルコール量の表示を開始している。

痛風再燃の98%はベースライン尿酸値5mg/dL以上/JAMA

 痛風の既往歴のある患者において、ベースラインの血清尿酸値は、その後の痛風再燃および再発による入院のリスクと関連しており、再発リスクの評価の指標として使用可能であることが、米国・マサチューセッツ総合病院のNatalie McCormick氏らの調査で示唆された。研究の成果は、JAMA誌2024年2月6日号で報告された。  本研究は、英国のプライマリケアにおいて、痛風の既往歴を有する患者における1回の血清尿酸値測定と、その後の急性痛風再燃および痛風の再発による入院のリスクとの関連の評価を目的とする住民ベースの後ろ向きコホート研究である(米国国立衛生研究所[NIH]の助成を受けた)。  対象は、2006~10年に英国で確認された痛風の既往歴を有する患者3,613例(平均年齢60.2[SD 6.8]歳、男性3,104例[86%])であり、2020年まで追跡調査を行った。