腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:362

血中ビタミンD値が高くても、抗皮膚がん効果は認められず

ビタミンDは、抗皮膚がん効果を有する可能性があるとされるが、これまで住民ベースの検討によるエビデンスはほとんどなかった。オーストラリア・クイーンズランド医学研究所のJolieke C van der Pols氏らは、同国の亜熱帯地域住民を対象に、血中ビタミンDレベルと皮膚がんリスクの関連について評価。その結果、血中ビタミンDが高いと、高い日光曝露の発がん性を打ち消すという可能性は示されなかったことを報告した。J Invest Dermatol誌オンライン版2012年10月18日号の掲載報告。

大腸がん患者のアスピリン常用、PIK3CA変異型と野生型では効果が異なる

 大腸がん診断後のアスピリンの常用は、臨床転帰を改善することが示されていたが、その効果は、PIK3CA(ホスファチジルイノシトール-4,5-二リン酸 3-キナーゼ触媒サブユニット α ポリペプチド遺伝子)変異型の有無で異なることが明らかにされた。米国・ハーバードメディカルスクールのXiaoyun Liao氏らによる報告で、アスピリン作用メカニズムの実験的エビデンスから、PIK3CA変異型とPIK3CA野生型の大腸がんでアスピリンの効果は異なるのではないかと仮説を立て検証した結果、両者の生存改善が異なることが示された。NEJM誌2012年10月25日号掲載より。

アンチエイジングHGH療法を利用した50歳夫婦がともにメラノーマを発症

Handler MZ氏らは、ヒト成長ホルモン(HGH)療法を利用した夫婦がともに使用開始3ヵ月後にメラノーマを発症した例を報告した。これまでにHGHあるいはインスリン様成長因子-1(IGF-1)が、種々のがんの悪性転化や進行を担うことは示されている。また、HGHはメラノーマの病因に結びついていることでも知られ、良性、悪性を問わずメラニン細胞の臨床的増殖を手助けすることが示唆されている。

非血縁ドナーからの末梢血幹細胞移植と骨髄移植、2年生存率は同等

 白血病患者などに対する、非血縁ドナーからの末梢血幹細胞移植(PBSCT)と骨髄移植(BMT)について、2年生存率は同等であることが報告された。また、生着不全の割合はPBSCTのほうが、慢性移植片対宿主病の発症率はBMTのほうが、それぞれ有意にリスクは低い可能性も示唆された。米国・H. Lee Moffitt Cancer Center and Research InstituteのClaudio Anasetti氏らが、約550例について行った第3相多施設共同無作為化試験の結果で、NEJM誌2012年10月18日号で発表した。

BRCA1/2突然変異キャリアの30歳以前の放射線検査は乳がんリスクを倍増

 BRCA1/2突然変異を有する女性の30歳前の放射線検査は、乳がんリスクを増大することが示された。オランダ・がん研究所のAnouk Pijpe氏らが、1,993例を対象とした後ろ向きコホート研究「GENE-RAD-RISK」の結果、報告した。リスクの増大は照射線量依存的で、その他の放射線曝露コホートで増大が認められた人よりも少ない照射線量でリスクの増大がみられたという。BMJ誌2012年10月13日号(オンライン版2012年9月6日号)掲載報告より。

自家造血幹細胞移植患者の血小板減少症、出血時に行う治療的輸血が有効

 自家造血幹細胞移植患者にみられる血小板減少症の治療では、従来の予防的血小板輸血よりも、出血発生時に行う治療的血小板輸血が有効なことが、ドイツ・Klinikum NurembergのHannes Wandt氏らの検討で示された。欧米では、血小板産生能低下に起因する重度の血小板減少症の標準治療は、毎朝の血小板数の測定値に基づくルーチンの予防的血小板輸血とされる。一方、治療的血小板輸血が新たな治療戦略として有望なことを示唆するパイロット試験の結果が知られているという。Lancet誌2012年10月13日号(オンライン版2012年8月7日号)掲載の報告。

フィブリン-3濃度、胸膜中皮腫の新たなバイオマーカーとして有効

 血漿中フィブリン-3濃度は、胸膜中皮腫のバイオマーカーとして有用であることが示された。胸膜中皮腫を早期に発見し個々の治療戦略を立てるため、新たなバイオマーカーが必要とされているが、米国・ニューヨーク大学Langone Medical CenterのHarvey I. Pass氏らが、血漿中と胸水中のフィブリン-3濃度を測定し、胸膜中皮腫の有無による違いなどについて調べ明らかにした。中皮腫のないアスベスト曝露者と胸膜中皮腫患者の識別が可能であったという。NEJM誌2012年10月11日号掲載より。

血中プロニューロテンシン値、生活習慣病発症・死亡リスクと関連

 血中プロニューロテンシンが、生活習慣病に関するバイオマーカーとして期待できるのか、スウェーデン・ランド大学のOlle Melander氏らが検討した結果、空腹時血中プロニューロテンシン値が、糖尿病、心血管疾患、乳がんの発症、および全死亡率、心血管死亡率と有意に関連することが示されたと報告した。主に中枢神経系や消化管で発現する13-アミノ酸ペプチドのニューロテンシンは、実験的試験で満腹感や乳がん細胞の増殖を制御することが知られるが、乳がんや心血管代謝疾患の発症における役割、有用性についてはほとんどわかっていなかった。JAMA誌2012年10月10日号掲載報告より。

喫煙者のほうが頭頸部の悪性黒色腫リスクが低い!?

喫煙と皮膚がんのリスクの関連性は、十分に解明されていない。今回、Fengju Song氏らは、米国における2つの大規模コホートにおいて、悪性黒色腫、基底細胞がん(BCC)、扁平上皮がん(SCC)のリスクをプロスペクティブに検討し、頭頸部における悪性黒色腫のリスクと喫煙とは逆相関していることを報告した。International Journal of Epidemiology誌オンライン版2012年10月11日号に掲載。