大腸がん閉塞に対する内視鏡的ステント留置術は外科的減圧術と死亡率の差はない

提供元:ケアネット

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公開日:2012/11/22

 

 急性大腸がん閉塞には、従来、外科的減圧術が実施されているが、近年、閉塞の緩和に内視鏡的大腸ステント留置術が使用されている。これらを比較するためにメタアナリシスにより解析したところ、内視鏡的大腸ステント留置術はいくつかの治療成績(1次吻合、ストーマ形成、永久的ストーマ造設など)を改善する一方、死亡率と罹患率の改善は認められなかった。イタリアVincenzo Cennamo氏らによる報告(International journal of colorectal disease誌オンライン版2012年11月15日号掲載)。

 著者らは、数種類のデータベースにおける包括的な検索を行い、可能性の高い321報の抄録とタイトルを確認し、そのうち、353例を含む8件の無作為化試験の全文を検索した。

 主な結果は以下のとおり。

・プール分析では、外科的減圧術群(以下、手術群)と内視鏡的大腸ステント留置群(以下、ステント群)で、死亡率(オッズ比[OR]:0.91)と罹患率(OR:2.05)に有意な差はなかった。
・永久的ストーマ造設率は、ステント群より手術群で有意に高かった(OR:3.12)。
・「手術への橋渡し」としてのステント使用を解析した研究において、手術群と大腸ステント群をプール分析で比較したところ、1次吻合は手術群よりステント群で多く(OR:0.42)、ストーマ造設はステント群より手術群で多かった(OR:2.36)。

(ケアネット 金沢 浩子)