腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:363

バンデタニブが局所進行性/転移性分化型甲状腺がんのPFSを延長:無作為化二重盲検第2相試験

 放射性ヨード耐性の進行性分化型甲状腺がんに対する有効な標準的治療はまだない。Sophie Leboulleux氏らは、RET、血管内皮成長因子受容体(VEGFR)、上皮成長因子受容体(EGFR)のシグナル伝達のチロシンキナーゼ阻害薬であるバンデタニブが、無作為化二重盲検第2相試験によって、局所進行性または転移性分化型甲状腺がんに対する有効性を示したことを報告した。著者らは、この疾患に対するチロシンキナーゼ阻害薬のさらなる研究が必要であるとしている。The Lancet Oncology誌オンライン版2012年8月13日号に掲載。

PSAスクリーニング、QALを考慮した場合のベネフィット

 前立腺特異抗原(PSA)スクリーニングによる前立腺がん死亡率減少というベネフィットは、過剰診断やその後の長期にわたる治療で失われる質調整生存年(QALY)によって減じてしまうことが示された。オランダ・エラスムス医療センターのEveline A.M. Heijnsdijk氏らが、欧州前立腺がんスクリーニング無作為化試験(ERSPC)の追跡データをベースに作成したモデルを用いて解析した結果で、「スクリーニングを勧告する前に、より長期のERSPCとQOL解析の両者の追跡データが必須である」と結論している。NEJM誌2012年8月16日号掲載報告より。

乳房温存術を受けた女性の5人に1人が再手術

 英国では乳房温存術(BCS)を施行された女性の5人に1人が再手術を受けており、非浸潤性乳がんの再手術率は浸潤性病変の約2倍に達することが、英国王立外科医師会のR Jeevan氏らの調査で示された。英国では毎年約4万5,000人の女性が乳がんと診断され、その半数以上がBCSを施行されるという。とくに非浸潤性乳がんは術前に病変を局在化するのが困難なため、BCSでは腫瘍を完全に切除できない可能性があり、その場合は再度BCSを行うか、乳房切除術が施行される。BCS施行後の再手術に関する研究は少なく、施行率は17~68%とされ大きなばらつきがみられる。BMJ誌2012年8月11日号(オンライン版2012年7月12日号)掲載の報告。

成人T細胞白血病リンパ腫におけるモガムリズマブ欧米第2相臨床試験開始

 協和発酵キリン株式会社は23日、治療経験のある成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)を対象としたモガムリズマブ(一般名、開発コード: KW-0761)の欧米第2相臨床試験を開始したことを発表した。モガムリズマブは、ATLを対象疾病とした希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を、米国食品医薬品局および欧州委員会から受けている。

結腸がん補助化学療法におけるFOLFOXの有効性:Stage IIと高齢者におけるサブ解析

 オキサリプラチンをフッ化ピリミジンに追加した補助化学療法はStage IIIの結腸がん患者の生存率を改善するが、Stage IIおよび高齢患者における補助化学療法にオキサリプラチンを追加することの有用性については意見が分かれている。Christophe Tournigand氏らは、結腸がんの補助化学療法におけるオキサリプラチン/フルオロウラシル/LVの多施設国際共同試験において、フルオロウラシル+LV(FL)とFL+オキサリプラチン(FOLFOX4)に無作為に割り付けられた患者のうち、Stage IIおよび高齢(70~75歳)患者のサブグループ解析を実施。その結果、どちらの患者でも全生存率(OS)と無病生存率(DFS)にはオキサリプラチン追加による有意なベネフィットは認められなかったことを、Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2012年8月20日号に報告した。

子どものCT検査、累積被曝線量増加で白血病、脳腫瘍リスクが増大

 子どもに対するCT検査では、放射線の累積被曝線量が約50mGyに達すると白血病の発生リスクが約3倍、約60mGyで脳腫瘍の発生リスクが約3倍になるものの、絶対リスクは小さいことが、英国・ニューカッスル大学のMark S Pearce氏らの検討で示された。CTスキャンは有用な臨床検査だが、電離放射線による発がんリスクの問題が存在し、特に成人に比べて放射線感受性が高い子どものリスクが高いとされる。CT検査を施行された患者の発がんリスクを直接的に検討した試験はこれまで行われていないという。Lancet誌2012年8月4日号(オンライン版2012年6月7日号)掲載の報告。

アナストロゾール+フルベストラント併用療法、HR陽性転移性乳がんの生存を改善

 HR陽性転移性乳がんに対する、アロマターゼ阻害薬アナストロゾール(商品名:アリミデックス)とフルベストラント(同:フェソロデックス)の併用療法について行われた第3相無作為化試験の結果、併用療法ではフルベストラントの投与量が標準的とされる用量よりも少なかったにもかかわらず、アナストロゾール単独療法および増悪後はフルベストラントへとクロスオーバーする逐次療法よりも臨床効果が優れることが示された。米国・カリフォルニア大学アーヴィン医療センターのRita S. Mehta氏らが行った検討で、NEJM誌2012年8月2日号で発表された。

インスリン療法中の2型糖尿病患者は厳格な大腸がんスクリーニングが必要

 2型糖尿病患者では、内因性高インスリン血症に起因する大腸腺腫および大腸がんのリスクが高い。外因性のインスリン療法はより高い大腸がん発生率と関連している。今回、ペンシルバニア大学のPatricia Wong氏らは、大腸内視鏡検査を実施した50~80歳の2型糖尿病患者における横断研究を行い、2型糖尿病患者における慢性的なインスリン療法が大腸腺腫のリスクを増加させ、また投与期間が長いほどオッズ比が増加したことを報告した。Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention誌オンライン版2012年8月9日号に掲載。