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がん専門病院が取り組む、漢方療法の最前線

 漢方薬は、エビデンスの少なさや体質や症状に応じた選択の難しさなどから処方を敬遠する医師も少なくない。神奈川県立がんセンターは、重粒子線治療施設を備えた都道府県がん診療連携拠点病院であり、なおかつ漢方サポートセンターを持つという、全国でも珍しい存在だ。2019年6月6日に行われた「漢方医学フォーラム」(漢方医学フォーラム主催)では、同院の東洋医学科部長の板倉 英俊氏が、がん治療における漢方に関する取り組みと症例を紹介した。

世の中を丁寧に眺めると病気に気付ける

 バイオジェン・ジャパン株式会社は、6月13日に都内において希少疾病である脊髄性筋萎縮症(以下「SMA」と略す)の啓発を目的に同社が製作した短編映画『Bon Voyage ボン・ボヤージ ~SMAの勇者、ここに誕生~』の完成記念メディアセミナーを開催した。  SMAは、進行性の運動ニューロンの脱落を特徴とする疾患で、筋萎縮や筋無力を引き起こす疾病である。そして、同社は、SMAの治療薬ヌシネルセンナトリウム(商品名:スピンラザ髄注)を製造・販売しているが、SMAの存在がまだ社会へ浸透していないことから、同社が短編映画を制作したものである。

強迫症患者の統合失調症リスク~コホート研究

 統合失調症患者では、強迫症(OCD)を併発する頻度が高いことが報告されている。OCDと統合失調症発症のシークエンスにより、両疾患の根底にある病態生理学的関係が明らかとなる可能性があるが、利用可能なエビデンスは限られている。台湾・嘉義長庚紀念病院のYu-Fang Cheng氏らは、新規でOCDと診断された患者における統合失調症リスクについて、集団ベースのコホートを用いて調査を行った。Schizophrenia Research誌オンライン版2019年5月24日号の報告。

日本の高齢者、痩せと糖尿病が認知症リスクに

 わが国の高齢者において、痩せていること(BMI 18.5kg/m2未満)と糖尿病が認知症発症のリスク因子であり、BMIが低いほど認知症発症率が高いことが、JAGES(Japan Gerontological Evaluation Study:日本老年学的評価研究)のコホートデータを用いた山梨大学の横道 洋司氏らの研究で示された。また、本研究において認知症発症率が最も高かったのは高血圧症を持つ痩せた高齢者で、次いで脂質異常症を持つ痩せた高齢者であった。Journal of Diabetes Investigation誌オンライン版2019年6月17日号に掲載。

StageII大腸がんの予後予測因子としての簇出(SACURA試験)/JCO

 Stage II大腸がんにおける術後補助化学療法の有効性を検討したSACURA試験(主任研究者:東京医科歯科大学 杉原 健一氏)の付随研究として、簇出(budding)の予後予測因子、補助化学療法の効果予測因子としての有用性を評価した解析結果を、防衛医科大学校の上野 秀樹氏らが報告した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2019年6月10日号に掲載。簇出は、国際対がん連合(UICC)が腫瘍関連の予後因子として挙げている因子であり、2016年のInternational Tumor Budding Consensus Conference(ITBCC2016)において国際的評価基準が定義された。

境界性パーソナリティ障害への精神薬理学的治療におけるガイドラインとの比較

 境界性パーソナリティ障害(BPD)は、生命を脅かす精神障害である。BPD患者に対する薬理学的治療に関するガイドラインの推奨事項は、非常に広範囲に及ぶ。オーストリア・Psychosomatische Zentrum Waldviertel-Klinik EggenburgのFriedrich Riffer氏らは、日常臨床におけるBPD患者の薬物療法について調査を行った。International Journal of Psychiatry in Clinical Practice誌オンライン版2019年5月29日号の報告。  オーストリアの精神科・心療内科クリニックで治療されたBPD(ICD-10:F-60.3)の患者110例(女性の割合:90%)の薬理学的治療に関するデータを評価した。

局所進行NSCLCにおけるCCRT+アテゾリズマブの評価(DETERRED)/ASCO2019

 デュルバルマブが局所進行非小細胞肺がん(NSCLC)の化学放射線療法併用療法(CCRT)後の地固め療法の新たなスタンダードとなるなど、CCRTと免疫療法の併用によるサバイバルの改善が期待されている。そのような中、StageII~IIIのNSCLCにおいて、CCRTとアテゾリズマブの併用(地固めおよび維持療法)とCCRT単独を比較する第II相臨床試験DETERREDが実施された。その結果を米国・MDアンダーソンがんセンターのSteven H.Lin氏らが米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で発表した。

Stage I NSCLCにおける術後補助化学療法の効果/ASCO2019

 StageIの非小細胞肺がん(NSCLC)には異質性があり、再発を来すケースがある。しかし、これらの集団に対する術後補助化学療法には議論の余地がある。広島大学の津谷 康大氏らは、再発リスクによる病理StageI(pStage I)のNSCLCの術後補助化学療法の効果を分析し、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で発表した。  肺葉手術で完全切除したpStageI NSCLC 1,278例を分析対象とした。再発高リスクはCox比例ハザードモデルにより、腫瘍径(浸潤径)2cm超、リンパ管侵襲あり、血管侵襲あり、臓側胸膜浸潤ありと定義した。評価項目は無再発生存期間(RFS)、全生存期間(OS)、がん特異的生存期間(CSS)とした。

日本人非扁平上皮NSCLCへの維持療法、Bev対Bev+Pem(COMPASS)/ASCO2019

 日本人進行非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)患者における、カルボプラチン+ペメトレキセド+ベバシズマブ後の維持療法として、ベバシズマブとベバシズマブ・ペメトレキセド併用を比較した第III相COMPASS試験の結果を、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で、九州がんセンターの瀬戸 貴司氏が発表した。  Bev+Pemによる維持療法は、主要評価項目のOSを延長したものの、Bev単剤に比べ、統計学的有意には至らなかった。一方、70歳未満およびEGFR野生型患者のOSを有意に改善した。瀬戸氏は、カルボプラチン・ペメトレキセドベースの維持療法において、ペメトレキセドは不可欠であると結論付けている。

アルバイト代は200万円未満が6割

 ケアネットでは、5月30日(木)~6月3日(月)に会員医師1,000人(各年代200人ずつ)を対象に、インターネットによる「年収に関するアンケート」を行った。その中で年収に占めるアルバイト代について尋ねたところ、約60%の医師が年間で200万未満と回答、次いで約10%の医師が200~400万円と回答した。  年代別にみると35歳以下の医師で年収に占めるアルバイト代200万円未満の割合は44%、36~45歳では54%、46~55歳では71%と年代が上がるにつれ、収入におけるアルバイト代比率は低くなり、若い医師ほどアルバイト代に依存する割合が高いことが明らかになった。

第2世代抗精神病薬経口剤の長期有効性~メタ解析

 統合失調症の維持療法においては、第2世代抗精神病薬(SGA)の使用が推奨される。しかし、各SGAの長期有効性の違いは、明らかとなっていない。慶應義塾大学の岸本 泰士郎氏らは、統合失調症および関連疾患におけるSGAの有効性を直接比較した6ヵ月以上のランダム化試験について、システマティックレビュー、メタ解析を実施した。World psychiatry誌2019年6月号の報告。  主要アウトカムは、全原因による中止とした。副次アウトカムは、精神病理、無効および忍容性に関連した中止、再発、入院、寛解、機能、QOL、有害事象を含む有効性および忍容性とした。プールされたリスク比(RR)および標準化平均差(SMD)の算出には、ランダム効果モデルを用いた。

光免疫療法、局所再発頭頸部がんで良好な成績/ASCO2019

 複数の前治療歴を有する局所再発頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)患者を対象に、RM-1929による光免疫療法の安全性と有効性を評価した第IIa相試験の結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で発表された。RM-1929は、抗EGFR抗体セツキシマブと光により活性化される色素(IRDye(R)700DX)の複合体。体内に注入されるとがん細胞と結合し、非熱性赤色光を照射することで局所的に活性化され、周辺細胞の損傷を最小限に抑えながら、がん細胞を選択的・迅速に壊死させる。

日本人高齢者におけるアルコール摂取と認知症

 岡山大学のYangyang Liu氏らは、日本人高齢者におけるアルコール摂取の量や頻度と認知症発症との関連を評価するため、長期間のフォローアップを行った大規模サンプルデータを用いて検討を行った。Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版2019年6月7日号の報告。  本研究は、日本で実施されたレトロスペクティブコホート研究。日本人高齢者5万3,311人を、2008~14年までフォローアップを行った。アルコール摂取の量や頻度は、健康診断質問票を用いて評価した。認知症発症は、介護保険の認知症尺度を用いて評価した。性別によるアルコール摂取のカテゴリー別の認知症発症率の調整ハザード比(aHR)、95%信頼区間(CI)を算出するため、Cox比例ハザードモデルを用いた。

患者の死への立ち合い方-医学部で教わらなかった大切なこと

 医師として働いている以上、何百回と患者の死に立ち合う。死は医療者にとっての日常だが、患者と家族には人生で数回しかない出来事だ。ある意味、死に慣れている医療者の悪気ない言動は、時に家族の悲しみを深めてしまうことがある。死に立ち合うとき、医療者は何に気を付ければよいのだろうか?  『地域の多職種で作る「死亡診断時の医師の立ち居振る舞い」についてのガイドブック』作成者の日下部 明彦氏(横浜市立大学 総合診療医学教室)に話を聞いた。

終末期14日間の化学療法、5%未満に減少/JCO

 終末期(end of life、以下EOL)がん患者の積極的治療について、わが国でも高齢者においては中止を支持する機運が醸成されつつあるのではないだろうか。米国ではEOL化学療法は、最も広く行われている、不経済で、不必要な診療行為として、ベンチマーキングで医師のEOL14日間の化学療法使用を減らす取り組みが行われている。その結果、同施行は2007年の6.7%から2013年は4.9%に減少したことが、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのPenny Fang氏らによる調査の結果、明らかになった。著者は、「首尾よく5%未満に減少した。この結果を現行のEOLオンコロジー戦略に反映することで、さらに高レベルのEOLの実践が期待できるだろう」と述べている。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2019年5月29日号の掲載報告。

会員医師の最多年収帯は1,600~1,800万円

 ケアネットでは、5月30日(木)~6月3日(月)に会員医師1,000人を対象に、インターネットによる「年収に関するアンケート」を行った。その結果、81%の医師が1,000万円以上の年収額を回答し、その中で最も多い年収帯は1,600~1,800万円であった(全体の13%)。また、全体の63%の医師が1,000~2,000万円に分布し、2,000~3,000万円は16%、3,000万円以上は4%であった。

サルコペニアは肺がん患者の約半数に合併し、OSを短縮する/Chest

 健康寿命を延ばすキーワードの1つとして注目されるようになったサルコペニア(骨格筋減少)だが、疾患予後との関連も注目されている。中国・四川大学のMing Yang氏らは、さまざまな報告がある肺がん患者の予後との関連について、コホート研究のメタ解析を行い、サルコペニアは、肺がん患者の約2人に1人と非常に多く認められること、小細胞肺がん(SCLC)患者および種々のStageの非小細胞肺がん(NSCLC)患者で全生存期間(OS)不良の重要な予測因子であることを明らかにした。Chest誌オンライン版2019年5月22日号の掲載報告。

高感度トロポニンT、アブレーション後のAF再発予測に有用か

 高感度トロポニンT(hs-TnT)が、心房細動(AF)アブレーション後のAF再発および主要心血管イベント(MACE)の予測に有用である可能性を、大阪市立大学の田村 尚大氏らが報告した。Journal of Cardiovascular Electrophysiology誌オンライン版2019年6月13日号に掲載。  初期アブレーションを受けたAF患者227例(平均年齢66±10歳、持続性AF 98例)を連続して登録した。AFアブレーションの前に測定したhs-TnT値により、低レベル(0.005μg/L以下)54例、中程度レベル(0.006~0.013μg/L)127例、高レベル(0.014μg/L以上)46例の3群に分けた。アブレーション後のAF再発またはMACE(死亡、脳卒中、急性冠症候群、心不全入院を含む)の複合エンドポイントを評価した。

抗うつ薬の治療効果に影響を及ぼす因子~メタ解析

 抗うつ薬への治療反応を事前に知ることは、臨床的に重要である。しかし、有意義なeffect modification(異なる治療反応に関連する変数)はわかっていない。統計数理研究所の野間 久史氏らは、effect modificationを明らかにするため、これまで日本で実施された抗うつ薬のプラセボ対照試験における被験者個人データ(IPD)を用いてメタ解析を行った。Journal of Affective Disorders誌2019年5月1日号の報告。  うつ病の急性期治療におけるbupropion、デュロキセチン、エスシタロプラム、ミルタザピン、パロキセチン、ベンラファキシンのプラセボ対照試験7件より、2,803例のIPDを取得した。

肝細胞がん、ソラフェニブ治療後のラムシルマブの有効性(REACH、REACH-2)/ASCO2019

 ソラフェニブは現在、転移を有する肝細胞がんの標準治療であるものの、ソラフェニブに不耐症例のための新たな薬剤が必要とされている。また、αフェトプロテイン(AFP)が上昇した進行期肝細胞がんは予後不良である。マウントサイナイ医科大学のJosep M Llovet氏らは、ソラフェニブ治療後の進行期肝細胞がん患者の2次治療としてラムシルマブを投与した第III相臨床試験であるREACHとREACH-2のプール解析結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で報告。AFP400ng/mL以上の進行期肝細胞がんでのラムシルマブの忍容性は高く、有害事象による治療中断は低率であった。