医療一般|page:290

Stage I NSCLCにおける術後補助化学療法の効果/ASCO2019

 StageIの非小細胞肺がん(NSCLC)には異質性があり、再発を来すケースがある。しかし、これらの集団に対する術後補助化学療法には議論の余地がある。広島大学の津谷 康大氏らは、再発リスクによる病理StageI(pStage I)のNSCLCの術後補助化学療法の効果を分析し、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で発表した。  肺葉手術で完全切除したpStageI NSCLC 1,278例を分析対象とした。再発高リスクはCox比例ハザードモデルにより、腫瘍径(浸潤径)2cm超、リンパ管侵襲あり、血管侵襲あり、臓側胸膜浸潤ありと定義した。評価項目は無再発生存期間(RFS)、全生存期間(OS)、がん特異的生存期間(CSS)とした。

日本人非扁平上皮NSCLCへの維持療法、Bev対Bev+Pem(COMPASS)/ASCO2019

 日本人進行非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)患者における、カルボプラチン+ペメトレキセド+ベバシズマブ後の維持療法として、ベバシズマブとベバシズマブ・ペメトレキセド併用を比較した第III相COMPASS試験の結果を、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で、九州がんセンターの瀬戸 貴司氏が発表した。  Bev+Pemによる維持療法は、主要評価項目のOSを延長したものの、Bev単剤に比べ、統計学的有意には至らなかった。一方、70歳未満およびEGFR野生型患者のOSを有意に改善した。瀬戸氏は、カルボプラチン・ペメトレキセドベースの維持療法において、ペメトレキセドは不可欠であると結論付けている。

アルバイト代は200万円未満が6割

 ケアネットでは、5月30日(木)~6月3日(月)に会員医師1,000人(各年代200人ずつ)を対象に、インターネットによる「年収に関するアンケート」を行った。その中で年収に占めるアルバイト代について尋ねたところ、約60%の医師が年間で200万未満と回答、次いで約10%の医師が200~400万円と回答した。  年代別にみると35歳以下の医師で年収に占めるアルバイト代200万円未満の割合は44%、36~45歳では54%、46~55歳では71%と年代が上がるにつれ、収入におけるアルバイト代比率は低くなり、若い医師ほどアルバイト代に依存する割合が高いことが明らかになった。

第2世代抗精神病薬経口剤の長期有効性~メタ解析

 統合失調症の維持療法においては、第2世代抗精神病薬(SGA)の使用が推奨される。しかし、各SGAの長期有効性の違いは、明らかとなっていない。慶應義塾大学の岸本 泰士郎氏らは、統合失調症および関連疾患におけるSGAの有効性を直接比較した6ヵ月以上のランダム化試験について、システマティックレビュー、メタ解析を実施した。World psychiatry誌2019年6月号の報告。  主要アウトカムは、全原因による中止とした。副次アウトカムは、精神病理、無効および忍容性に関連した中止、再発、入院、寛解、機能、QOL、有害事象を含む有効性および忍容性とした。プールされたリスク比(RR)および標準化平均差(SMD)の算出には、ランダム効果モデルを用いた。

光免疫療法、局所再発頭頸部がんで良好な成績/ASCO2019

 複数の前治療歴を有する局所再発頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)患者を対象に、RM-1929による光免疫療法の安全性と有効性を評価した第IIa相試験の結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で発表された。RM-1929は、抗EGFR抗体セツキシマブと光により活性化される色素(IRDye(R)700DX)の複合体。体内に注入されるとがん細胞と結合し、非熱性赤色光を照射することで局所的に活性化され、周辺細胞の損傷を最小限に抑えながら、がん細胞を選択的・迅速に壊死させる。

日本人高齢者におけるアルコール摂取と認知症

 岡山大学のYangyang Liu氏らは、日本人高齢者におけるアルコール摂取の量や頻度と認知症発症との関連を評価するため、長期間のフォローアップを行った大規模サンプルデータを用いて検討を行った。Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版2019年6月7日号の報告。  本研究は、日本で実施されたレトロスペクティブコホート研究。日本人高齢者5万3,311人を、2008~14年までフォローアップを行った。アルコール摂取の量や頻度は、健康診断質問票を用いて評価した。認知症発症は、介護保険の認知症尺度を用いて評価した。性別によるアルコール摂取のカテゴリー別の認知症発症率の調整ハザード比(aHR)、95%信頼区間(CI)を算出するため、Cox比例ハザードモデルを用いた。

患者の死への立ち合い方-医学部で教わらなかった大切なこと

 医師として働いている以上、何百回と患者の死に立ち合う。死は医療者にとっての日常だが、患者と家族には人生で数回しかない出来事だ。ある意味、死に慣れている医療者の悪気ない言動は、時に家族の悲しみを深めてしまうことがある。死に立ち合うとき、医療者は何に気を付ければよいのだろうか?  『地域の多職種で作る「死亡診断時の医師の立ち居振る舞い」についてのガイドブック』作成者の日下部 明彦氏(横浜市立大学 総合診療医学教室)に話を聞いた。

終末期14日間の化学療法、5%未満に減少/JCO

 終末期(end of life、以下EOL)がん患者の積極的治療について、わが国でも高齢者においては中止を支持する機運が醸成されつつあるのではないだろうか。米国ではEOL化学療法は、最も広く行われている、不経済で、不必要な診療行為として、ベンチマーキングで医師のEOL14日間の化学療法使用を減らす取り組みが行われている。その結果、同施行は2007年の6.7%から2013年は4.9%に減少したことが、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのPenny Fang氏らによる調査の結果、明らかになった。著者は、「首尾よく5%未満に減少した。この結果を現行のEOLオンコロジー戦略に反映することで、さらに高レベルのEOLの実践が期待できるだろう」と述べている。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2019年5月29日号の掲載報告。

会員医師の最多年収帯は1,600~1,800万円

 ケアネットでは、5月30日(木)~6月3日(月)に会員医師1,000人を対象に、インターネットによる「年収に関するアンケート」を行った。その結果、81%の医師が1,000万円以上の年収額を回答し、その中で最も多い年収帯は1,600~1,800万円であった(全体の13%)。また、全体の63%の医師が1,000~2,000万円に分布し、2,000~3,000万円は16%、3,000万円以上は4%であった。

サルコペニアは肺がん患者の約半数に合併し、OSを短縮する/Chest

 健康寿命を延ばすキーワードの1つとして注目されるようになったサルコペニア(骨格筋減少)だが、疾患予後との関連も注目されている。中国・四川大学のMing Yang氏らは、さまざまな報告がある肺がん患者の予後との関連について、コホート研究のメタ解析を行い、サルコペニアは、肺がん患者の約2人に1人と非常に多く認められること、小細胞肺がん(SCLC)患者および種々のStageの非小細胞肺がん(NSCLC)患者で全生存期間(OS)不良の重要な予測因子であることを明らかにした。Chest誌オンライン版2019年5月22日号の掲載報告。

高感度トロポニンT、アブレーション後のAF再発予測に有用か

 高感度トロポニンT(hs-TnT)が、心房細動(AF)アブレーション後のAF再発および主要心血管イベント(MACE)の予測に有用である可能性を、大阪市立大学の田村 尚大氏らが報告した。Journal of Cardiovascular Electrophysiology誌オンライン版2019年6月13日号に掲載。  初期アブレーションを受けたAF患者227例(平均年齢66±10歳、持続性AF 98例)を連続して登録した。AFアブレーションの前に測定したhs-TnT値により、低レベル(0.005μg/L以下)54例、中程度レベル(0.006~0.013μg/L)127例、高レベル(0.014μg/L以上)46例の3群に分けた。アブレーション後のAF再発またはMACE(死亡、脳卒中、急性冠症候群、心不全入院を含む)の複合エンドポイントを評価した。

抗うつ薬の治療効果に影響を及ぼす因子~メタ解析

 抗うつ薬への治療反応を事前に知ることは、臨床的に重要である。しかし、有意義なeffect modification(異なる治療反応に関連する変数)はわかっていない。統計数理研究所の野間 久史氏らは、effect modificationを明らかにするため、これまで日本で実施された抗うつ薬のプラセボ対照試験における被験者個人データ(IPD)を用いてメタ解析を行った。Journal of Affective Disorders誌2019年5月1日号の報告。  うつ病の急性期治療におけるbupropion、デュロキセチン、エスシタロプラム、ミルタザピン、パロキセチン、ベンラファキシンのプラセボ対照試験7件より、2,803例のIPDを取得した。

肝細胞がん、ソラフェニブ治療後のラムシルマブの有効性(REACH、REACH-2)/ASCO2019

 ソラフェニブは現在、転移を有する肝細胞がんの標準治療であるものの、ソラフェニブに不耐症例のための新たな薬剤が必要とされている。また、αフェトプロテイン(AFP)が上昇した進行期肝細胞がんは予後不良である。マウントサイナイ医科大学のJosep M Llovet氏らは、ソラフェニブ治療後の進行期肝細胞がん患者の2次治療としてラムシルマブを投与した第III相臨床試験であるREACHとREACH-2のプール解析結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で報告。AFP400ng/mL以上の進行期肝細胞がんでのラムシルマブの忍容性は高く、有害事象による治療中断は低率であった。

アテゾリズマブ+ベバシズマブ+化学療法、肺がん肝転移例に良好な結果(IMpower150)/ASCO2019

 非小細胞肺がん(NSCLC)のうち化学療法未治療の肝転移を有する非扁平上皮がんでは、ベバシズマブ・化学療法併用にアテゾリズマブを追加することで、ベバシズマブ・化学療法併用に比べ、無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)を有意に延長することがわかった。NSCLCを対象に行った無作為化オープンラベル第III相試験IMpower150の試験開始時に規定した探索的解析に基づき、米AdventHealth Cancer InstituteのMark A. Socinski氏らが米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で発表した。

メトホルミン、軽度~中等度腎機能障害にも処方可-使用上の注意改訂

 2型糖尿病治療薬のメトホルミン含有製剤の添付文書について、2019年6月18日、厚生労働省より使用上の注意改訂指示が発出された。  これまで、メトホルミン含有製剤は軽度~中等度腎機能障害の患者も禁忌とされてきたが、今回の改訂でeGFR(推算糸球体濾過量)30未満の重度の腎機能障害患者のみを禁忌とすることになった。これに伴い、腎機能障害患者に対する1日最高用量については、eGFRに基づいた目安が記載される。

高齢者のてんかん治療とADLとの関連

 高齢者におけるてんかん発作の抑制は、比較的容易であると広く考えられている。これは、高齢者の生活様式がてんかんの治療結果に影響を及ぼしている可能性があるとも考えられる。聖隷浜松病院てんかんセンターの藤本 礼尚氏らは、高齢てんかん患者のADLを調査し、てんかんの治療結果との比較を行った。Psychogeriatrics誌オンライン版2019年5月6日号の報告。  てんかんセンターに紹介された65歳以上の患者177例中、84例がてんかんと診断された。その後ADLレベルに応じて3群(ADL 1群:ADLに支障なし、ADL 2群:一部の手段的日常生活動作のみ支障あり、ADL 3群:一部の基本的なADLに支障あり)に分類し、ADLと治療アウトカムについて検討を行った。てんかん症候群および抗てんかん薬の使用も評価した。

NSCLC1次治療、ペムブロリズマブ+化学療法のOS、PFS2(KEYNOTE-189)/ASCO2019

 未治療の転移を有する非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)での1次治療としてのペムブロリズマブとプラチナベースの化学療法の併用は、化学療法のみと比べ、PD-L1発現レベルにかかわらず、全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、2次治療までの無増悪生存期間(PFS2)を約2倍に有意に改善することがプラセボ対照無作為化二重盲検第III相試験KEYNOTE-189の解析結果から明らかになった。米Karmanos Cancer InstituteのShirish M. Gadgee氏らが米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で発表した。  同試験の対象は、再発・転移のある無治療のStageIV扁平上皮NSCLC患者616例。

抗てんかん薬、皮膚がんリスクと関連?

 抗てんかん薬と皮膚がんリスクとの関連を検討した、デンマーク・南デンマーク大学のKasper Bruun Kristensen氏らの報告によると、大半の抗てんかん薬では、皮膚がんとの関連は認められなかったが、カルバマゼピンとラモトリギンで有棘細胞がん(SCC)との関連が認められたという。抗てんかん薬には光感作性のものがあるが、これまで、それらが皮膚がんリスクを増大するかは不明であった。なお、本検討では皮膚がんの重要なリスク因子に関するデータ(日光曝露など)が入手できず、結果は限定的であった。著者は、「所見が再現性のあるものか、また、さらにほかの設定で特性付けられるかを調べる必要があり、直接的な臨床的意味のあるものではない」と述べている。

うつ病に対するアリピプラゾール増強療法と血漿ホモバニリン酸レベル

 福島県立医科大学の堀越 翔氏らは、うつ病に対する低用量(LD)および高用量(HD)のアリピプラゾール増強療法の有効性を評価するため、ランダム化比較試験を行った。さらに、アリピプラゾール増強療法中の臨床反応と血漿ホモバニリン酸(pHVA)レベルの変化との関係を調査した。Human Psychopharmacology誌2019年5月号の報告。  抗うつ薬に対し治療反応不十分なうつ病患者31例を対象として、LD(3mg/日)群17例またはHD(最大12mg/日)群14例にランダムに割り付け、6週間にわたるアリピプラゾール増強療法を行った。ベースライン、2週目、試験終了時に、Montgomery-Asbergうつ病評価尺度(MADRS)による評価およびpHVAの測定を行った。

TNBCへのアテゾリズマブ+nab-PTX、PD-L1陽性でより良好な生存ベネフィット(IMpassion130)/ASCO2019

 トリプルネガティブ乳がん(TNBC)1次治療における抗PD-L1抗体アテゾリズマブ+nab-パクリタキセル(PTX)併用療法についての試験結果の第1報は、すでに2018年のNEJM誌にてPFSの改善が報告されている。この試験は二重盲検プラセボ対照の第III相試験である。今回はその2回目の中間解析結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で、英国・Barts Cancer InstituteのPeter Schmid氏より発表された。 試験デザイン ・対象:未治療の進行・再発TNBCで、PD-L1検査可能な患者