結核治療、スマホによる監視が有望/Lancet

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ケアネット

結核治療、スマホによる監視が有望/Lancetのイメージ

 直接監視下治療(DOT)は、1990年代初頭から結核の標準治療とされるが、患者や医療サービス提供者にとっては煩雑である。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのAlistair Story氏らは、スマートフォンを利用するビデオ監視下治療(VOT)はDOTよりも有効であり、簡便で安価な結核治療の監視アプローチであることを示した。WHOは、2017年、DOTの代替法としてVOTを条件付きで推奨したが、無作為化対照比較試験がほとんどないためエビデンスのグレードは低いという。Lancet誌オンライン版2019年2月21日号掲載の報告。

イングランドの22施設が参加、治療監視の完遂率を比較
 本研究は、VOTのDOTに対する優越性の検証を目的とする解析者盲検無作為化対照比較試験であり、2014年9月~2016年10月の期間にイングランドの22施設で患者登録が行われた(英国国立健康研究所[NIHR]の助成による)。

 対象は、年齢16歳以上、肺または肺外の活動性結核に罹患し、各施設の規定でDOTが適格と判定された患者であった。スマートフォンの充電設備がない患者は除外された。

 被験者は、VOT(毎日、スマートフォンのアプリケーションを用いて遠隔監視を行う治療)またはDOT(週に3~5回、自宅、地域[薬局など]または診療所で直接監視下に行う治療)を受ける群に無作為に割り付けられた。DOTでは、医療従事者などが治療の監視を行い、患者は毎日、自分で薬剤を投与した。VOTは、ロンドンからの集中型の医療サービスにより提供された。

 VOTでは、患者が動画を撮影して送信し、研修を受けた治療監視者が、パスワードで保護されたウェブサイトを介してこれらの動画を評価した。また、患者は、動画で薬剤の有害事象を報告するよう奨励された。スマートフォンとデータプランは担当医から無料で提供された。

 主要アウトカムは、試験登録から2ヵ月の期間における予定された治療監視の80%以上の完遂とした。intention-to-treat(ITT)解析および限定解析(1週間以上の監視が行われた患者のみを含む)を行った。

ITT解析:70% vs.31%、限定解析:77% vs.63%
 226例が登録され、VOT群に112例、DOT群には114例が割り付けられた。全体として、英国以外の国で出生した若年成人が多かった。また、ホームレス、禁固刑、薬物使用、アルコールや精神的健康の問題の経歴を持つ患者の割合が高かった。1週間以上の監視を完遂した患者は、VOT群が101例(90%)と、DOT群の56例(49%)に比べ多かった。

 ITT解析では、2ヵ月間に予定された治療監視の80%以上を完遂した患者の割合は、VOT群が70%(78/112例)と、DOT群の31%(35/114例)に比べ有意に良好であった(補正後オッズ比[OR]:5.48、95%信頼区間[CI]:3.10~9.68、p<0.0001)。

 限定解析でも、80%以上を完遂した患者は、VOT群が77%(78/101例)であり、DOT群の63%(35/56例)と比較して有意に優れた(補正後OR:2.52、95%CI:1.17~5.54、p=0.017)。

 VOT群は、試験期間を通じて80%以上の完遂率が高い状態が継続したが、DOT群は急速に低下した。また、最長6ヵ月の全フォローアップ期間における予定監視の完遂率は、VOT群が77%(1万2,422/1万6,230件)であったのに対し、DOT群は39%(3,884/9,882件)と、有意な差が認められた(p<0.0001)。限定解析でも、VOT群が有意に良好だった(83% vs.61%、p<0.0001)。

 有害事象は、VOT群の32例から368件、DOT群の15例から184件が報告された。両群とも胃痛・悪心・嘔吐の頻度が高く、VOT群で16例(14%)、DOT群では9例(8%)に認められた。

 1回の投与に要する時間は、医療サービス提供者および患者ともVOT群のほうが短く、患者1例当たりの6ヵ月間の費用はVOT群のほうが低額であった。

 著者は、「VOTは、さまざまな状況にある多くの患者にとってDOTよりも好ましく、薬剤投与の監視において受け入れやすく有効であり、より安価な選択肢となる可能性がある」としている。

(医学ライター 菅野 守)

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コメンテーター : 吉田 敦( よしだ あつし ) 氏

東京女子医科大学 感染症科

J-CLEAR推薦コメンテーター

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