小児期の不遇、青年期の自殺リスク増に影響/BMJ

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2017/05/08

 

 子供時代の境遇が不幸であると、その後の青年期における自殺率が有意に高まるという。米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のCharlotte Bjorkenstam氏らが、スウェーデンで生まれた54万8,721例を対象としたコホート研究の結果、報告した。子供時代の境遇が不幸だと、青年期に自傷行為リスクが増すことは先行研究で示されていたが、自殺リスクとの関連については不明であった。BMJ誌2017年4月19日号掲載の報告。

0~14歳の不幸な境遇と15~24歳時の自殺との関連を調査
 検討では、子供時代(0~14歳)の不幸な境遇と、その後の青年期(15~24歳)における自殺リスクとの関連について調べた。不幸な境遇の多重曝露の影響についても調べ、その関連において、児童精神病理学の評価や学業成績が寄与するかどうかも調べた。

 対象は、スウェーデンのメディカル出生レジスタなど同国集団ベースレジスタからの、1987~91年生まれの54万8,721例であった。

 子供時代の不幸な境遇は、家族との死別(自殺は別途解析)、親が薬物乱用者、親が精神病に罹患、親が重犯罪者、親が離婚/片親の世帯、親が公的扶助を受給、住所不定などを指標とした。

 主要評価項目は、15~24歳時の推定自殺リスクで、不幸な境遇にさらされた時間と交絡について補正後の発生率比で評価した。

家族自殺の場合は2.9、境遇とリスクには用量依存の関連も
 結果、補正後発生率比は、住所不定群の1.6(95%信頼区間[CI]:1.1~2.4)から、家族自殺群の2.9(1.4~5.9)にわたっていた。

 また、不幸な境遇曝露と自殺リスクには用量依存の関連がみられ、曝露が1つの場合は1.1(0.9~1.4)、2つの場合は1.9(1.4~2.5)、3つの場合は2.6(1.9~3.4)であった。さらに、これらの関連は、学業成績や児童精神病理学の評価について補正後も変わらなかった。

 著者は、「今回の結果は、自殺の社会的メカニズムへの理解の重要性と、恵まれない子供のリスクを軽減するために、子供が小さなうちから有効な介入を行う必要性を強調するものであった」とまとめている。

(ケアネット)