双極性障害患者の睡眠評価~主観的および客観的アプローチの比較

提供元:ケアネット

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公開日:2022/02/21

 

 双極性障害患者では、睡眠障害が頻繁に認められる。そのため、双極性障害患者の睡眠を正確に評価することは重要である。双極性障害患者の睡眠を評価するうえで、睡眠日誌や質問票などの主観的な睡眠評価ツールが用いられることが多いが、これらのツールがアクチグラフなどの客観的なツールと同程度の精度があるかはよくわかっていない。藤田医科大学の藤田 明里氏らは、双極性障害患者の睡眠を評価するための主観的および客観的ツールについての比較を行った。Journal of Psychiatric Research誌オンライン版2021年12月13日号の報告。

 双極性障害外来患者164例を対象に横断的研究を実施した。客観的な睡眠評価は、アクチグラフを用いて、7日間連続してプロスペクティブに評価し、主観的な睡眠評価は、睡眠日誌を用いてプロスペクティブに評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・総睡眠時間と入眠潜時の評価では、睡眠日誌(r=0.81)とアクチグラフ(r=0.47)の相関性は高く、中程度であった。
・これらの関連は、多重検定(総睡眠時間、入眠潜時のいずれもp<0.001)および正常状態(総睡眠時間:r=0.86、入眠潜時:r=0.51)と残存症状状態(総睡眠時間:r=0.77、入眠潜時:r=0.40)の患者いずれにおいて、補正後も有意なままであった。
・総睡眠時間の割合の差(睡眠日誌パラメータからアクチグラフパラメータを引き、アクチグラフパラメータで割った値)の中央値(四分位範囲)は、比較的小さかった(6.2%[-0.2~13.6%])。

 著者らは「アクチグラフまたは睡眠ポリグラフが実施できない場合、睡眠日誌を用いた総睡眠時間の評価は、臨床的に有用であると考えられる」としている。

(鷹野 敦夫)