統合失調症患者およびその介護者に対するCOVID-19の影響

提供元:ケアネット

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公開日:2021/12/27

 

 チリ・タラパカ大学のAlejandra Caqueo-Urizar氏らは、統合失調症患者とその介護者に対するCOVID-19パンデミックの心理社会的影響について、分析を行った。Frontiers in Psychology誌2021年11月5日号の報告。

 対象は、チリ北部の都市アリカに在住する統合失調症患者120例およびその介護者(対照群)。次の3点の仮説について検討を行った。(1)患者と介護者の間でCOVID-19パンデミックの影響に関する自己報告には正の相関が認められる、(2)介護者は、パンデミックが日常生活に及ぼす影響が大きいと感じている、(3)COVID-19に感染した患者は、メンタルヘルスの改善レベルが不良で、心理的苦痛レベルが高い。これらの仮説は、相関、平均差、エフェクトサイズ(Cohen's d)を用いて評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・約1年間隔離された統合失調症患者は、健康および日常生活について、介護者と同レベルの懸念を抱いていた。
・介護者は、統合失調症患者と比較し、収入、懸念、雇用について有意な差が認められた。
・COVID-19に感染した患者は、ウェルビーイングレベルが低く、精神的リカバリーの不良が認められた。

 著者らは「本検討において、パンデミック時における統合失調症患者の介護者に対するメンタルヘルス介入の必要性が示唆された。また、COVID-19感染は、統合失調症患者のリカバリーやウェルビーイングに大きな影響を及ぼすことが示唆された」としている。

(鷹野 敦夫)