産後うつ病や不安神経症のリスク因子

提供元:ケアネット

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公開日:2021/04/21

 

 うつ病や不安神経症は、産後頻繁に発生する疾患であり、早期発見と早期治療が必要とされる。産後うつ病のリスク因子に関するエビデンスは、早期発見につながる可能性はあるものの、決定的なものはこれまでなかった。オランダ・University of TwenteのAngarath I van der Zee-van den Berg氏らは、妊娠前、妊娠中、妊娠後の産後うつ病および不安症のリスク因子の特定を試みた。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2021年3月4日号の報告。

 ポストアップ研究の介入群1,406例より母親のデータを取得した。リスク因子は、産後3週および12ヵ月時点で収集した。うつ病および不安症状の評価は、産後1ヵ月目にエジンバラ産後うつ病自己評価票(EPDS)および特定不安尺度(STAI-6)を用いて実施した。関連するリスク因子の特定には、ステップワイズロジスティック回帰を用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・EPDSスコア9以上の割合は8.0%、STAI-6スコア42以上の割合は14.7%であった。
・うつ病の高リスクと関連する因子は、以下のとおりであった。
 ●家庭内での外国語の会話
 ●うつ病歴
 ●自己効力感の低さ
 ●現在の健康状態の悪さ
・母乳育児の開始時期とうつ病リスク低下との関連は認められず、産後3週間の母乳育児は、リスク増加を来さなかった。
・不安症の高リスクと関連する因子は、以下のとおりであった。
 ●高等教育レベル
 ●うつ病歴
 ●早産
 ●出産から1週間以内のネガティブな経験
 ●過度な乳児の泣き声
 ●自己効力感の低さ
 ●パートナーサポートの低さ
 ●現在の健康状態の悪さ
・本研究の限界として、自己申告による調査、産後の気分の状態による潜在的なバイアス、産後1ヵ月以降の新規うつ病症例を考慮していない点が挙げられる。

 著者らは「産後うつ病や不安症のリスク因子は、専門家が高リスクの母親を特定するうえで役立ち、予防的介入や治療機会を創出する可能性がある」としている。

(鷹野 敦夫)