実地臨床での肺がんのT790M検出率は臨床研究の半分(REMEDY)/日本臨床腫瘍学会

提供元:ケアネット

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公開日:2018/08/10

 

 EGFR-TKI耐性非小細胞肺がん(NSCLC)の50~60%がT790M耐性変異であるといわれる。オシメルチニブはT790M変異症例の標準治療薬である。EGFR-TKI耐性例に対するオシメルチニブの投与にはT790M変異の検出が必要である。しかし、本邦の実臨床における検査および、T790M検出の実態は明らかでない。これらの状況を明らかにするため多施設共同前向き観察研究REMEDY試験の結果が行われ、その結果が神戸市で開催された第16回日本臨床腫瘍学会において、四国がんセンターの野上 尚之氏により発表された。

 対象患者はEGFR-TKI投与中に増悪を来したEGFR変異陽性のNSCLC患者。国内49施設で2017年1月~8月に登録された236例が解析された。

 評価項目は、T790M検査のための検体採取率、検体選択の理由、T790M検査実施率、T790M変異検出率、T790M変異結果例の次治療の選択パターン、腫瘍検体の採取部位/方法/成功率、前EGFR-TKI種類別のT790M変異検出率。

 主な結果は以下のとおり。

・検体採取率は86.9%(236例中205例)。13.1%(31例)は検体採取を実施しなかった。
・検体採取の内訳は組織17.4%(41例)、細胞11.4%(27例)、血漿58.1%(137例)であった。
・検体採取部位はほとんどが胸部であった。
・T790M検査実施率は84.3%(236例中199例)であった。
・T790M陽性は61例、陰性/不明は138例。解析対象全体からみたT790M変異検出率は25.8%(236例中61例)であった。
・T790M変異結果例の次治療の内訳は91.8%(61例中58例)がオシメルチニブであった。EGFR-TKI耐性である解析対象全体からみると、オシメルチニブ投与に至ったのは23.7%(236例中58例)であった。

 EGFR-TKI耐性におけるT790M変異が50~60%と言われるなか、今回の試験の結果では、半分以上が検出できておらず、また薬剤が届いていないことになる。野上氏は発表の中で、この点を指摘した。

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(ケアネット 細田 雅之)