非糖尿病のハイリスク高血圧患者、他の降圧薬追加の効果は/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2018/01/11

 

 非糖尿病の心血管ハイリスク患者において、服用中の降圧薬レジメンへの新規クラスの降圧薬の追加投与は、収縮期血圧と主要心血管イベントリスクを大きく低下することが示された。この結果は、適応による交絡を補正後に示されたもので、追加投与による収縮期血圧への効果は、服用中降圧薬の全レベルおよび全患者サブグループ間で保持されることも確認された。米国・ミシガン大学のAdam A.Markovitz氏らが行った「SPRINT試験」の2次データ解析の結果で、これまでの観察試験では、降圧薬を追加投与してもベネフィットが減少することが示されていた。ただし、そうした結果は適応による交絡の可能性があることも示唆されていた。BMJ誌2017年12月22日号掲載の報告。

約9,000例の無作為化試験データを2次分析
 研究グループは、2010~15年に102ヵ所の医療機関を通じて行われた無作為化臨床試験「SPRINT試験」の被験者のうち、9,092例のデータを基に、操作変数法を用いた2次データ解析を行った。SPRINT試験の被験者は、年齢50歳以上、収縮期血圧が130~180mmHg、糖尿病や脳卒中歴がなく、心血管疾患リスク因子(臨床的因子、または脳卒中や慢性腎疾患以外の潜在的因子)が1つ以上認められ、フラミンガムスコアの10年心血管疾患リスクが15%以上または年齢が75歳以上。収縮期血圧120mmHg未満目標の厳格降圧群か140mmHg未満目標の標準降圧群に無作為に割り付けられて追跡を受けた。

 研究グループは、適応による交絡(より病的な患者に治療が行われていれば有効性が認められない)を明らかにするために、操作変数法を用いて、操作変数モデルの結果と標準多変量モデルの結果を比較し、服用中のレジメンへの新しいクラスの降圧薬追加の増分効果を評価した。主要評価項目は、収縮期血圧値、主要心血管イベント、重度有害事象の発生だった。

追加投与で収縮期血圧は約14mmHg低下
 操作変数法モデルによる分析の結果、新規クラスの降圧薬の追加投与は、臨床的に意義のある収縮期血圧値の低下を示し(-14.4mmHg、95%信頼区間[CI]:-15.6~-13.3mmHg)、主要心血管イベントリスクも低下した(絶対リスク:-6.2/1,000患者年、95%CI:-10.9~-1.3)。

 一方で、適応による交絡因子補正前の標準多変量モデルで分析した結果では、新規クラスの降圧薬の追加投与は、収縮期血圧を中程度に低下した(-1.3mmHg、95%CI:-1.6~-1.0)。主要心血管イベントリスクの減少はみられなかった(絶対リスク:0.5/1,000患者年、同:-1.5~2.3)。

 新規クラスの降圧薬の追加投与による収縮期血圧値の漸減効果は、服用中の降圧薬クラス数が0、1、2、3種またはそれ以上のいずれであっても、同程度に大きかった。同様の結果が、すべての患者サブグループで認められた。
 なお、新規クラスの降圧薬の追加投与による有害事象の増大は、標準多変量モデル・操作変数法モデルのいずれでも認められなかった。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)