うつ病の再発を予測する3つの残存症状:慶應義塾大

提供元:ケアネット

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公開日:2017/05/31

 

 うつ病における残存症状は、予後に悪影響を及ぼす。しかし、アウトカムを予測するうえで各残存症状の影響については、ほとんど知られていない。慶應義塾大学の櫻井 準氏らは、自己報告および臨床医評価に基づいて、どの症状がその後の再発を予測できるかを検討した。Psychopharmacology誌オンライン版2017年5月3日号の報告。

 STAR*D(Sequenced Treatment Alternatives to Relieve Depression)試験において第1段階の治療(citalopramで14週間)で寛解を達成し、1回以上受診した後に、12ヵ月の自然経過フォローアップ期間に入った非精神病性うつ病の外来患者1,133例のデータを分析した。再発予測のフォローアップ項目における、16項目の簡易抑うつ症状尺度自己報告(QIDS-SR16)および臨床医評価(QIDS-C16)によって特定された残存症状は、Cox比例ハザードモデルを用いて確認した。

 主な結果は以下のとおり。

・不穏(HR:1.197、p=0.018)、過眠症(HR:1.190、p=0.009)、体重変化(HR:1.127、p=0.041)の3つのQIDS-SR16症状が、その後の再発と有意に関連していた。
・フォローアップ時における不穏(HR:1.328、p=0.001)、入眠障害(HR:1.129、p=0.047)、体重増加(HR:1.125、p=0.045)の3つのQIDS-C16症状が、再発と有意に関連していた。

 著者らは「オリジナルの試験は、うつ病の再発予測を評価するために行われたわけではなく、各症状は互いに関連している可能性があり機能的状態として扱われていない」としながらも、「不穏、不眠、体重変化などのいくつかの残存症状は、うつ病が再発しやすい患者を特定するのに役立つであろう。再発に対する各残存症状の影響は、自己報告と臨床医評価で類似していた」としている。


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