日本のアルツハイマー病、30年の推移:九州大 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2017/05/11 九州大学の小原 知之氏らは、日本人高齢者における認知症の有病率、発症率、生存率について長期的傾向を包括的に調査した。Neurology誌オンライン版2017年4月19日号の報告。 65歳以上の日本人地域住民を対象に、1985、1992、1998、2005、2012年の5回にわたり認知症の横断的研究を実施した。1988年(803例)と2002年(1,231例)に認知症でない高齢者からなる2つのコホートを確立し、それぞれ10年間追跡調査を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・すべての認知症およびアルツハイマー病(AD)の年齢標準化した有病率は、時間とともに増加した。しかし、血管性認知症(VaD)では変化が認められなかった。 【すべての認知症】1985年:6.8%、1992年:4.6%、1998年:5.3%、2005年:8.4%、2012年:11.3%(p for trend<0.01) 【AD】1985年:1.5%、1992年:1.4%、1998年:2.4%、2005年:3.9%、2012年:7.2%(p for trend<0.01) 【VaD】1985年:2.4%、1992年:1.6%、1998年:1.5%、2005年:2.4%、2012年:2.4%(p for trend=0.59) ・年齢および性別により調整されたすべての認知症およびADの発症率(VaDではない)は、1988年から2002年のコホートまで増加した。 【すべての認知症】調整HR:1.68、95%CI:1.38~2.06 【AD】調整HR:2.07、95%CI:1.59~2.70 【VaD】調整HR:1.18、95%CI:0.83~1.69 ・すべての認知症およびADの5年生存率は、1988年から2002年のコホートで改善した。 【すべての認知症】1988年:47.3%、2002年:65.2%(p<0.01) 【AD】1988年:50.7%、2002年:75.1%(p<0.01) 著者らは「AD発症率の増加と生存率の改善が、日本人高齢者におけるAD有病率の急激な上昇をもたらした可能性がある」としている。 関連医療ニュース 米国の認知症有病率が低下、その要因は 抗認知症薬と抗コリン薬の併用、アジア太平洋諸国の現状 認知症になりやすい職業は (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Ohara T, et al. Neurology. 2017 Apr 19. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] CKDへのSGLT2阻害薬、糖尿病・UACRを問わずアウトカム改善/JAMA(2025/12/09) PAH診断1年未満の中~高リスク患者へのソタテルセプト上乗せは有効である(解説:原田和昌氏)(2025/12/09) 非小細胞肺がん、アミバンタマブ・ラゼルチニブ併用における予防的抗凝固療法に関する合同ステートメント/日本臨床腫瘍学会ほか(2025/12/09) 治療抵抗性うつ病の認知機能維持に最適な薬物治療戦略は?(2025/12/09) 低用量アスピリン処方が2型糖尿病患者の初回イベントリスク低下と関連――AHA(2025/12/09) WHOが結核の症例数や死亡者数の最新データを公表(2025/12/09) 個別化プレハビリテーションで手術アウトカムが改善(2025/12/09) 朝食後の歯みがきが高血圧リスク低下と関連/鹿児島大(2025/12/09) [ あわせて読みたい ] Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20)