てんかん発症時期による認知障害の違い

提供元:ケアネット

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公開日:2016/09/29

 

 てんかん患者におけるエピソード記憶機能障害が、てんかん発症時期が早期(小児期、思春期)かまたは後期(成人期)かで異なるのかを明らかにするため、オーストラリア・メルボルン大学のGenevieve Rayner氏らが検討を行った。Neurology誌オンライン版2016年9月16日号の報告。

 焦点てんかん患者92例と健常対照者74例について認知および精神機能を比較した。エピソード記憶障害の予測因子は、早期発症患者47例と遅発性患者45例で対比した。

 主な結果は以下のとおり。

・全体的に、てんかん患者においてセマンティックおよびエピソード記憶の有意な悪化が認められ、うつ症状およびうつ病が高率で認められた。
・早期発症てんかん患者におけるエピソード記憶の減少は、発症の低年齢や頻繁な発作と関連し、ワーキングメモリを減少させた。
・対照的に、遅発性てんかん患者は、エピソード情報のリコールが困難であり、うつ病やMRIで同定された病変の存在と関連付けられた。

 著者らは「本研究により、焦点てんかん患者の記憶障害は、てんかん発症時期により異なることが明らかとなった。神経生物学的要因の強さは、早期発症てんかん患者のエピソード記憶減少には、生物学的要因が関連するが、遅発性てんかん患者にみられる障害は、心理的不適応が関連する。認知機能障害の個別の予測因子を明確にするために、臨床的特徴に応じた患者の細分化が必要である」としている。

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(鷹野 敦夫)