閉経後の女性統合失調症、陰性症状改善にSERM併用が有用

提供元:ケアネット

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公開日:2016/01/08

 

 閉経後の統合失調症女性に対し、通常療法にラロキシフェンを併用することで、陰性症状や総合精神病理、会話能力の低下などの改善が認めたことが示された。スペイン・カタロニア女性メンタルヘルス研究グループのJudith Usall氏らが、無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。統合失調症において、エストロゲンの治療的有用性に関する認識が高まっている。選択的エストロゲン受容体モジュレーターであるラロキシフェンは、ドパミン・セロトニン脳システムに対しエストロゲン様作用を示すと考えられ、著者らは先行研究において、ラロキシフェンがエストロゲンに起因する有害事象を示すことなく、陰性症状、陽性症状、総合精神病理の改善に有用であることを明らかにしていた。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2015年11月20日号の掲載報告。

 本検討では、陰性症状が優勢な閉経後の統合失調症女性患者を対象に、陰性症状およびその他の症状に対するラロキシフェンの有用性を評価することを目的に、24週間のランダム化並行群間二重盲検プラセボ対照試験を実施した。被験者は、Parc Sanitari Sant Joan de Deu、Hospital Universitari Institut Pere Mata、Corporacio Sanitaria Parc Tauliの入院患者および外来患者症例から登録。閉経後の統合失調症(DSM-IV)女性を、通常の抗精神病薬治療にラロキシフェン(60mg/日)を併用する群(38例)、またはプラセボ群(32例)に無作為に割り付けた。ベースライン、4、12、24週時に陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)および陰性症状評価尺度(SANS)を用いて精神病理を評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・ラロキシフェン併用群は試験期間の24週間にわたり、PANSSによる陰性スコア(p=0.027)、全般スコア(p=0.003)、総スコア(p=0.005)が、プラセボ群に比べ有意に低下した。
・ラロキシフェン併用群は、SANSS下位尺度である会話能力の低下に関してもプラセボ群に比べて改善を認めた(p=0.048)。
・本試験で示されたデータは、先行試験で報告した結果を、より大規模サンプルと長期フォローアップで再現したものであった。

(鷹野 敦夫)

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