精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

オベポレクストン、ナルコレプシータイプ1の眠気・覚醒を改善/NEJM

 ナルコレプシータイプ1患者において、経口オレキシン2受容体(OX2R)選択的作動薬オベポレクストンは12週間にわたり、覚醒状態、眠気および情動脱力発作(カタプレキシー)の評価尺度を有意に改善したことが、フランス・Centre Hospitalier UniversitaireのYves Dauvilliers氏らが行った2つの第III相試験「First Light試験」「Radiant Light試験」の結果で報告された。オベポレクストン群では最も一般的な有害事象として、頻尿および一過性の不眠が認められた。ナルコレプシータイプ1は、日中の過度の眠気、カタプレキシー、睡眠分断、および入眠時や覚醒時の幻覚などで特徴付けられる。オベポレクストンは第II相試験で、ナルコレプシータイプ1の症状を軽減することが示されていた。NEJM誌オンライン版2026年9月9日号掲載の報告。

糖尿病へのスタチン、開始時期で認知症リスクに差?/ESC2026

高齢化に伴い認知症の負担は増大しており、とくに糖尿病患者ではリスクが高いことが知られている。一方、LDLコレステロールは認知症の修正可能なリスク因子として注目されている。そこで、デンマーク・Copenhagen University Hospital-Herlev and GentofteのTummas Ternhamar氏らは、2型糖尿病診断後のスタチン開始時期と認知症リスクとの関連を検討した。その結果、診断後1年以内の「スタチン早期開始」が、全認知症リスクの有意な低下と関連することが示された。本結果は、2026年8月28~31日にドイツ・ミュンヘンで開催されたEuropean Society of Cardiology 2026(ESC2026、欧州心臓病学会)で発表され、The Lancet Regional Health Europe誌オンライン版2026年8月27日号に掲載された。

エチゾラムとゾピクロンの投与期間30日上限以降、処方傾向はどう変わったか?

 2016年10月、日本においてベンゾジアゼピン受容体作動薬(BZD)であるエチゾラムおよびゾピクロンは第3種向精神薬に指定され、両剤の投与期間の上限が30日に制限された。横浜市立大学の立岡 幸大氏らは、エチゾラムおよびゾピクロンの投与期間上限の設定が両薬剤の処方に及ぼした影響を評価した。Therapeutic Innovation & Regulatory Science誌オンライン版2026年8月8日号の報告。  本研究は、2012〜20年の日本の全国医療保険レセプトデータからランダムに抽出されたデータに基づいて実施した。2016年に向精神薬に指定されたBZDであるエチゾラムおよびゾピクロンについて、年齢層別の処方動向を分析した。向精神薬指定が処方動向に及ぼす影響は、中断時系列分析を用いて評価した。

犬を飼うことで認知症予防は可能か?〜日本人対象研究

 国立環境研究所の谷口 優氏らは、犬の飼育者の身体的、社会的、心理的特性に基づいた傾向スコア重み付け法を用い、犬の飼育と要介護認知症の発症および死亡との関連を調査した。さらに、操作変数モデルを用いて、この関係における因果関係の可能性を検討した。加えて、費用対効果分析を用いて、犬の飼育に伴う費用と効果についても検討を行った。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2026年7月22日号の報告。  犬の飼育状況は、「現在飼育中」、「過去に飼育経験あり」、「飼育経験なし」の3つに分類した。要介護認知症は、日本の介護保険制度における医師の判定に基づき定義し、死亡については約7.5年間のフォローアップ期間中に日本の人口動態統計を用いて確認した。

双極症患者の自殺、年齢により手段が異なることが判明

 双極症における年齢層別の自殺手段については、これまで十分に検討されていなかった。台湾・台北市立聯合医院のMeng-Chiao Chou氏らは、双極症患者の自殺者と一般集団の自殺者を対象に、自殺手段の選択について比較を行った。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2026年8月5日号の報告。  台湾の全国規模の医療データベースを用い、2003~23年に双極症と診断された4万7,488例を特定し、死亡記録と照合して自殺による死亡を確認した。自殺者のみを対象とするデザインを用い、双極症患者の自殺者と一般集団の自殺者との間で、自殺手段の分布を比較した。性別、死亡時年齢、都市化の程度、就業状況を調整変数として、年齢層別(30歳未満、30~49歳、50~64歳、65歳以上)の多変量ロジスティック回帰分析を実施した。

ひとり飯はうつ病のリスク因子か?

 世界的な高齢化の進行や子供の独立後に親のみが残る世帯(エンプティ・ネスト)の増加に伴い、高齢者が1人で食事をすること(孤食)が急増している。こうした食事様式の変化は、高齢者の健康管理において重要な課題となっている。中国・蘇州大学のYingying Zhang氏らは、地域在住高齢者を対象に、誰かと一緒に食事をすること(共食)と孤食における栄養摂取量およびうつ病リスクの違いを定量的に評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Frontiers in Nutrition誌2026年7月13日号の報告。

認知症高齢者、診断の何年前から自動車事故リスクが高い?

 アルツハイマー病およびアルツハイマー関連認知症(ADRD)の患者は、認知機能の低下により自動車事故のリスクが高まる。この認知機能低下は、診断の数年前から始まっていることも少なくない。自動車事故は、ADRDに関連する認知機能障害の指標となり、早期診断を促進する可能性がある。米国・ブラウン大学のNina R. Joyce氏らは、ADRD患者の自動車事故発生について、診断前までさかのぼり、調査を行った。Journal of the American Geriatrics Society誌オンライン版2026年8月6日号の報告。

ストロング系チューハイが最も飲まれていた~日本のアルコール依存症患者分析

 日本において、アルコール使用障害(AUD)の治療目標として節酒が近年受け入れられるようになっている。その一方で、AUD患者の臨床的特徴や飲酒パターンに関する知見は依然として限られている。神奈川・久里浜医療センターの新田 千枝氏らは、全国15施設で実施された多施設共同コホート研究であるAlcohol Longitudinal Prognosis Study in Japan(ALPS-J)のベースラインデータを用い、治療を求めたAUD患者の臨床的特徴および飲酒パターンを、男女別に解析した。PCN Reports誌2026年8月号の報告。

「軽度な幻覚」はDLBとADの早期鑑別のバイオマーカーとなりうるか

 アルツハイマー型認知症(AD)とレビー小体型認知症(DLB)の早期鑑別は、とくに認知機能プロファイルの重複が大きい初期段階において、依然として課題となっている。疾患ごとに治療方針が異なるため、ADとDLBの正確な診断の重要性はますます高まっている。スペイン・Hospital San Vicente del RaspeigのMarina Ruiz Pinero氏らは、初期のADとDLBの臨床的、神経心理学的、知覚的特徴を比較し、とくに「軽度な幻覚」に焦点を当てて、両疾患の鑑別における診断的有用性を評価した。Journal of Alzheimer's Disease誌2026年9月号の報告。

日本人入院患者のせん妄、その特徴とリスク因子は?

 せん妄は、入院中に生じる重篤な精神神経症状であり、単なる急性イベントというよりは、背景にある神経認知機能の脆弱性が顕在化したものであると考えられる。日本では、入院患者を対象に、あらかじめ定められたリスク因子を評価する「せん妄リスクの早期スクリーニング」を病院全体で実施することが、国の医療政策として義務付けられている。奈良県立医科大学附属病院のMegumi Matsuda氏らは、専門医へのコンサルテーションを経て確定診断されたせん妄と独立して関連する、患者の属性および臨床的因子の特定を試みた。PCN Reports誌2026年7月30日号の報告。