道路交通騒音でうつ病リスク増大 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/12/17 交通騒音は、とくに都市部にて多くの人々に影響を与える。騒音はストレスやいらいらの原因となるが、騒音とうつ病との関連はあまり知られていない。ドイツ・エッセン大学病院のEster Orban氏らは、住宅道路の交通騒音と抑うつ症状の関連を調べるため、ドイツ住民ベース研究から5年間の追跡調査データを用い、検討を行った。その結果、住宅道路の交通騒音は抑うつリスクを増大させることが示唆された。Environmental health perspectives誌オンライン版2015年11月25日号の報告。 著者らは、Heinz Nixdorf Recall 研究の参加者で、ベースライン時(2000~03年)に抑うつ症状のない3,300人(45~75歳)のデータを分析した。抑うつ症状は、CES-D質問票の15項目(合計スコア17点以上)、抗うつ薬の投与に基づいて定義した。道路交通騒音は、European Parliament/Council Directive 2002/49/ECをモデルにした。騒音の高曝露は、1年間の24時間平均騒音レベルが55dB以上(A)と定義した。ロバスト推定ポアソン回帰は、相対リスク(RR)を推定するために使用した。潜在的な交絡因子調整のため、1)年齢、性別、社会的地位(SES)、自宅周辺のSESレベル、交通近接性、さらに2)BMIと喫煙、3)潜在的な交絡/中間因子である併存疾患と不眠症、で調整を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・全体参加者の35.7%が、高いレベルの住宅交通騒音にさらされていた。 ・フォローアップ時(ベースラインから平均5.1年)、302人の参加者が高い抑うつ症状を有していた。曝露騒音レベル55未満に対する55超の調整後RRは1.29(95%CI:1.03~1.62、モデル1)であった。 ・潜在的な交絡/中間因子による調整は、結果を実質的に変化させなかった。 ・関連性は、ベースライン時に不眠を訴えた人で強く[RR 1.62(1.10~2.59) vs.1.21(0.94~1.57)]、教育年数13年以下の人においてのみ現れた[RR 1.43(1.10~1.85)vs.0.92(0.56~1.53):13年超]。 関連医療ニュース 性別で異なる、睡眠障害とうつ病発症の関連:東京医大 魚をよく食べるほど、うつ病予防に:日医大 パートナーがうつ病だと伝染するのか 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Orban E, et al. Environ Health Perspect. 2015 Nov 25. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 混合型脂質異常症へのRNA干渉薬zodasiran、TGを有意に低下/NEJM(2024/06/07) がんの臨床試験への参加でOSが延長するか?/JAMA(2024/06/07) メトホルミンは低リスク限局性前立腺がんの進行を抑制するか?(MAST)/ASCO2024(2024/06/07) ロルラチニブ、ALK肺がん1次治療の効果をさらに改善、5年PFS中央値に到達せず(CROWN)/ASCO2024(2024/06/07) HR+/HER2-転移乳がん、SG+ペムブロリズマブvs.SG(SACI-IO HR+)/ASCO2024(2024/06/07) 国内の患者・市民参画(PPI)に光、「患医ねっと」がMade with Patients Award受賞(2024/06/07) “アルバイト代”の占める割合、収入・診療科による違いは?/医師1,000人アンケート(2024/06/07) 東日本大震災による住宅被害や精神的ダメージと修正可能な認知症リスクとの関連(2024/06/07) [ あわせて読みたい ] 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12)